3日前、6月2日の参院本会議で、マイナンバーカードを実質上義務化するマイナンバー関連法改正が自民党、公明党、維新の会、国民民主党の賛成で可決した。
じつは、75歳の私は、去年の暮れに、会社加入の健康保険から国民健康保険に国によって強制的に変えられた。本人の意思を無視してである。その結果保険料が増えた。私は、国家の横暴と腹をたてている
今回 可決した法案によれば、現在の紙の保険証はマイナンバーカードに置き換えられる。移行期間があるが、マイナンバーカードを申請しないと、国民健康保険の対象にもならない。すなわち、マイナンバーカードの実質上の義務化である。
マイナンバーカードの何が問題化というと、カードに顔写真を添えるからだ。これまでの会社の保険証はデジタルカードであったが、顔写真がなかった。
マイナンバーカード制度では、自分の顔写真を国に登録し、本人確認にカードが使われる。これでは身分証明書である。国が個人の本人確認をする道具となる。将来、首都などが厳戒態勢になったとき、外出者がマイナンバーカードの提示を求められるかもしれない。
近代社会で、都市に住むことが憧れとなったのは、経済的な理由だけでなく、都市の住民の匿名性である。匿名性が都市住民の精神的自由を保障したのである。
国による個人の管理が昔と比べ、じわっと、きつくなっている。
各通りや各施設には監視カメラがつけられている。いま、監視カメラは犯罪事件が起きたときのみ、警察が提出を要請し、犯人割り出しに使っている。しかし、デジタルの力を使えば、各個人の行動を管理することが可能となる。
国がどんどん個人情報を管理しだすと、個人の自由が侵害されるようになる。昔は、個人が国家から隠れて暮らすことができたが、AIなどデジタル化の現代では、それが難しくなっている。デジタル化で国に情報が集中し、個人をデータとして、統計的に確率的に扱い、個人の尊重など忘れ去れる。マイナンバーカードのひもづけの間違いだけでなく、AIに頼れば、誤認逮捕も多発するだろう。
どうして、自民党・公明党・維新の会・国民民主党は、そのことに危機感をもたないのだろうか。危機感がないのは、自分と国家を同一視しているからだと思う。自民党・公明党・維新の会・国民民主党は、もはや、徒党を組むゴロツキ集団になっている。
国は、単なる個人の集まりではなく、権力をもっている。国家はトマス・ホッブズのいう「リヴァイアサン(聖書に出てくる怪物)」なのだ。国に情報と権力を集中させてはいけない。ゴロツキ集団のボスが、国家の名前を語って、横暴の限りを尽くすことになる。