みなさんこんにちは。
すっかり秋らしくなり、お客様との打ち合わせの内容もエアコンから暖房へ変わってきました。
最近薪ストーブが静かなブームなようで現在進行形の現場は薪ストーブ比率激高です。
今回は薪ストーブのお話。
薪のような植物由来の燃料のことを「バイオマス」と呼びます。
バイオマス燃料を燃やすとCO2が排出されますが、そのCO2 はもともと植物が吸収して光合成により炭素として蓄えていたものです。
「木が大気中のCO2を吸う⇔薪が燃えてCO2を出す」というプロセスを繰り返すので、植物が元気に育っている限り大気中のCO2 が増えることはありません。これを、「カーボンニュートラル」と呼びます。
最近では、薪を燃料としたストーブが静かなブームになっています。
環境にとって優しいことは間違いありません。
何より、薪が燃えて揺らめく様が醸し出す、あのなんとも表現できない「豊かさ」こそ、最大の魅力というものでしょう。
こうした情緒豊かな薪ストーブを、ぜひ自宅に置いてみたいという人もおおいです。
ただし、一見原始的に見えるイメージに反して、薪ストーブはなかなかに手強いのですよ。
木質バイオマスとして広く用いられているものには、薪のほかに「ペレット」があります。
薪の「大きくてかさばり、燃やすのが大変」という欠点を解決し、使い勝手を石油に近づけるため、木をあらかじめ細かく砕いて小さな粒に整形したものがペレットです。
多くの薪ストーブは電源が不要です。
着火の際にはマッチやライターで火をおこして新聞紙や小枝に種火をつけ、その上に薪を上手に並べて火を移していきます。
部屋の暖め方も、熱くなった本体の表面から「放射」と「自然対流」により自然と広がっていきます。
薪ストーブの表面が真っ黒なのは、放射率を上げて放射を効率的に行うためです。
黒は、最も効率良く赤外線を放出できる色なのです。
燃料の補給も「手動」ということになるので、燃え尽きる前に新たに薪を追加する必要があります。
つまり、それなりに「手間がかかる」のですが、家族だんらんには最高だし、調理にも応用できたりと、幅広い楽しみ方ができます。
一方、大抵のペレットストーブは電源が必須です。
着火は電気ヒーターでペレットを加熱することで自動的に行います。
燃料補給も自動で、電気モーターによりペレットが燃焼皿にコロコロと落ちます。
電気ファンにより温風が吹き出すので、熱は主に「強制対流」で伝えられることになり、ストーブと名乗ってはいるものの、実態は「ファンヒーター」なのです。
対流メーンで放射の割合が少ないから、本体の色がホワイトやシルバーなど放射率が低いものでもOKなのです。
小さくハンドリングが良いペレットの粒を、電気で半自動的にコントロールでき、燃やした後に残る灰も驚くほど少ないのです。
使い勝手の面だけ考えれば、ペレットストーブがやや有利です。
ただし、薪に比べればペレット燃料は高価。
ペレットを生産する工場が近くにないと燃料の入手も難しいです。
何より、炎を燃やしているという「満足感」が弱いのは否めません。
情感という意味では、やはりリアルに木を燃やす薪ストーブが優っています。
薪ストーブを選ぶのであればペレットと電気の恩恵を受けずに、「独力」で上手に木を燃やす必要が出てくることを覚えておきましょう。
最初のハードルは、薪を「計画的」に入手するコネの確保。
そして薪は遅くとも「1年前」に割っておくこと。
木はしっかり乾燥させることが不可欠です。
しけっていても薪は燃えるが、せっかく得られた熱の多くが薪の水分を水蒸気にするのに使われてしまい、薪を燃やした割には室内に熱が出てきません。
効率が悪いのです。
薪を割って軒下に積んでおくのは、カリカリに乾燥させて水分に熱を“盗まれない"工夫なのです。
■1日の必要量は10kg以上
それでは、事前に割っておくべき薪の量を考えてみましょう。
薪1kg当たりの燃焼熱量は、20MJ(メガジュール)弱。
同じ1kgの灯油の熱量は40MJ 以上なので、薪は灯油の半分程度の熱量しかありません。
つまり灯油1 缶(18L=14.4kg)分の熱量を得るには、約30kgもの薪が必要になります。
次に1日の暖房にどれくらいの薪が必要になるのか見てみましょう。
暖房に必要な熱量は家の断熱性にもよりますが、冬であれば200MJ程度が一つの目安となります。
前述の通り薪1kg の熱量が20MJ 弱なので、1日に10kg以上の薪が必要ということになるますね。
冬が何カ月も続くことを考えれば、10kg×100日=1000kgということで1トンのストックは必要ということになります。
それだけの薪を前の年に割っておいて、ちゃんと乾燥する場所に保管し続けるということが一仕事となります。
薪を割る作業自体、相当な重労働となるので、薪を「買ってくる」のも一案です。
ただし、薪は買うとなると結構高いのです。
「どこかからもらって」「自分で割って」こそ薪はコストパフォーマンスが良いということになります。
本当に楽をしたかったら、きちんと暖房負荷を減らす工夫をすることが重要となります。
外皮(外壁や窓など開口部)の断熱・気密は、薪ストーブにも同様に有効です。
熱負荷を半分に減らせば、必要な薪の量も半減します。
薪ストーブの火が消えても、急には寒くならず安心です。
楽に快適に過ごしたければ、やっぱり断熱・気密の確保は不可欠なのです。
