青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

「週刊:中国(および東アジア)の蝶」 予告

2021-12-14 21:26:28 | コロナ、差別問題と民主化運動、予告



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

元旦スタートで、毎週100頁ほど、トータル52冊の「週刊:中国(および東アジア)の蝶」を刊行していく予定です(印刷製本費が一冊1400円前後、売値2800円前後で通販図書へのマージンを差し引いて500円弱の収入、毎週10人の顧客がつけば月に2万円の収入なので、生活費のかなりの助けになると目論んでいます)。

今、1月8日号「キマダラヒカゲ」(1月1日号の「ベニシジミ」に続く第2回目)を纏めている最中なんですが、、、、もう色々と大変で、精神的に疲れ果てています。内容構成だけでも途方に暮れている状態なのに、書き上げた文章を自分で英訳/中国語訳しようとしているわけで、、、。

英語は(辞書を引きつつ)まず自分で書いてから自動翻訳機でチェック、中国語は(日本語文を自動翻訳機にかけると、トンデモ中国語になってしまうようなので)原則英語から自動翻訳し、適当に整えていきます(あとでモニカにチェックして貰う)。

何が大変かと言えば、英語のセンテンスは、日本語の倍ぐらいになってしまうということ。もともとスペースが限られているので(日本語だけでもキチキチ)写真や文字を小さくしていくしかありません。でも限度がある。

でもって、英語を無理やり短くする。まず、冠詞とか接続詞とかは無視します(それで良いんだろうか?)。とにかく最終的に自動翻訳機でチェックして、意味が通じていればよい、と。

それで思ったのですが、(前にも言ったっけ?)なんで英語はこんなに長ったらしくなって、中国語は短くて済むのだろう?

言葉の違い、というのは、感受→思考→表現→伝達の(根本的な)方法の違いなんですね。結局のところ、価値観の違いなんかに繋がってくるのではないか、とか思ったりします。

英語表現は長ったらしい、中国語は(これで良いのか?と思うほど)短い。民主主義とは何か、みたいなところの根源的要素にも関係しているんじゃないでしょうか?



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2021.12.13 日記

2021-12-13 21:20:48 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

今日のネットニュースに、50年?ほど前の、早稲田大学(学生運動)リンチ殺人事件当事者の一人の著作が紹介されていました。
「集団的狂気」の只中にいた、と。
何をいまさら、、、。

僕も、同じ頃、東大農学部(千葉演習林)で集団リンチを受け、もう一歩で殺されるところでした。

加害者たち、様々な分野で日本の舵取りをして、「正義」の側に立っていたのですね。

日本は、ずっと変わっていない。

昭和から、
明治から、
そのずっと前から、、、、。

・・・・・・・・・・・・・

これまで、ヤフコメのコメントで、(そう、まさしくその通り、と)特に心に残った言葉が2つあります。

ひとつは以前僕自身の記事(「現代ビジネス」)に何度かコメントをくださった【もしかしてあの時の海老さん】という、日本に帰化した中国人の方。彼の言葉には共感を覚えるものが非情に多くありました。日本の本質をズバリ言い当てた次のフレーズもそのひとつ。
>日本の最大の欠点は、“言論の自由と言う不自由”が存在すること。
僕は、次のように解釈しています。
発言の自由はあっても、伝達・拡散の自由はない。
自由に名を借りた(結果としての)一方的な「正論」の構築。
自由とは、上(多数)が下(少数)を制圧する手っ取り早い洗脳の手段なんでしょう。

ごく最近では、【*****さん(これがハンドルネーム?)】の言葉。
>ある意味、『多様性』を認めるという旗印の元、『単一性』が求められているとも言えるのが皮肉ではありますね。

・・・・・・・・

明治維新の頃の日本は、なんせ「日本語の国語を英語かフランス語にしよう」という有識者の意見があったぐらいです。さすがにフランス語にはならなかったけれど、「仮名や漢字を止めてローマ字を使おう」という動きは、もしや成立、という寸前まで行ったようです。

明治20年前後になると、それが逆方向にリバウンドします。日本調の懐古復活。「愛国」「日本素晴らしい」が時代のトレンドとなる。

また20年ほど経つと逆方向へ。そしてまた、、、、。

どっちかに行くのです。

どっちかに行ってよいのだ(行くべきである)、という「結果としての推奨」が民主主義の「自由」です。それを主導しているのは大衆です。そして大多数の大衆は、自分たちは平均である、あっちでもこっちでもなく、「中間」にいる、と信じています。実は大多数の大衆は「どっちか」の中に於いてでしか、自分の立ち位置を確かめることが出来ない。どっちつかずの人間は、どっちかの「中間」だけ(複数の場合も)で成り立つ社会からは取り残され、排除あるいは無視されてしまう。その繰り返しで歴史は進んでいるように思います。

・・・・・・・・・・

“ローリング・ストーンズ誌Rolling-stone Magazineが大嫌い”という話を書くたびに「注:ローリング・ストーンズは大好きです」と“注”を付け加えなくてはなんない。ちなみに僕の大好きなメジャーバンドは、ローリング・ストーンズとビーチボーイズです。ミック・ジャガーとブライアン・ウイルソンではなくて、ローリング・ストーンズとビーチ・ボーイズです(むろんミックやブライアンも好きですが)。

先日、モンキーズのメンバーの1人、マイク・ネスミスが逝去しました。

ヤフーニュースの
〈「ザ・モンキーズ」のマイク・ネスミス氏が死去。78歳。60年代後半に一世を風靡。〉
の記事に、こんなコメントがありました。

>モンキーズはメジャーになれなかったけど、イイ楽曲がありました。
そこで、リコメントを。
milk*****
>モンキーズは超メジャーですよ。でも、現役時代にいくら実績があっても、現代の権威(ローリングストーン誌)が認めなければメジャーとは見做されないんですね。歴史は、権力の力(それは大衆に伝染・洗脳していく)で作られるのです。

僕は モンキーズ好きじゃなかったし、今でも別に好きではありません*。彼らの音楽が好きでない、と言う事ではなく、登場の仕方とか、立ち位置とかに拒否反応を示してしまう。そりゃそうです。同じような想いを持っている人は、僕だけじゃないと思う。

*念のため。以下の記事は、モンキーズを貶めるために書いているのではなく、彼らを擁護する想いで書いている、ということを御承知置き下さい。

ビートルズが登場し、ブリティッシュ・インベーションが始まってから一年程あと、商業的な目論見でその新しい波に乗ろうと企画・形成されたのが、モンキーズです。

ビートルズにしろローリング・ストーンズにしろビーチ・ボーイズにしろフォー・シーズンスにしろシュプリームスにしろ、、、大抵のグループは、若い頃に友達(兄弟含む)同士が集まって形成されています。

上記の5組で言えば、オリジナルメンバーは併せて21人。うち、実はビートルズだけがメジャーデビュー時に「商業的」な思惑からメンバーを入れ替えている(ピート→リンゴ)のですね。その前にスチュも去っているし、“純粋な形”で(オリジナルメンバーのままで)ブレイクした上記の他4グループとは違って、スタートの時点から商業ペースに乗って、まんまと成功を手にしたのがビートルズというわけです。

その路線を、遥かに露骨に継承したのがモンキーズ(名前からしてダサい)。オーディションで募った、即席の4人組バンドです。ビーチ・ボーイズのように(最初からメンバー間の意見がバラバラのまま)試行錯誤しつつ自分たちの音楽を作って行ったのではなく、周囲の大人(力のある人たち)によって全てが準備され、そのままスターダムに登った、いわゆる典型的な“アイドル”。

中身は(いわゆる)旧態依然なアメリカン・ポップス(なにしろニール・ダイアモンド*の作品だし)なのに、表向きは「新しい時代のロック」のジャンルに入るわけです。

注:ニール・ダイアモンドは、“ポップス黄金期”にデビューし、しかし乗り損ね、黄金期が終わってからブレークしたのですが、そのようなアーティストの大半が“黄金期”の匂いを消すことによって「新しい」社会に認められたのに対し、“黄金期”のティストを保持したまま「新時代」に切り込んでいった稀有な存在だと思っています。

ジョニー・ティロットソンの1967年の自作曲に「ロング・ヘアー・コミュニティ」(僕は勝手に「ビートルズなんて怖くない」という邦題をつけています)というのがあって、歌詞に、ビートルズ、ストーンズ、ラヴィン・スプーンフル、ソニー&チャー、ママズ&パパズらとともに、モンキーズも登場します。

「髪の毛伸ばしたらミリオンヒット」と揶揄っています。で、自分もあやかって髪の毛伸ばしてお零れを頂戴しようとしたのですが、結局時流には乗っかれずに置いて行かれました。

モンキーズは、(上手く大衆を騙しおおせて、笑)「新時代」の一員として(ティストは旧時代であっても「色」はついていなかった)大成功を納めます。その結果、60年代後半の数年間は、ビートルズの対抗馬的なポジションにまで上り詰めました(リアルタイムでは、メジャーもメジャー、大メジャーです)。

モンキーズ、1966年から3年間のビルボード・シングル曲のチャート成績。
1位‐1位‐2位‐3位‐1位‐3位‐19位‐62位‐135位以下(ホット100+アンダーパブリング内にチャートされず)。
アルバムのチャート成績。
1位‐1位‐1位‐1位‐3位‐45位。

同期間(66‐68年)のビートルズはどうでしょう。
シングル。
3位‐1位‐2位‐1位‐1位‐1位‐4位‐1位。
アルバム。
1位‐1位‐1位‐1位‐1位。
さすがに凄いです。

ローリング・ストーンズ
シングル。
2位‐1位‐8位‐9位‐1位‐14位‐25位‐3位‐48位。
アルバム。
2位‐6位‐2位‐3位‐2位‐5位‐3位。

ビーチ・ボーイズ
シングル。
3位‐8位‐1位‐12位‐38位‐19位‐47位‐20位‐61位。
アルバム。
10位‐41位‐24位‐126位‐8位‐50位‐153位。

フォー・シーズンス
シングル。
9位‐13位‐9位‐10位‐16位‐9位‐30位‐24位‐103位‐61位。
アルバム。
50位‐37位‐34位‐176位。

シュプリームス
シングル。
9(7)位‐1(1)位‐1(1)位‐(1)位‐2(12)位‐ 9(4)位‐28(16)位‐30(17)位‐1(43)位‐2(2)位。  
アルバム。
119位‐2位‐20位‐33位。

ボブ・ディラン
シングル。
9位‐10位‐2位‐81位‐135位以下(ホット100+アンダーパブリング内にチャートされず)‐同。
アルバム。
25位‐7位。

参考として、61‐63年のジョニー・ティロットソン。
シングル。
35位‐3(4/6)位‐17(5/11)位‐24(8)位‐24(11)位‐18(4)位‐50(16)位‐7(6)位。
アルバム。
120位‐8位‐ランク外‐48位‐ランク外‐148位。

ちなみに、61‐63年のアメリカにおけるビートルズ(リリースされたシングルのチャート)。
ランク外‐ランク外‐116位‐ランク外‐ランク外。
で、その直後、64年に入って突然、1位から5位まで独占、ホット100に12曲同時ランキング、、、と相成るわけです。

*シュプリームスの()はR&Bチャート、ジョニー・ティロットソンの()はC&W/Adult contemporary/R&Bチャート。ほか5組は該当時期のポップス以外のチャートにはランキングされず。

ローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズ、フォー・シーズンスは、キャリアハイが僅かにずれる(64-65年がキャリアハイ)としても、モンキーズが“リアルタイム”では、如何にメジャーな存在であったかを、この数字でも知ることが出来ます。

ジョニーは、66‐68年になると、かすりもしません(100位以下に2曲、C&Wチャートに2曲)。ほかの“ポップス黄金期”の歌手たちもほぼ同じ。彼ら全員が「新時代」の波に飲まれて駆逐されたのに、旧時代のティストのまま「新時代」の波に乗って(装いを纏って)、まんまと成功を収めたモンキーズに腹が立って嫌いだったわけです。

ビートルズ以降の主流ティストは、「ローリング・ストーンズ誌」推奨の“カウンター・カルチャー”ですね。既成権力への抵抗。主張。魂の叫び。ドラック。不良。ロックです。

モンキーズの場合は、時代は新時代なんだけれど、中身は旧ティスト。なんせ作詞作曲ニール・ダイアモンドですから。

以前、ブログにニール・ダイアモンドの「ソング・サング・ブルー」の事を書いた時にも記したと思うのですが、(アメリカ発ユーチュブの)誰かのコメントに、こんな要旨の意見がありました。
>世の中の人種は、ニール・ダイアモンドを好きな人間と、嫌いな人間の2種類に分かれる、俺とヨメは種類が違うので、離婚した(*どっちがどっちだったか覚えていませんが)。

