青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-28

2021-03-07 13:44:33 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月6日の「追悼」に、いいね!をありがとうございます。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種① (雲南省白馬雪山) 〔Sect.Dolichocarpa柱果组〕






雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.10.1

おそらく、小龙胆组の種ではなく、柱果组Sect. Dolichocarpaに所属する钟花龙胆Gentiana nanobellaだと思われる。鮮紅の葉や萼片と、透き通るような青白い花のコントラストが素敵だ。蕾の色や形も独特である(地表に横たわる蕾が、石礫と似た色をしていることが面白い)。花冠は小型リンドウとしては比較的大きく、径13mmほど。
〈仮称:ユキベルリンドウ/雪钟竜胆〉

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*以下に紹介する小さな花が咲く各種は、大多数が「小竜胆組Chondrophylla」の一員と思われるが、一部は別組に所属する可能性もあるため、ここでは正確な所属組と種の特定を保留し、暫定的に「小型リンドウ」として纏めた(便宜上、見出しには「小竜胆組」で示している)。

花が小さく(概ね花冠径10mm以下)名前のごとく春に咲く種が多い。分類(系統)順ではなく、原則として地域ごとに(概ね雲南→四川の順で)紹介する。

今回の各種は、その中でも特徴的な形質を有していて、少なくとも典型的なハルリンドウ類からみれば異質な存在であるように思われる。

Gentiana sp.小型リンドウの一種② (雲南省白馬雪山) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕






雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.6.21

Microsperum 喉毛組の幾つかの種に似たイメージ(葉形、蕾の色、雄蕊の葯が鮮やかなことなど)を持つが、花は異なる。〈仮称:アカゲリンドウ/赤毛竜胆〉

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Gentiana sp.小型リンドウの一種③ (雲南省白馬雪山) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕






手前の葉は、バラ科の(たぶん)タテヤマキンバイ属Sibbaldiaの種。大きな葉はタデ科かな?
〈仮称:ミヤマヒメリンドウ/深山姫竜胆〉



特徴的なロゼット群は、右のキキョウ科(蓝钟花属 Cyananthus)のもの。



(上4枚)雲南省白馬雪山alt.4100m付近。2015.7.15

今回紹介した各種中では、最も一般的な花・葉・茎姿を持つ(次項以降に紹介する予定のいずれかの種に同じものがあるかもしれない)。白はキキョウ科Cyananthus属。ピンクはフウロソウ科フウロソウ属。左下の種子は何だろう?

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Gentiana sp.小型リンドウの一種④ (雲南省白馬雪山) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕






雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29

前3種とほぼ同じ場所に生えていた。一回り小さく、花冠の径は5㎜弱。茎葉が三角形でピンク色を帯び、特異な形の萼片を持つ。周辺のロゼット葉塊は本種のものなのかどうかよく分からない(たぶんツツジ科イワヒゲ属とベンケイソウ科キリンソウ属)。〈仮称:モモバガクリンドウ/桃葉萼竜胆〉



雲南省白馬雪山alt.4100m付近。2008.7.29

茎葉が三角形で花の後期にピンク色を帯び、萼片の上縁が独特の形をしていることから、上掲個体と同一種としておく。

Gentiana sp.小型リンドウの一種⑤ (雲南省梅里雪山) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕






雲南省梅里雪山alt.3300m付近。2009.6.12

萼片の形が前種と似る。同一種かも知れない(ただし茎葉はピンク色を帯びない)。
〈仮称:アオバガクリンドウ/青葉萼竜胆〉

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Gentiana sp.小型リンドウの一種⑥ (雲南省梅里雪山) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕






撮影地点。






雲南省梅里雪山alt.3500m付近。2009.6.12

丈の高い茎と、極めて大きく幅広い茎葉を持つ。〈仮称:ヘラバリンドウ/箆葉竜胆〉

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Gentiana sp.小型リンドウの一種⑦ (雲南省香格里拉) 〔sect. Chondrophylla小龙胆组?〕



雲南省香格里拉近郊alt.3400m付近。2013.10.2 Photo by Monica Lee
〈仮称:ツツナガリンドウ/筒長竜胆〉

ごく長い花筒(ヒメアカタテハの大きさからみて、花筒長20㎜余、花冠径12㎜程あるように思われる)と、細長い萼裂片を持つ。次回紹介予定の“ハルカゼリンドウ”に似ているが、花筒はより長く、開花期が大きく異なる。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-27

2021-03-07 09:13:26 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
リンドウ属のうち、大型の花や葉を付ける、あるいは草丈の高い、ジンギョウ節(=秦艽組)、トウヤクリンドウ節(=高山竜胆組)、ヤクシマリンドウ節(=多枝組)の種を紹介してきました。
 
前回の「ユンナンリンドウ」からは、小さな花や葉を付けた草丈の低い種です。20回ぐらい続き、そのあとにもう一度大型の「狭蕊组」2種を取り上げた後、リンドウ属以外のリンドウ科の種に移ります。
 
いわゆるハルリンドウの仲間が中心で、日本には、ハルリンドウ、フデリンドウ、コケリンドウ、ヒナリンドウ、ミヤマリンドウ、およびそれらの変種が分布しています(のちほどそのいくつかを改めて紹介する予定です)。
 
小型リンドウの大多数は「ハルリンドウ節」(=小竜胆組)に属し、中国産だけで120種以上(10series)が知られています。本当にそんなに沢山の種があるのでしょうか? それとも逆に、更に多くの種があるのかも知れない。また、小型リンドウであっても、小竜胆組とは別の組に属する種も、幾つかあるようです(種子の形などが異なる)。でも、そのようなことを調べ出すと、大変な事態になってしまいそうなので、詳細なチェックはやめます。
 
ということで、(前回独立して紹介したユンナンリンドウ、および今回紹介するうち一応特定が可能な最初の一種を除き) 所属seriesを特定せず、「小型リンドウ」を一括して「(暫定的な)小竜胆組」に含めておきます。
 
なお、整理、および説明に当たって、何らかの呼び名がないとややこしくなるので、全く便宜的に、和名(というよりも僕用の「プライベート・ネーム」です、笑)らしきものを付けておきます(単なる「記号」とご理解ください)。





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-26

2021-03-05 20:31:26 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



 
Gentiana yunnanensis 雲南竜胆 (雲南省白馬雪山/雲南四川省境山地) 〔Sect. Microsperma微籽组〕
 





雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29
 
微籽组Microsperma 6種(2系)のうちの一種。花冠直径5㎜ほどのミニチュアサイズの花だが、花筒は長く1㎝以上ある。なんか新興住宅街の層になって構成された前衛的アパートに、こんなイメージのがあったように思う。葉腋にどんどん花(花茎なし)の分岐を重ねて上伸する花序は、リンドウの中でも最も異様で、かつ可愛らしい。
 


雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29
 





雲南四川省境山地(中甸大雪山) alt.4300m付近。2010.9.21
“ナナツバリンドウ”やシロウマリンドウ属の一種などと共に、秋の高山岩礫草地に咲いていた。
 


雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29
 
花冠裂片の副片が、内側に折り畳まれるように付く。
 


雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29
 


雲南省白馬雪山alt.4200m付近。2005.9.29




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-25

2021-03-05 13:11:48 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
明日、2万2千円(生活保護費実質受け取り分)入ります。3月はこれで1か月過ごさねばなりません。先月分が、まだ1000円ほど残っているので、今夜風呂に行きます(毎日お湯で体を洗って、衣類は手で洗濯してるから一応清潔ですが)。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
前々回取り上げた、ネットニュースのコメントに対しての追記。
 
>香港でもそうだが。。。
>もし、SMSとかで自分の身元が、さらけ出されてたら、気が付くのかな?
>自分が撃った相手が、自分の兄弟だと分かったら、さぞや悔やむだろうに。
これが、普通の(たぶん健全とされる)人の、一般的な意見(正論)なんでしょうね。
僕は、自分の身元が晒されることを別になんとも思わないし、それに、撃った相手が身内であるかどうか、関係ないと思っています(僕にとっては全ての人が身内ですから)。
 
それは“間違った”考え方なんだ、、、。
 
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芸能ニュースから2つ。
 
ジャニーズのタレント(僕はスマップに対しては結構詳しいのだけれど、笑、そのほかのジャニタレは全く知らない)が、「吉川英治文学新人賞」を受賞。
 
このあいだ、「中国で一番有名な日本人(AV女優)」の流れで、別の若い女性AV女優が、権威ある小説賞にノミネートされたことに関する感想のようなものを記しました(話題になろうが、されなくなろうが、小説書き続けて下さいね)。
 