すっかり秋らしくなり、お客様との打ち合わせの内容もエアコンから暖房へ変わってきました。
最近薪ストーブが静かなブームなようで現在進行形の現場は薪ストーブ比率激高です。
今回は薪ストーブのお話。
薪のような植物由来の燃料のことを「バイオマス」と呼びます。
バイオマス燃料を燃やすとCO2が排出されますが、そのCO2 はもともと植物が吸収して光合成により炭素として蓄えていたものです。
「木が大気中のCO2を吸う⇔薪が燃えてCO2を出す」というプロセスを繰り返すので、植物が元気に育っている限り大気中のCO2 が増えることはありません。これを、「カーボンニュートラル」と呼びます。
最近では、薪を燃料としたストーブが静かなブームになっています。
環境にとって優しいことは間違いありません。
何より、薪が燃えて揺らめく様が醸し出す、あのなんとも表現できない「豊かさ」こそ、最大の魅力というものでしょう。
こうした情緒豊かな薪ストーブを、ぜひ自宅に置いてみたいという人もおおいです。
ただし、一見原始的に見えるイメージに反して、薪ストーブはなかなかに手強いのですよ。
木質バイオマスとして広く用いられているものには、薪のほかに「ペレット」があります。
薪の「大きくてかさばり、燃やすのが大変」という欠点を解決し、使い勝手を石油に近づけるため、木をあらかじめ細かく砕いて小さな粒に整形したものがペレットです。
多くの薪ストーブは電源が不要です。
着火の際にはマッチやライターで火をおこして新聞紙や小枝に種火をつけ、その上に薪を上手に並べて火を移していきます。
部屋の暖め方も、熱くなった本体の表面から「放射」と「自然対流」により自然と広がっていきます。
薪ストーブの表面が真っ黒なのは、放射率を上げて放射を効率的に行うためです。
黒は、最も効率良く赤外線を放出できる色なのです。
燃料の補給も「手動」ということになるので、燃え尽きる前に新たに薪を追加する必要があります。
つまり、それなりに「手間がかかる」のですが、家族だんらんには最高だし、調理にも応用できたりと、幅広い楽しみ方ができます。
一方、大抵のペレットストーブは電源が必須です。
着火は電気ヒーターでペレットを加熱することで自動的に行います。
燃料補給も自動で、電気モーターによりペレットが燃焼皿にコロコロと落ちます。
電気ファンにより温風が吹き出すので、熱は主に「強制対流」で伝えられることになり、ストーブと名乗ってはいるものの、実態は「ファンヒーター」なのです。
対流メーンで放射の割合が少ないから、本体の色がホワイトやシルバーなど放射率が低いものでもOKなのです。
小さくハンドリングが良いペレットの粒を、電気で半自動的にコントロールでき、燃やした後に残る灰も驚くほど少ないのです。
使い勝手の面だけ考えれば、ペレットストーブがやや有利です。
ただし、薪に比べればペレット燃料は高価。
ペレットを生産する工場が近くにないと燃料の入手も難しいです。
何より、炎を燃やしているという「満足感」が弱いのは否めません。
情感という意味では、やはりリアルに木を燃やす薪ストーブが優っています。
薪ストーブを選ぶのであればペレットと電気の恩恵を受けずに、「独力」で上手に木を燃やす必要が出てくることを覚えておきましょう。
最初のハードルは、薪を「計画的」に入手するコネの確保。
そして薪は遅くとも「1年前」に割っておくこと。
木はしっかり乾燥させることが不可欠です。
しけっていても薪は燃えるが、せっかく得られた熱の多くが薪の水分を水蒸気にするのに使われてしまい、薪を燃やした割には室内に熱が出てきません。
効率が悪いのです。
薪を割って軒下に積んでおくのは、カリカリに乾燥させて水分に熱を“盗まれない"工夫なのです。
■1日の必要量は10kg以上
それでは、事前に割っておくべき薪の量を考えてみましょう。
薪1kg当たりの燃焼熱量は、20MJ(メガジュール)弱。
同じ1kgの灯油の熱量は40MJ 以上なので、薪は灯油の半分程度の熱量しかありません。
つまり灯油1 缶(18L=14.4kg)分の熱量を得るには、約30kgもの薪が必要になります。
次に1日の暖房にどれくらいの薪が必要になるのか見てみましょう。
暖房に必要な熱量は家の断熱性にもよりますが、冬であれば200MJ程度が一つの目安となります。
前述の通り薪1kg の熱量が20MJ 弱なので、1日に10kg以上の薪が必要ということになるますね。
冬が何カ月も続くことを考えれば、10kg×100日=1000kgということで1トンのストックは必要ということになります。
それだけの薪を前の年に割っておいて、ちゃんと乾燥する場所に保管し続けるということが一仕事となります。
薪を割る作業自体、相当な重労働となるので、薪を「買ってくる」のも一案です。
ただし、薪は買うとなると結構高いのです。
「どこかからもらって」「自分で割って」こそ薪はコストパフォーマンスが良いということになります。
本当に楽をしたかったら、きちんと暖房負荷を減らす工夫をすることが重要となります。
外皮(外壁や窓など開口部)の断熱・気密は、薪ストーブにも同様に有効です。
熱負荷を半分に減らせば、必要な薪の量も半減します。
薪ストーブの火が消えても、急には寒くならず安心です。
楽に快適に過ごしたければ、やっぱり断熱・気密の確保は不可欠なのです。