僕はどっちでもないんですけれど、なるほどと、妙に納得しました。

ニール・ダイアモンドの実績をもってすれば、さすがにローリング・ストーンズ誌も無視できないでしょうけれど、彼は「新しい音楽の古いティスト」、、、反ローリング・ストーンズ誌的象徴だと思います。現在における評価(日本に於ける一般的な知名度とか)はどうなんでしょうね。

*今チェックしたら、ローリング・ストーンズ誌の選ぶ“最も偉大なミュージシャン” (ニール・ダイアモンドは過小評価されて20位前後ぐらいかな?と予想していたのだけれど)ベスト100にも入ってなかった。

ニール・ダイアモンドはともかく、僕はモンキーズのことは、ほとんど何にも知らないのですけれど、背が高くもみあげがカッコいい、マイク・ネスミスのビジュアルは良く覚えています。

数年前、メンバーで最初に亡くなったのが、最年少で突出した(当時にあっての一般的な)人気のあった(まんまアイドルの)デイビー・ジョーンズですね。確か90年代に、ジョニー・ティロットソンと一緒に来日して、ジョイント・コンサートを行っています。そのことだけでも、後になって(ジョニーなんかとほぼ一緒くたにされた)泡沫ミュージシャンとして無視されてしまっていることが知れます。

以前、ハーマンズ・ハ―ミッツのピーター・ヌーンの“ローリング・ストーンズ誌評”みたいなこともブログ(たぶん「社会の窓から」のほう)に書きました。

当時「新しい時代のアイドル」として爆発的人気のあった、ハーマンズ・ハーミッツとか、ゲイリー・ルイス&プレイボーイズとか、モンキーズとかの唄う(ある意味「新時代の純オールデイズ」の)曲は、ロック(=カウンター・カルチャー)ではない、ということで、後年になって(ロックの歴史から)排除されてしまっているわけです。

ということで、間違いなく超メジャーであるモンキーズをマイナー呼ばわりしているヤフコメのコメントに反応してしまったのですが、確かに現在のローリング・ストーンズ誌的価値観の物差しでは、メジャーと言うカテゴリ―には入らないのかも知れません。「リアルタイムでは超メジャー」「現代の共通価値観ではマイナー」ということなんでしょうね。

「アイム・ア・ビリーバー」
「リトル・ビット・ミー、リトル・ビット・ユー」
。。。。。。。
素適な曲です。

・・・・・・・

今「中国の蝶」の改めての纏めに取り組んでいます。

1998年に刊行した400頁余の「中国のチョウ」、自分では内容の濃さを自負してるんですけれど、、、ほぼ完ぺきに無視されちゃっているみたいです。なぜ無視されるのか? それについては色々と検証していきたいことがあるのですけれど、結構面倒な話になるので、とりあえず「僕が“アカデミックな世界”“マニアックな世界”ともに背を向けていること」と総括しておきましょう。

白水隆先生が、亡くなる少し前に、(私信で)激賞してくださった。柴谷篤弘先生からも、長文の感想を頂いた。僕としては、それで充分満足ではありますが。

でも、許せないことが幾つか(と言うよりも数多く)あります。この「中国のチョウ」に限らず僕の報文(論文という言葉は好きじゃないので自分の書いたものに対しては使わない)を読んだ何人から、「誰それが既に発表している、盗作じゃないか?」と。冗談じゃない、盗作の被害に会っているのは、こっちのほうです。

今、ちょっと驚愕の出来事に遭遇しました。
12月3日付けのヤフー記事。
「岩波ジュニア新書2冊、絶版し回収に、読者の指摘で著作権侵害が発覚」
この記事に対するコメントを入れて置きました。
その作者の方とは面識はないし、どちらかと言えば、擁護に近い内容です。僕自身の体験に基づく、かなり切り込んだ意見なのですが、もちろん固有名詞とかは一切使っていません。
結構、(いい意味での)リコメントの反応も得て、表示されていました。
それを再チェックしようとしたら、いつの間にか僕のコメントが丸ごと削除されていた。これはどういう事なんでしょうか?(下書きを取って置かなかったので再表示が出来ない)
恣意的に為されているのでしょうが、思い当る節もないし、、、、かなり不思議です。

それはともかく、(白水先生や柴谷先生ら突き抜けた存在の方々は別として)アカデミックな世界の住人や、マニアックな世界の住人の「権威欲」「名誉欲」は、半端じゃないです。

例えば、(極論を言えば)新種記載の(名誉獲得の)ためにworkをしている、としか思えないような人たち。本当に研究の対象に興味があるのならば、そんなことはどうでも良い(記載や論文は出発点であってゴールじゃない)と思うのだけれど、それをゴールだと思っている。それはもう醜いものです。

ひとつならず同じ文面に遭遇しています。
「この事実を最初に発表したのは青山と言う人だが、彼は正式な研究者じゃないので無視しても構いません、私が最初です」
それが「正論」として通るのが、今の世の中の仕組みのようなのです。

・・・・・・・・・・・・・・・

繰り返して言うけれど「コロナ」は、僕の言ったとおりになりつつあるでしょう(笑)。まあ、こんなことの“先取権”なんて、どうでも良いですけれど。

僕は、(極論すれば)「(いわゆる)コロナなど存在しない、マスクもワクチンもいらない」と、“陰謀論”めいた事を(笑)ず~と言い続けているわけですね。すると(当然ではありますが)、
「こいつバカか」
「想像力に欠けた自己中なやつ」
と言われるわけです。

そう言ってた連中が、今になって僕と似たような事を言い始めている。

それは良いんですよ。僕の指摘も、まあ、少しは役に立ったかも知れんし。

でも、僕の言ってることは、もうひとつ違う次元にあるのですね。
「そのような」その時々の空気を肯定していくことに対する危惧(正義や事実が大衆の空気によって後から作られることに対する大きな危惧)。

これまでは、ワクチン批判は“禁じ手”だったのが、そうでもなくなってきている。

≪ワクチン追加摂取で有効性70%、オミクロン株、英保険当局(共同通信)≫

osu*****さん
>効果どころか、ワクチン接種した方がオミクロンに感染しやすくなるとの報告もあるようだし、そもそもオミクロンは今のところ風邪程度のよう。それでも、ワクチン接種を推奨するのは違和感を感じる。
[そう思う:204/そうは思わない:9]

返信4件

ggb*****さん
>ワクチン権利じゃないでしょうか!?あと膨大な予算からまたまた中抜きする気でしょうね…日本で言えば詐欺横領しまくりですから…。後は厚労省の存在価値を高めて利権維持…自己保身と天下り先の確保じゃないですか?
[そう思う:23/そうは思わない:1]

mon*****さん
>どんな報告ですか?ソースは?まさかyoutubeとか出所不明のSNS?
[そう思う:1/そうは思わない:10]

milk*****
>出所が明瞭(政府機関とか)だと、嘘でもなんでもありなんでしょうか?
[そう思う:18/そうは思わない:0]

mon*****さん
>出所不明よりマシでしょ。出所不明の情報なんて自分の好みの情報をパッチワークしてるだけだし。笑
[そう思う:0/そうは思わない:7]

いつのまにか、(当然のように)僕の意見のほうが主流になってしまっています。

ところで、オミクロン株に罹ると、軽い免疫が出来るらしい。ということは、ワクチン打った人は、その恩恵に与れない、ということになるのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

≪ニューカレドニア独立否決と公共放送(共同通信)≫

nis*****さん
>中国が近づく懸念がひとまずなくなって良かった。フランスさん、宗主国としてもっとニューカレドニアを守ってあげて。
[そう思う:8943/そうは思わない:581]

you*****さん
>とりあえずはよかったんじゃないかな。独立といえば民族の自決権がというのは昔の話なんだよね。背景には中国の実効支配が噂されているし、そうなれば海洋進出どころか太平洋の囲い込みから権益のために周辺国を追い出される可能性もあるからね。
[そう思う:5631/そうは思わない:551]

kgb*****さん
>もし可決されていたら中国の影響力が及びかねず危なかった。まずは良かったが安心はできない。
将来的には、沖縄で同じような工作をする勢力が増大しないか、懸念はゼロではないのでは。
[そう思う:5196/そうは思わない:476]

milk*****
>独立、台湾は良くて、ニューカレドニアはダメなのね。 なんかご都合主義的な“民主主義”だこと(別に共産主義が良いとは思っていませんが)。
[そう思う:0/そうは思わない:7]

ニューカレドニアには、アオスジアゲハ属の一種でミイロタイマイグループ3種のひとつ、Graphium gelon
がいます。この蝶に会うのが、僕の生涯の夢なんですね。




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近所の森の蝶【発売予告】

2021-12-13 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


★いいね!その他、ありがとうございました。

近所の森の蝶【発売予告】


第二部 (中巻):東京都青梅市 『霞(かすみ)丘陵』 フィールド日記 抄

2021年3月23日から11月25日にかけて、著者の自宅(アパート)から徒歩で行くことの出来る4つの丘陵を探索した。総計約70回、うち霞丘陵が約50回。そのフィールド探索日記を綴っていくことにする。およそ200~300頁ぐらいを予定している。ここでは、その一端(下書き)を紹介しておく。




1a拡大地図
A:著者のアパートを経て河辺駅に/B:七国峠を経て岩倉温泉に/C:白髭神社を経て小木曽街道へ
1:塩船観音正門/2:ハイキングコース入口/3:観音寺境内/4:草地の斜面/5:樹液の出るコナラ/6:最初の峠/7:第1パル草地/8:コル/9:第2パル草地/10:駐車場/11:愛宕山/12:雑木林の尾根1/13:コリアス草原/14:雑木林の尾根2/15:雑木林の尾根3/16:雑木林の尾根4/17:簡易トイレ前の茶畑/18:グランド横の尾根道/19:グランド東の坂道/20:ダム横の坂道/21:アメリカ草原(鶏小屋の続き)/22:ウグイスの谷(鶏小屋の手前)/23:ウグイスの谷への上り下り(尾根道)/24ウグイスの谷への上り下り(谷道)/25:白髭神社への上り下り(谷道)



1-4周辺地図
1a:霞丘陵(中核部)/1b:霞丘陵(北側低地)/1c 霞丘陵(七国峠‐岩倉温泉)/1d:霞丘陵 (吹上菖蒲公園)/2a:青梅丘陵東部(青梅の森入口付近)/2b:青梅丘陵東部(永山公園の尾根)/3:青梅市・日ノ出町・あきるの市境の尾根/4a:狭山丘陵西部(瑞穂町側)/4b:狭山丘陵西部(みどりの森)/4c:狭山丘陵西部(野山北・六道山公園)




JR青梅線河辺駅から北方を望む。ビルの間から丘陵が僅かに姿を現している。



霞丘陵から市街地を俯瞰する。




2021.3.23 青梅市霞丘陵
1a/1‐3-6‐4-2-1 9:50出発-12:55帰着
11:40 ⑥(やや③寄りの地点から) コナラ主体の雑木林は芽生え始めたばかりのぼんやりとした霞色。




2021.4.10 11:11 ⑥



2021.4.20 10:44 ⑥


2021.5.6 10:20 ⑥



2021.11.20 11:47 ⑥




2021.4.10 青梅市霞丘陵
1a/1‐2-5-6―13―15―13―6‐5-4-2-1 10:00出発-15:00帰着
11:46 ⑧の上部




カントウタンポポ2021.4.22/11:31 ④



オニタビラコ2021.4.22/11:32 ④



ジシバリ2021.4.22/11:35 ④ 



ニガナ2021.4.22/11:36 ④

キチョウの同じ個体が、キク科タンポポ連各種の花に吸蜜に訪れていた。キチョウ(キタキチョウ)の学名については、(別項目でも書いたように)敢えて特定しない。またタンポポ連各種の属名についても特定を避けて置く(タンポポがTaraxacumなのは確かだと思うが)。ちなみに霞丘陵でチェックしたタンポポ連の種は、カントウタンポポ、セイヨウタンポポ、ニガナ、ジシバリ(イワニガナ)、オオジシバリ、アキノノゲシ、ヤクシソウ、オニタビラコ、コウゾリナ、および未撮影のタビラコ(コオニタビラコ)。セイヨウタンポポ以外は一応在来種ではあるが、史前帰化植物、(国内)出戻り帰化植物などの概念とも関わる、複雑な問題を有している。


