青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

日本国内絶滅第1号種オガサワラシジミと、ルリシジミ、スギタニルリシジミについて(その3)

2024-02-29 07:46:08 | 日本の蝶、中国の蝶



 
オガサワラシジミLycaenopsis(Celastrina)ogasawaraensis

小笠原母島乳房山 Aug.1,1988 (花は小笠原固有植物のシマザクラ)

【以前作成した絵葉書より】



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真正ルリシジミ属(Celastrina)以外のルリシジミ類の過去撮影写真紹介の続きです。



■Penudara [Eliot & Kawazoe 1983] サツマシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:Ringは幅広く下半部が短く、vinculumは中央付近で陥入する。Tegumenと

Sociuncusの間に明瞭な節間膜が発達。Sociusは鋭頭(屈曲せず、種によっては基部下方にgunathusに相当する一対の鋭突起が発達)。Juxta両翼は短く幅広い。Phallusのcoecumは良く伸長。Valvaは前後に短く基部が幅広い。



★前回に記したように、♂交尾器の特徴と、属全体の分類のバランス上、暫定的に独立(亜)属として扱う。主に大陸部アジア熱帯に分布するサツマシジミに、スマトラおよびフィリッピン産の各1種を加えた3種。日本産の種としては、後翅裏面外縁沿いの黒点列のうち内側の一列を欠くことで他種との区別が容易だが、国外には別グループの種にも同様の特徴を示す種が少なからずあり、注意が必要。





サツマシジミLycaenopsis(Penudara)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea

四川省都江堰市 May 27,1990





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

ベトナム・ファンシーパン山 Nov.2,2015



2004年以前はポジフィルム撮影のデジタルスキャン、2005年以降は初めからデジタル撮影。しかし共に整理が中途半端で、原版写真をなかなか見つけ出すことが出来ない。トリミングしてあるのだけを見つけ出しても、それをブログに貼り付けると、異様に大きくなったしまう。そこでわざわざパソコンのデスクトップに映し出した写真をカメラで撮影して全体を小さくしてからブログに貼り付ける、という面倒な手順を経ている次第である。



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea 吸水集団

屋久島Aug.2,1984





左:ヤクシマルリシジミL.(A.)puspa/右:サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島Aug.2,1984



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■Acytolepis [Toxopeus,1927] ヤクシマルリシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:Ringはやや丈高で下部が細まる。Vinculumは中央から背方に向け強く嵌入。

Sociusは鈍頭(種samangaでは鋭突)で横から見るとほぼ三角形。Juxtaはやや短かめ。Phallusのcoecumは丸味を帯びるが余り伸長しない。ValvaはCelastrina同様、後縁2か所が突出、ampulla部は腕状に伸長する。



★5種がアジアの熱帯域に分布。うちヤクシマルリシジミは、日本列島南部(定着地北限は紀伊半島)、中国大陸南部、台湾、フィリッピン、スンダランド、インド亜大陸、セレベス周辺諸島などに20亜種が知られ、季節や地域ごとに斑紋の変異が著しい。



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♂

屋久島 Aug.29,1984



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♀

屋久島 12月(詳細データ探索中)



 

ヤクシマルリシジミL.(A.)puspa 産卵(ツツジ属)

屋久島 12月(詳細データ探索中)



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa 産卵(テリハノイバラ)

屋久島 12月(詳細データ探索中)





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♀

雲南省高黎貢山 Jul.6,2007





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

雲南省高黎貢山 Jul.6,2007



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

深圳市 May 17,2016 (photo by Monica Lee)



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017



この写真(さっき写真を整理中たまたま見つけた)の2個体と、前2つの写真の個体は、同一日時・同一場所に隣り合ってとまっていた。前2個体(16時34分撮影)はヤクシマルリシジミであることは間違いないので、こちら(16時35分撮影)は(ヤクシマルリシジミ乾季型の可能性も考えたが)別の種と思われる、、、、というより、タッパンルリシジミだね。でもタッパンルリシジミは昨日アップしてしまったし、一応ヤクシマルリシジミの項目で紹介しておく。



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

恥ずかしい話だけれど、タッパンルリシジミとヤクシマルリシジミが区別できなくなってしまうことがある。写真上左(屋久島Aug.2,1984)と下2枚(「中国のチョウ」香港Des.28,1989)はヤクシマルリシジミ。上右は一応ヤクシマルリシジミとしている(「中国湖蝶野外観察図鑑」雲南省梅里雪山Jul.25,2014)のだけれど、あるいはタッパンルリシジミ?



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■Lestranicius [Toxopeus,1927]



★♂交尾器の特徴:Valva内面に隆起状、harpe側の縁に鋸歯列を備える。



★中国雲南省南部~インドシナ半島北部産(紹介種)と、フィリッピン産の、計2種からなる。



 

Lestranicius traspectaus

雲南省高黎貢山 Jul.30,2004

リアルタイムではヤクシマルリシジミ(雨季型)のつもりで撮影した。



 

Lestranicius traspectaus

雲南省高黎貢山Jul.30,2004

産卵植物はカシ類?



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*参考として:

タッパンルリシジミやヤクシマルリシジミ(乾季型)に外観がよく似たルリシジミ類の1属Oreolyca(4種)が熱帯アジア(おそらく中国大陸南部を含む)に分布。この属は、ルリシジミ節Lycaenopsis‐section(本コラムでの広義のルリシジミ属)としては例外的に♂交尾器に明瞭なbrachiumを備える(狭義のLycaenopsis属=1属1種=にも痕跡状のbrachiaあり)。



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前回の訂正:

*前回のキャプション、タッパンルリシジミ5枚目(誤:四川省都江堰市青城山 May 27,1990→正:雲南省梅里雪山明永 Jul.9,2012)、同6枚目(誤:四川省梅里雪山明永 Jul.9,2012→正:四川省都江堰市青城山 May 27,1990)、同7~8枚目(誤:四川省→正:雲南省)、9枚目(誤:四川省梅里雪山明永 Jul.12,2012→正:四川省宝興県東拉渓谷Aug.7,2010)。



*ヒメサツマシジミL.(U.)asakaの同定は正しくないと思う。サツマシジミL.(P.)albocaeruleaの変異型(もしくは僕が特定できなかった別の種?)としておくのが妥当だろう。



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次回から、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、オガサワラを含む、真正のCelastrinaについて述べていく。















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