読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。
【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?
【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。
*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。
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いつもの事なんですけれど、「上」「下」2回に分けて書くと、「上」をアップした時点で、安心してしまって「下」をアップしないまま時間が過ぎて、結局お蔵入りになってしまいます。それで、(写真を選んでいると混乱してしまうので)余り考えずに、残りの分をアップしちゃいます。
昨日の分はあや子さんに送信した時点でタイトル書き忘れていて、指摘されて慌てて「無題」ということでアップしました。「続・無題」です。
僕の記事は、蝶や植物の話でも、コロナやロシアの話でも、中身は同じなんですね。
「俯瞰的に対する」
「“かのように”という前提に立っていることの自覚」
だから、「無題」でも良いかと思っています。
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写真⓵~⓼
ベニシジミ
昨日紹介した“ブルー”3種は、それぞれポジションが異なるにしろ、暖地性の、いわゆる南方系の蝶です。日本の各地でポピュラーな“ブルー”としては、他にルリシジミとツバメシジミがいて、ともに(どちらかと言えば)北方系の蝶です。このうち特にルリシジミの存在感がなんとなく薄れつつあるような気がしていて、、、単なる思い込みなのでしょうが、環境云々とは関わりなく「種」としての勢力が弱まりつつあるのではないかと、去年このブログに書きました。一方で、ルリシジミ(やツバメシジミ)と世界的な視野でほぼ一致する分布圏を持つベニシジミは、“北方系種”の代表として大健闘しているように思います。3種とも北から南にじわじわと分布を広げている(ルリシジミは頭打ちですが)ことも興味深いです。
写真⓸は産卵。地表に茂る草の中に潜り込むので産付現場を写すのは結構難しい。
夏は高温期型(翅表が黒鱗に覆われる)、春に低温期型(翅表は鮮紅)が出現し、晩秋に再び低温期型に置き代わるようです。今の季節は、両タイプを見ることが出来ます。
写真⓵と⓹に注目してください。10月20日と10月30日の撮影、同一個体です。鱗粉の鮮度が10日間でこれくらい落ちるという実証モデルです。
写真⓽~⑰
チャバネセセリ
こっちは、暖地性(南方系)の種の代表ですね。この時期には通常イチモンジセセリと一緒にいることが多いのですが、今回出会った個体(毎日多数)は、全てチャバネセセリでした。そのあたりのことについての感想は昨日書きました。早計に答えを出しちゃいかんでしょうが、南方系北方系に関わらず、(温暖化とか環境変化とか以前の要因を基にして)栄枯衰勢が繰り返されているような気がします。⓽⓾は産卵。
写真⑱~㉖
キチョウ(キタキチョウ)
蝶は(全ての野生生物は、と言って良いかも知れない)は“忍者”です。キチョウの逆光静止時は、完全に周囲に溶け込んで存在が分からなくなりますが、普通に(順光で)止まっていてもなかなか分からんですね(㉖)。半面、飛翔中は鮮やかな黄色が非常に目立ちます。何頭かがチラチラ飛んでいれば(⑳㉔)、その繁みの中に別個体(雌とは限らない)が止まっているわけですが、それが分かっていても、なかなか見つけ出すことは出来ません(㉑-㉓㉕)。
写真㉗
ツマグロヒョウモン
こいつも(昔はともかく今は)どこにでもいる蝶で、いわゆる「駄蝶」の代表種でもあるのですが、駄蝶No.1のヒメアカタテハ(今日11月1日に一頭撮影)ともども、実に美麗な種です。もっともそれは雌。雄はつまらんですね。でもよく見ると結構美しい。実は、通常は雌ばかり見かけるのですよ。でもこの一週間、ここで出会った個体(群がるように飛んでいる)は全て雄。雌には一回も出会っていない。不思議です。
熱帯アジアのほぼ全域に分布していて、地域変異は全く無いようです。ただし唯一の例外として、インド南部(デカン高原およびおそらくセイロン)産は、他とは違う翅型をしていて魅力的です。近縁種が他に無く、1種だけが広い地域に普遍的に(かつ共通形質を保って)分布している蝶といえば、次に紹介する東アジア広域分布種のアゲハチョウ、前に紹介した北半球広域分布種ベニシジミ、それに(蝶で唯一の)ほぼ世界共通分布種ヒメアカタテハなどがありますが、どれも不思議な共通項があって、広い分布圏の片隅に棲む特定の地域集団(通常唯一の近縁別種とされる)だけが、思いっきりユニークな外観をしている、ということです。アゲハチョウはルソン島のベンゲットアゲハ、ベニシジミはアビシニア高地(エチオピアなど)のヒイロベニシジミ、ヒメアカタテハはオーストラリアのミナミヒメアカタテハ、、、、。このような組み合わせは、むしろ生物地理上の「基本パターン」なのかも知れません。
写真㉘
アゲハチョウ
去年の霞丘陵では一枚たりともアゲハチョウ(アゲハ、ナミアゲハ)のまともな写真を撮ることが出来なかったのですが、今回は一発で撮れました。どこからか飛来して一瞬止まって翅を開き、すぐまた飛び去って行った。今んところ、出会ったのはこの一頭きりです。
これまでにも何度か書きましたが、種としてのアゲハチョウは、それはもう大変に(生物地理学的視点からみて)重要で魅力的な存在なんですよ。いろんな意味で、東アジアを代表する生物を一種挙げる、となると、このアゲハチョウになるかと。究極の“遺存種”で、究極の“繁栄種”。
話は変わる(これも前にも書いた)けれど、アゲハチョウの仲間は、いわゆる“パピヨン”であり、「蝶の中の蝶」のわけですけれど、実は、特定の視点から厳密な意味で捉えれば、「蝶」ではないとも言えるのかも知れないのですね。
ちょっと前までの教科書には、こうなっていたはずです。いわゆる「蛾」(鱗翅目、またはチョウ目あるいはガ目)には、様々なグループがあって、そのうちの「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」を合わせた一群を、便宜上「蝶」と呼んでいる。その他すべてを併せて、便宜上「蛾」と呼ぶ。大半の蝶は「アゲハチョウ上科」に所属し(アゲハチョウ科のほか、シロチョウ科、タテハチョウ科、シジミチョウ科など)、バタフライとかパピヨンとか呼ぶ。「セセリチョウ上科」はセセリチョウ科のみから成り、(外観的にも血縁的にも)どちらかと言えば他の蛾との類似点が多く、バタフライとは別のスキッパーとして認識されている。
それで、なんとなく、地味で目立たないセセリチョウは「原始的な一群」、派手で良く目立つアゲハチョウは「進化した一群」として認識されているように思います。でも、それはちょっと違うんじゃないの?と疑問を持ち続けてきました。
だって、アゲハチョウ科の多くの種の食草は、被子植物の中では最も原始的な、モクレン目やウマノスズクサ目で、セセリチョウ科の大多数の種の食草は、最も新しい時代に繁栄を遂げたイネ科などの禾本科植物。それを考えれば前者が原始的で、後者が進化の末端にあることは一目瞭然のはずなんだけれど、「地味なものが原始的」「派手なものが新しい」という先入観念は、そう簡単には覆らない。
教科書にそうなっているのだから受け入れるしかなかったわけですが、近々、教科書記述自体が変わりそうですね(笑)。「蝶の代表であるアゲハチョウの仲間は実は典型的な蝶ではない」「むしろいわゆる蝶ではないとされてきたセセリチョウの仲間こそが典型的な蝶の一員」。
面白いことになって来そうです。