写真15

2021.3.27/12:41 

写真16

2021.5.25/9:32

写真17

2021.11.20/11:28

モンキチョウの産卵。コリアス草原⑬にて。産卵植物はいずれもマメ科のスズメノエンドウ(左写真は奥の植物、右写真はカラスノエンドウの可能性もあり)。




カワトンボ(詳細種名は特定せず) 2021.5.6/14:47 ④の下方



ミヤマカワトンボ2021.6.8/11:40 (1c) カワトンボの仲間は他にオハグロトンボやアオハダトンボもいる。

*霞丘陵で出会った蝶以外の生物も出来る限り紹介していく。




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近所の森の蝶5

2021-12-12 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


セセリチョウ科Hesperiidae 挵蝶科 Skipper

小型で褐色の、蛾のような蝶。翅は先端がとがり、胴体は太く、頭は大きくて左右の複眼が離れている。他の幾つかの科の蝶とは別系統に属していて、欧米ではバタフライと区別してスキッパーSkipper(水先案内人)と呼ばれている。花の蜜をせせる(口吻でつつきまわす)姿からつけられたと思われる漢名の「挵蝶」とともに、すばしこく飛び、せわしく動きまわるこのグループの印象をよく表している。

大半の種が単子葉食で、翅色が主に茶褐色であることなど、類縁的に遠く離れたタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科の種と共通する点が多い。

卵は饅頭型、蝶の体が小さい割に大型で、よく目立つ。幼虫は頭でっかちで、つるつるした体の芋虫型。大多数の種が食草の葉で巣を作り、普段はその中に潜む。蛹は細長く、やはり巣中にいることが多く、しばしば周辺に糸や蠟状の物質を配して粗末な繭を作る。

世界に約4000種、日本産は約35種。大きく3群に分けられる。アオバセセリ亜科(アオバセセリ族)は色彩がカラフルで大型、翅を閉じてとまり、幼虫は双子葉食。チャマダラセセリ亜科(ミヤマセセリ族、ダイミョウセセリ族)は翅型が丸く、常に翅を開いてとまり、幼虫の食草は双子葉食と単子葉食にまたがる。チャバネセセリ亜科(その他の各族)は典型的なスキッパーで、前翅を立て、後翅を水平に開く独特の姿勢で静止し*、幼虫の食草は全て単子葉食である。

*ただし、タカネキマダラセセリ族(本書ではギンイチモンジセセリを紹介)では、この姿勢をとらず、翅を開く場合は前後翅を揃える。




イチモンジセセリ(上)とチャバネセセリ(下)
東京都青梅市野上町のマクドナルド青梅店の駐車場にて 2018.10.3






平均的なサイズ やや大きめの小型


セセリチョウは、その限りなく地味な外観からして、一般の蝶愛好家には人気がない。しかし、筆者は大好きなのである。著者が蝶に本格的に興味を持ちだしたのはイチモンジセセリからだった。その現在の分布様式の成立が「稲作」という人類(ことに日本人)の文化と強い結びつきがあり、イネの収穫期の秋に爆発的に個体数が増え(春にはほとんど見られない)、一説には推測18憶頭にも及ぶ黒雲のごとき大群となって移動し、その方向が必ずしも南から北ではない、、、といった、不思議な生態。稲作に結びつく前は、どんなだったかを知りたい。

同所的に分布する近縁属のよく似た生態を持つ、しかしイチモンジセセリとは違ってイネとの結びつきはそれほど強くはないチャバネセセリと比較することで、あるいはまた、種のレベルでイチモンジセセリにごく近縁で、ある意味その祖型を保ち持った小笠原固有種のオガサワラセセリと比較することで、イチモンジセセリの持つアイデンティティのようなものが浮かび上がってくるのではないか、と考え、取り組み始めた。さらに中国に渡って、全体像としての実態を俯瞰しよう、と目論んでいたのだが、目的を果たせぬまま挫折して今に至っている。

以前「イチモンジセセリ研究会」というのがあった。後に、似た問題提起を示す、しかし圧倒的に外観が派手な「アサギマダラ研究会」に事実上置き換わって、イチモンジセセリの探求は、 今もって進まないままでいる(もっともアサギマダラのほうも、愛好家的な興味に終始して、本質的な部分での解明はちっとも為されていないように思えるのだが)。

セセリチョウ科の多くの種(セセリチョウ亜科に所属するほぼ全種)は、イネ科を中心とした単子葉植物食である。アゲハチョウ科の項でも述べたが、イネ科にしろセセリチョウ科(やタテハチョウ科のジャノメチョウ亜科)にしろ、その地味な外観から、雰囲気上なんとなく「原始的」な生物群と捉えられているのではないか思う。しかし、実は最も進化した群なのである(一般に考えられているように「セセリチョウ上科」は、それ以外の科の集合分類群の「アゲハチョウ上科」に必ずしも対応するわけではない)。ジャノメチョウ亜科同様に、島嶼を始めとする隔離地域の分類群(種など)の分化の速度が早いことも、その表れのひとつである。

筆者は、40年余り前から永い間「アサヒナキマダラセセリ」という八重山諸島固有種の分類上の位置づけについて国外産各種との比較を続け、中国大陸に普遍的に分布する「ウスバ キマダラセセリ」と種レベルで同一であるということを突き止めた。石垣島と西表島の山頂の、照葉樹林の上部にぽっかり開いた空隙地の矮性ササ群落に取り残されて発生し続ける(外観が母集団から幾らか変化した)個体群である。見方によれば究極の遺存種なわけだが、別の見方からすれば、この環境は「人里環境」の母型である、ということも出来る。都市周辺などに繁栄する多くの「普通種」は、もとはと言えば、どこか限られた空間に残存し続けていた(他の多くの種よりも祖先的形質を保ち持った)種が、人間の活動に伴って(結果として)再現形成された好適な環境に一気に広がった、、、。アゲハとかキアゲハ、あるいはイチモンジセセリのような「身近な種」の多くが、それに相当する可能性がある。いつの日にか、アサヒナキマダラセセリが、何かのきっかけで「全国的普通種」にならないとも限らない。

逆の見方をすれば、そのような立場にある種は、(これも何らかのきっかけで)一気に衰退に向かう可能性もあるのではないだろうか。里山の雑木林に結びついた種、山地草原に結びついた種(例えばヤマキチョウ)、あるいは荒漠とした環境に結びついた種(例えばチャマダラセセリ)、それらの種の多くが日本の各地から姿を消しつつある一方、中国の都市周辺部では案外普通に見られたりもする。「遺存」と「繁栄」は、紙一重、裏表一体の関係にあるのでは?と思ったりもするのである。

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ミヤマセセリ Erynnis montanus 深山珠弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.24 メス

シロチョウ科のツマキチョウ、シジミチョウ科のコツバメと共に、身近な“スプリング・エフェメラル”トリオの一角を形成する。著者は“春の淑女”と名付けている(英名はDusky-wing)。ギフチョウ、ツマキチョウ、コツバメが、蛹で冬を越すのに対し、本種は幼虫越冬。ということは、卵が孵化した晩春から、夏、秋、冬を経て翌年春まで、ほぼ一年間を幼虫の状態で過ごす、日本で最も幼虫期間が永い種、というわけである。食樹はブナ科のコナラ、クヌギなどで、葉に粗雑な巣を作って中に潜む。大きめの小型種。体つきも、翅も、頑丈なイメージ。よく花を訪れ、吸蜜時や日浴時には、翅を開いていることが多い。上下翅を互い違いに開くセセリチョウ亜科の種とは異なり、本種やダイミョウセセリなどチャマダラセセリ亜科の種は上下の翅を揃えて開く。北海道~九州に分布。フィールド日記3.24/3.27/4.8/4.23/4.27。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ダイミョウセセリ Daimio tethys 黑弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.14

霞丘陵で最もポピュラーな蝶のひとつ。しかし、この蝶ほど、東日本と西日本で明確な外観差がある種は他にいないと思う。関ケ原付近を境として、東日本(北海道南部以南)産は後翅に白帯が殆ど出現せず、西日本(九州中部以北)産には明瞭な白帯が出現する。子細に見れば幾つかの例外はあるとしても、巨視的にはごく明瞭な差異である。また、種全体で見渡せば後翅に顕著な白帯を備えるほうが基本で、台湾産や中国大陸産も顕著な白帯を持つ。大きめの小型種。翅を180°全開し、しばしば葉裏にへばり付くようにして静止する。雄は、葉表にとまっている時は、他の雄が近くに来ると猛烈なスピードでその個体を追いやり、また同じ場所に戻って、その行動を繰り返す。雌は産卵時、卵に腹端の毛を付着させる。食草はヤマノイモ科。花にもよく訪れるが、鳥糞で吸汁することがきわめて多い。年3化、幼虫越冬。幼虫は巣を造り中に潜む。フィールド日記4.27/5.1/5.6/5.14/5.25/5.30/6.8/6.9/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


アオバセセリ Choaspes benjaminii 绿弄蝶
霞丘陵では未撮影(霞丘陵周辺部での分布情報あり)。小さめの中型種。体つきも、翅も、頑丈なイメージ。セセリチョウ亜科のように翅を互い違いにせずに、常に4枚を閉じて止まる。食草はタテハチョウ科のスミナガシと同じアワブキ科で、棲息環境なども概ね共通する。よく花を訪れ、鳥糞などで吸汁し、湿った地で吸水する。年2化前後、蛹越冬。本州北部から南西諸島のほぼ全域にかけて分布。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ギンイチモンジセセリ Leptalina unicolor 小弄蝶
霞丘陵では未撮影(霞丘陵周辺での分布は不明)。世田谷区、狛江市、府中市などの多摩川流域には棲息する。小型種で、セセリチョウ科としては最もスリムな印象。年2化。春型は後翅裏面の銀色の帯が明瞭に表れ、夏型ではぼやける。幼虫越冬。食草はイネ科。翅を開く時は前後翅を互い違いにはしない。セセリチョウ亜科に属するがタカネキマダラセセリ属などと共に独立の亜科とすることも有る。北海道~九州にやや局所的に分布。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ホソバセセリ Isoteinon lamprospilus 旖弄蝶
霞丘陵では未撮影(霞丘陵における分布情報あり)。やや大きめの小型種。セセリチョウ亜科に属するが、他の種とは違ってマイルドな翅型を持つ。静止時、前後翅を互い違いに開く。本州(北部を除く)~九州に分布。食草はイネ科の主にススキ。幼虫越冬。雌は、腹端を葉に押し付け後ずさりしながら産卵する。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


コチャバネセセリ Thressa varia 日本陀弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.23

北海道~九州に分布する日本固有種。台湾産キスジチャバネセセリThoressa horishanaにごく近縁で、中国大陸にも幾つかの近縁種が分布するが、属の範囲には研究者による異なる見解がある(Pedesta、Praethoressaほか)。小型種。一見、チャバネセセリやイチモンジセセリに似ているが、翅脈沿いが黒く、地色や斑紋が黄色味を帯び、系統的にもかなり離れた位置づけにある。通常年2化とされるが、霞丘陵では秋にも新鮮な個体が見られることから、第3化も発生しているものと思われる。春型と夏型でやや顕著な差異があり、春型は翅の縁毛が一様に淡色、夏型では翅脈端ごとに濃色となる。雄は前翅表の白斑が小さめで、性標を持つ。食草はイネ科のササ・タケ類。幼虫越冬。幼虫は巣を作ってその中に潜む。フィールド日記5.1/5.23/7.11/7.17/7.18/7.20/7.22/8.27/9.7/9.8。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒメキマダラセセリ Oclodes ochracea 宽边赭弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.8.20

40年ぶりの東京近郊の蝶探索で、(一応低地にも棲息することは知ってはいたが)通常は山地帯の蝶と思っていたのに、意外に多く出会ったのが本種。たまたま著者が知らなかっただけで、以前から低地にも普通にいたのか、実際に増えているのか、その辺りは未詳。花を好んで訪れ、鳥糞などで吸汁する。今回撮影した61種中、前後に紹介するセセリチョウ科2種とシジミチョウ科のヤマトシジミやツバメシジミと共に、最も小型の蝶。北海道(稀)~九州に分布。山地帯では年1化とされるが、霞丘陵では5月から9月まで新鮮な個体が見られるので、年2回以上発生しているものと思われる。幼虫越冬。系統的には、キマダラセセリ類よりアカセセリ類に近い。食草はイネ科の草本種やカヤツリグサ科。雌雄は外観上かなり異なり、雄は黄色斑が濃く連続して繋がり、太い性標を有し、雌は黄斑が淡く、断続する。フィールド日記5.23/5.29/5.30/6.1/6.8/6.16/8.11/8.19/8.20/8.27/9.7/9.8/9.10。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


キマダラセセリ Potanthus flavus 曲纹黄室弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.6.8

