FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

発達障害のある子

2012-06-20 12:04:17 | 教育論
先日、一人の男の子がスクールを退会しました。
彼ははじめてクライミングをしに来た時から、他の子が怖がったり困ったりするところもスルスルと登り、自分で動ける子でした。
アウトドアやサマーキャンプにも参加したことがありますが、ここでも本領を発揮
バランス力のいる高い岩や、大会で使われる高い人口壁のトップまで、怖がったり動きに迷うことなくあっという間に登ってしまうのです
また、壁の形状を利用した登り方もとても上手で、この子がテクニックを身につけ、メンタル的に成長したら良いクライマーになるな~ と密かに思っていました。

1年経ち2経ち…。
私は彼の「その時」を待ちました。
子どもたちは急にグンと力を伸ばす時があります。
それは、対象に対する気持ちの入れ方が変わり、「上手くなりたい」「技術を身に付けたい」そして「そのための努力を自分はできる」という意識の変化とリンクします

彼は5年生になりました。
そろそろそうした変化が見られても良いころなのですが、なかなか「その時」は訪れません
私のほうも意識を向かせるべく、発破をかけたり、叱ってみたりしましたが変化はさほど見られず。。。
スクールに来ると仲間と些細なことですぐ喧嘩
テクニックを覚えていないので、一つの課題を登るための動きの組み立てが出来ずに登れない。。。結果、つまらない他の子はどんどん登るための技術を身につけて課題にチャレンジしているので、一人おいてきぼりです

スクールも休みがちになり、どうしたものか?と悩む日々が続きました。

そんな時、お母様から退会の旨連絡があり、その時はじめて彼に発達障害があったことを知りました。。。
一見、健常者と全く区別がつきませんでした。
少し喧嘩っぱやくて落ち着きがないくらい。
最後のほうはそれでも少しは「ちゃんと登ろう、登りたい」という意識が芽生えてきたように思えます。基本練習だけは取り組むようになり、小さな成長が見られました

ただ、障害のことを私が知っていれば、対応の仕方を健常者と変えることが出来たかもしれないのに。。。
少なくともそのことを多少なりとも勉強し、しては行けないことだけは気をつけることが出来たでしょう。
健常者だとばかり思っていたために彼には不向きなアプローチをしていたのではないかと悔やまれます


保護者の方にお願いです。入会の時に、気になる点はお知らせ頂きたいと思います。
電話の向こう側で泣いておられたお母様の心中を慮ると胸が痛みますが、保護者と指導者の双方で情報を共有して始めて、適切な対応をして行けるのではないでしょうか。