最近、思い出話を書いていますがちょっとした発見があり
ました。と申しますのは、想い出にはあまり楽しかったこと
が出てこないのですね。よく考えると楽しい想い出も沢山
あるはずですが、頭の中に浮かぶのは悔しかったことや
辛かったことの方が多いようです。そこでこれから楽しか
った思い出話を何とか頭の中をかき回して書いていこうと
思います。
私が宮城県の高等学校を卒業して上京し、大学受験に
失敗した年のことです。予備校に通いながら毎日4当5落
の戒めを感じていた頃の話です。
ある日一番上の兄が今日の夕方映画に連れて行って
やるというので貴重な勉強時間を割くことにしました。夕
食を早めに済ませて映画館に出かけました。映画館は
何処だったか思い出せないのですが有楽町にあった洋画
封切館だったと思います。もしかしたら東京駅の近くの地
下にあった映画館かも知れません。
映画は「青い大陸」という題名でした。最終回の上映が
始まると私は目を見張るばかりでした。スクリーンに映し
出された青い空と何処までも穏やかに広がる海の青さ
が遙か彼方で混ざり合っているようでした。その映画は
イタリアの作品で学術探検隊に同行した撮影隊が紅海の
美を撮影したものでした。
海の青さが目にしみるほど美しい情景を映し出しました。
私は海の中はこんなに美しいことを初めて知り激しい感動
を受けました。青い海の中で無数の魚が泳いでいる姿も深
く心に焼き付けられました。
映画は最終回の後で外国語版をもう一回上映するという
ので兄に頼んでもう一回見ることにしました。そして再び大
きな感動を受けました。あの映画は私の世界観を変えたと
言っても過言ではないでしょう。
帰りに兄が家の近くの中華そば屋で中華ソバをご馳走し
てくれました。その味が高校受験のとき中学校の担任の遠
藤朝夫先生がご馳走してくれた古川市の中華そば屋で食べ
たものと同じくらい美味しかったです。こんな楽しかったこと
を思い出すことが出来たのは幸いでした。