今度は、男性ジャニーズ(「NEWS」というグループの一員だそうです)の、加藤シゲアキさんという方が賞を取った。これは、嬉しい話題です。文学に、プロ・アマはないです(なんで「学」がついているのだろう?と思います)。
 
読んでみたいけれど、本買うお金がない(立ち読みという手?もありますが)。
 
「纏まりすぎて破綻の部分がないのが惜しい」という、直木賞候補に挙がった時の評もあるそうで、なるほど、そういう見方もあるのかな、と思います。でも、それも一つの方向性でしょう。いずれにせよ、文才が(それを受け入れる態勢があったこと、およびそれを物にした努力ともども)羨ましいです。
 
2つめ。
 
福原愛さん。この人も「中国で一番有名な日本人」の一人ですね。
 
台湾の御主人と、イチャイチャしているところばかりメディアに出ていて、あんまり好感は持っていません(先日の三枝さんといい、ここんとこ、なんか嫌いな人ばっかり擁護しているみたいで、笑)。
 
仲のいいとこばかり見せまくっていたので、少し辟易しているのは、僕も含めた多くの人たちの共通印象でしょう。でも、だからと言って、躓きそうになったら「それ見ろ」と叩きまくるヤフコメ民も(一応気持ちは分かるのですが、笑)、どうかと思う。ここは、「(切り抜けて)頑張ってくれよ!」とエールを送るべきでしょう。
 
>そっとしておいてあげてもいいんじゃないでしょうか? こんな話いくらでもありますし、離婚だって別に珍しくもない。夫婦のことは夫婦にしかわからないもの。彼女は悪いことをしたわけではないですしね。
 
というコメントもありました。まっとうな人もいるのです。
 
しかし、そのコメントに対しても、批判の嵐です。
>悪い事してるでしょ!
 
本人は(男性とホテルに行ったのは認めたうえで)別の部屋だし問題ない、と主張しているのですが、
「ホテル行く時点でアウト」
なのだそうです。
 
総バッシングされています。
ヤフコメ民の正義の人々。
なんともまあ、心の貧しい人たちなんでしょうねぇ。
 
彼らにとっては、物事の中身(本質)なんてどうでも良いのでしょう。
大事なのは、入れ物「空気」だけ。
 
それこそ、本質的な次元で男女差別していることになります(女性は“女性としての立場でしか男性に対してはならぬ”と)。←ここ重要。
 
*僕なんて、三世だってモニカだってスーリンだって、いつも一緒にホテルとか泊まってるし。なんら問題ないと思うのですが。
 
昔、友子さんとなんかも、外国への行き帰り、荷物の整理とかで、空港の途中にあるラブホをしょっちゅう利用してたし(一番安上がりでゆっくりと作業が出来る)。
 
何処がおかしいのでしょうか?
世間の目を気にする必要がある、ということなのかな?
 
世間の目、と言う事で言えば、他にも例えば、衣類も一年に2~3着で過ごしています。ちゃんと洗濯もしてるし、どこに問題があるのでしょうか?
でも、あるのかも知れない、ということなんでしょう。
 
まあ、愛ちゃんの場合は、(飛んでる人だから)叩かれるだけのことはやってそうには思いますが、笑、、、(貴乃花と愛ちゃんは、どっか被りますね)。
 
それはともかく、万が一悪い方向(破局とか)に進んでも、第三者の我々は、彼らを責めるべきではないでしょう?(結婚も、もちろん離婚もしたことのない僕からすれば、せっかく一緒になったのだから、少々嫌なことがあっても仲良くし続けるに越したことはない、と思うんですけれど)
 
おまけ。
 
小室哲哉氏とケイコさんという方に関しての記事。
 
そうか、小室哲哉というのは、フィル・スペクターなんだ、、、。
ケイコさん、安室奈美恵、ロニー・スペクター、ダーレン・ラブ、、、、。



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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-24

2021-03-04 13:43:05 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



多枝組Section Kudoa(中国産ヤクシマリンドウ節)のまとめ
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山3900m付近。花筒は膨らみ、花冠外内側に濃藍色条線、花被裂片の先に糸状突起。 箆状の輪生葉6-8枚。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4000m付近。花冠内面の条線は太く濃くはならない。糸状部未発達。箆状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4000m付近。花冠内面の条線は太く濃くはならない。糸状部未発達。箆状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4100m付近。糸状部が顕著に発達する。針状の輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。糸状部が顕著に発達。針状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花冠内部の条線は濃くならない。針状輪生葉。
*以上、原則として株の中央付近に、極小ロゼット・クラスターを備える。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色はやや濃い。糸状部はあるが目立たない。花筒は膨らむ。淡く黄緑色を帯びる。副萼片を欠く。箆状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色はやや濃く、糸状部は目立たず、花筒はスリムで淡く黄緑色を帯びる。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色が濃く、花冠裂片の糸状部は目立たず、花筒中央はスリムでやや黄緑色。針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南省香格里拉近郊3400m付近。花色が濃く、糸状部を欠き、花筒はスリム。箆状輪生葉(photo by Monica Lee)。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや濃い。糸状部あり。花筒はややふっくらしている。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや淡い。糸状部あり。花筒は短く膨らみ花冠が漏斗状に開く。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや淡い。糸状部あり。花筒は短く膨らみ花冠が漏斗状に開く。箆状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムだがフタツバリンドウほど長くはない。箆状輪生葉。
*以上、ロゼット・クラスターの存在は不明。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。



フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


ナナツバリンドウ(ヨツバリンドウ)。四川省雪宝頂4300m付近。典型ナナツバリンドウに似て、花色が明るく、花筒は中央部が膨れるがより長い。肉質針状輪生葉。極小ロゼットのクラスターを備える。
 


【参考】ヤクシマリンドウ。屋久島永田岳1700m付近。花冠は漏斗状に開き垂下する。花冠副片に糸状部を備える。肉質披針形輪生葉。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
以上、各写真に記した「細部」の記述は、「区別」することが目的ではない(大雑把な印象を記しただけなので余り参考にはならない)。実体を知るためには、細かい部分を見ることと、全体を見ることを、同時に行わねばならない。






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-23

2021-03-04 09:00:13 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヤクシマリンドウ組、やっと終えました(次の回で最後に総まとめをしておきます)。

この後、リンドウ属のつづき。
ユンナンリンドウ組(1種)、
小型リンドウ類(主にハルリンドウ組に含まれる数10種)、
ガクバナリンドウ組(2種)、
を経て、
ツルリンドウ属(2~3種)、
オオツルリンドウ属(2~3種)、
シロウマリンドウ属(5種前後)、
ハナイカリ属(1~数種)、
サンプクリンドウ属(1~数種)、
ヒメセンブリ属(10種前後)、
センブリ属(10種前後)、
最後にセンブリ属のヘツカリンドウ類(その中国大陸産対応種に対しての見解)で終える予定です。

で、気が付いたのだけれど、「リンドウ」そのものがありません。種としてだけではなく「リンドウ組」もない。

思うに、「リンドウ」という植物自体が、かなり曖昧な存在、と言えるのかも知れません。

リンドウは、Gentiana scabra var.buergeri。Gentiana scabraの、日本産変種で、日本の本州、四国、九州、屋久島、奄美大島に分布しています。

Gentiana scabraの原変種(基準変種)*は、日本海の対岸地域、朝鮮半島(日本の対馬も含む)、ロシア沿海地方、中国大陸東北部などに分布しているらしい。

*前にも書いたけれど、「原」「基準」というのは植物自体の属性ではなくて、人間の事務的(“科学的”も含まれる?)手続きに対しての言葉です。Gentiana scabra var.scabraは「原名(種名と同じ名を当てた)変種」「最初に記載された変種(したがって別の変種が発表されない限り使用されない)」であり、決してそれが種としての「基準集団」「母集団」に相当するわけではありません。言い換えれば、var.scabraもvar.buergeriも、等しく種Gentiana scabraの「一変種」なのです。

他に、種「Gentiana scabra」は台湾からも(別変種?)の記録がありますが、台湾や東北部を除く中国大陸での分布の実態(変種の区分など)の詳細は、よく分かっていないようです。「中国植物志」による分布域は、北部(北京、河北など)、中部(湖北ほか)、東部(浙江ほか)、南部(広東、広西などを含む)で、西南部(四川、雲南)における分布は示されていません。

