徳丸無明のブログ

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アイヌに関する歴史的事実を僕達はまだ知らない

2015-11-08 22:14:40 | 雑文
日本の山といえば、やはり富士山だ。昔から人々の信仰の対象とされてきた富士山の語源は、「不死」である、ということは、よく知られている。
だが、アイヌ語の「フチ」(火)、もしくは「プシ」(噴火)から来ているという説もあるのはご存知だろうか。
「アイヌ語?北海道のアイヌの言葉が、なぜ富士山に?」
実は、アイヌは元々、広く日本列島全域に住んでいたのである。
田口ランディの『根をもつこと、翼をもつこと』によれば、鹿児島の屋久島には、アイヌ語の地名が残っているらしい。列島全域に住んでいたアイヌは、大陸から入植してきた人々に土地を奪われ、北と南に追いやられていった。で、北の方では、土地を全て奪われることを免れ、なんとかとどまりえたものの、南の方では最終的に滅ぼされてしまった、ということらしい。
我々日本人はよく、アメリカ建国の父達を非難する。イギリスからアメリカ大陸に入植してきたピルグリムファーザーズは、北米先住民を虐殺し、土地を強奪してきた。アメリカの歴史は、その初めから血塗られている、と。
しかし、我らが誇り高き大和民族も、程度の差こそあれ、同じことをやっていたわけだな。トホホ。
いや、可能性を言えば、アイヌから土地を奪ったのは、日本人の直接の先祖ではないかもしれない。でも、仮にアイヌから土地を奪った民族をA民族とすると、そのA民族から土地を奪ったのが日本人の先祖ってことだよね。じゃないと、今の我々はないわけだから。だから、いずれにせよ、日本人の先祖は、先住民の虐殺や、土地の強奪を行ってきた、という点に変わりはないわけだ。
この、アイヌが元々日本列島全域に住んでいた、という事実、それと、日本人の先祖が、アイヌの土地を奪い取ってきたという事実を、現代の日本人はほとんど知らない。
これは、遠い過去の出来事なので、記録がほとんど残っていない、ということでもあるだろうが、日本人の先祖達が、自らの忌まわしい過去を封印してきた、ということでもあるだろう。
そして、数少ないとはいえ、残されているそれらの記録は、教育現場でもメディアでも、まず取り上げられることはない。アイヌの歴史を知る、ということは、我々の先祖が行ってきた事実を受け入れる、ということだから、現代の日本人もまた、その情報を選択的に排除しているのではないだろうか。精神分析学で言うところの否認というヤツ。
というわけで、今回の結論は、「人のふり見て我がふり直せ」となる。
これは実に陳腐で、退屈な教訓に聞こえるかもしれない。だが、いくら面白みがなかろうと、何度でも繰り返し言わねばならないことというのはある。
なんとなれば、我々は何度でも同じ過ちを犯しうるからだ。
ホント、人様を非難してる暇があったら、自らの足元を見ないとね。


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