ヒメキマダラセセリは同属種のコキマダラセセリや近縁属のアカセセリなどと共に北半球の温帯域に分布する蝶だが、キマダラセセリの仲間(日本にはキマダラセセリのほか八重山諸島にネッタイアカセセリが分布)は主にアジアやアフリカの熱帯地域に繁栄する蝶である。しかし日本に於いては両者間の分布パターンにさほど差はなく、霞丘陵でも同時期に同じ場所で見かけることも多い(本種のほうがやや少ない)。ヒメキマダラセセリを撮影していた時、一瞬カメラのファインダーから目を外したら、いつの間にかキマダラセセリに入れ替わっていたこともあった。ほぼ同サイズの小型種。年2化。季節変異は少なく、雌雄差も僅少。大雑把に言って雌雄差が顕著なヒメキマダラセセリの雄と雌の中間的な印象。裏面は地色部と明色黄斑部とのコントラストが明瞭。日本での分布域はヒメキマダラセセリより広く、北海道からトカラ列島に至る。食草はイネ科草本やササ・タケ類。フィールド日記6.16/6.18/6.26/9.7/9.8/9.10/9.19。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ミヤマチャバネセセリ Pelopidas jansonis 山地谷弄蝶


千葉県君津市折木沢 1977.4.28

そのうち撮影出来るだろうと思いつつ、とうとう出会えなかった種のひとつが、このミヤマチャバネセセリ。理由は概ね判明している。著者が霞丘陵を訪れた最初の頃は丘の上(尾根)だけを探索していて、5月になって初めて麓(養鶏場のある谷間)に下った。ミヤマチャバネセセリは年2(~3)化だが、この一帯でのメインの発生時期は春、そして生育環境は、河原や比較的開けた渓流沿い。養鶏場近くの草地には、6月以降はオオチャバネセセリ、8月後半からはイチモンジセセリやチャバネセセリが多産する。その中にミヤマチャバネセセリも混じっているはずと注意し続けていたのだけれど、どうやら第2化以降はほとんど発生しないらしい(4月には多数発生していたことを後で知った)。類似各種とは後翅裏面の基部寄りに大きな白紋を有することで区別は一目瞭然。やや大きめの小型種。雌雄は類似(雄は性標を持つが暗色で目立たない)。食草はイネ科ススキ。蛹越冬。近似各種と異なり、日本海を取り巻く地域に分布。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


チャバネセセリ Pelopidas mathias 隐纹谷弄蝶



東京都青梅市霞丘陵 2021.8.22

概ね、イチモンジセセリとセットで認識されていると思う。似たような環境に棲息し、秋口なって急に個体数が増えることも同様。しかし、イチモンジセセリのように、強くイネに結びついて大量に発生することはない。後翅裏面の白斑が多数あり一つ一つがごく小さいことで区別される。イチモンジセセリ同様に首都圏周辺では春にはほとんど姿を見ないことから、年を通しての定着はしていない可能性が考えられている。一応幼虫越冬で、秋遅くにはイネやススキの葉に巣を造って潜む幼虫を確認しているが、その個体が翌春どうなるかについては未詳。本州南半部から南西諸島を経てアジアの南部に広く分布。大きめの小型種。類似各種同様花蜜を好み、鳥糞や湿地で吸汁・吸水する。食草はイネ科各種(イネも含むがイチモンジセセリのように依存はしていない)やカヤツリグサ科。雄は、前翅表の白斑が小さく、白い棒状の性標をもつ。フィールド日記8.22/8.27/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28/10.11/10.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


イチモンジセセリ Parnara guttata 直纹稻弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.7

日本産の蝶の中で、最も人間の生活に結びついた種であろう。食草のひとつであるイネが、「水田耕作」という形で全国に展開、それに伴って、種本来の生態や生理を変換して行った。その結果、イネが育つ秋口に大量発生し、謎の大移動を行う。冬や春には暖地に移動して、イネ以外の植物を食べ世代を継いでいくのかも知れないが、その実態はよく分かっていない。もとより南西諸島やアジアの南部にそれほど多い種では無い。そして左下の写真に示すように、日本の都市近郊などでも、少数の個体が春に発生している。ちなみに中国大陸西南部でも、日本同様に秋口に個体数が激増するが、その中にはイチモンジセセリのみではなく、ごく近縁な別種も混じっている。もうひとつ、霞丘陵周辺での今回の観察で意外に感じたのは、思っていたよりもずっと夏から秋にかけての個体数が少なかったこと。その辺りのことをどう捉えれば良いのだろうか?フィールド日記5.23/6.28/8.20/8.22/8.27/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


オオチャバネセセリ Polytremis pellucida 透纹孔弄蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.8

前種に似るが、翅型がやや幅広く、後翅の白斑がジグザグに並ぶことで区別できる。しかし、その特徴が上手く適応できずに“この個体はどっちだったっけ?”と、混乱してしまう事もある。その時は頭を見ればよい。頭部が図抜けて大きいのがイチモンジセセリ、小さい(他のセセリチョウ類と同程度)のがオオチャバネセセリ。前者は触角が短めでやや湾曲し、後者は蝶の中でも最も長い口吻を持つ。イチモンジセセリやチャバネセセリの分布が南方寄りなのに対し、本種の分布は日本本土(北海道~九州)を中心としたやや北方寄り。イチモンジセセリやチャバネセセリのように秋に集中せず、6月頃から第一世代が出現する。秋遅くまで発生を繰り返し、今回の観察ではイチモンジセセリを上回る個体数をチェックした。大きめの小型種。食草はイネ科ササ・タケ類。ハナセセリの異名があるように花を好むが、鳥糞や湿地で吸汁・吸水もする。フィールド日記6.17/6.22/6.24/6.26/8.20/8.27/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28/10.2/10.11。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。





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近所の森の蝶 4

2021-12-11 10:22:12 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


近所の森の蝶 4

シジミチョウ科Lycaenidae 小灰蝶科 Blue/Copper/Hairstreak

小型の蝶。もう一つの小型群セセリチョウ科は一見蛾のようだから、翅の差し渡し2㎝ほどの小さな蝶を見たら、シジミチョウ科の種と思えばよい。漢名は「小灰蝶」だが、意味は「蜆蝶」で、翅を開いたヤマトシジミやルリシジミを貝のシジミに見立てたもの。

翅の裏表、雌雄による色彩・斑紋の差は大きく、一般に雌の前翅表は褐色で地味。後翅端に糸のように細い尾状突起を備えた種があり、翅を閉じると頭部にある点状の細い触角と対応して、前後の区別がつきにくくなる。また、尾状突起の付け根には派手な目玉模様があり、これも本物の眼(パッチリとして可愛らしい)と対応している。よく後翅の2枚の翅をこすり合わせているのは、そこに敵の目を引き付けて欺く(敵の思惑とは逆の方向に逃げて行く)為かも知れない。

雌は腹端を擦り付けて食草上を歩きまわり、好ましい産卵位置を探す性質が著しいが、その割には卵(扁平で表面は堅く凸凹)はあちこちに産付されている。幼虫は扁平な蛆虫型で食草の蕾や葉肉などを食べ、体から出す蜜を求めて集まる各種の蟻と何らかの共棲関係が
成り立っているようだ。中には蟻から養分を得たり、蟻の幼虫やアリマキなどを食べて育つ種もある。蛹は帯蛹で、太短いダルマ型。 

世界に約6000種。日本産の70余種は5亜科10族に分けられる。ゼフィルスと呼ばれるミドリシジミ族(25種前後)は濃色で翅型は角ばり、樹上を活発に飛び、花を訪れることは稀。雄は近づいた個体を追って飛ぶ占有性が著しい。ブルーと呼ばれるヒメシジミ族(35種前後)は淡色で翅は丸く、草地を可愛らしく飛び、好んで花を訪れる。コッパーと呼ばれるベニシジミ族は我が国には1種だけだが、何処にでもいて、なかなかに美しい蝶である。




ツバメシジミの産卵(カラスノエンドウ) 
東京都青梅市霞丘陵コリアス草原にて 2021.4.22




シジミチョウ科の幼生期など(「里の蝶」から一部をコピー)。




平均的なサイズ 小型


科の解説にも、日本産のシジミチョウ科は3群(+α)に分けられる、と記した。“ブルー”(小さな空色の蝶)と“コッパー”(ルビー&サファイア)と“ゼフィルス”(西風の精)、およびその他の種である。ただし“ゼフィルス”(ミドリシジミ族)としての纏め方は、どうやら日本だけの「特例」のように思われる。ミドリシジミ族は、日本に25種前後、対してヨーロッパには3種、北米には2種。ミドリシジミ族以外のミドリシジミ亜科(=カラスシジミ亜科)は、日本に10種、ヨーロッパに約15種、北米に70種余。日本ではゼフィルスが主体になり、欧米では(それを含む)ミドリシジミ亜科全体が基準となって、それに与えられた一般名称が“ヘアーストレイク”というわけなのである。

ミドリシジミ亜科を構成する、ミドリシジミ族、カラスシジミ族、トラフシジミ族(および暖地性のムラサキシジミ族)は、基本形質から見て互いに左程遠い類縁関係にあるとは思えない。ゼフィルスを特別視するのではなく、“ヘアーストレイク”として一括する欧米の扱いが、順当なのかも知れない。それで再集計をすると、“ブルー”も“ヘアーストレイク”も、日本産は共に35種前後、“コッパ―”は1種、そのほかが、ウラギンシジミとゴイシシジミの2種(あるいはキマダラルリツバメを加えた3種)という事になる。

改めて纏めておくと、Aヨーロッパ/B北米/C日本産の各々の地域の種数は、“ヘアーストレイク”がA15種前後/B70種前後/C35種前後、“ブルー”がA70種余/B35種前後/C35種前後、“コッパ―”がA10種余/B15種前後/C1種。日本の“ヘアーストレイク”は大半を“ゼフィルス”が占め、“ブルー”は日本も欧米と拮抗し、“コッパ―”は日本が圧倒的に少ない、という構図である。

然るに、「日本の都市近郊の身近な蝶」として捉えた場合、様相がやや異なる。ゼフィルス各種を含む日本の“ヘアーストレイク”の多くの種は、特に「希少」なわけではないが、といって特に「普遍的」と言うわけでもない。どの種も「身近」という観点に於いては微妙な位置づけにある(出会えるチャンスもあるが簡単には出会えない)。

その点、“ブルー”は極めて明確だ。北部や南部を除く日本の都市近郊では、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミの3種(それと秋に急激に数が増えるウラナミシジミを加えた4種)が突出して普遍的で、その他の種は山地や寒冷地、或いは南の地域に行かねばお目にかかれない。言い換えれば、この3(4)種を押さえて置けば事足りる(かつ確実に出会える)のである。

ただし、今回(2021年)のアパート裏山探索では、その“普通種ブルートリオ”の出現頻度に著しい差異が見られた。マクロな視野では南方系種のヤマトシジミは極めて数が多く(特に秋に激増)、マクロな視野では北方系種のルリシジミは春に少数が見られた後、夏~秋には全く出会っていない(同様に北方系普通種のツバメシジミとベニシジミは、年の後半には数が少なくはなるけれども、一応確認は出来た)。そのことは、一年を通して発生し殊に秋以降に数を増す「南方系種」キチョウと、春には爆発的発生をしながら夏以降(晩秋になって再登場するまで)一気に姿を消す「北方系種」モンキチョウの関係と軌を一にするようで、興味深い。

ちなみに暖地性のヤマトシジミ(やウラナミシジミ)が数多く見られ、北方系のルリシジミ、ツバメシジミ、ベニシジミが少ないという状況は、「温暖化が原因」と考え得るが、そう単純な話ではないようにも思う。ベニシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミは、近年になって、以前はいなかった(あるいは極めて少なかった)屋久島やトカラ列島や奄美大島などに「南下拡散」傾向が見られるのである。

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ツバメシジミ Cupido argiades 蓝灰蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.7

都市近郊でも普遍的に見られる“ブルー”トリオのうち、ルリシジがどちらかと言えば春の世代で多く見られ、ヤマトシジミがどちらかと言えば秋の世代で多く見られるのに対し、ツバメシジミは一年を通して各世代が比較的安定して出現しているように思える。細い尾状突起を持つことと、後翅裏面後角部にオレンジ紋を持つ(翅表にも出現する)ことで他2種と区別できる(裏面斑紋はウラナミシジミの様に波状にはならない)。雄は翅表全面が明るい空色、雌は濃黒褐色(ときに狭い範囲に空色部が出現する)。年4~5回発生(幼虫越冬)。食草はマメ科で、カラスノエンドウ、ハギ類、シロツメグサなど多岐に亘る。成蝶は花蜜を好み樹液には来ない。小型サイズ。日本本土のほぼ全域に分布。北半球に広域分布し、中国大陸、ヨーロッパ、北米大陸産などには近縁な複数種が存在している。属名をEveresとすることも多い。フィールド日記4.10/4.22/5.23/6.9/6.15/6.16/6.28/7.18/8.11/9.7/9.20/9.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヤマトシジミ Pseudozizeeria maha 酢浆灰蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.7

“大和蜆”の和名でも分かるように、日本の多くの地域において最もポピュラーな蝶のひとつ。ただし北海道などの寒冷な地で分布を欠き、温暖地域に偏っている。秋口から冬のはじめにかけて特に多く見られる。翅裏面の地色は、ルリシジミのような純白ではなく、多少なりとも 薄っすら灰褐色を帯びる。黒斑の並びもルリシジミとは異なる(中央上から2個目の紋がずれない)。翅表は、雄は一面の空色、雌は黒褐色で、しばしば基半部に青色鱗を伴う。高温期に幼生期を過ごした世代は、雄翅表の縁の黒帯部が幅広くなる。複眼が灰色を帯びることは他のブルー各種に見られない特徴である。年5回前後の発生(幼虫越冬)。食草はカタバミ科のカタバミ。成蝶は花蜜を好み樹液には来ない。小型サイズ。本州以南の全土に分布。属名をZizzeriaとすることもある。フィールド日記3.23/3.24/4.8/4.10/4.20/4.27/5.6/5.14/6.13/6.24/8.20/9.7/9.8/9.10/9.19/9.28/10.11/10.20/10.23/10.24/10.30/11.11/11.13/11.20/11.25。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ルリシジミ Celastrina argiolus 琉璃灰蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.23

多くの蝶では幼虫の食草は単一の種やグループに限られている(その典型がヤマトシジミ)が、本種の食草は例外的に多くの科の植物(マメ科、バラ科、タデ科ほか)に亘っている。卵は蕾や若い花序に産付され、幼虫は花や葉の肉質部を食し、しばしば蟻と共生関係を持つ(大半のシジミチョウ科の種と共通)。小型種(ヤマトシジミやツバメシジミに比べ翅が幅広く感じる)。早春に数多く見られ、秋まで数世代が引き続いて出現するが、何故か霞丘陵周辺では春一番に出会った後、一度も姿を見ていない。雄の翅表は一面の明るい空色、雌は地色が黒褐色で中央に空色部が広がる(春季の雌は空色部が翅表の2/3以上を占めることもある)。裏面の地色は純白。後翅の黒斑列は、上から2個目が内側にずれる。花蜜を好み通常樹液には来ない。吸水性が顕著。日本のほぼ全土に分布するが、南西諸島では分布を欠くかごく稀。北半球に広域分布する(種を細分する見解もある)。フィールド日記3.23/6.1/6.10。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ウラナミシジミ Lampides boeticus 亮灰蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.8

イチモンジセセリなどと同様に、一年の後半に(夏の終わりから秋遅くにかけて)個体数が激増する。季節的な南北移動を行っている可能性もあるが、実態は定かではない。年間を通して発生(5回前後?)しているのは、本州の南半部以南と考えられている。しかし、秋には3000mを超す高山帯などにも表れる(中国雲南省での観察)。翅裏面に灰褐色の密な波状の斑がある。後翅裏面後角にオレンジ斑を有し、長い尾状突起を持つ。雄の翅表は、淡い紫色を帯びた青色。雌翅表は、内側が空色で周囲が濃灰褐色。翅のサイズは、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミより一回り大きく、翅型が四角っぽい。食草はマメ科のエンドウ、フジマメ、クズなど。幼虫は豆の鞘に潜り込んで実を食べる。成蝶は花蜜を好み、敏捷に飛翔する。都心の花壇などでも秋にはよく見かける。フィールド日記9.8/9.19/9.28/10.2/10.5/10.11/11.11/11.25。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ベニシジミ Lycaena phlaeas 红灰蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.1 低温気型 メス

日本各地の都市近郊で最もポピュラーな蝶のひとつ。ベニシジミの仲間はヨーロッパ、北米大陸、中国大陸などには数多くの種が分布するが、日本産はベニシジミ一種のみ。種としてのベニシジミは北半球の温帯域に広く分布し、日本でも北海道~九州のほぼ全域に分布する。南西諸島には産せず、屋久島では著者が2006年に撮影した個体が最初の記録(食草に付随しての二次移入と考えられるが現在では定着している由)。中国大陸(中~南部)では余り普遍的な蝶ではない。北米大陸産は東部と西部でルーツが異なる。やや大きめの小型種。年4~5化(蛹越冬)。高温期に幼虫を過ごした個体は翅表が黒ずむ。食草はタデ科のギシギシ属など。他の多くのシジミチョウ科の種が食草の蕾や若芽を好んで食するのに対し、本種は主に成長した葉を食べる。また、シジミチョウ科としては例外的に幼虫は蟻との関係性が薄い。フィールド日記3.24/4.8/4.10/4.22/4.27/5.1/5.25/6.15/6.26/9.10/9.19/9.20/9.28/11.11/11.12/11.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


コツバメ Callophrys ferrea 梳灰蝶 


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.23

著者が数十年ぶりに挑戦した東京近郊の一年を通しての撮影行の初日に、最初に出会ったのがこの種(しかしその一頭だけでその後出会っていない)。ツマキチョウ、ミヤマセセリと共に、春にだけ成蝶が出現する、かつ身近な“スプリング・エフェメラル”の代表種である。“春の女神”ギフチョウに対し、著者はツマキチョウを“春の乙女”、ミヤマセセリを“春の淑女”、本種を“春のオテンバ娘”と見做している。目まぐるしく飛び、花を訪れたり、地上の枯葉にとまったりする。また、屡々翅を閉じたまま横倒しにして日浴する(本種を含むカラスシジミ族の特徴)。小さめの小型種。北海道~九州に分布。食草はツツジ科のアセビやネジキなどの蕾や新芽。蛹越冬。尾状突起はない。雌雄は酷似するが、翅表の色合いが異なる(雄は一様に濃い青色、雌は黒褐色で中央部に明るい青色部分がある)。属名をAhlbergiaとする見解もある。フィールド日記3.23。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


トラフシジミ Rapala arata 宽带燕灰蝶


東京都青梅市霞丘陵2021.6.18 リョウブの葉に産卵

春型と夏型で、翅の色彩が最も顕著に相違する種のひとつ。すなわち(年二回出現する)春型は白と濃褐色の虎斑模様、夏型では地色も帯の部分と同じ(帯の色よりも淡い)褐色を呈する。翅表は、雄は一様の濃紺色、雌は褐色地にオレンジ色の斑紋を配する。北海道~九州に分布。朝鮮半島、中国大陸、台湾などに分布する近縁種のウスムラサキシジミ(アカトラフシジミ)Rapara caeruleaなどは、雄も雌同様、翅表にオレンジ色の大きな斑紋を持つ。やや大きめの小型種。雄は後翅表基部に性標を表す。食草はマメ科、バラ科、アジサイ科(ウツギ類)、リョウブ科など多岐に亘る。幼虫は花や蕾を食し、色彩は多様で、食草の花色に似る。蛹越冬。成蝶は花を好んで訪れ、しばしば吸水も行う。敏速に飛び、すぐに葉上にとまる。フィールド日記6.18。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲


ミズイロオナガシジミ Autigius attilia 青灰蝶


東京都青梅市霞丘陵2021.6.1

霞丘陵などの都市近郊に分布するゼフィルス(=ミドリシジミ族)は6種、うち最も普遍的に見られるのが本種である。北海道~本州に分布。年一回、6月に出現。卵越冬。食草はブナ科のコナラなど。やや大きめの小型種。他の大多数のゼフィルス同様、後翅に尾状突起を備える。成蝶は葉上の水分を吸うほか、クリなどの花で吸蜜し、時に樹液で吸汁する。日中はほとんど活動せず、朝夕に樹上を飛ぶが、雄はミドリシジミやオオミドリシジミのように顕著な卍巴飛翔は行わず、アカシジミのような黄昏落下飛翔も示さない。翅表も翅裏の条線も濃灰色なのにも関わらず、和名に“ミズイロ”と名付けられているのは、飛翔時には濃灰褐色と翅裏地色の白色とが溶け合って、確かに“水色”に感じるからであろう。雌雄は酷似する。裏面の褐色条には変異が多い。フィールド日記6.1/6.18。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ミドリシジミ Neozephyrus japonicus 日本翠灰蝶


埼玉県入間市宮寺 2021.6.13 産卵

丘陵の谷戸の湿地に生えるハンノキ林に棲む。霞丘陵にも以前は多産していたようだが、ハンノキの生える湿地が人為的な菖蒲公園になってからは、ほとんど姿を消してしまった。それで、隣接する狭山丘陵西部のハンノキ林まで、歩いて2時間かけて足を伸ばした。大きめの小型種。雄の翅表は濃い緑色。裏面は淡褐色。6月に出現。夕刻、5時を過ぎた頃、食樹のカバノキ科のヤマハンノキやハンノキから成る雑木林の樹上を何頭もの雄が卍巴に絡み合って追飛する。下に降りてくるのは日が暮れてからで、早朝に訪れると屡々朝露に濡れた下草にとまっている(ときには日中に降りてくることもある)。雌は翅表地色が褐色で、4つの斑紋型(A型=青紋)、B型(赤紋)、AB型(青/赤紋)、O型(無紋)がある。北海道~九州(山地)に分布、台湾には近縁種のタカサゴミドリシジミNeozephyrus taiwanusが分布する。フィールド日記6.13/6.14/6.15。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


オオミドリシジミ Favonius orientalis 艳灰蝶


東京都青梅市青梅丘陵 2021.6.10 オス

雄が緑色に煌めく低地産のゼフィルスは、本種とミドリシジミの2種。ミドリシジミの雄翅表が濃い緑色なのに対し、本種は明るい青縁色で、縁の黒帯が細い。雌翅表は褐色で青斑や赤斑は生じない。裏面の地色は灰色。大きめの小型種(「オオ」と名付けられているがサイズはミドリシジミとほぼ同じ)。6月に出現。卵越冬。食樹はブナ科のコナラなど。雑木林の空隙地や小高い丘頂の落葉樹などに棲息、雄は午前9時前後に占有行動を示し、梢の周辺を雄同士が卍巴飛翔する。成蝶は主に葉上の水分を吸い、時に花や樹液を訪れることもある。北海道~九州に分布。本種を含むオオミドリシジミ属は日本に7種(本種以外は主に山地帯に棲息)とされ、よく似た別属のミドリシジミ属やメスアカミドリシジミ属が台湾‐中国西部‐ヒマラヤ地方に繁栄するのに対し、本属はそれらの種が余り見られない日本海周縁地域に多くの種が繁栄している。フィールド日記6.10/6.11/6.13。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ウラゴマダラシジミ Artopoetes pryeri 精灰蝶


岡山県哲多町 1986.6.26 メス

翅型が丸く、翅表は淡い空色、翅裏は白地に黒点列、尾状突起を欠き、ぱっと見はミドリシジミの仲間というよりも、ルリシジミの仲間のように見える。しかし本種もゼフィルス(ミドリシジミ族)の一員である。落葉樹林の低木の木陰を一定のコースに沿って緩やかに飛ぶ様は、ゼフィルスとしての風格のようなものを感じる。食草はイボタ科のイボタノキなど。成蝶は花を訪れることも多い。北海道~九州に分布。6月に出現。卵越冬。大きめの小型種(よく似たルリシジミの雌よりも一回り大きい)。雌は、翅表に白斑が発達する。東アジアを中心に100種以上が分布するゼフィルスのうち、翅が横長で丸く尾状突起を欠く種としては、本種の他、翅の表裏ともオレンジ色のチョウセンアカシジミCoreana raphaelis、翅表面が紺色で裏面が赤褐色のヨーロッパ(地中海西部)産のLaeosopis roborisなどがあり、大半がブナ科食のゼフィルスの中にあって、モクセイ科食であることも共通している。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


アカシジミ Japonica lutea 黄灰蝶


埼玉県入間市宮寺 2021.6.14

6月の夕刻、雑木林の樹上から、まるで赤い小さな紙切れが舞い落ちてくるような“黄昏落下飛翔”を行う。牡丹雪のごとく、次から舞い降りてくる様は見事である。クリの花で吸蜜していることが多く、ときに大集団を形成する。大きめの小型種。雌雄は酷似する。卵越冬。食草はブナ科のコナラ、クヌギ、アラカシなど。北海道~九州に分布。北日本には、カシワを食草とするキタアカシジミJaponica onoiを産し、アカシジミとは交尾器など形態的にも差異がある。また、広島県北部のごく限られた地域(ロシア沿海地方にも分布)には、やはり雄交尾器に安定的な独自の特徴をもつ集団がいて、筆者は別の独立種ミナミアカシジミJaponica mizobeiと考えている。ほかに台湾、中国大陸西部などに、それぞれ個別の近縁種が分布している。フィールド日記6.14/6.15/6.17。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ウラナミアカシジミ Japonica saepestriata 栅黄灰蝶

