青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

遺書 76

2020-10-08 20:39:39 | 香港デモ、新型ウイルス、日記


夢の中で中国にいた。いつも行く小さな渓流に蝶の撮影に行ったけれど、全然成果なし。相変わらず食事は不味いし、何もかもが出鱈目。中国なんだから仕方がないか。でも、どうやって中国に来れたんだろう? ここに来た推移を考えてみることにした。どう思い出そうとしても、イミグレーションを渡った記憶がない。もしかすると、これは夢なのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とまあ、寝起きに駄文を書き始めたら、いつもの「ですます調」ではなく、「体言止め(だ/である調)」になっていることに気付いた。「ですます調」に直そうか(いつもそれで迷って結局は直す)とも考えたのだけれど、今回はこのまま書き進めることにした。

僕は、元々は体言止めの文章を書いていたのだけれど、3年前「現代ビジネス」に書き始めたとき、「青山さんの文章は“ですます調”に統一します」とU氏が勝手に直してしまったので、今に至るまで、理由もなくそれを踏襲しているわけである。読者のコメントに、たまに「この作者の(ですますの)言葉使いは幼稚」という批判があるけれど、僕の責任ではない。といって、体言止めが僕の文章に合っている、というわけでもなさそうで、要するに文才自体がないという事なんだろう。

「言文一致」すなわち「会話」と「記述」を同じスタイルの文章で行う、という取り組みは、今から122年前(明治20年/1888年)、二葉亭四迷と山田美妙によって為された。現在に繋がる、一般的な意味での「小説」の概念自体が、その2年前1886年、坪内逍遥「小説神髄」とその実作手本ともいえる「当世書生気質」でスタートしている。

明治20年に於いて、今では、つい老大家のイメージが先行してしまう逍遥は29歳。四迷が24歳で、美妙に至っては弱冠20歳。2年後には既に「小説界」のトップに君臨していた尾崎紅葉と幸田露伴が21歳。紅葉や美妙と同じ大学予備門(現在の東大教養課程に相当)で漢詩や俳句を作っていた夏目漱石と正岡子規も21歳。翌年ドイツから帰朝し、逍遥四迷美妙に改革の先を越されて悔しがった森鴎外が26歳。

その明治20年、二葉亭四迷は「浮雲」で「言文一致」に取り組む際、最初「“でございます”」を考えたそうだ。逍遥に相談したところ、どうせやるなら「“だ”」にしよう、というので、それで行った。

ほとんど同時に、山田美妙(四迷とは幼馴染)が、全く別経路で「“です”」調の短編小説を発表。美妙のほうは、最初「“だ”」を考えたのだけれど最終的に「“です”」にしたそうで、「自分とはちょうど逆のパターン」と二葉亭は回顧している。

72歳の僕と似たり寄ったりの悩みを、最初の時点で20代の連中が抱えていたわけである。連中がよほど早熟なのか、僕が余程幼稚なのか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨夜は、とんでもなく酷い目にあった。

昼から立川のスタバにいて、夜9時55分、立川始発青梅行き電車で部屋に戻ることにした。この時間になると、度々ふらついて意識が遠のきそうになる。念のため(がら空きだったけれど)少し早めに乗車して、シルバーシートの席を確保するつもりでいたら、スマホに見入ったまま座ろうとする若い男性と交差して、滑って転倒してしまった。両手に物を持ってたので、胸と両膝を強打してしまった。左膝からは(その時点では気が付かなかったけれど)大量の出血。右膝は激痛で骨折の可能性も。何よりも、ぶつけた胸が苦しく、暫くの間、俯せになったまま起き上がれないでいた。席に座ろうとしていたスマホの若者は、(さも迷惑そうに)どっかに行ってしまった。むろん、他の乗客は見て見ぬふり。やがて駅員がやって来て、手を貸して席に座らせてくれた。

(これはまた別の機会に書くけれど)「痛風」の突然の劇症は、(僕の場合は)「怪我」に誘発されることがある。今回はそれとは違うように思うが、激痛は河辺駅に着くまで続いた(骨折はしていなかったことが翌日判明)。

立って下車するのが難しい状況。(安全を期すために)這いつくばってプラットホームに降りた。車両前方で、土砂降りの中、電車とのギャップから少しでも遠ざかろうと、プラットホームの内側に匍匐移動した。電車は、プラットホームの間際に這いつくばっている僕を無視するように、何事も無く発車して行った。

あとで思ったのだけれど、中央線などでの死亡事故の異常な多さも、分かる気がする。その大部分は「自死」として片づけられているようなのだけれど、実際には、昨日の僕と同じような状況下での「事故」も結構あるのではないだろうか?