ちなみに、リンドウが含まれるリンドウ節(竜胆草組)の種は、「週刊朝日百科世界の植物」でも「中国植物志(中国語・英語版)」でも、ともに38種となっていて、前者では「東アジアが分布の中心」、後者では「北米大陸に多い」、とされています。日本産の種とは3種(リンドウ、エゾリンドウ、アサマリンドウ)、中国産も3種(リンドウ、エゾリンドウ、チョウセンリンドウ)です。他の35種前後は「東アジア」のどこに分布しているのか? 前者の見解だと、ちょっと辻褄が合いません。

いずれにしろ、リンドウ(の別変種)も、近縁のエゾリンドウ(その別変種オヤマリンドウ他を含む)も、中国大陸の西南部には分布を欠いています。この地域には「リンドウ組」の種は分布していない、ということになります。

大雑把に見渡せば、中国西南部の「リンドウ組」空白地帯を、「ヤクシマリンドウ組」が埋めていることになります。前者が日本海周縁および(最上流部を除く)長江流域地域。後者は「中国大陸西南部高地帯」。

屋久島には、山頂部にヤクシマリンドウが、山麓にリンドウが分布しています(小型種に関しては山上部にヤクシマコケリンドウ、海岸部にリュウキュウコケリンドウが分布し、両者の関係~それぞれ別経路で中国産の種に繋がる~が興味深いのですが、それについては別の機会に)。

この屋久島の「リンドウ」はかなり希少な存在で、僕も一株しか撮影していません(手元にポジフィルムしかなくて紹介出来ないのが残念です)。イメージは、他の地域のリンドウとはずいぶん異なり、むしろアサマリンドウに似ています(ただし基本形態的には確かにリンドウ)。

ちなみに、アサマリンドウGentiana sikokianaも、かなり不思議な植物ですね。“アサマ”と名が付くことから、本州中部の山岳地帯に産する植物をイメージしますが、この「アサマ」は、浅間山ではなく、三重県志摩半島の「朝熊山」から来ています。紀伊半島から九州中部にかけて分布する、いわゆる「襲隼紀要素」の分布様式です。

それはともかく、屋久島の「リンドウ」は、きちんと調べてみると、面白い存在だと思います。「島嶼に隔離された分布南限集団」、、、、と言いたいところなんですが、、、、なんと、奄美大島にも分布している!

奄美大島が分布南限となる、日本列島固有分類群。非常に興味深い例なのに、40年ほど前の最初の報告以降、これといったデータが見当たりません(堀田満先生がご健在なら様々な取り組みを成されたことと思いますが)。

リンドウは、ある意味、謎の種なのです。

**僕が写真撮影を始めた当時(40~50年ほど前)、東京の西郊や関西の野山で、秋になるとリンドウの花を写しまくっていました(主役は花ではなく、訪れたチョウやハチやアブ)。でも全部ポジフィルムなので、このブログでの紹介は叶いません。あや子さんは「リンドウ」の写真を持っておられるのではないかと、、、、。特別に参加協力して頂けないでしょうか?





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-22

2021-03-03 14:59:47 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月2日の記事に、いいね!をありがとうございました。

 
Gentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆 (地域集団:四川省四姑娘山/長坪溝渓谷) 〔sect. Kudoa 多枝組〕
 


フタツバリンドウ蓝玉簪龙胆Gentiana veitchiorum。四姑娘山長坪溝。標高3500m付近。2006.9.18(以下同じ) 
 
巴朗山の峠上方で「ナナツバリンドウ」を探索した日の前日に、四姑娘山本体に分け入る三つの渓谷の一つ、長坪溝の中ほどまで行ってみた。そこで出会った*のが、この「フタツバリンドウ」だ。
 
「中国植物志」に紹介されている対生葉をもつ「多枝組華麗系」14種・変種のうち、最もポピュラーな種の一つである「Gentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆」に相当するものと思われる(「フタツバリンドウ」の和名を与えて置く)。
 
茎葉が輪生する「ナナツバリンドウの仲間」(=輪葉系series Verticillatae)と異なり、葉は対生、花筒が細く長く、花色が濃く、「輪葉系」とは別の「華麗系series Ornatae」の一種である。
 
*その時点では、リンドウの仲間に対しての知識も興味もさほどなかったので、必要とされるべき形質部分の撮影が十分になされていない。
 
「中国植物志」の記述に因ると、14種(3変種を含む)から成る「華麗系」の大半の種は、「輪葉系」の各種共々、「ロゼット葉」について「欠くか発達が悪い」とだけ記されている。その中にあって、この種(とチベット産の一種だけに)「ロゼット葉が良く発達する」と書かれている。
 
挿図を見ると、確かに株の根元から、細長い葉を四方に伸ばした、大きな単独のロゼット葉が描かれている。(文献には記されていない)「典型ナナツバリンドウ」のクラスターを成す超小型のロゼット葉塊とは、全く異なる構造である。しかし、株の根元に存在する、ということは同様である。
 
僕の撮影した写真をチェックしてみた。どの写真も株の根元周辺が他の草に覆われていたりして、よく確かめることは出来なかったが、幾つかの写真では、確かにそのような大型のロゼット葉が存在することを認め得た。
 
前回の項でも述べたが、この(「典型ナナツバリンドウ」と「フタツバリンドウ」が示す)正反対の「ロゼット葉」の、気質的、機能的な相関性を、(いつか将来)探ることが出来れば、と思っている。
 








 


下2個の花の上や、画面右上方などに、細長く四方に伸びた大型のロゼット葉が見える。
 














 


右上の大きなロゼット葉の中には、小さな葉群もセットになっているように見える。
 























長坪溝の渓流(日本の北アルプス・上高地にそっくり!)を挟んだ四姑娘山の対面に、頂上が鋭く尖ったピラミッド型の山が聳える。
 


【再掲】長坪溝渓谷の入口(標高3200m付近)から仰ぎ見た四姑娘山主峰6250m。2006.9.19
 


【再掲】左の5個体が、四姑娘山長坪溝の渓流に沿った林内の草地(標高3500m付近)に生えていたGentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆。葉は一対づつの対生で、花冠筒部が長い。その他は、巴朗山の峠上方の高山礫地草原(標高4700m付近)。葉は三枚以上の輪生で、バリエーションに富む。葉数が少なく、疎で、幅が広く、花色が濃い個体から、葉数が多く、密で、幅が狭く、花色が淡い個体へと、形質は連続するように見える。右下の(やや発育の悪い)全株個体には、中央部から派出するロゼット葉の萌芽のような部分が認められる。2006.9.21
 


【再掲】左2個体がGentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆。
 


「中国植物志」の図表から。「華麗系」3種。蓝玉簪龙胆以外の2種にも、基部の大型ロゼット葉は確かめ得るが、本文中には指摘されていない。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-21

2021-03-03 09:47:23 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
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ここんところ、(睡眠剤飲んでも)夜ぐっすり眠れなくて、心身ともに疲れています。
 
去年の2月はじめ、中国から戻ってきてから一年以上(4月の長岡のホテルでの数日を除き)布団のあるところでは寝ていません。布団が恋しいです(笑)。
 
次回(第22回)で、やっと「中国産ヤクシマリンドウ組」終了です。でも支離滅裂だったので、第24回に「まとめ」を書いておきます。
 
このあと「ハルリンドウ組」。「ヤクシマリンドウ組」の10倍以上あります。まともに取り組むのは、たぶん(というか確実に)無理です。出来る限り(考察などは加えずに)端折って進めていきます。
 
生活保護金受領まで、あと3日で3000円、今回は何とかセーフです(お風呂に行きたい!)。
 
でも、来月分の電気代が9000円近くと言う事で、手元には2万円ちょっとしか残らない。(携帯電話がないので追加年金は貰えないようだし*)3月中に何とか次善の策(ネットを使っての収入方法)を考えておかねばなりません。
 
アイデア、寄せて頂ければ有難いです。
 
*4月から毎月約4000円の年金加算が成される、という案内が来ていたのですけれど、受け取るには携帯電話を持っていることが必須条件だそうで、僕は対象外とされます。
 
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以下、最近のヤフーコメントのチェック。
 
●「隠蔽の意図を感じた」(佐世保の大学生)
 
「聖火ランナー辞退」が相次いでいますね(一般人も有名人も)。
情けない話です。
僕は、(73歳の人生で)こういう人間にならなかった事だけは、誇りにして良いと思っています。
*ちなみに僕はオリンピック開催に(コロナ以前の段階から)反対の立場でいます。、、、なんとなく「変則的」開催が成されそうな気がしますが。
 
●発砲でデモ参加者4人死亡 ミャンマー、最大都市で初(共同通信)
 
