謙信ガクトの大いなる煩悩

これ、今日発売の『週間ポスト』に載ってました。《ペリー荻野のチャンねるバラ～ど》という連載コラム。


　大河ドラマ『風林火山』にいよいよ、長尾景虎こと上杉謙信(Gackt＝ガクト)が出てきた。それまで、このドラマは、ただでさえ女っ気が少ないところに、千葉真一や竜雷太はじめ、登場人物のほとんどが「真っ黒に日焼けしたヒゲ男」ばかりで、見るからに暑苦しかった。だいたい主役の山本勘助(内野聖陽)の頭が一番ボサボサってのがすごい。
　そこに現われた景虎は、さらさらストレートヘアに顔は美白肌。むさくるしいヒゲなどとんでもない。眉毛もしっかり細めに整えてあるのだ。朱色に銀の刺繍の入った装束に身を包み、護摩を焚き、越後の平和を祈願する。めらめらと燃える炎の前で、一心に唱えていたかと思えば、琵琶を手に「世の乱れを正したいのじゃあ！！べんべんべん♪」と叫び出す。ギターを琵琶に持ち替えての熱演は、まさに戦国のビジュアル系。思いっきり目立っている。
　考え方も普通の戦国武将とは一味違い、「天下統一などどうでもいい」というインディーズ志向。７歳で出家して神仏の教えを受けた影響で、自分は毘沙門天の生まれ変わりだと信じ、「戦うのは、世の中をあるべき姿に戻すため」と反戦メッセージも確立しているのだ。鉄砲商人の法師になりすました勘助が、見本の鉄砲を持たせると、景虎は木の幹にわざわざ「風林火山」と書いた紙を貼らせて、一発で打ち抜く。そして「わしが撃ったのではない。あの文字を見て、神仏が我が身に乗り移ったのじゃ！！」と、不思議パワーをみせつけたのであった。
　このドラマのキャスト発表の際、上杉謙信をガクト？と思った人も多いと思う。大河では過去にも石坂浩二、柴田恭平など謙信は「ヒゲが似合わなさそう」な配役が伝統みたいだが、今回はこの不思議キャラのためのガクトだったに違いない。聞けば、甲冑を着るために体を鍛えているらしい。ぜひ、甲冑でも琵琶をかき鳴らしてほしいものだ。
　偵察を終えて帰ってきた勘助に、さっそく、主人武田信玄が聞く。　「景虎とはどのような武将か」　勘助はひとこと。「坊主にございます」
　私は勘助が「顔が真っ白で琵琶もべんべんです」と報告しないかと楽しみにしていたのだが、それをしたら、味方が混乱＆ビビると察したのか、それはなかった。
　そんなビジュアル系坊主武将の景虎だが、やっぱり気になることはあるらしい。同じく仏門に近い法師姿の勘助に問いただす。
　「女人への欲は絶っておるのか？」
　天下統一より、女人の欲のほうが悩ましい。
　景虎の本音はここかも？

面白くない？　私、こういう書き方好きなの。　で、全文掲載。大丈夫かな？
週間ポストさん、ペリー荻野さん、宣伝なんだよ。