河辺駅で下車した乗客は、誰も手を貸してくれなかったのだけれど、上り方向(立川行き)の電車を待っていた若い男性が、手助けをしてくれた。ちょうど電車が来て乗るところだったのを、ひと電車遅らせて、駅員さんを呼びに行き、車椅子に乗っかるまで付き添ってくださった。

駅員さんは、非常に親切に、「貴方のこと知ってますよ、いつもこの駅を利用して下さってますね、遅くまでお仕事大変です」と優しい言葉の対応で、タクシーの乗り場まで車椅子を押してくれた。

河辺駅で車椅子を使うのは6年ほど前以来。その時は痛風の激痛で、東京駅、成田空港駅、搭乗時、香港到着後にも、それぞれ車椅子のお世話になった。今回、その時のお礼も言っておいた。

住民の一人として、河辺駅を誇りに思っている(よって河辺駅と福生駅ではキセルとかしない)。何年も前から、「困っている乗客がいれば手助けをしてあげてください」と放送し、実践もしている。この駅の伝統として続けられているのだと思う。

この数か月間、主に河辺から福生への乗車時、車掌さんに「僕は肺が悪いので、出来るだけマスクをしないように、と主治医に言われています、マスクを外して、隅の方に立っています、それと、冷房に弱いので、窓を少し開けさせて貰います、ご了承ください」と伝えている。

どの車掌さんも、いつも、「もちろん良いですよ、心配なさらずに」と笑顔で応えて下さる。たぶん、これが本音なのであろう。一対一の時は。でも、「社会の中の一人」として対するときは、そうはいかない。

自分の本音より、「社会の空気」「無意識強要同調空気」が、何よりも大事なわけである(日本人は「シャイ」だから、仕方がない、と僕は皮肉っている)。

昨夜の僕と同じようなことが起こると、中国では、大変なことになってしまう。大勢の乗客が、我先にと助けに押し寄せること必至である(多くの日本人は、全く逆の事実を「妄想」しているわけだが)。

日本人は、余計なことをしない、ある意味、それがマナーなわけでもある。後のことを考えて、慎重に行動する。リスク管理が徹底している。車内や河辺駅で手を貸してくれなかった人たちは、リスクを回避することが出来た。手を貸してくれた人は、ひと電車乗り遅れる、というリスクを冒してしまった。

その点、中国人は、後先を考えずに、反射的に行動してしまう。一党独裁による、「弱者には親切にしなさい」という通達(「命令」「洗脳」と言っても良いだろうか)。だから皆、お年寄りには本当に親切なのである。

民主主義社会には、そのような「命令」は必要ない。皆が「自由」「勝手」に行動すれば良いわけだ。「自由」の同義語は、「力」「自らを守る権利」「自分への利益を齎す権利」。「民主主義」の同義語は「弱肉強食」「強いもの勝ち」。

「強い」、という言葉の意味は、物理的に(あるいは「攻撃的」という意味で)「強い」ということだけではない。「避ける」「生き延びる」といった要素のほうが、メインにあるようにも思える。

「空気に乗る」ことが、勝者であり、正義なのである。空気に従った「協調」は、究極の「自分“達”勝手」の、行き着くところであろう。

「種」(例えば人間/ホモ・サピエンス)にとって最も必要なことは、「流れる空気=風」であり、個にとって最も必要なことは、「留まる空気」。「種」と「個」の必須事項は、常に対極にあり続ける。

ところで、「一党独裁国家」のスローガン(写真①参照)、別に「日本の民主主義」の主義主張と、さして変わらないように思うんだけれど。日本の行政だって、こんな(写真②参照)ぶっ飛んだお触れ出しているわけだし。

・・・・・・・・・・

小沢一郎(78歳)と中村喜四郎(71歳)が、まさかの共闘。それも共産党を軸にして。今更こいつらの出る幕ではない、というのが世間一般の反応だろうが、面白くなってきたことは確かである。

今や、日本の「民主主義社会」は、独裁「中国共産党」を上回る“実質共産主義化”しているのではないか、とも思えるので、本家?登場で、搔き乱してみても面白いのではないかと、僕は考えている(日本の大衆は「共産主義政治体制」は嫌いなんだけれど、多分「共産主義的社会構成」には、非常に親和性があるのではないか、と密かに思っている)。

・・・・・・・・・・・・・・・

追記

街角に立って無許可で自分の作品(DVD)を販売したら、逮捕される可能性がある由。それで「価格を付けずに配る」と三世に伝えたら、「青山さんなんか逮捕しても意味ないので、心配しなくても良いと思います」という、失礼な返信が来た。

「逮捕して意味がある人は逮捕されません」
「逮捕しても意味がない人が逮捕されます」
「それが日本の社会です」
と返信しておいた。

//////////////////////


写真① 「富強/民主/文明/和諧/自由/平等/公正/法治/愛国/敬業/威信/友善」


写真② 「この街は/通報する街/見てる街」




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする