GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ヴィンテージ

2018-02-19 02:31:32 | Talk is Cheap
お金を払ったのに商品が届かない。
以前はオークションサイトや怪しげな通販サイトでよく聞かれた言葉だが、最近はこれが実店舗でも多々出てきた。

1月には成人式の着物を扱う会社がトンズラした。
しかも成人式当日に。
着物の購入(レンタル)とメイク・ヘアセット・着付けなどもパックでお願いしてて、ブッチされたらたまったもんじゃないな。

先日はヴィンテージのギターの店が、リペアやメンテで預かったギターやベースなどを勝手に売りさばいたり質屋に入れてた。
オークションやメルカリに出したらすぐバレるから質屋に入れたのかな。それとも質屋は一応質種でお金を貸してくれるところだから、流れる期限までにお金を用意して出すつもりだったのかな。どっちにしても酷い話ではある。

楽器のヴィンテージものは人気がある。
車のヴィンテージものはメンテや走らすこと自体が大変だ。道楽でしか買えない。ワインのヴィンテージものなんていつか飲むのか?飲んだらなくなってしまうのだからね。
その点ギターなどの楽器は実際に演奏に使えるし、その時代のその楽器でしか出ない音が出る。
ヴァイオリンの名器ストラティバリウスなんか、とんでもない値段で取引されてる。もう作れないんだものね。あの塗ってあるニスが現代の科学分析技術をもってしても解明できないらしい。

俺が中学生の時に買ってもらったモーリスのアコースティックギター(当時はフォークギターと言っていた)。普段はハードケースにしまいこんだままになっているのだが、ほんの数年前にちょっとした機会があって引っ張り出して弾いた。まぁ乾いたいい音が出るのよ。マーチンのヴィンテージものにも負けないのではないかね(ちょっと大げさだ)。

エレキギターはこれまた古く、YMOの最初の海外ツアーの時に渡辺香津美が弾いてるのを見て買ったAria Pro2。パンクやロックには全然向かないギターなので、こいつだけは家から持ち出すことがあまりなかったせいか、未だにまともに残ってる。これがまたいい音が出るのよ。
バンド時代はメインでレスポール使ってたんだが、あのレスポールはどこに行ったんだろう?テレキャスやストラト、ムスタングなんかも誰かと交換したりバンド仲間に売ったりなんかしたからどれがどこにって感じ。今残ってたら結構なお値段になってたかな。

またこのヴィンテージギター横流し楽器店の関連で、オリジナルのエフェクター製作をやってる店も、お金だけもらって全然納品していない事実が判明。
ヴィンテージギターの店と懇意だったらしいから確信犯か?
エフェクターは楽器をやるもにとっては大事なアイテムだ。ヒズましたり音を変えたり、微調整したり。オーバードライヴ、ディストーション、フランジャー、イコライザー、ワウ、ディレイなんかが定番。




有名無名メーカーからいろいろ出てるし、最近じゃデジタルでたったひとつのエフェクターで数種類(数十種類)の音を作れたりする。
でもやっぱり、ここって時に足で踏んで音を変えるってのが醍醐味なんだよね。
で、このオリジナルのエフェクター作ってる店のオーナーも金持ってトンズラだってさ。バンドマンなんてお金がないのに(最近のバンドマンはお金に不自由してなさそうだが)なんてことをするんだよ。

でもさ、こんな事件って昔からあったよね。
実は何を隠そう、この俺も昔この酷い目にあったことがある。

俺の場合は車。
フォルクスワーゲン・ビートルに乗ってた頃の話。
免許取ってからずーと欲しかったのだが、もうその頃には生産中止してたし、どこの中古屋でもメンテとか大変とか言うし諦めてた。そんなある日、お店のお客様の知人が寝屋川でワーゲンのレストアショップをやってると教えてくれたので、早速次の休みの日に行った。
それまでの中古屋と違ってさすがワーゲン専門ショップ。オーナーにビートル愛を熱く語られてすっかり感化されtしまう俺。ここならレストアで販売してるし改造やメンテも万全だ。すぐ購入を決定。70万くらいの程度のいい1972年式のワーゲンを1965年式のボディに載せて、各部を調整して、色は赤、なんやかんや弄って 200万くらいだったと思う。

