FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

子どもの「個性」

2012-06-28 12:16:13 | 教育論
「個性を大切に」「個性を伸ばしましょう」よく聞くフレーズです。
一時期の全体主義的、画一的な教育の反動も手伝って、一気に定着した感があります。

確かに「個性」を重んじることは大切です。
しかし、それを実行するのは思いのほか大変なことです。
なぜなら、「個性」は一般的に「良い」と思われていることばかりではないからです。

人生を生きていくのにハンデとなること。それもまた「個性」の一つであると考えます。
それは善悪の価値観とは全く別次元のもの。
運命から与えられた「個性」なのであり、その個性ゆえに生じる「生きにくさ」も受け容れていかねばなりません。
その子は、その個性を抱えて人生を生き抜いていかねばならないのですから。

「個性を大切に」する、ということは、周囲の大人たちが、
上記のことも含めたその子の持っている全ての特質をまるごと受け容れたうえで、
その子にとっての最善の方法を考え、その子が少しでも前進したり、充実感を得るように環境を整えることだと思います。
言い換えれば、生き抜いていける力を獲得する手助けをすることだと思います。
それは、覚悟のいることです。

私は、うちのスクールに来る、クライミングの好きな子どもたち全てに
クライミングを通じて命を輝かせてほしいと願っています。
どのような「個性」を持った子も。
個人個人の特性に合わせたアプローチ、すなわち「個性」を大切にすることは指導者の義務であり、
その義務の遂行に必須なのが保護者の方との話し合いと、そこから生まれる信頼関係だと考えます。
そしてそれを可能にするのは、保護者の方の、運命を受け容れる「覚悟」ではないでしょうか。