にゃんこままの部屋

その時々に感じたことを、日記風につづります。

ドビュッシー 前奏曲集 第一巻 「音と香りは夕暮れの大気に漂う」

2008-08-05 16:48:26 | 音楽 美術




すっかり、日が暮れて夕暮れになりましたね。
ドビュッシー前奏曲集(第一巻)より「音と香りは夕暮れの大気に漂う」をお聴き下さい。こちらです。

この曲を聴くと、夕暮れの空気の中にいるような気がしますね。
物憂げなけだるさも感じられます。
この曲には、暮れなずむ美しい世界が描かれています。

ドビュッシーの言葉
「作曲の秘訣などありません。
海が奏でるざわめき
木の葉を揺らす風
鳥たちのさえずり
それらが幾重にも重なり私を刺激するのです。
そして、突然そうした記憶の一つ一つがこぼれて広がり、
音楽的な言葉となってあらわれるのです。」

ドビュッシーは、五感をとぎすまさせて感じた自然の響きを音楽にしたのです。
果たしてドビュッシーはこの曲で自然の響きをどうやって表現したのでしょうか?

日本人として初めてドビュッシーの全ピアノ作品を演奏した中井正子さんに
うかがいました。
ピアニスト中井正子さんのHPはこちらです。

「この曲の最初の部分では、イ短調で書かれている。
イ短調は♯(シャープ)3つで書かれているんですけれども
そこにシの♭(フラット)の音が出てくるのです。
この音は、イ短調にはない音なんです。
こういう音がふっと組み込まれてくることによって
私たちが思ってもいないところから、香りがふっと漂ってくる。
違うスパイスが入ってきたような感じを受けるのです。」

色彩の変化を表現している部分があると中井さんは言われます。

・属七の和音
  属七の和音は不協和音の一種で普通は主和音に進みます。

「属七の和音とは、3和音に1つ音を加えた不協和音の一種です。
従来の作曲法では、この属七の和音は、主和音に進むのが一般的ですが
ドビュッシー作曲のこの音楽は

属七の和音がずっと連なって書かれている
(属七の和音が連続している)
しかもそこに、半音階で連続して描かれているともいえる。
そういうところが、色が移り変わっていく、そういう様子をあらわしているといえる。
つまり和音を半音階で続かせることで
夕暮れの色彩の変化をまるでグラディーションのように表現しているのです。」

ドビュッシーは、夕暮れの香りや色を音の響きで感じさせようとしていたのです。
自然の美しさを感じる感性がこのすばらしい名曲を生み出したのです。

              ー以上 HNKハイビジョン「名曲探偵アマデウス」を参考にしました。


Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir
 音と匂いは夕暮れの大気のなかを廻り舞う・・・
ボードレールの詩「 Harmonie du soir 夕暮れの諧調 」(『悪の華』) の一行にあります。

Harmonie du soir 夕暮れの諧調


Voici venir les temps où vibrant sur sa tige
Chaque fleur s'évapore ainsi qu'un encensoir ;
Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir ;
Valse mélancolique et langoureux vertige !

いま訪れるこの時刻、身を瑞枝の先にふるわせて
いずれの花も香炉さながら香を放つ。
音と匂いは夕暮れの大気のなかを廻り舞う。
わびしいワルツ、物憂い目まい!

Chaque fleur s'évapore ainsi qu'un encensoir ;
Le violon frémit comme un coeur qu'on afflige ;
Valse mélancolique et langoureux vertige !
Le ciel est triste et beau comme un grand reposoir.

いずれの花も香炉さながら香を放つ。
ヴァイオリンは震える、悩みに沈む心のように。
わびしいワルツ、物憂い目まい!
大空は大きな祭壇のように悲しく美しい。

Le violon frémit comme un coeur qu'on afflige,
Un coeur tendre, qui hait le néant vaste et noir !
Le ciel est triste et beau comme un grand reposoir ;
Le soleil s'est noyé dans son sang qui se fige.

ヴァイオリンは震える、悩みに沈む心のように。
優しい心、広大な暗い虚無を憎むもの!
大空は大きな祭壇のように悲しく美しい。
太陽は凝るわが血のなかに溺れはて・・・・・・

Un coeur tendre, qui hait le néant vaste et noir,
Du passé lumineux recueille tout vestige !
Le soleil s'est noyé dans son sang qui se fige...
Ton souvenir en moi luit comme un ostensoir !

優しい心、広大な暗い虚無を憎むもの、
輝く過去の、すべての名残を拾い集める!
太陽は凝るわが血のなかに溺れはて・・・・・・
私のなかのお前の思い出、聖体盒のように光り輝く!






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