文字通り「黒い裏波状」斑が特徴的なアカシジミ。アカシジミと共に雑木林に分布するが、その棲息環境はやや異なり、人里では地域によってはむしろ本種のほうがより普通に見られる場合もある。ただし今回の霞丘陵周辺探索行で撮影し損ねた種のひとつでもある。食草はブナ科の主にクヌギ、アベマキ(紀伊半島産はウバメガシを食し別亜種とされる)。北海道、本州、四国に分布し、九州には分布を欠く(アゲハチョウ科のウスバシロチョウと同パターン)。6月に出現。卵越冬(ミドリシジミ族やカラスシジミ族の越冬態は正確には孵化したまま卵の中に潜んだ一齢幼虫)。大きめの小型種。雌雄はよく似るが、雌は前翅表の翅頂付近に黒色部が広がる。クリの花などで吸蜜し、夕刻に緩やかに飛翔する。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ムラサキツバメ Arhopala bazalus 百娆灰蝶

霞丘陵では一度だけ出会った。雑木林の中の道を歩いていた時、突然目の前に飛来、ササの葉上にとまって、慌てて一枚だけシャッターを切ったところで飛び去って行った。以前は近畿地方の南部や沿岸部が北限だったが、近年は関東地方まで勢力を広げている。クロコノマチョウの場合とほぼ同パターンで、日本の暖地や中国南部や台湾などに分布し、従来は中琉球(奄美大島、沖縄本島など)には居なかった。それが現在では、北方への分布の拡大とともに、南へも分布を広げているようである。大きめの小型種。尾状突起を備える。雌は翅表一面が濃い紫、雌は地色が褐色で内側に明るい紫色部分を持つ。食草はブナ科マテバシイ 属。年数化。成蝶越冬。越冬中は一か所に集まってしばしば大来な集団を形成する。成蝶は葉上の水分を摂取し、時に花を訪れ、腐果や樹液で吸汁する。フィールド日記8.11。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ムラサキシジミ Arhopala japonica 日本娆灰蝶


東京都青梅市青梅丘陵 2021.6.28 メス

ムラサキシジミ族はミドリシジミ族に比較的近縁で、東アジアの温帯域に分布が集中するミドリシジミ族と置き換わるように、アジアの亜熱帯~熱帯地域に極めて多くの種が繁栄している。日本産は、ムラサキシジミ、ムラサキツバメ、ルーミスシジミPanchara ganesaの3種。うちムラサキシジミは本州以南に普通に見られ、時には食樹のひとつである住宅街に植栽されたアラカシなどに発生していたりもする。他の食草は同じブナ科のアカガシやコナラなど。年3化。成蝶越冬。冬の前後の暖かい日には、葉上で翅を開いて日浴する個体をよく見かける。やや大きめの小型種。前翅頂が尖り、後翅には尾状突起を欠く。雌雄は類似するが、雄は翅表の紫色部分が広く色が濃い。成蝶は葉上の水分を摂取。属名をNarathuraとすることもある。フィールド日記6.9/6.24/6.28/7.18。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ウラギンシジミ Curetis acuta 尖翅银灰蝶


東京都青梅市霞丘陵2021.8.20

ムラサキシジミと共に、冬の前後の照葉樹林の林縁などでよく見る種。民家の生垣などで、数頭が集まって越冬していることも有る。ムラサキシジミより一回り以上大きな、シジミチョウ科の最大形種。ほかのシジミチョウ科とは異なる系統に所属、胴体も太く、一見セセリチョウ科のようなイメージでもある。何よりも他の全ての蝶にない翅裏一面の銀色が本種独自の特徴で、飛翔時には極めて良く目立つ。しかし、翅を開いての静止中は、枯葉などの周囲に溶け込んで、その存在に意外に気が付かない。翅表の中央部は、雄が銀白色、雌が朱色。年2~3化で成蝶越冬。どの世代も前翅の頂が突出するが、越冬世代では殊に鋭く尖る。食草は、マメ科の主にクズ。本州以南に分布。成蝶は腐果を訪れ吸汁し、湿地で吸水する。フィールド日記6.9/6.24/6.28/7.18。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ゴイシシジミ Taraca hamada 蚜灰蝶


神奈川県川崎市麻生区 1977.9.1

今回の探索では、霞丘陵周辺では確認できなかったが、首都圏を含む都市近郊でもやや普通に見られる。しかし生育環境はササ(メダケ属、ササ属)の群落に限られ、その葉裏のアブラムシ(半翅目)の集団中に卵を産み付け、幼虫はアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)を食べて育つ。小型種。翅型や大きさは“ブルー”各種と変わりは無いが、名のように碁石を並べたような翅裏の斑紋は独特(翅表は黒墨色)で、他のシジミチョウ科各種とは異なる系統(ゴイシシジミ亜科)に位置づけられる。年3~4化。幼虫越冬。成蝶もアブラムシの分泌物を吸汁する。北海道~九州に分布。雌雄は類似するが、雌の翅型はより丸味を帯び、翅表にぼんやりした白斑部が広がる。飛翔は緩やかだが、夕刻近くに雄は占有行動を示す。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。





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近所の森の蝶 3(下)

2021-12-10 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


近所の森の蝶 3(下)

タテハチョウ科Nymphalidae つづき(ジャノメチョウ亜科Satyrinae)

ジャノメチョウ亜科についての補足。小さめの中型種が多い。大きさ、翅の輪郭など、全体的印象はシロチョウ科に似る。主に草本イネ科を食し、比
較的緩やかに飛ぶジャノメチョウ型の種と、翅先が尖り敏速に飛び回るタケ・ササ食のヒカゲチョウ型の種がある(系統分類とは必ずしも一致し
い)。ジャノメチョウ亜科は、日本でも世界でも種数が多く、タテハチョウ科全体の1/3ほどを占める。種分化が進んでいる、ということである。
往々にして、食草のイネ科植物共々地味な外観から、印象的に“原始的な存在”に結びつけがちだが、その実態は、イネ科植物同様に(生物年代的
に見れば)近年になって一気に展開した、新しいグループの生物である。ジャノメチョウ科の多くの種に離島や高山などでの特化集団が数多く見ら
れるのは、そのことに起因する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クロコノマチョウ Melanitis phedima 睇暮眼蝶


東京都青梅市霞丘陵2021.9.7

本州の都市近郊に40年前にはいず、今は普通に見るようになった蝶の代表的存在はアカボシゴマダラとクロコノマチョウだろう。本種に関しては温暖化による現象と一般に捉えられている。しかし(ナガサキアゲハなどの項でも同様の意見を述べたが)必ずしもそうとは言い切れないのでは?本種の本来の分布南限は屋久島。中琉球(奄美群島、沖縄本島)を挟んで、次は八重山、台湾、中国南部など。日本に於ける分布圏はさほど広いわけではない。南の地域から北上した、というよりも、拡大した、と捉えた方が良いのではないか?近年奄美大島や沖縄本島にも見られるようになっていることは、それを示唆しているように思える。大きめの中型種。食草はイネ科各種。より南の地域に広範囲に分布し以前から北方への飛来が数多く観察されているウスイロコノマチョウに(ことに越冬個体で)酷似する。雌雄差は微小。裏面斑紋は著しく多様。年数化。成蝶越冬。フィールド日記5.14/6.14/9.7/9.8/9.28/9.29/10.11/10.28/10.30。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ジャノメチョウ Minois dryas 蛇眼蝶


兵庫県上郡町1987.9.25

今回の探索行で出会えなかった蝶のひとつ。どうやら、ちょうどこの蝶の棲む環境(河原や林縁の草叢や荒れた空き地など)に、同じサイズのクロコノマチョウが置き換わって増えているような気がする。クロコノマチョウは、アジアの南半部に分布し、ジャノメチョウはユーラシア大陸に広域分布する種。例えば、キチョウとモンキチョウ、ヤマトシジミとルリシジミの関係にもよく似ている。その理由が「温暖化」ひとつに集約されるとは著者は考えていないが、何らかの気候変動に関連することは確かなようだ。大きめの中型種。北海道~九州に分布。台湾の高山蝶ナガサワジャノメは本種にごく近縁な種である。食草はイネ科各種。年1化、夏の盛りに出現する。幼虫越冬。花を訪れるほか、樹液や腐果での吸汁も行う。雌はより大型で色彩が淡い。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒメウラナミジャノメYpyhima argus 东北矍眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.22

霞丘陵で最もポピュラーな蝶のランキングをつけてみた。1位候補にはキチョウやヤマトシジミも挙げられるが、出現時期が年の後半に偏っている。早春と晩秋を除く一年を通して途切れることなく、かつ様々な環境で数多く姿を見かける、ということで、ヒメウラナミジャノメを最普通種として推したい。やや大きめの小型種。翅裏の波模様で他種と間違えることはない。遠目にはシジミチョウ科の種とやや紛らわしいが、独特のリズミカルな飛翔から、すぐに本種と分かる。分布圏が極めて限られる同属種のウラナミジャノメとは、後翅裏面の眼状紋が本種では上に2個(ウラナミジャノメでは1個)、下方に3個(同2個)であることで区別できる。雄は前翅表基部の脈が膨らみ、雌は眼状紋周辺が淡くなる。北海道~屋久島に分布。年数化。食草はイネ科やカヤツリグサ科の各種。花を好んで訪れる。フィールド日記4.20/4.22/4.24/5.6/5.14/5.23/5.29/5.30/6.1/6.8/6.15/6.26/7.10/7.17/8.11/8.27/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28/10.2。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


サトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii 日本荫眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.14 春型オス

ジャノメチョウ亜科は、外観上ジャノメチョウ型の種とヒカゲチョウ型の種に分かれる。前者は翅型が丸く緩やかに飛び、明るい環境を好んで花をよく訪れる。後者は翅柄が角張り敏速に飛び、林内を好んで樹液に集まる。前者の代表的種がヒメウラナミジャノメ、後者の代表的種がサトキマダラヒカゲ。両種とも最普通種であるに関わらず「ヒメ」とか「サト」とかを冠した長い和名を持つことは興味深い。キマダラヒカゲ属は広く捉えればヒカゲチョウ族に含まれるが他の各属の種が静止時に翅を開くことも多いのに対し、本属の種は静止時には絶対に翅を開かないという、日本産の蝶の中でも数少ない特殊な性質を持つ。大きめの中型種。雄は翅表に性標を持ち、雌は翅型がやや広い。裏面の斑紋は世代や地域によって多様。年2化。幼虫越冬。食草はイネ科のメダケ属。北海道~九州に分布する日本の固有種。フィールド日記5.14/5.23/5.25/5.30/6.1/6.8/6.9/6.14/6.15/6.18/6.20/6.24/8.11/8.19/8.20/8.22/9.7/9.8/9.10/9.19。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒカゲチョウ Lethe sicelis 日本黛眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.6.8

厳密な意味では蝶類中唯一と言ってよい正真正銘の日本固有種。他にも日本固有種は何種か存在するが、“種群”単位で見れば対応種が大陸などに分布している。本種は対応種(姉妹種)が世界の何処にも存在しない。そのような意味では日本の“国蝶”としても良い。が、いかんせん余りにも地味である。本州、四国、九州北部に分布。大都市近郊でも普通に見られるが郊外に向かうにつれ数が少なくなるように思える。しかし日本アルプスの深い渓谷などには豊富に棲息し、分布の二極化の傾向が見て取れる。食草はイネ科の主にメダケ属(山間部ではササ属)。年2化。第1化は同所に混在するサトキマダラヒカゲより半月ほど遅く、第2化も僅かに遅い。幼虫越冬。成蝶は樹液に集まる。やや大きめの中型種。後翅裏面中央の濃色条が眼状紋の下辺で大きく屈曲しないことがクロヒカゲとの確実な区別点。雄は翅表が濃く基半が特殊鱗で覆われる。フィールド日記5.30/6.1/6.8/6.9/6.24/8.20/8.27/9.7/9.10/9.19/9.28/9.29。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


クロヒカゲ Lethe diana 黛眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.14

都市近郊を含む低地から山岳地帯まで密に棲息、北海道(北限はサハリン)から九州南端まで広く分布するが、何故か千葉県には産せず、霞丘陵を含む東京の西郊にも普通に見られるのにも関わらず、多摩川以東には分布しない。日本海側の島嶼には分布、太平洋側の島嶼には分布を欠き、伊豆御蔵島には特化集団が隔離分布する。南西諸島や台湾にも分布せず、大陸部での詳細は不明。姉妹種は台湾産オオシロオビクロヒカゲLethe mataja、大陸産ではLethe laodamia(共に雄の性標と鱗粉や眼状紋の関係が非常に興味深い)。食草はイネ科ササ属。ヒカゲチョウやサトキマダラヒカゲ(山地帯ではヤマキマダラヒカゲやヒメキマダラヒカゲも加わる)と混棲するが、より暗所を好む。年3化。幼虫越冬。樹液、腐果で吸汁。翅をよく開く。後翅裏最上部眼状紋の下縁の暗色条線が強く屈曲。雄は性標を持つ。フィールド日記5.14/5.23/6.1/6.8/6.9/6.16/6.18/6.24/7.10/7.17/9.8/9.10/9.19/9.28/10.2/10.3/10.6/10.11/10.20/10.30。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒメジャノメ Mycalesis gotama 稻眉眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.29

