寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

彗星「Ochou」効果(3)

2016年05月05日 16時13分40秒 | 寓話

 こうして研究集会は、4つの部会に別れて議論される

ことになった。

 曽根は「Ochou」の軌道と初源について興味を持って

いたので主としてその関係の部会に出席した。どちらの

部会も激論が行われていた。

 5日間の集会があっという間に過ぎていった。そして

それぞれの部会は暫定的な結論を出して報告書を作成し

た。報告書は各国語に翻訳して公表するかどうかを全体

会議で検討した結果各国の政府に送付するにとどめるこ

とになった。

 第1部会の報告で目を引いたのは、「Ochou」の軌道

は今後も迷走することが予想される。その理由は太陽系

惑星の配置がばらばらになる状態が今後長期間継続する

からというものであった。それは「Ochou」の軌道がは

っきり定まらなければ太陽系惑星に接触する可能性もあ

ると言うことであると追記されていた。

 第2部会の報告では「Ochou」の初源は軌道が明確に

なっていないために現在のところ不明と報告されていた。

但し、”エッジワース・カイパーベルト”や”オールトの雲”

を起源とするものではなく、未知の太陽系外縁天体の可

能性が高いと推定されると書かれた。

 第3部会の報告は「Ochou」の質量は、開会の挨拶で

W.C.トスカーニ会長が話したとおり 3E14kg で誤差範囲

は±1.3%と報告された。これまで発見された彗星の中で

最大のものということになった。これは一般の氷型彗星

よりも遙かに大きな質量を持っていることが高くなった。

 第4部会の報告は、さらなる観測と明確な軌道計算を待

たなければ明確なことをいえないが。太陽系内で迷走する

ことによって惑星軌道に何らかの影響を与える可能性があ

ると報告された。さらに太陽との衝突の可能性もあると示

唆した。これは日本の若い科学者が2014年に報告したこ

とと関連がある可能性が高い。その報告では、773年に巨

大物体(彗星)が太陽と衝突したことが原因でスーパーフ

レアが発生し、地球へ大量の炭素14が降り注いだと推測

されたというものである。同様の現象が現代文明に大きな

影響が出る可能性があることを付記した。

  曽根修は研究集会の会場を出ようとしたところで一人の

外国人に呼び止められた。

「ハロー、アー、ユー、ミスターオサム・ソネ?」

「イエス、私は曽根修ですが。あなたは?」

「私はアメリカアリゾナから来たイエンセン、カゾーリ・

イエンセンです。あなたにお会いできて大変嬉しいです。

私はあなたと同じように彗星発見に大変興味を持っていま

す。曽根さんのこの度の発見は偉大ですね。私たちコメッ

トハンターにとっても歴史に残る発見です」

「あなたが、あのカゾーリ・イエンセンさんですか。お目

にかかれて光栄です。アメリカのコメットキングと異名を

持っていらっしゃる方ですね」

「曽根さん、あなたはこの彗星についてどんな感想を持っ

ていますか」

「私はこれまでのように普通の彗星を発見したものと考え

ていました。それがこんなに大きな問題になったことを困

惑しています。これからどうなるんでしょうか」

「私も同感です。こんなに長期間観測していて未だに詳細

が不明というのはとにかく異常ですね」

「何しろ質量が普通の彗星とは比べられないほど大きいで

すから、災害の原因にならなければ良いと思っています」

「全くその通りですね。それに現在の惑星配置がばらばら

なのも心配の種です」

「アメリカ合衆国は追跡衛星を打ち上げましたが、「Ochou」

にたどり着けることを祈っています」

「そうですね、宇宙基地SSATでも全力を挙げて観測をし

ていますし、ルナー市でも観測センターを急遽設置したと

聞いています。万全と言うことはないですが追跡にはかな

りの体制が整ったと思います」

「お話はつきませんが、これから人と会う予定が入っていま

すので失礼します。またゆっくりお話しできる機会を持ち

たいと思います」

「これは失礼しました。是非一度お目にかかりたいと思っ

ていましたので呼び止めてしまいました」

 曽根はアメリカのコメットキングと呼ばれているカゾ-

リ・イエンセンに会えたことを嬉しかった。

 この研究集会は定期的に開くこと、それからいつでも緊

急に開くことが出来ることを決めて散会した。しかし議論

はつきずいろんな場所でいろんな研究者たちが立場話をし

たりあるいはロビーで腰掛けて議論を続けていた。

 


記憶に残っている映画(32)「ゴジラ」

2016年05月05日 12時15分21秒 | 寓居人の思い出話

 「ゴジラ」。この映画はやはり反核映画なのでしょ

うね。物語はもうご存知の通りです。ある日、貨物船

が突然持ち上げられた後海へ引きずるこまれてしまう。

近くを航行中の別の貨物船が救助に向かったが、同じ

ように沈没してしまう。貨物船沈没地点近くにある大

戸島の長老がふと呟いた、「呉爾羅」(ごじら)とい

うこの島に伝説として伝わる怪物かもしれない。大戸

島では巨大生物によって大きな被害を受ける。それで

政府に調査と対策を陳情する。調査団が結成され調査

が行われる。怪獣に荒らされたに大量の放射能が

検出された。という導入場面で始まる。

 この怪獣は無敵で防衛隊のどんな武器も通じなかっ

た。それで芹沢は最後の手段として「オキシジェン・

デストロイヤー」を一度限りという約束で使用する決

意をする。

 最後に山根は、「あのゴジラが最後の一匹とは思え

ない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あの

ゴジラの同類がまた世界のどこかに現れてくるかもし

れない....」とひとり呟くのだった。

 あの巨大な怪獣が東京の町を破壊していく様子が、

今でも目前に浮かんできます。人間に受け入れられな

いものはすべて破壊してしまうという人間のエゴは、

人間の頭の中から消えないのですね。今でも世界で、

この思想?(エゴ)は騒動の原因になっています。

 前にも書きましたが、人間の世界から争い(戦争)

を無くすことは出来ないのでしょうかという質問の

答えは明確には出ていません。人類が他の宇宙から

攻撃されて、あるいは地球の生命存亡の危機が迫っ

た時に人類の心が一致するまでは無理なのかもしれ

ません。しかし将来への希望を捨てることはありま

せん。