で、この車がお金を払ったのに納車前にトンズラされたって話ではない。ちゃんと希望通り期日に納品されたし、快適な走りだったよ。
更にそのショップが俺の地元に移転するという超ラッキーな展開。おかげでまめにメンテはできるし、ちょっと調子が悪くなるとすぐ持ち込めた。
オーナーさんもいい人で、安くしてくれたり負けてくれたり、わざわざ取り寄せてくれたりね。L.A.に遊びに行く話をしたら、「それならオレンジカントリーあたりに行くといい、あの辺はワーゲンFLAT4のメッカだ」と色々調べてSHOPやイベントを教えてくれた。

京都の街を走ってる時、大雨が降ってきた中、ワイパーがいきなりダメになってしまった時も、京都の関連のFLAT4ショップに連絡してくれてすぐ修理に来てくれた。
夜中にファンベルト(ワーゲンは強制空冷だけど一応ファンつけてたのよ)が切れた時も、電話したらわざわざ車走らせて現場まで来てくれた。携帯とかない時代の話よ。
そしてあの頃は10年落ちの車は毎年車検だから、毎年お願いしてたの。5年乗って次が6年目だった。ちょっとレストアしないといけない状態だ、結構日数かかるからって言われ早めに預けた。

その数日後、俺の家に遊びに来たツレが普段は横に停めてるワーゲンがないので「あれ?車は?」って。あぁ、車検で今年は早めに出したのって。
ここからが衝撃。
「でも、あの店無くなってるで?移転したん?」
何を言ってるのか理解不能な俺に
「今日、さっき通ったら店無いで」って。

嘘つけアホぬかせ。そんなわけ無いやろ。
いやいや、あの店には常時ワーゲン10台くらい止まってたし、あのごちゃごちゃした工場とか仕事場をたった1日やそこらで動かせるか?見間違いじゃないのか?
ツレの車に飛び乗って早速見に行く。

ものの見事に全く何も無くなってました・・・。

俺のワーゲンはどこに。
あのオーナーが?
何じゃこりゃ?

多分今のヴィンテージギターショップオーナーにトンズラされたやつも、エフェクターショップオーナーにトンズラされたやつも、あの夜の俺と同じ気持ちだろう。
それまでの信頼関係や、あの親切は何だったんだろう・・・。

ちなみにその後、車は能勢の山奥で発見。しかもゴルフに行く途中で偶然的に。側道を入ったところにちらっとなんか赤いのが見えて、気になって車止めて見にいったら俺のワーゲンがそこに。神様っているんだなぁって、朝靄けむる山の中で感謝した。
その後、オーナーも見つけました。どうやって見つけたかは、ちょっとここでは書けそうにもない方法なので書かない。

俺はワーゲンのチームにも入ってなかったし、交流会とかにもほとんど顔を出してなかったから、情報が本当少なかった。オートバックスやパーツショップならまだしも、ワーゲンショップなんてワーゲン乗ってる人以外は行くことないしね。俺に店がなくなってることを教えてくれたツレだって、仕事で毎日その店の横は通るが一度も入ったことがなかったって言ってたし。
これはヴィンテージギターショップでもエフェクターショップでもそうだろうね。成人式着物もそうだな。

でも、今みたいに携帯やスマホがあったり、SNSで情報が飛びかってたりすりゃ、捕まえるのは昔より簡単なのかな。
実際、逃げたオーナーや店主はことごとく見つかってるらしいから。

修理やメンテナンスをして、長く愛せるモノ。それがヴィンテージやオリジナルの醍醐味。
それを売ってるお店がお客様を使い捨てにしてどうするんだろう。