観ます・云います・聴きます さんのコメント
>相変わらず ロシアと中国は、悪魔の囁きを続け、世界を平和にしようとはしない。(アメリカも少しそうだけど)。
>自国民に銃を向けることが、反逆だと言う倫理観を持っていないし、理解できないのだろう。
>しかし、兵士にも親がいて兄弟がいて、親戚や知り合いが、たくさんいるだろうに、兵隊になると、そんな事は考えなくなるのだろうか?
>香港でもそうだが。。
>もし、SMSとかで自分の身元が、さらけ出されてたら、気が付くのかな?
>自分が打った相手が、自分の兄弟だと分かったら、さぞや悔やむだろうに。
>武器を持たせないと国は守れない。
>武器を持たせたら、自分を守れない。
僕もリコメントしておきました。
Milk
>僕は、香港にも、ミャンマーにも、住んでいたことがあるのですが、、、、。
>そんな簡単なことではないのです。
>「正義」は、あちこちに存在するので、、、。
 
Bnh..さんという方が、それに応えてくれています。
>そうなのですね…
>人はそれぞれの価値観で人生を送りたいですから…
>皆、1つになるは 難しい事ですよね.
>それぞれですから…
>認め合い 譲り合えたら良いのですが…
>なぜか 無理に1つまとめたがります。
>1つにならないと出来ない事も 沢山ありますが…
>個々それぞれ 楽しむ事も 出来るようになれば 少しは平和になるのに …
 
●桂文枝(三枝)さん
 
僕はこの人嫌いなんですが(笑)、それとこれとは全く別の問題です。ヤフコメ民から総攻撃(それこそ集団いじめ)受けています。その中にあって、ほとんど唯一と言っていい「異見」が投稿されていました。
 
Yuz、、、さん
>ひどいコメントばかりで呆れる限り。。溺れるものに石を投げる風潮、袋叩きにして悦にいってるんでしょうか。自業自得と言ってる人達こそ、自分の身に振り返ってくるのでは。
 
“そうは思わない”の嵐です。それで助け舟を出しました。
 
Milk
>このようなコメントの中、勇気ある発言ですね。まともな人もいると、ほっとしました。文枝さんという方の人間性に、仮に大きな問題があるとしても、「イジメ」に等しい攻撃は行うべきではないと思います。
>(まるで金太郎飴のような)「正義の人たち」の人間性のほうが、はるかに問題があるのではないでしょうか。恥ずかしく思わないんでしょうかね。



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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-20

2021-03-02 12:58:37 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★2月28日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。 

Gentiana arethusae 輪葉竜胆(地域集団:四川省四姑娘山/巴朗山峠)〔sect. Kudoa 多枝組〕


雲南省(白馬雪山&四川省境山地)産の「典型ナナツバリンドウ」と“同一”とみるべきか、それとは異なる、と捉えるべきか、、、、。四川省四姑娘山(巴朗山峠)標高4500~4700m付近。2006.9.19(以下、全て同じ/標本写真2枚のみ2006.9.22)
 
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昔は「西部支那*」と総称されていた、「中国西南部」の四川省と雲南省。
 
極論だが、四川までが「いわゆる中国」(僕の定義では「長江周辺域」または「東シナ海西縁域」)だと思う。雲南は別の空間だ。四川は「巨大な屋久島」、雲南は「巨大な沖縄」と捉えることが出来る。全く異なる、かつ密接な繋がりを持った空間である。
 
スンダランド(ボルネオ+マレー半島+スマトラ+ジャワ)と、ワラセア(セレベス+南北モルッカ+東部小スンダ+チモール)の関係に似ているかも知れない。
 
ちなみに、両地域(四川雲南)を結ぶ、四川省西南部のチベット高原高標高地帯の生物相は、もちろん魅力的ではあるのだが、「濃密」というわけではない。いわばトカラ列島だ。
 
様々な生物で言えることだが、「この一帯(いわゆる中国西南部:四川+雲南+その周辺地域)全体としての独自の分類群」があるというのも事実だし、なおかつ「四川と雲南で明確に分かれる」ということも、また事実である。
 
非常に分かり易い例が、ジンチョウゲ科の草本種「Stellera chamaejasme」。中国西南部高標高地帯(チベット高原の東南部)に広く分布しているが、四川と雲南で、見事に分かれている。四川側は白(または薄紅)色。雲南側は黄色。前回の項の舞台・省境山地周辺においても、そのことは明確に示されている。四川省側南端の郷城から北は白(薄紅)色、雲南省側北端の翁水から南は黄色。ほぼ例外なく四川と雲南で明確に分かれている(ただし雲南/チベット省境の梅里雪山産は白色)。と共に「種」としては同じ「Stellera chamaejasme」に所属するわけである。
 
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「輪葉竜胆」(中国産ヤクシマリンドウ類)については、このように(暫定)整理してみた。
 
ヤクシマリンドウ節(Kudoa多枝組)は、4系から成る。
 
うち2つ、頭花系Apteroideaeの種(「中国植物志」ではシノニム1種を含む7種)と、密葉系Confertifoliaeの種(同シノニム1種を含む4種)は、自分の目で確認していないため、詳しい検討は保留しておく(唯一前者のタイワンリンドウGentiana davidiiを第6回で紹介した)。
 
華麗系Ornataeは14種(3変種を含む)、輪葉系Verticillataeは9種(1変種を含む)となっている。
 
最も大きな相違点は、前者は茎葉が対葉で、後者は輪葉であると言う事。それ以外には本質的な差異はないものと思われるが、一応2seriesへの分割を踏襲しておく(「中国植物志」英語版では、「頭花系」「密葉系」も含め、seriesの分割は為されていない)。
 
どの生物でもそうだが、「種を分ける」「種を統合する」、横の繋がり(空間)と、縦の繋がり(時間)の関わりの(それによって今現れている現象の)認識、、、それはDNA解析結果であろうとも同じだと思うが、空間や平面(DNA解析結果なども含む)に示されている「違い」を、複雑に絡まりあう時間軸なかで、どのように理解するか。
 
四川雲南のナナツバリンドウの話に戻る。僕自身でチェックした限りにおいては、雲南省白馬雪山では「典型ナナツバリンドウ」の単群。省境山地では、「典型群」を軸に、やや華麗系の種に似た印象の個体が含まれる。両地に比べ幾分標高が低い香格里拉の1個体は、やや華麗系寄りの印象。
 
今回の四川省四姑娘山では、2つの異なるポイントで撮影した。
 


特徴を4段階で分けておく(左から右へ2個体ずつ)。
 
渓谷部(長坪溝3300~3500m付近)。
1(左の2茎):フタツバリンドウ
茎葉は対生。
*株ごとに大型の単独ロゼット葉を生じる。
 
尾根部(巴朗山4500~4700m付近)
2-4(右の6茎):広義のナナツバリンドウ
茎葉は輪生。
*大型のロゼット葉は生じない(極小ロゼット・クラスターが存在するか否かについては不明)。
 
2(中4茎の左2茎)
外観(色調や茎葉の大きさなど)はやや1に似るが、1に比べて花筒は短い。
 
3(中4茎の右2茎)
色調は4に似て、茎葉がやや大きい。
 
4(右の2茎)
全体として雲南省の「典型ナナツバリンドウ」に似る。
 
ざっと、1-(2-(3-4))というところかな?
 
ここに雲南の典型(5)を配置するとしたら
1-(2-((3-4)-5))
1-((2-(3-4))-5)
そして、典型以外は、何処に組み込めば良いのだろうか。
 
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*注:パソコンでこの熟語は出てこない、もう腹がたつ。いちいち規制されなくても、分かってるよそんなこと。僕が生物の和名に「シナ」を使わないのは、想うところがあっての自主規制であって、あんたら(たぶんヤフーとかグーグルの人たち)に強制される筋合いはない。
 
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下の明るい空色の花は、同じリンドウ科のヒメセンブリ属。
 


右の葉は、キク科のヤマハハコ属。
 

















 








この3枚はフタツバリンドウにやや類似した印象を持つ個体。
 


四姑娘山6250mの主峰が眼前に迫る。
 
写真㉑

左5茎が渓谷草地で出会った典型的「華麗竜胆系」の対葉種(次回で紹介する蓝玉簪龙胆Gentiana veitchiorum)。
そのほかは巴朗山の山上草地(風衝地)に生えていた「輪葉竜胆系」の種。右端は「典型ナナツバリンドウ」に近く(ただし雲南省産とは印象が異なる)、左に行くにつれ、やや華麗系と共通する印象が加わる(県境山地産の一部や香格里拉とも印象が重なる)。
*右下の株には、不完全ながら極小ロゼットに似た塊が認められる。






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-19b

2021-03-01 20:19:24 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★2月28日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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今日は通院日なので、福生のスタバで書いています。

中国産ヤクシマリンドウ組、あと3回、奇数回含めると5回(20~24)です。今回(予定外の記事)は進行の都合上19のBとします。

何の因果か、リンドウ科に取り組み出したものですから、最後まで完走したいと思っています。1/3ぐらいは来ているはずです。

ヤクシマリンドウ組が、予定より大幅に時間がかかっています。僕には分からないことだらけなので。

今、改めて資料(「主に中国植物志」の記述や図版)を細かくチェックしているところです。

葉や花被片や雄蕊などの、数とか大きさとか付き方とかが、詳細に列記されている訳ですが、僕は、ほとんど意味はない、と捉えています、、、、いや、正確には必要ありますね。意味もある。しかし、何度も言うように、それらを基準に してのみ「答え」を出すことは、本質から外れてしまう。全体の俯瞰を常に伴いつつ為されてこそ、意味を持ってくると思うのです。

とはいっても、研究者の人たちは、実際に僕よりも遥かに多くの対象に当たる機会があるわけだし、僕よりも遥かに時間や資金があり、知能も優れています。示された資料は、きちんと把握しておくべきだと思っています。

ということで、改めて資料を解読しているところです。

キーポイントになるのは、やはり「ロゼット・クラスター」でしょうね。

でも、僕がチェックした限りに於いて「典型ナナツバリンドウ」の(たぶん)全ての個体が備えている、そしておそらく他の集団*(何を持って「典型ナナツバリンドウ」とするのかは一先ず置き)には(少なくても顕著な状態では)存在しない、「極小ロゼット塊のクラスター」に関しては、記述がないように思えます。

その前に、ロゼット葉とは何なのか、という事について考えておかねばなりません。

もちろん、根出(根生)葉のことですね。地上にへばりつくように四方に伸びた葉の状態(「ウイキペディア」では「根出葉が円盤上に並んだような植物体」)。でも、そこから先をきちんと調べていくとなると、僕の頭脳では収拾がつかなくなってしまいます。

イメージ的には「大きく平たい」単独物体ですが、典型ナナツバリンドウのそれは、著しく小さく、層を成して重なり、クラスターを形成します。

茎が伸びる前に現れ、茎が展開した後は消滅するのかな?(それとも残る?)

いずれにしても、「ロゼット葉」と「茎葉」は別の存在だと思いますが、典型ナナツバリンドウに関しては、「ロゼット塊」の中に茎葉のオリジンが全て含まれていて、成長後には(ロゼット塊の中の各々鱗片が)茎葉に置き換わる、ように思われます。

このような存在を「ロゼット」とは言わないのではないか? といった疑問はひとまず置き(便宜上「ロゼット」で通します)、改めて、ヤクシマリンドウ組全体の、「ロゼット」状況を(僕の写した写真と「中国植物志」の記述に基づいて)チェックしていくことにします。

華麗系の(後述数種を除く)各種や、(ナナツバリンドウを含めた)輪葉系の各種については、概ねロゼット葉を欠くか、余り発達しない“Basal rosette leaves poorly developed”と記されています。少なくとも「典型ナナツバリンドウ」於ける“超小型ロゼット・クラスター”については、何一つ触れられていません*。

しかし、僕が見落としていたものもあります。一つは、(僕は出会ったことがないのですが)「密葉系」の3種のうち、大花竜胆Gentiana szechenyiiなどの2種が、異様な構造の大型ロゼットを有しているようです。

それと、華麗系の種の中にも(大花龙胆ほどではないとしても)、ロゼット葉が極めて良く発達するとされる種(2種)が示されていました。雲南省西北部や四川省にも分布するとされる蓝玉簪龙胆Gentiana veitchiorumと、チベット自治区産の聂拉木龙胆Gentiana nyalamensisです(図示もされている)。第20回の次の第22回で紹介を予定している個体群が、その「蓝玉簪龙胆」に相当するようです。

「典型ナナツバリンドウ」の極小ロゼット・クラスター同様に、複数の花茎を伸ばした株の中央部(葉腋に相当?)に生じるわけですが、形や大きさやパターンは全く違っていて、極めて大型で、細い葉が四方に長く伸び、クラスターは形成せず原則一株に一ロゼットがワンセットになっているようです(こちらは一般的なロゼットの概念に近く、同じように葉腋に生じていても「典型ナナツバリンドウ」のそれとは、気質や機能は異なるのかも知れません)。 

典型ナナツバリンドウに関しては、(実生個体にも越年個体にも同じような「極小ロゼット・クラスター」が生じるのかどうか、という点は一先ず置き)成長過程で、(花茎の原型として凝縮存在していた)ロゼット葉が、展開して茎葉に移り変わっていく可能性があるわけです。

「極小ロゼット葉のクラスター」は、秋に出現し、その年の間に花茎に成長するのでしょうか? それともロゼット状態のまま冬を越して、翌年花茎となるのでしょうか?

前者だとすれば、その年の秋の時点で既に花を付けている花茎との関係は、どのようになっているのでしょうか? 一年の(それも短い秋の)間に、複数回の花茎の成長が繰り返されるのでしょうか? これから茎を伸ばし、花が咲き、受粉するには、余りに時期が遅すぎるようにも思えるのですが、、、。

といって、後者の場合、翌年まで雪に埋もれて過ごすことになるわけで、この小さな塊が過酷な状況に耐えられるのか、、、。春~夏もそのままの姿を維持し、秋になって、一気に花茎を展開する(同時に次年度の「極小ロゼット・クラスター」を準備する)。

いずれにしても、花茎への展開は一気に成されるような気がするのですが、風衝地に多数見られる、(花茎の部分をほとんど欠き)地面から直接花が咲いているようにも見える個体も、(50葉以上が数えられる)微小ロゼットから生じてきたものなのでしょうか? 

それとも、花を付ける茎と、極小ロゼット・クラスターは、気質的にも機能的にも、全く別の存在なのでしょうか?

*「中国植物志」の「四葉竜胆Gentiana tetraphylla」に示されている「植物標本」の中に、「極小ロゼット・クラスター」を伴った数個体を見つけました。ヨツバリンドウは、本文での分布は「四川省西北部」となっていますが、一つは雲南省香格里拉近郊で採取された個体です。もう一つは、第6回で紹介した雪宝頂の峠と同じ場所、同じ集団のようです。



*「中国植物志」からの引用(四川省産)



*「中国植物志」からの引用(雲南省産)




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-19

2021-03-01 12:39:11 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
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コロナの問題は、
『それによって人類に齎される脅威が、(他の脅威から飛び抜けて)特別なものであるのか』
『他の様々な脅威もまた「脅威」には違いなく、コロナもそれらの一つである、と見做すのか』
 
という点に尽きるのだと思います。
 
仮に、前者の立場を採るとしましょう。
マスクで防御する(実態は顔を隠す)。それも一つの手段ですね。まだ三密回避のほうがずっと意味があると思うのですが、正義の民は皆「マスク命」なので、何を言っても仕方がない、従うしかないのです。
 
でも、他にも「脅威」の侵入経路が数多く(ある意味無数に)あることは、皆知っているはずです。「マスクで飛沫を防御する」絶対的な必要性があるならば、例えば、触れるもの全てに、脅威のウイルスが付着しているかも知れないわけで、それに対しての防御にも、絶対的な必要性を持って対せねばならないはずです。
 
そんなことはしてないですね。森鴎外が饅頭に熱湯をかけて食べた(泉鏡花とかも似たようなことやっていた)という話になってきます(少なくとも鴎外はルーチンとしてのパフォーマンス、そんなことで全ての菌やウイルスが防げるとは考えていなかったと思う)。
 
マスク必着と同レベルで注意を払わねばならぬのだったら、たぶん、何処にも出かけられないし、どんな作業も出来なくなってしまうでしょう(そのうち、食品とかにも、いろんな「脅威の源」が判明して、何も食べられなくなってしまいます)。
 
それでも一応の体裁上、公共スペースではアルコール消毒必須とか、検温義務とか、やっていますね。
 
滑稽なのは、トイレの紙。どこのカフェやレストランやそのほかの施設でも同様です。ほぼ必ずと言ってもいいぐらい、丁寧に「先端三角折」にしている。これ、本気で「脅威からの防御」を考えるのならば、一番危ないことでしょうが。
 