日本の各地で極めてポピュラーな蝶のひとつだが、何故か霞丘陵では秋が深まるまでは一度も出会わなかった(写真下の個体は住宅街で撮影)。小さめの中型種。コジャノメに酷似するが、全体の色が淡く、黒味を帯びない。また、翅裏面を縦に貫く白帯はコジャノメのように紫色を帯びず、帯の外側と内側の色調が均質。雌雄差は僅少だが、雄は後翅基方の翅脈が膨れ、特殊鱗粉の塊を有し、その位置や形状がコジャノメとは異なる(後翅表前縁基部寄りの長毛束は余り目立たないが、その周辺が顕著に変色する)。コジャノメとは対照的に明るく開けた環境を好む。雄はしばしば卍巴飛翔を行う。北海道の大部分を除く日本各地に分布、奄美大島以南の南西諸島産は別種リュウキュウヒメジャノメとされる。食草はイネ科やカヤツリグサ科各種草本。通常花には来ず、樹液や腐果を好む。東京周辺ではおそらく年3化(幼虫越冬)。フィールド日記6.1/9.28/9.29/10.11/10.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


コジャノメ Mycalesis francisca 拟稻眉眼蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.23

霞丘陵で最も多い蝶のひとつで、鬱閉した雑木林や照葉樹林の内部でも見ることの出来る数少ない蝶である。小さめの中型種。ヒメジャノメに酷似するが、翅地色全体が濃黒褐色で、裏面中央を縦に貫く白帯が薄っすら紫色身を帯び、その外側の部分は内側の部分とやや色調が相違する。雌雄差は僅少だが、雄は後翅基方の翅脈が膨れ、特殊鱗粉の塊を有し、その位置や形状がヒメジャノメとは異なる(前翅表内縁中央付近に黒色鱗粉塊、後翅表前縁基部寄りに良く目立つ明色の長毛束を有す)。本州~九州に分布。南西諸島には分布しない。食草はイネ科の各種。花には来ず、樹液や腐果を好む。年3化(幼虫越冬)。第1化はヒメジャノメよりやや早く出現。後翅裏面の眼状紋は、第1化でより小さく、第2化以降でより大きい。第3化は白帯がやや太く、内側と外側の地色の差が比較的少ない。フィールド日記4.23/5.6/5.14/5.25/5.29/5.30/6.8/6.11/6.16/6.24/6.28/7.12/7.20/9.7/9.8/9.10/9.20/9.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


≪参考≫ウラナミジャノメ Ypthima motschulskyi 东亚矍眼蝶
Ypthima属は日本に2種が分布し、ひとつが最普通と言えるヒメウラナミジャノメ。もうひとつが“ヒメ”が付かない(しかし大きさには差がない)ウラナミジャノメ。こちらは多くの地域でほぼ絶滅状態に陥っている。首都圏でも神奈川県西部などに棲息していたが、現在は絶滅。京阪神地域でもかつては都市周辺に多くの産地があったが、絶滅または激減している。九州南部や対馬には多産地する地もある。本土産雄の前翅表に性標があるが対馬産ではそれを欠く。大きめの小型種。年の発生回数は地域によって異なる。生態はヒメウラナミジャノメに準じるが、中国大陸の多くの地域では、ヒメウラナミジャノメよりむしろ本種(近縁別種とする見解もある)のほうがポピュラーである。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。





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2021.12.8 日記

2021-12-09 09:00:00 | コロナ、差別問題と民主化運動、アメリカンポップス


★12月8日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

古い知人との会食のため、久しぶり(駅を降りたのは5年ぶりぐらい?)に渋谷に行きました。その後スタバに寄って、駅に向かおうとしたのだけれど、ちょうど斜め向かいにタワーレコードがあったので、やはり久しぶりにちょっと覗いてみることにしました。

「ロック」は7階、店員さん(若い女性)に聞きました。ちなみに、タワーレコードの店内もそうだし、スタバもそうだし、街歩いている人もそうなんだけれど、女性ばっかりですね。男性は肩身が狭いような(;´д`)。なんか、性別にしろ、人種にしろ、どっちかに“主張”の比重が偏っていくみたいで。

僕:
>本は置いてますか?ビルボードのチャート・ブックとか。

スタッフ:
>ビルボード関係は全てありません。昔は置いてたのですが、今はローリング・ストーンズ誌(僕の大嫌いなやつ)系が中心です。

僕:
えっ?なんで?

スタッフ:
>理由は良く知らないんですが、ちょうどコロナが始まった頃から、取引を止めてしまったのです。

ひとしきりCDや本をチェックしてから(もちろん“真のオールデイズ”関連はごく僅かしか無かった)、別のスタッフ(若い男性)に、もうひとつ尋ねてみました。

僕:
>オールデイズとC&W関係は何処にありますか?

ここで驚愕の返事が。

スタッフ:
>7階と8階にありますが、、、、CDですか?レコードですか?

僕;
>えっ?えっッ??(ちょっと待って、、、意味が分からない)

スタッフ:
>CDとレコードは、別々のコーナーにあるんで。

僕:
>レコード、、、って。そんなの売ってるんですか?(なんか一瞬タイムマシーンで昔に戻ったのかと)

話が噛み合いません。よくよく聞いてみると、今はレコードのブームだそうで、新しいレコードがどんどん発売されているのだそう。

>僕:
オールデイズもあるんですか?1960年代とかの。

スタッフ:
>もちろん。60年代は特に充実していますよ。ご案内しましょう。

広いスペースに、昔懐かしい(そういえばLPアルバム探している場面がよく夢に出てくる)LPアルバムがどっさりあります。アルファベット順(日本の場合は姓名の名が先)に並んでいるのだけれど、、、、ちょっと違うような、、、。

僕:
>エルヴィスとか、60年代の前半はあるんですか?エルヴィス以外で。

スタッフ:
>もちろん。

僕:
>でも全然見あたらないですよ。

ビートルズとかボブ・ディランとかは、文字通り山のように(たぶん100枚以上)あるのだけれど、“前半”のアーティストは一つも見当たらないような、、、、。

スタッフ:
>例えばどんな歌手ですか?

僕:
>え~と、、、リッキー・ネルソン(彼なら間違いなくある!)。

スタッフ:
>Rですね。探して見ましょう。、、、、無いですね。

僕:
>ボビー・ダーリン(これはあるだろう)。

スタッフ:
>B、、、、、無かったです。

僕:
>じゃあ、コニー・フランシス(彼女が無ければ他は絶望)。コニーはCです。

スタッフ:
>、、、、見つかりませんでした。

僕:
>ということは、(これだけ沢山あるのに)60年代前半は一つも置いてないんだ。

スタッフ:
>そんなわけじゃ、、、たまたまです。

僕:
>(まあ、ある程度は予測できたことだし、仕方がないか、と思いつつ、最後にもうひとつ)これは絶対にある。パット・ブーン。

スタッフ:
>も一回言って下さい。

僕:
>パット・ブーン。

スタッフ:
>パ。Pですね。

僕:
>パット・ブーン知らないんですか?

スタッフ:
>知らないです。

なんか、脱力感、半端ないです。いや、昔の事は知らない、ってのは仕方がないんですよ。それに関しては良いのです。でも、(マイナーなジョニー・ティロットソンならともかく))リッキー・ネルソンもボビー・ダーリンもコニー・フランシスもパット・ブーンも、ビートルズやボブ・ディランやモータウン勢とかが登場する、ほんの数年前に主役だった超有名歌手たちです。それが、片一方(60年代後半)は掃いて捨てるほど充実していて、片一方(60年代前半)は存在の影すらない、、、、。この“偏り方”は、どう理解すれば良いんだろう???

前回前々回のブログにも引用した、誰かのコメント、
>ある意味、『多様性』を認めるという旗印の元、『単一性』が求められているとも言えるのが皮肉ではありますね。
>実は新時代の一様性を広めようとしているに過ぎないのでは?という疑問を持って欲しい。

本当に、そういった世界になってしまっているんだな、と改めて思い知らされた次第です。


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近所の森の蝶 3(中)

2021-12-08 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


近所の森の蝶 3(中)

タテハチョウ科 Nymphalidae (つづき)


アサギマダラ Parantica sita 大绢斑蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.11.13

美麗な大型種。渡りをする蝶として有名。各地でマーキングされた個体の“リリース&リキャッチ”により、数多くの長距離移動例が報告されている。南から北への記録もあるが、北(東)から南(西)への移動例が圧倒的に多い。北への移動は散発・断続的、南への移動は集中的に為されていると思われる。東京周辺では、夏の後半以降に移動途上の個体が訪花に訪れ、キク科のヒヨドリバナ類が特に好まれる。アザミやコウヤボウキにも訪れる。樹液には来ない。意外なことに、ほぼ日本の固有分類群(亜種または種)。国外で継続して記録があるのは台湾の一部地域。ほかに上海、香港などで移動後の個体が捕獲されている。中国内陸部(北部を除き南部沿海山地を含む)産は日本産とは異なる分類群に所属する。雄は後翅下方に濃色部がある。食草はガガイモ科各種。(一応)幼虫越冬。フィールド日記9.28/10.3/11.13。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ツマグロヒョウモン Argynnis hyperbius 斐豹蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.19 メス

現在東京の市街地で最もポピュラーな蝶は、小型種ではヤマトシジミ、比較的大型の種ではツマグロヒョウモン(属を細分したときはArgyreus)ではないだろうか?ヒメアカタテハ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリなど同様に個体数が年の後半に極端に偏るが、本種の場合は、一応年間を通して姿は見られる。都市部での急速な増加といえば帰化種のアカボシゴマダラだが、まだまだ本種には及ばない。東京で増えだしたのは20年ほど前頃から、50年ほど前までは関西でも稀であった。大きめの中型種で、蝶としては珍しく雌が鮮やか。外観が似た(相互擬態?)別グループの種に、カバマダラとスジグロカバマダラ、メスアカムラサキ雌、ハレギチョウなどがいるが、いずれもツマグロヒョウモン同様の熱帯アジア広域分布種であるに関わらず、日本本土には進出していない。食草はスミレ属各種(卵は地表や他植物などに産付)。フィールド日記4.23/5.1/7.18/9.10/9.19/9.20/9.28/9.29/10.2/10.11/10.20/10.24/10.28/11.11/11.12/11.25。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


クモガタヒョウモン Argynnis anadyomene 云豹蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.5.14 オス

いわゆる「大型ヒョウモンチョウ類」の一員。都市近郊でも見られる大型ヒョウモンは7種で、霞丘陵に於いては、前頁で紹介した暖地性のツマグロヒョウモンを除く6種のうち最初に出会ったのがクモガタヒョウモンである。しかし余り普遍的な種ではないようで、そのとき一度切りしか出会えていない。大きめの中型種。後翅裏面の斑紋が他の大型ヒョウモンチョウ類各種よりもぼんやりしていて、前縁部に生じる白斑が目立つ程度、全体が曖昧なウグイス色に覆われている。和名の「雲形」も、そのイメージに因る。写真の個体は雄で、前翅表に一条の黒い性標を持つ。雌は翅表の地色がやや黒ずむ。北海道~九州に分布。一種で独立属Nepharginnisとされることもある。年一化、5月に出現し、他の大型ヒョウモンチョウ類同様に(夏眠期を挟んで)秋口まで生きていることが多い(一齢幼虫越冬)。食草はスミレ属。成蝶は主に花を訪れる。フィールド日記5.14。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ミドリヒョウモン Argynnis paphia 绿豹蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.8 メス

「大型ヒョウモンチョウ類」は、日本に9種(近年のDNA解析に因れば更に多くの種に分けられている)が分布し、通常7つの属に分割されるが、本書ではArgynnis一属に纏めておく。
ミドリヒョウモンは狭義のArgynnisに属し、その模式種である。北海道~九州のほか、ヨーロッパに至るユーラシア大陸に広く分布している。年一化、初夏に現れ、夏眠後、秋に再活動する(一齢幼虫越冬)。霞丘陵では秋口から見られ、ツマグロヒョウモンを除く大型ヒョウモンチョウ類の中では最も個体数が多いように思われる。大きめの中型種。雄は翅脈に沿った3本の黒い横条を成す性標を持つ。雌は翅表地色が黒ずみ、赤味が欠けてやや深緑色を帯びる。後翅裏面の地色は、ぼんやりした鶯色、縦に3本の太い白条が走る。食草はスミレ属各種。樹木の太い幹の上部の樹皮に卵を散付する。成蝶は各種の花で吸蜜する。フィールド日記9.8/9.10/9.19/9.21/9.28/9.29/10.2/10.3/10.6/10.20/10.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


