
正午近くになったので、Tさんが「モダンへ行きますか」と提案し、そこへ向かっている途中で上図の新しいお店の前に着きました。「扇雀食堂」というお店ですが、Tさんも私も知らない所なので、試しにこっちに入ってみますか、ということになりました。

定休日は日曜および祝日、というのが珍しいです。週末に遊びに行っても土曜日しか入れないわけです。地元住民を主な対象客層に絞っているのかもしれない、と思いましたが、店内には地元の方や高校生らが居て、まったく予想通りの状態でした。

営業時間は11時から21時ですので、ランチもディナーも楽しめるわけです。

定食メニューを見ますと、メインは中華料理っぽい感じがしますが、何でもあるようです。

こんな感じで、何でも食べられます。町並み散策の食事処としてはなかなか良いんじゃないか、と思います。

で、今回はカツカレーを頂きました。鳥取市に住んでいた頃はよくカレーを食べていまして、カレーそのものが鳥取市のオリジナルフードというか、近年は「鳥取カレー」とも呼ばれています。
なにしろ鳥取県は、一世帯あたりのカレー消費額が全国トップクラスと言われ、その中心的エリアとなる鳥取市には、食堂や喫茶店やパン屋にそれぞれのオリジナルカレーが存在し、それを食べ歩いて楽しむ層が昔から大勢居ました。
かつての私もその一人で、職場の帰りに鳥取駅近くの「喫茶ベニ屋」でカツカレーを、湖山町の下宿の近くでは「レストラン仏区里屋」で鳥取牛ステーキカレーをよく食べていました。あと「喫茶五島」や「スノーラスカル」のカレーも好きでした。
ところが倉吉市には、あまりカレーの人気店が分布しておらず、私自身も倉吉で美味しいカレーを食べた記憶が殆どありません。倉吉では牛骨ラーメンの方をよく食べていましたから、カレーを食べようという発想が乏しかったのかもしれません。
なので、今回のカツカレーは、久し振りの「鳥取カレー」でした。一口食べて、ああやっぱり鳥取の味付けやなあ、と懐かしい気持ちになりました。地震があっても鳥取はめげないだろう、カレーも昔からずっと変わらないんだ、と思いました。

お店の斜め向かいにある喫茶店「モダン」です。今回は機会を得ませんでしたが、次のチャンスには行ってみたいです。

午後は、Tさんと白壁土蔵群エリアの被災状況を見て回りました。もともと地震に弱い木造建築の集合体なので、地震の爪痕は各民家の至る箇所に散見されました。最も多いのが建物が揺れた際の一時的な歪みによる壁体の損傷ですが、上図のような、一部の漆喰壁の剥落、という形で表面化していました。壁体の大半が剥離して落ちる、というような被害は稀だったようです。

建物が地震によってそれぞれに揺れると、その間にある門や土塀などの簡易建築や付属施設に相当の負荷がかかることはどの地方でも共通しています。古建築、新築を問わず被害を受けやすい部分で、瓦屋根の場合は木組みが曲がったりしますので、瓦がズレるか、ヒビが入るかして損傷します。
上図の「くら用心」の裏門も、同様の損傷を受けていて、通行禁止になっていました。

「元帥酒造」さんの北側の土蔵ギャラリーの壁面の大半が崩落し、上図のように白いシートで応急処置がなされていました。この処置はなかなかうまくいっており、白壁の雰囲気をうまく維持するのに役立っています。玉川沿いの土蔵群のなかで最も被害が大きかった建物ですが、それでも、この程度で済んだのだ、と私なりには感じました。むしろ、大部分の古建築に関しては、よく耐えてもってくれたほうだな、と思います。

建築一棟単位での被害が最もひどかったのが、上図の「白壁倶楽部」の建物でした。石積みを用いているため、石がずれたりして建築の骨格にも相当の歪みが生じているようです。その歪みからくる一時的な衝撃によって、各所で漆喰壁の表面部が剥落しています。

ですが、玄関部分の左右では壁体そのものが大きく歪んで外側にズレています。その下の石組みにも隙間やズレが多く認められ、それによるヒビ等が基壇化粧石にも認められました。石造建築の場合は、こうなってしまうと部分修理では対応出来ず、ある程度は解体して石を積み直す必要があります。数年やそこらでは、たぶん終わらないかもしれません。
地震直後の文化庁の緊急調査においても、最も被害度が高いとされたようですが、国の登録文化財でありますので、その修理復原については、おそらく国が事業主体になるものと予想されます。 (続く)