寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

フィクションとノンフィクションの間(20140918)

2014年09月18日 22時41分45秒 | 日記・エッセイ・コラム

 私の小説「その日から 子供の戦争・戦後体験記」が自費出版文化賞入選作品に選ばれ、10月に表彰されることになりました。ありがとうございました。

 この小説を読んで下さった方々から「あなたは子どの頃、大変なご苦労をされたのですね」といわれることがある。あの時代を生きてきた人はみんな同じ経験をしていると思うし、小説の中の子供が私自身のことだと思ってしまった結果であろう。小説は仮想世界の話である。もちろんプロの作家が書く小説の中には自伝的なものもたくさんあるという。それでも読者は初めはフィクションだと思って読んでいる。しかしその小説の主人公に傾倒する結果、自分があたかも小説に登場する人物(主人公とは限らないが)になってしまうことがある。これは映像の世界でも同じ事がいえるし、コンサートの場合でも演奏者と一体化してしまうlことがあるだろう。クラシックの場合だと自分が指揮者になって手振りよく指揮している気分になったり、得意の楽器を演奏している感覚になり手足を動かしていることもある。

 読者が作品に書かれていることと同じような体験をしていると作中人物と一体化してしまうのかもしれない。作者としてはこんなに嬉しいことはないだろう。読者にそれ程強い印象を与えることが出来たのだから。

 作家の筆力は読者をいかに小説の中に引き込むかだと思う。私の小説はそんな力を持っているとは全く思っていないが、お世辞でも褒めて頂くのは嬉しいことです。

 さて、フィクションとノンフィクションとの間にはどのくらいの距離があるのだろうか。冒頭に書いた私の小説は私の経験を元にしているが、経験したことをすべて事細かに再現しているものではないし創作の部分も随所にある。そういう意味でフィクションとノンフィクションの間ということが出来るかもしれない。