GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

テセウスの船

2020-01-22 00:52:16 | MUSIC/TV/MOVIE

いやぁ、面白い。

日曜日に始まった「テセウスの船」。

古今東西、タイムスリップのドラマはいっぱいあるけれど、これはかなりの秀作。

 

31年前に父が起こした事件によって生活が一変してしまった残された家族。竹内涼真は顔も知らない父が許せないが、妻である上野樹里は義父を信じて事件を色々探ってた。新しい命を迎え幸せになるはずが、緊急出産で上野樹里は他界。残された竹内涼真は事件を探りに事件のあった生まれ故郷へ。そこで吹雪に見舞われ気づくとそこは・・・。

舞台になる時代は平成元年を迎えたばかりの31年前っていうのがいい。そんな昔じゃないのだけれど、こうしてあらためてみるといろんなものが一気に平成で進んだ気がする。

 

31年前はまだパソコンも普及していなくワープロ全盛だし、スマホはおろか携帯電話もない時代。ポケベルがではじめた頃か。もちろんグーグルもSNSも無いから調べようと思ったら辞書か資料を探すか、人に聞くしかない。

このドラマ、時代考証もしっかりしてて、テレビやワープロ、標識や看板までちゃんと時代に合わせてる。吹雪に会う前には古びて錆びてた看板がほぼ新品っていうのはちょっと無理があるような気がするがね。だってボンカレーとかキンチョーのブリキ看板って、昭和40-50年代のものだもの。

だけど、ホッカイロ(セリフは「どんとぽっちい」だったが)使ってたりとか、今ならブラック企業か社畜呼ばわりされるリゲインの「24時間戦えますか」とかをお風呂で歌ってたりする。「行くぜタカ!」って危ない刑事のパロディとか、今の20代の若者には全くわから無い小ネタが満載。ここら辺は開き直ってどんどんやって欲しいところだ。

 

竹内涼真は31年前の事件の真相を探るとともに、過去、事件が起こる前にあった不審な事件を未然に防いだら、父が犯人とされた事件も防げるのではないかと奔走する。

しかし、そこで問題になるのがお約束の「なんで事前に分かったのか」と「お前は誰だ」。そしてタイムパラドックス。

 

話はいきなり変わるが、2000年ごろにアメリカで公開された映画「オーロラの彼方に」とい作品がある。毎回TSUTAYAで週に5-6枚DVD借りてた頃だ。何気なく手にとったその無名の作品の裏に書いてあるストーリのあらましは「霧の深いある日、無線が趣味の主人公はある男と無線が繋がる。会話を続けていくとその男はなんと死んだ自分の父ということがわかる。消防士だった父が死んだ事故を現代から教えて運命を変えれるのか・・」ってことが書いてあって、面白そうだなって借りた。

なんとまぁ、今まで見た映画の中で10本の指に入るくらいの傑作だったのよ、これが。パッケージの裏に書かれた内容は、映画始まって20分くらいでクライマックス。あれ?これで終わりこの後は?って思ってたらここからが本番。配給会社っていうかDVDを製作した日本代理店のやつはろくすっぽ映画を見ないで、資料だけでこのあらすじ書いたなって。

父の事故を防げたことにより、今度は、今現在生きてるはずの母が違う事件に巻き込まれ死んでしまってる。そうタイムパラドックス。過去を変えると、現在が変わってしまうのだよ。主人公は無線で過去の父とやりとりをしながら、母の死を防ごうとし、事件の真相を探り始める。そしてまた新たなタイムパラドックスが引き起こる。過去と現在でやりとりしながらのサスペンス・・・。まぁ傑作だから興味のある人は見てみてください。損はしないよ。

 

この「テセウスの船」を見てていて、そんなタイムパラドックスを考えてしまった。父(鈴木亮平)が犯人でないとしたら真犯人は?そして31年前はまだ生まれてない竹内涼真はこの世に生まれるのか。

現代では殺人犯の妻とののしられ、3人の子供を抱えて疲れ果てた母が、31年前はよく笑い明るく活発。そんな母を榮倉奈々が演じてるのだが、このギャップがすごい。現代の榮倉は60歳を超えたおばあちゃんの役だが、メイクがこれまたすごいのだ。生きるのに疲れ果てた老人ってのがありあるとわかる。演技もうまいがメイクもすごいなぁ。

 

ただこのドラマ、一つだけ欠点があるとすると、タイムスリップした竹内涼真が「どうやったら現代に戻れるんダァ」ってならないとこ。生まれたばかりの我が子(現代の母・榮倉奈々に預けてる)のことをちっとも考えてないってどうよ。まぁ、それよりも過去の事件の真相が知りたい、恨んでた父は本当に犯人なのかってのが先なんだろうけどさ。

 

竹内涼真が未来からやってきたことを鈴木亮平が知るのが、財布の中に入ってた運転免許証とお金。確か映画「バブルでGo!」で広末涼子が未来から来た証明に阿部寛に500円玉を見せるシーンがあった。それを阿部寛は大蔵省(元財務省)の友人に鑑定させるシーンがある。そして「このお金はまぎれもなく本物だけど、この時代では発行・流通されてるわけがないモノ」って。

なんか、今回のドラマもこんな感じの演出がいたるところであってすごく良い。

 

第一話でほぼ親子のわだかまりが解けたようになってる。さぁ次回からは真相解明だ。

ユースケ・サンタマリア、麻生祐未、竜星涼、芦名星、安藤政信、今野浩喜・・・。怪しいやつはいっぱいいる。次週が楽しみだ。

 

 



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