日本人の「おもいやり」「おもてなし」「正義の味方」「付和雷同」「ルール厳守」「リスク回避」「潔癖」「善意」「親切心」等々の「美徳」によって介在される、「無意識強要同調空気」の実態が、如実に表れている、と思います。





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-18

2021-02-28 16:28:11 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★2月27日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


Gentiana arethusae 輪葉竜胆 (地域集団:雲南省香格里拉) 〔sect. Kudoa 多枝組〕



モニカが香格里拉の町の近くで撮影してきた写真(2013.10.1)。花色が空色ではなく紺色。花筒部が細い。花冠裂片の先に針状の突起はない。という点で、典型ナナツバリンドウと異なる。全体の印象としては、この2つ後に紹介予定の「華麗系」の“フタツバリンドウ”に似ている。標高がやや低いことも共通する。しかし、葉は輪葉である。

大雑把に見れば、前回(第16回)紹介した、省境山地の“典型ナナツバリンドウでないほう”の個体に似ている。あるいは、次に紹介予定(第20回)の四川省四姑娘山(巴朗山)の幾つかの個体とも共通する。それらを「典型ナナツバリンドウ」から分けるとすれば、「ムツバリンドウ」ほか、どの分類群に含めればよいのか? 一括りにして扱うのか、個々の分類群に分けるのか? その辺りがよく分からないでいる。

ということで、とりあえずは全部ひっくるめて、「輪葉竜胆ナナツバリンドウGentiana arethusae」ということにしておく。

手元に、以前日本国内で発売された「雲南花紀行」(2003年、国際花と緑の博覧会記念協会、著者は中国人の研究者)というのがあった。この本の記述と写真を参照すると、今回紹介した個体や、前回紹介の中の「典型ナナツバリンドウではない個体」、および次回紹介予定の四川省四姑娘山巴朗山の個体群は、(輪葉系の種ではなく)華麗系(「中国植物志」では11種が記されている)Gentiana helophila喜湿竜胆, Gentiana caerestis天藍竜胆, Gentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆, Gentiana sino-ornata華麗竜胆などに振り分けられるようである。

「中国植物志」では、「華麗系」と「輪葉系」の最も重要な区別点を、茎葉が「対生」か「輪生」かという点に置いている。しかし、この「雲南花紀行」では、華麗系各種の解説に置いて、輪葉が輪生するのか対生するのかについては、一言も書かれていない。また写真を見ても、「華麗系」として紹介されている種は、全て輪生であるようにも見える。

次々回(第22回)に紹介する予定(四姑娘山長坪溝)の「華麗系」のGentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆(フタツバリンドウ)と暫定的にした個体群は、明らかに対生であるのだが、この本でGentiana veitchiorum蓝玉簪龙胆として紹介されている写真は、輪生である。

「華麗系種の茎葉は対生」と明記する「中国植物志」と、そのことに全く触れず、かつ写真を見る限り輪生葉個体が数多く含まれている(一応全個体)「雲南花紀行」と、どちらが正しい処置なのか?(もっとも、「輪生」と見えるのは、実は接近して密生しているだけで、正確に輪状派出しているとは限らない、という見方も出来るのかも知れず、それはそれで別問題となり得る)。

もし、後者の見解を採るならば、今回の個体や、前回の一部個体や、次々回の個体群(すなわち「典型ナナツバリンドウ」以外のヤクシマリンドウ組の多くの集団)は、「対生葉」であるか「輪生葉」であるかに拘らず、華麗系の各種に振り分けることが可能となる。

しかし僕は、多数の分類群を作る(それも「とりあえずの手段」としては意味があると思うけれど)のではなく、夫々の地域群ごとに(あるいはそれらもひっくるめて)、「典型を含めた多様な形質幅を持ったひとつの種」と捉えて置くほうが、より妥当ではないかと思っている。

広義のナナツバリンドウ/輪葉竜胆/Gentiana arethusae(と同定することが妥当かどうかはともかく)を含む「輪葉系」の各種と、フタツバリンドウ/蓝玉簪龙胆 /Gentiana veitchiorumなどの「華麗系」の各種を、改めて整理し直す必要があると思う(近い将来に遺伝子解析で「ある程度の」“答え”が出るのだろうけれど、それが最終的な「答え」であるとは限らない)。

何度も指摘しているように、各部位の「大きさ」「形」「色」「位置」「数」など、重箱の隅をつつくような細部への拘わりを続けていると(それを「学術的な作業」と見做していると)、本質を見失ってしまう。

体系に基ずく「決定」だけに終始するのではなく、俯瞰による全体の把握が為されないと、本質は見えて来ない。



香格里拉の町。2010.5.14



秋の香格里拉近郊。イワタイゲキ属(トウダイグサ科)の一種の紅葉。2010.9.22






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-17

2021-02-28 08:59:34 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
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自称、似非科学者の青山潤三です(“エセ科学”、、、なんか響きの良い言葉のように思いませんか?)。
 
(あや子さんが設置してくれている)「ブログ村」の“科学”の項目をチェックしてみたら、僕のブログが「科学」「自然科学」「生物学」の上位に来ていますね(なぜか真面目に「リンドウ」の話をし出してからやや少なくなったけれど、それでも常にベスト10圏内を維持しています)。結構不思議で、なんだか“申し訳ない”という想いもあります。
 
といって“エセ”というのは、必ずしも卑下しているわけじゃなくて、それなりの自負を持っての上での表現です(それと、僕のは決して“スピリチュアル”とかではないので混同しないように)。
 
確かに、科学の急速な発展で、今まで考えもしなかった様々な事柄が、次々に実現し続けています。科学者は偉いと思うし、その努力にたいしても、敬意は払っています。
 
でも、「全体」からすれば、成し得ていることは、ほんのちっぽけな断片に過ぎないかも知れない。体系を追従することによって齎された「結果(成果)」だけを過信するべきではない、と思うのです。
 
“エセ科学”といえば、第一人者は「ドクター中松氏」でしょうか。エセ(一応誉め言葉なんですけれど)は失礼かな? なんといっても「イグ・ノーベル賞」受賞者です。僕はこの賞は、ノーベル賞なんかよりも、もっと大きな意味を持っていると思っています。
 
「映像文化」に対しての「ラズベリー賞」(最悪の映画に与える賞)も、ちょっと(ちょっとだけですが)似たところがあります。
 
ジョニー・ティロットソンは、この賞の授賞者の一人です。1966年「The Fat Spy」。主演ジェーン・マンスフィールド(僕、大好きです、マリリン・モンローよりもずっと可愛くてセクシーだし、、、この年33歳、翌年交通事故で亡くなります)。ジョニーは端役?なので、受賞者対象外かも知れませんが。でも、結構重要な役柄で出ていますね。
 
リアルタイムでは皆分からなかっただろうけれど、今の時代から振り返れば、ジョニーのこの役柄の位置づけは、非常に深い意味を伴っていると思います(60年代中期の文化の転換時を、肯定的に見るか、否定的に捉えるか、、、いわば彼の役柄を「時代に取り残された低知能者」として認識するかどうか、ということ)。
 
「イグ・ノーベル賞」が、ある程度には(というよりかなり大きな程度で)尊敬の念が込められた賞であるのに対し、「ラズベリー*賞」のほうは、バカにする対象としてしか扱われていない訳でしょうが、今になって思うと、単純にそう言う事でもないような気がしています。
 
*もとより、メジャー・フルーツであるストロベリー(バラ科バラ亜科オランダイチゴ属)に対し、ラズベリー(バラ科バラ亜科キイチゴ属)のほうはマイナーな存在です。でも結構美味しいのですよ(商品化されたブラックベリー類も、そのほかの野生キイチゴも)。
 
冒頭から「新世代」の「カウンター・カルチャー」のヒッピー・ミュージシャンたち(The Wild Ones注:日本のじゃなくてオリジナルのほう)が、叫び続けます。もし、これを(この映画の主題の一つとして)ポジティブに捉えているとしたら、面白いですね。愛、平和、自由、反権力、、、、。何度も繰り返して言うけれど(笑)、ローリング・ストーンズ誌(ザ・ローリング・ストーンズではない)あたりの解釈に沿って、、、。
 
この前後を含めて、ジョニーは4本の映画に出演しています。うち2つは本人役、1つは固有名称なし。「ファット・スパイ」だけは、役名(ドド)が付いています。
 
ちょっと頭の弱そうな、、、白痴がかった、と書こうとしたのだけれど、パソコンでこの文字が出てこない!僕は白痴の一人として、これこそ大変な差別だと憤慨しています(健全な人達にとっては「空気の中」から抹殺したいのでしょうけれどね)、、、まあ言ってみれば、時代に取り残された若者です。人魚に恋して、最後は海の中に消えていきます。
 
