GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

一途に打ち込む姿はそれだけで感動だ

2018-02-16 05:24:43 | MUSIC/TV/MOVIE
平壌じゃなかった平昌オリンピック。
なんやかんや言って観てしまってる。

日々のトレーニングは別として、自分はもうスポーツなんかと全く縁のない世界にいる。
ジムにも通ってないし、日曜日に草野球するとか夜中にジョギングしたりとかもしない。
スポーツは液晶越しに観戦するしかしていない。しかも野球中継とかJリーグの試合などもほとんど見ないし、箱根駅伝とかでもキュ見ない。

でもね、やっぱり世界各国のアスリートが集まって競い合う世界対価とかWカップとか、そしてオリンピックとかは見てしまうのよ。
国の名誉がどうたらとか、みんなの声援がどうたらこうたらとか全く関係ないのよ。
そこにはただ、この時のために鍛錬と修練を積んだ肉体と、気迫と、それを感じ取った声援や熱気が伝わるからね。

日本のメディアはすぐお涙頂戴に持って行きたがる。
お世話になった恩師のために、亡き父のために、育ててくれた母のために、復興のために、なんとかのためにのオンパレード。
こいつは面倒くさいし、そんなものに感動するほど純粋でもないので、毎回スルーやパスしてたのだが、ただ今回はちょっとその感動ドラマ演出が少なくて助かってる。

北朝鮮が参加すると言い出して、主催国韓国が喜んで尻尾を振って、やれ美女軍団が楽団がとか、メディアがそっちの方に偏ってしまったせいもある。国連制裁の最中なのになのに何をしてるんだって。万景峰号で来てそこで選手や楽団は寝泊まりすると言ってたのに、韓国が燃料を入れてくれないとわかった時点でさっさと帰るし。北朝鮮選手はこのあと自力で帰るのか?って思ってたら、韓国は何と3億円払ってあげるんだとさ。選手や楽団の滞在費で3億。何をどんだけ使えばそんな金額になるのか教えて欲しい。
そんな金を払うのなら、合意を履行しない時点で癒し財団設立のために日本が出した 10億を返して欲しい。

てな感じで、スポーツに関係ない外交的な話ばかり報道されてたので、ついついこっちも「選手や競技のことをもっと伝えろよ」ってイライラ。

さらに安倍首相が開会式に出て、ペンスさんと密談したり、文首相にはきつく意思を伝えたとか政治的な話は開会しても続く。
開会前からネガティブな話ばかりで、寒さがハンパないとか、ボランティアがブッチしたとか、ノロウィルスに観戦して警備員に軍の人員を要請したとか。
さらに開会してからも強風で競技が中止になるとか、スケートの某選手から禁止薬物が出たとか。感動物語が少ないのはいいのだが、なんかスポーツや選手、競技や大会に関係ない話ばかりが連日報道されてる。

スケートやスノーボードでメダルを取ってからはちょっとマシになったのだが、すでにほとんどの日本国民はこの大会に興味を失ってると思う。え〜!?身の回りは結構オリンピック話題でいっぱいだよという方はぜひ周りの人に聞いてみてくれ、冬季オリンピックで日本人選手が出場する種目は一体いくつか。また、ノルディックやバイアスロン、アルペンなどに出る選手の名前を聞いてみてくれ。まぁ、ほとんどは答えられないと思う。

一般の人の興味はフィギュアスケートで羽生くんは出場するのかしないのかくらいじゃないかな。
俺は羽生くんは結局出場しないと思ってる。いや、出場しない方がいいと思ってる。出場しても勝てるわけがない。そこまでのコンディション回復してるとは思えない。出るとしたら羽生くんのいらない気遣いだろう。スポンサーのプレッシャーもあるだろう。国民の期待を背に抱えた人の気持ちは俺には到底理解できないが、無理して欲しくはないなぁ。彼は以前も怪我してるのにNHK杯を無理して出場した。期待に応えようとする彼の気持ちは素晴らしい。でも、その先には何も残っていないのにね。

それと一番気になるのは、なんか忖度された報道が多いこと。
女子スキージャンプの高梨が銅メダルだった。たぶんメディアは金を取って欲しかったと思うし、その願ってた人は多かったと思うのだがマスコミはこぞって「おめでとう銅メダル」なんて報道してる。これがちょっと嫌。

メイクやオシャレは女子の本能だと思うから仕方がないのだが、アスリートがそこに目覚めると途端に勝てなくなったりする。
浅尾美和のように美貌でもてはやされたアスリートは別として、テレビやメディア露出が増えていくたびにダメになるケースは多い。
高梨もこのパターンだと思う。

子供の頃からスポーツに一心不乱に取り組んでた人から見りゃ、メディアは華やかな世界だ。フラッシュやマイクに離れてるアスリートでもそこは一般人と変わらない。普段は液晶画面の中でしか見ない芸能人などに平気で出会うようになったりすると、きらびやかなその人たちと比較して、だんだん自分は「これでいいのか?」「こんな格好でいいのか?」などと思ってしまうだろう。

で、美を意識しだすと「自分がどう見られてるか」に意識が傾いてしまうせいで、「なりふり構わず」とか「がむしゃらに」「一途に」っていうアスリートとして大切な部分が消えてしまうのではないかな。
上田桃子が勝てなくなったのも、澤穂希が引退したのもこれがあると思ってる。浅田真央もそうだろう。安藤美姫は早々とそれに気づいてしまった人だろう。多分レスリングの吉田ももう競技には戻れないのではないかな。

これは職人の世界でも同じだ。
技術習得に真摯に取り組んでても、ある日恋に目覚めたりするとダメだ。本人は意識してないで「両立できる」と思ってるのだろうけど、顕著に表れてしまう。
同じように「仕事も大事だけどプライベートも大事」などという輩はまず自滅する。

賛否両論あると思うが、申し訳ないがある世界を極めようと思ったら、他のものに目をくれず打ち込まなくては到達できない。
すべてを犠牲にして仕事に打ち込んでどうする、それはブラックだ、仕事は金を稼ぐために手段だ、なんて考えてる人は職人にはなれない。
労働基準法に沿った報酬や待遇、教えてくれるのは当たり前、仕事がすべてという生き方より適当に気楽にプライベートも大切に、なんて考えてる人は公務員か大手企業に是非就職して平凡な毎日を過ごしてくれて結構です。

目標に向かってすべてをかけて打ち込む。
東京大学に入学する人もスポーツで表彰台雨に登る人も犠牲にしてきたものは多いだろう。
クラシックの音楽の世界でもそうだろうし、絵画や役者、料理や職人の世界もそうだろう。
犠牲にしてまで打ち込めなければ到達できないだろう世界。その先が見たくて色んなことを犠牲にしてる。その苦難な道は俺たちにはわからない。

平昌オリンピックの選手も間違いなくそうだろう。
その彼女や彼らの競技や演技を、せめて画面に向かってただ「頑張れ」と応援する。
だから見てしまうのだ。