プラウダ高校チームの保有する車輌は戦車以外にも幾つかありますが、テレビシリーズの第8話にて登場したのが、上図のBM-13カチューシャでした。公式資料類においては、「自走多連装ロケット砲」とも記されています。
その劇中車は、トラック部分がZiL-157となっており、その適応キットとしてはトランぺッターの製品が挙げられます。ズベズダのBM-13のキットと組み合わせてパーツを交換することにより、プラウダ高校チームのBM-13カチューシャとZiS151トラックとが再現出来るのは、以前の記事にて述べた通りです。そしてZiS151トラックの方を先に作りましたので、今回はBM-13カチューシャを製作することにしました。
今回の製作にあたって使用する、トランぺッターのZiL-157トラックのキットです。その荷台部分をズベズダキットのZiS151トラックに取り付けましたので、BM-13ロケットランチャーユニットをこちらのZiL-157トラックに取り付けることになります。
BM-13ロケットランチャーユニットは、ZiS151トラックの製作の際についでに組み立ててありますので、今回はトラック部分のZiL-157を組み立てます。
中身はこんな感じです。こちらもエンジンやキャブ内部が細かく再現されるキットなので、パーツ数もかなりありました。
ガルパンの劇中車は、かねてからベオグラード軍事博物館の展示車輌が元ネタだろうと指摘されています。今回のトランぺッターのキットをそのまま組みますと、劇中車とはあちこちが異なります。さらにBM-13ロケットランチャーユニットの取り付け状況も、アニメ独自のものになっているようです。細部が省略されているため、劇中車は実際の車輌よりもシンプルになっています。
改めて、劇中車を見てみましょう。ドアから降りてきたカチューシャの姿と比べれば、大型のトラックであることが分かります。車体長は6.92メートルで、T34中戦車の6.1メートルよりも大きいです。
ところが、劇中では小さく描かれています。右に並ぶ大洗女子学園チームのB1bisが6.38メートルの長さであるにもかかわらず、6.92メートルのBM-13カチューシャよりも大きく見えます。
劇中車の画像を拡大してみますと、実際の車輌とあちこちが異なっていることが分かります。
上図は、ネットで見つけたBM-13カチューシャのZiL-157トラックタイプの図面です。今回の製作の参考にさせていただきました。
現存する同型車輌の写真です。ガルパンの劇中車によく似ていますが、相違点が少ないわけではありません。
今回のトランぺッターのキットとも比較して検証してみましたところ、色々と相違点がありました。バンパーが直線形になっており、その内側に装備されているワイヤーウインチが無い、ヘッドライト横にある小さな補助灯が無い、ドアに付くバックミラーが無い、等です。これらのパーツは、今回の製作では不要となります。
また、フロントウインドゥに防弾板が掛けられています。これは今回のキットには入っていませんが、ズベズダのZiS-151トラックのキットにパーツがワンセット含まれており、それを転用します。
さらに、前輪が大きいこと、キャブ背後に予備タイヤが装備されていること、ロケット弾が未装備であること、車体シャシーの後端がカットされていること、等が挙げられます。
そして予備タイヤは1本であること、作業用の足場が省略されていること、ロケットランチャーユニットの取り付け位置が低いために後輪部との隙間が狭いこと、が看取出来ます。
予備タイヤのラックは、今回のキットにはパーツがありませんので、ブラ板などで自作する必要があります。ロケットランチャーユニットの取り付け位置を劇中車に合わせて低くするために、キットのパーツを修正または改造するなどの調整が必須となります。
上図が、ベオグラード軍事博物館の展示車輌です。出典はこちらですが、トラック部分は「ZiS-151車台」となっています。しかし、ライトガードおよびフロントグリルの形状、後輪がダブルでなくシングルになっている点、から上図の車台はZiL-157であることが明らかです。
したがって、模型サークルの先輩N氏が、ガルパンのBM-13に関して「ガルパンのやつは、トラックがZil-157になってるのよ・・・」と述べていたのは、正しかったわけです。
フロントの防弾板の取り付け状況や、ロケットランチャーユニットの取り付け位置が低い点も含めて、ガルパンの劇中車とほぼ一致する外見です。今回の製作に際しては、この図をも参考にしてゆきたいと思います。 (続く)