(そのことを知っている人はごく一部の人だけでしょうが)ジョニーの生い立ちには、絶対に触れることの出来ない、あることが存在します。映画の制作者は、そのアンタッチャブルな「あること」を知らなかったのでしょう。知っていたら、絶対にこのような役を、ジョニーにオファーしなかったはずです。
 
それを想えば、ジョニーは、よくこの役を引き受けたものだと。もしかすると、ずっと深いところで、何か想うところがあったのかも知れません。ノー天気に見えて、そうでもないのです。何しろ、ティーン・アイドル真っ最中に、大学を卒業して修士号(マス・コミニュケーション学)を取得しているぐらいですし。
 
コメディ-映画(ドタバタミュージカル)です。「東西冷戦」「若者の新文化(フリー・セックス等々)」そういった時代現象を背景に置いています。
 
その中にあって、ジョニーの出演場面(18分15秒-18分45秒/21分25秒-24分30秒*/27分45秒-24分55秒/32分50秒-33分00秒/47分15秒-50分25秒/54分00秒-57分20秒)だけは、ちょっと異なる雰囲気を醸し出しています。

The Fat Spy | 1966 | Full Movie


2曲を歌っています。特に「I Wonder Where Is The Girl For Me」。これが素晴らしい曲です。なんで、リリースされなかったのが不思議なくらいです。
 
*「I Wonder Where Is The Girl For Me」のところだけなら、こちらを。


 
不思議と言えば、、、。今改めてチェックしたのですが、ジョニーの「Todo」は、脇役(或いはスペッシャルゲスト)とはいえ、相当に重要な役柄です。しかし、後の公式?ポスターにしろ、ウイキペディアにしろ、ジョニーの名は、何処にも見当たりません。
 
その当時の知名度からすれば、ジョニーは出演メンバーの中で、かなり上だと思うのですが(映画自体のオープニング&エンド・タイトルのクレジットでも最初にジェーン・マンスフィールドと並んで出てきている)、、、やはり、何らかの事情があるのでしょうか? 後になって、単に「時代遅れ」の人物と見做され無視されてしまった結果なのでしょうか?(ジョニー本人は、最近のセルフ・インタビューで、ジェーン・マンスフィールドのことを懐かしく語っています)。
 
1966年は、ジョニーは方向転換を目指して(ビートルズらに駆逐された旧世代の生き残りをかけて)奮闘(四苦八苦)していた時期です。8年間続いたBillboard Hot 100入りも途切れ、しかしメディアには露出しまくっていました。この年に2度来日(中南米、東南アジア、ヨーロッパ他の各国を飛び回っていた)、日活映画「涙くんさよなら」にも準主役で出演しています(ヒロインはジュディ・オング)。
 
ユーチュブでは、「Fat Spy」や「涙くんさよなら」(一部)のほか、同年に収録された一時間に及ぶ「ザ・シュプリームス」がホストのTV番組の最後にスペッシャル・ゲストとして登場する、時代に取り残されかけて焦っている(本人はまだ気が付いていない)ジョニーの姿も垣間見ることが出来ます(この映像についてはそのうち独立項目で紹介予定)。
 
なにしろ、シュプリームスは、連続5曲のBillboard No.1ヒットを連発中(男性/白人/英国No.1のビートルズに対する、女性/黒人/米国No.1)。昔は(、、、と言っても1~2年しか経っていませんが)ともかく、その時点に於いては格が違います。
 
にもかかわらず、つまらないジョニーの歌を一応一生懸命聴いてあげている、ダイアナ・ロス(後にソロで大スターに)、メアリー・ウイルソン(今に至るまで地道に活動し続けている)、フローレンス・バラード(翌年メンバーを脱退し後に不慮の死を遂げた)の三人が、いじらしく思えます(僕の人生は、後者2人と大きく、、、というほどではないけれど、関わっている)。
 
ちなみに、この不思議な「シュプリームス」ホストの映像のスペッシャル・ゲストとしては、ジョニーのほかに、彼女たちのライバルである「マーサ&ヴァンデラス」が中盤で登場します。マーサたちが歌うのは、、、、、いかんいかん、また話が大きく逸れてしまいます。この話題はとりあえず終了。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
ということ(といっても何ら因果関係はないのですけれど)で、話は全く変わりますが、、、。
 
U氏曰く、「科学を否定する青山さんの思想は犯罪的行為に等しい」と、「現代ビジネス」への掲載を半永久的に拒否されてしまっています。
 
或いは、(僕のブログの)一部読者からは、「自由のために命がけで戦っている香港の若者たちを批判するなんて、あなたには人間としての心がないのですか?」と言われたりしています。
 
だったら、僕は犯罪者でも、人間として失格でも、一向に構わないのですが、、、、それで仕事が無くなって飢え死に到るのも困ります。このブログだって、営業に繋がらねば(たぶん全く繋がらないだろうけれど)、僕にとっては何の意味もありません。読者の方々に(何らかの営業に結びつく)橋渡しを、切に願っている次第です。









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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-16

2021-02-27 16:20:06 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★2月26日に記事に、いいね!その他ありがとうございました。

Gentiana arethusae 輪葉竜胆 (地域集団:雲南/四川省境山地) 〔sect. Kudoa 多枝組〕

香格里拉から雲南/四川省境の山地までは、結構遠く感じるが、それは一度東南方向の香格里拉に戻ってから再び北上するからであって、実際の距離は、思ったほか離れていない(直線距離約80km)。

大多数の個体は、白馬雪山産と同様の「典型ナナツバリンドウ」*(「川東竜胆Gentiana arethusae var. arethusae」の変種)に帰属する。

*何度か述べてきたように、Gentiana arethusaeとされる植物は、写真や標本や図が紹介されているものの全てが、原変種(川東竜胆)以外の個体(概ね変種var.delicatula「七葉竜胆」)である。原変種は、変種「七葉竜胆」に比べて、「花がより大きい」ほか、萼裂片の形の違いなどが文章で示されているだけで、実態が良く分かっていないようである。分布域も、この一群としては、地域(四川盆地の南)も標高(3000m未満)も、ほかと大きく異なっている。ということで、「原変種」の存在は無視をして、種「Gentiana delicatula七葉竜胆」としてしまえば良いのであろうが、まあ、そうもいかないのだと思う。そこいら辺の事情には、僕は興味がない。それでもって、とりあえずは(ほかの近縁数集団共々)ひっくるめて「輪葉竜胆Gentiana arethusae」とし、明らかにvar. delicatulaに相当する個体(あるいは集団)を「典型ナナツバリンドウ」として話を進めて行く。

(以下に記す最初の2つは印象的指標で“科学的”とは言えないとしても)
「花色が明るい空色」
「ふっくらした花筒」
「花冠裂片の先端に細い針状突起を備える」
加えて、顕著な「超小型ロゼット・クラスター」の存在。
それらが、「典型ナナツバリンドウ」に明らかに共通する特徴である。
輪葉や萼裂片や花冠裂片の数と形は、極めて個体変異に富み、分類指標としては適さない。

この地域の集団が、(僕が観察した限りに於いて)白馬雪山の集団と異なるのは、「典型ナナツバリンドウ」以外にも、別の特徴を持つ個体が混じっていることである。

すなわち、
「花色が紺色を帯びる」
「花筒が余り膨らまない」
「花冠裂片先端に針状突起を欠く」
「超小型ロゼット・クラスターはない」

これらの特徴を持つ(というよりも「典型ナナツバリンドウ」としての特徴を持たない)個体または集団(各各単系統群には所属しない可能性あり)の帰属を、どのように捉えていくか。次回(18回)の「香格里拉産」、その次(第20回)の「四姑娘山産」、次の次(第22回予定)の別series(華麗系)の「フタツバリンドウ」共々、これから追々考えて行こうと思っている。



雲南四川省境山地(中旬大雪山)稜線の僅かに(数10m)四川省寄り。標高4400m付近。2010.9.21(以下同)



黄色い花はベンケイソウ科キリンソウ属。この季節になると、他にはリンドウ科のサンプクリンドウ属の種、同タカネリンドウ属の種、キキョウ科の一種、キンポウゲ科トリカブト属など、限られたグループの花しか咲いていない。






ふっくらした花筒、明るい空色、輪生葉を伴った短い花茎、、、等々の特徴は、白馬雪山産の「典型ナナツバリンドウ」とほぼ相同。ただし、花冠の外面と内面の状線模様は、僕が出会った個体に関して言えばどれも明(白)色で、白馬雪山産の一部個体のように、外側の条線内が濃色になったり、内側に濃い青色の(疑似雄蕊のような)条線を生じたりはしない。






やはり、顕著な「超小型ロゼット・クラスター」が生じる。












花冠裂片の先には針状突起がある。









花冠裂片の数は、(同じ株であっても)個体差が著しい(4片~9片)。この個体は9片、主裂片間の副片を加えると18裂。



「白い石灰岩の鋸刃」の最上部の更に上に、もう一つ小さな岩塊があった。その周辺に咲いていた「輪葉竜胆」は、「典型的ナナツバリンドウ」とはやや異なった雰囲気を持っていた(本文参照)。












青味が強く、花筒は細目で、外側の明色部は心持ち黄緑色味を帯び、花冠裂片先端の針状突起を欠く。「フタツバリンドウ」にやや類似するが、茎葉は輪葉状になる。



この株は花筒がふっくらしていて、「典型ナナツバリンドウ」との中間的なイメージ。



青色:雲南省白馬雪山(標高3900~4100m付近)
空色:雲南・四川省境(標高4300~4500m付近)
黄緑:雲南省香格里拉(標高3300m付近)
緑色:四川省四姑娘山(巴朗山=標高4500~4700m付近/長坪溝=標高3300~3500m付近)
桃色:四川省雪宝頂(標高4100m付近)




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-15

2021-02-27 12:57:02 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回(第15回)は、次回(第16回)で取り上げる「ナナツバリンドウ」のもう一か所の撮影地、雲南/四川省境の中甸(迪庆)大雪山*について紹介しておきます。*雲南側山麓の翁水村では「貢千山」と呼んでいました。

今はどうか知りませんが、少なくとも10年ほど前頃は、観光地としては全く対象外でした(今もその可能性があります)。ただ、かなり多くの人には知られています。というのは、この山は四川省と雲南省の省境で、成都から昆明に向かう際、山(チベット高原)側のルートを採った人は、ここを通るからです。成都からだと3~4日目、昆明からなら2~3日目。

まあ、成都-昆明の移動だけで、わざわざチベット高原回り(外国人はチベット自治区を通過することが困難なので手前を横切るこのルートを選ぶことになる)をとる人はいないでしょう。実際に使うのは、雲南省の香格里拉と四川省の理塘(あるいはその間の稲城、郷城、翁水など)を行き来する現地民、中国人の観光客(概ね若者)、それに外国人のバックパッカー(バス2~3台に一人くらいの割合)ですね。

この山塊のすぐ東には、近年一気にメジャー観光地化した「四川省香格里拉(亜丁)」があって、そこに「雲南省香格里拉(中甸)」から向かう観光客も利用しています(もしかするとここを通らずに「両省香格里拉」をダイレクトに結ぶ道が一般化しているかも知れませんが)。

この、「成都昆明裏ルート」は、標高4000mを超す峠を7~8か所越えます。ただし、その大半に当たる康定の西から理塘の南までの「峠」(いずれも海抜4500m以上)は、峠というよりも平坦な「草原」です(理塘の町自体が4000mを超える)。

四川省側からでは、雲南省との省境近くになって「峠」らしい険しい山道になります。中でも最もダイナミックなのが、この省境の「大雪山亜口(亜口または山口は峠の意)」です。四川省側西南端の郷城の町から、雲南省側の翁水の村まで、数10㎞にわたる険しい道です。

この山群の主峰がどれなのか僕は知らないのですが、幾つかの資料をチェックしてみたところ、5090mと記されていたり5300mと記されていたりします。峠の標高は、大まかな等高線の入った地図でチェックして、おおよそ4500mぐらいと思われます。

他の山々のように「氷雪」の峰ではありません。なんとも形容しがたい怪異な姿の、おどろおどろしい赤や白の色に覆われた、特殊岩石の山々です。植物相や昆虫相も、さぞ魅力的と思われます。

ただし、ここを目的地に目指すには、車を(ガイド共々)チャーターしてということになります(僕にはそんなお金はない)。路線バスは、四川側からも雲南側からも毎日最低6本通るのですが、上下線ともお昼前後に峠を通過してしまうので、下車して探索後乗り換えるには時間が無さ過ぎる。帰路はヒッチハイクということになりますが、午後になると滅多に車が通りません。

せめて、路線バスの車窓からの眺めを満喫すればいい(僕は10回以上往復していてその都度車窓から写真を撮りまくっている)のだけれど、大抵の乗客は眠りこけている。山々の風景を眺めるだけでも、この路線バスに乗る価値は十二分にあると思うので、勿体ない限りです。

ということで、(車窓からの)風景写真は大量にあるのですけれど、実際に現地での撮影はほとんど行っていません(雲南省側の麓の村・翁水には何度も訪れているのに)。唯一、山に登ったのが、2010年の秋深く。昼の路線バスに乗り、峠頂で下車。そこから、(高山草原の下の森林から白い鋸の刃のように突き出している石灰岩の上端を目指して)辛うじて判別出来る踏み後を辿りながら、省境の山を探索しました。

蝶や植物の探索には完全にシーズンオフで、ごく僅かな種にしか出会えなかった(この時期に咲いていた植物は、リンドウ科三属の他、キキョウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科などの数種だけ)のですけれど、最大の収穫は、蝶では、シータテハ属の異様に赤味の強い翅の種Polygonia interpositaヒイロシータテハ(以前にもブログで紹介したことがあるはず)、植物ではナナツバリンドウを、それぞれ多数撮影出来たことです。

これらの種は、別に特殊岩石帯に固有の存在というわけでもなく、この辺りの高標高地帯に広く分布しているのでしょうけれど、見方を考えれば、この一帯(雲南省西北部の山岳地帯)が広く特殊岩石に覆われている、と捉えることが出来るのかも知れません。

ナナツバリンドウは、省境稜線に沿った山腹(白く煌めく不思議な石片に覆われていた)に数多く見ることが出来ました。その大半は、白馬雪山で出会った「典型ナナツバリンドウ」と相同の集団(花冠裂片や輪葉の数はバラエティに富んでいる)のようなのですが、中に、典型集団とはやや異なる個体も、少数ですが見出し得ました(それらを撮影したのは「鋸刃」上端ピークの周辺だったのだけれど、それが必然要因なのかどうかは分からない)。

それらの個体は、次回紹介する香格里拉産の個体や、その次に紹介する四川省四姑娘山の集団に何らかの相関性があるようにも思う(あるいはそれらを便宜上「広義の“ムツバリンドウ”」に一括所属せしめても良いのかも知れない)のですけれど、現時点では詳しいことは不明です。

いずれにせよ、もう一度この山々を訪ねたい(出来れば夏のシーズンに)、と想いながら、果たせないまま10年以上が過ぎてしまいました(最後に麓の翁水村に行ったのが4年前の夏)。

公共交通利用では山の上までの探索は難しい。2010年秋の探訪時も、帰りは日が暮れてしまい、車もほとんど通らず、半分くらい歩き通して、やっと出会った大型トラックに乗せて貰い、夜中になって麓の宿に帰り着きました(トラック運転手さんの親切は忘れられません、ここでお礼を言っておきます)。



雲南四川省境山地(雲南側)。右に見える石灰岩の鋸刃の頂まで行きました。2010.9.21



主峰と思える、おどろおどろしい表情をした山。2010.6.12(路線バス車窓から)



近くから見た“鋸刃”は、平たい本当の鋸のように見えます。2010.9.21



右下の針葉樹はコノテガシワ野生種。2010.9.21



この後、刃の頂上まで登ってみました。結構スリリングで、すぐに降りてきた。2010.9.21



遥か向こうに、麓の翁水村に至る道が見えます。果たして今日中に帰り着くことが出来るでしょうか? 少々心配になってきました。2010.9.21



省境稜線上にもう一つ小さな岩の塊があって、その裾にキキョウの仲間やナナツバリンドウが咲いていました。2010.9.21



峠を越えると、四川省側の岩峰が見えてきます。2010.6.12(路線バス車窓から)



四川省側に少し下った所からの眺め。白く見えるのは雪ではなく特殊岩石。2010.5.22(路線バス車窓から)



こちらは、第2回(ハガクレリンドウ)でも紹介した、雲南省側麓から見上げた省境山塊の一角。白く見えるのは、やはり雪ではなく、特殊岩石です。2010.9.21



省境付近の地図



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