メスグロヒョウモン Argynnis sagana 青豹蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.19 メス

本書ではArgynnis属として1属に纏めた「大型ヒョウモンチョウ類」各種は、通常それぞれ1~数種ごとに固有の属に分割され、その見解に従えば本種も1種でDamora属となる。その根拠は雄交尾器の特徴が(狭義の)属ごとに顕著であることに因るが、ヒョウモンチョウ類の雄交尾器の末端形質は地域集団ごとの変化が著しく(本種も日本産と中国大陸産で安定的な差異を示す)、大型ヒョウモンチョウ類に限っては本質的な分類指標にはならないと筆者は考えている。雌は雄とは全く異なる外観で、一見イチモンジチョウ類に似る。雄は他の大型ヒョウモンチョウ類に類似し、特に(狭義の)ウラギンスジヒョウモン属2種に似るが、裏面の地色がやや赤味を帯び、縦の細い褐色条線が下方で繋がることで区別できる。大きめの中型種。年1化、初夏出現し、夏眠後秋口に活動する(一齢幼虫越冬)。食草はスミレ科。成蝶は花を訪れる。北海道~九州に分布。フィールド日記9.19/9.20/9.28/9.29/10.2/10.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ウラギンヒョウモン Argynnis adippe 灿福蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.28

暖地性の多化性種ツマグロヒョウモンと、5月に出会って以来その後姿を現さないでいるクモガタヒョウモン以外の大型ヒョウモン類は、夏の間一種も出現しないでいた。しかし、秋口になってミドリヒョウモンが登場して以来、次々と姿を現し、ことに9月の下旬には、メスグロヒョウモン、ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンが、日替わりで同じアザミの花を訪れたのである。いずれも汚損した個体、夏の間は一体どこに潜んでいたのだろうか。霞丘陵でウラギンヒョウモンを見たのはこのときだけ。近年、従来のウラギンヒョウモンは3種に分割されることになったが、著者は「種」の定義の概念に異論をもっていることもあり、従来通り1種として纏めておく。大きめの中型種。分布域、出現期、食草なども他の大型ヒョウモン類と概ね同じ。近縁種オオウラギンヒョウモン(ウラギンヒョウモンと共に狭義にはFabriciana属とされる)ほどではなくても、本種も明らかに減少しているようである。フィールド日記9.28/10.2。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。

オオウラギンスジヒョウモン Argynnis ruslana  红老豹蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.29

本書では大型ヒョウモン類を全てArgynnis1属に纏めたが、必ずしもその処遇が妥当と言うわけではない。その理由の一つは、本種とウラギンスジヒョウモンが属する狭義のArgironomeは、雄交尾器の形状などが(通常大型ヒョウモンに含めない)ヒョウモンチョウ属Brenthisと共通する部分もあり、1属に纏める場合はその帰属も(ひいてはいわゆる小型ヒョウモン類との類縁上の関係も)考慮しなくてはならぬからである。狭義のウラギンスジヒョウモン属は本種とウラギンスジヒョウモンの2種からなり、本種のほうがより大型で、前翅端が突出し、その部分の裏面が濃色、前翅基半の地色は一様に茶褐色で、その部分には白斑が出現しない。写真の個体は雌だが、前翅表1~2脈に沿って、雄の性標とほぼ同位置に黒条が出現する。雌は前翅端近くに白斑を備え、地色の赤味を欠くことなど、他の大型ヒョウモン類と共通。分布域、出現期、食草なども他の大型ヒョウモン類と概ね同じ。フィールド日記9.29/10.2。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


≪参考≫ウラギンスジヒョウモン Argynnis laodice 老豹蛱蝶
日本産の「大型ヒョウモン」中、高標高地に棲息するギンボシヒョウモンと、ごく限られた山地草原にのみ分布するオオウラギンヒョウモンを除く7種(8~9種とする意見もある)は、低地帯にも広く分布しているはずだが、本種には一度も出会えなかった。どうやら東京西郊の低地帯には分布を欠くらしい(正確なところは未詳)。生態そのほかは他の大型ヒョウ

東京都青梅市霞丘陵 2021.4.27

タテハチョウ科のなかで、最も普遍的に見られる種のひとつ。静止時には名の通り、白斑が完全な横三筋になる。横長の翅を持つやや小さめの中型種。中室の白条が2つに分かれるのが特徴。ミスジチョウ属やイチモンジチョウ属など、イチモンジチョウ亜科の各種は、上下の羽ばたきと水兵滑空を交互に繰り返す、独特の飛び方をする。コミスジはヨーロッパに至るユーラシア大陸全土に分布し、英名では、その水兵の制服のような模様から「セイラ―」と呼ばれている。日本では北海道から屋久島まで分布、奄美大島以南では酷似する別種リュウキュウミスジNeptis hylasに置き換わる。年4~5回発生し、春~秋を通して均等に姿が見られる(終齢幼虫越冬)。雌雄差は僅少、雌は黒色部がやや淡い。食草はマメ科の各種で、ハギ類やフジ、クズなど、主に灌木や背の高い草本。成蝶は花を訪れるほか、鳥糞などを好んで吸汁する。フィールド日記4.22/4.23/4.27/5.25/5.29/6.8/8.19/9.7/9.10/9.19/9.20/9.21/10.5。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ミスジチョウ Neptis philyra 啡环蛱蝶


東京都青梅市青梅丘陵 2021.6.10

筆者は数十年ぶりに日本の都市近郊の蝶の撮影を再開したのだが、よく見る蝶のメンバーが以前とは少し異なっているように感じた。コムラサキやゴマダラチョウなど、一度も観察できなかった種がある一方、かなりの希少種と思っていた幾つかの種が案外数多く見られたりもした。後者の例の一つが、(写真に写していない霞丘陵での目撃例を含む)周辺の丘陵地で度々出会ったミスジチョウ。横長の翅を持つ大きめの中型種で、中室の白紋条はコミスジとは異なり2分割されない。雌雄差は僅少で、雌はやや白色帯が幅広い。北海道~九州に分布。年一化、初夏に出現(幼虫越冬)。食草はカエデ科。成蝶は吸水性が顕著で、鳥糞などでも吸汁する。樹木の葉上に静止することが多く、花には余り訪れないように思われる。フィールド日記6.10/6.15。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


≪参考≫ホシミスジ Neptis pryeri 链环蛱蝶
ミスジチョウ属の中でフタスジチョウと共に一群を形成する。フタスジチョウがユーラシア大陸に広く分布(日本では本州中部以北の寒冷地)するのに対し、ホシミスジ(種群)は東アジアにのみ分布、複数種に分割される。関東では山の蝶で都市部には見られないが、関西では都市近郊で比較的普通。小さめの中型種。年1~数化。後翅裏面基部に黒点群がある(フタスジチョウは後翅外縁寄りの白帯列を欠く)。食草はバラ科シモツケ属。近年関西からユキヤナギと共に移入したと考えられる集団が東京都心部でも発生中。


イチモンジチョウ Limenitis camilla 隐线蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.6.8 メス

イチモンジチョウ亜科は、ミスジチョウ類とイチモンジチョウ類に大別できる。ともに「黒地に白帯」ということは共通するが、名前の通り、ミスジチョウは帯が横3列、イチモンジチョウは縦一本、と分かり易い。翅型も前者は横長で後者は縦長。日本本土産に関しては、ミスジチョウ類の5種も、イチモンジチョウ類の3種も、それに当て嵌まる(ミスジチョウ類のうちフタスジチョウは2列)。ただし、日本本土やヨーロッパ(イチモンジチョウとコミスジはユーラシア大陸に広く分布)に於いてという前提で、種数の多い中国大陸や熱帯アジアでは当て嵌まらない種も多い(八重山諸島にも分布するヤエヤマイチモンジは雌がミスジ型、シロミスジは雌雄ともにミスジ型)。食草はスイカズラ科スイカズラ属。年数化(幼虫越冬)。中型種。ミスジチョウ類と同様に滑空とはばたきを交互に繰り返し、飛翔時には意外にコミスジと紛らわしい。フィールド日記5.25/6.8/6.9/6.15/6.17/6.18/9.20/9.21。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


アサマイチモンジ Limenitis glorifica 日本线蛱蝶

日本の本州固有種。イチモンジチョウに酷似するが、血縁上はやや離れていて、日本海の対岸地域に分布するデリースイチモンジLimenitis doerriesi、台湾~中国大陸(北部を除く)に分布するタイワンホシミスジLimenitis sulpitiaなどにより近縁と考えられる。霞丘陵では未見だが、首都圏をはじめとした都市近郊の低地帯にも分布していると思われる。中型種。年数化(初夏~秋)。食草はスイカズラ科スイカズラ属。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。

アサマイチモンジとイチモンジチョウの区別点≪『里の蝶基本50』青山潤三(森林書房1988)から転載≫
翅表:斑紋1と2を結んだ線はイチモンジ(雄は時に1を欠く)では3の内側、アサマイチモンジでは外側へ。翅裏:Aの白斑は上下の斑とあまり差がない(イチモンジでは際立って目立つ)。Bの黒斑は下半分の基部も点状(イチモンジは下半分4個が線状に並行)。Ⅽの複眼は無毛(イチモンジは毛で覆われる)。
〈挿図:省略〉


オオムラサキ Sasakia charonda 大紫蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.8.20 メス

このフィールドガイドブックは、一般の人たちを対象に、より広く読んで貰えればという想いで  企画した。その為には人目を惹く鮮やかな蝶の写真も加えたい。まず思いつくのがオオムラサキだ。しかし著者は霞丘陵にオオムラサキがいるかどうかは知らない。そこで、インターネットで調べたり人に聞いたりして、近隣のポイントを何か所か訪ね歩いた。結果は惨敗。どの場所でも撮影出来なかった。出現期を過ぎ撮影を諦めた8月下旬、いつも行き帰りに通る丘陵入口のコナラの樹に、突然雌が飛来した。あちこち探し歩かずに最初からここで待っていればよかったのである。残念ながら雌は派手な色彩はしていない。それでも独特の色合いと雄を上回る大きさは風格に満ちている(雄は以前山梨で撮影した写真を使用)。大型種。年一化。幼虫越冬。食樹はニレ科エノキ属。樹液を吸汁し、湿地で吸水する。北海道~九州に分布。日本の「国蝶」とされている(台湾や中国大陸などにも分布)。フィールド日記7.20/7.21/8.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


アカボシゴマダラ Hestina assimilis 黑脉蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.8.11 夏型

著者は永らく中国を拠点としていたので、日本の都市近郊の蝶に接する機会が無かった。帰国時、アパートと最寄り駅の途上で、何度か(日本の蝶としては)著者の頭にインプットされていない白い蝶に出会った。スジグロチョウにしては大きすぎる。やがてアカボシゴマダラであることに気が付いた。近年移入帰化しているとは聞いていたが、これほど増えているとは思いもしなかった。以前は日本での分布は奄美群島のみ(奄美大島産の分類上の位置づけについては著者の「中国のチョウ」に詳細記述)。しかし朝鮮半島や台湾や中国大陸などには広く分布し、上海や香港の都心部でも普通に見られることから、日本本土にいなかった事がむしろ不思議である。年数化。春型と夏型で色調が著しく異なる。大きめの中型(夏型)~小さめの大型(春型)。食樹はニレ科エノキ属。幼虫越冬。樹液に訪れる。下写真個体は住宅街の生垣のエノキに発生、上写真は前頁のコナラと同じ木の樹液。フィールド日記7.18/8.11/8.20/9.29。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ゴマダラチョウ Hestina persimilis 拟斑脉蛱蝶


埼玉浦和市 1981.6.30 エノキの枝に産卵

日本産のコムラサキ亜科は4種。本来は奄美にしかいなかったアカボシゴマダラを除く3種(ことにゴマダラチョウとコムラサキ)は都市近郊にも普通に見ることが出来た蝶である。それが、いつの間にか情勢が変わってしまっていた。見かけるのは新参者のアカボシゴマダラばかりである。ゴマダラチョウとコムラサキには一度も出会えなかった。ゴマダラチョウの食樹はオオムラサキやアカボシゴマダラと同じニレ科エノキ属。同じように樹液に訪れるはずなのだが、本種は減少しつつあるのだろうか。オオムラサキのような卵塊は作らず、一卵ずつ卵を産み付ける(ちなみに中国産オオムラサキも卵塊を作らない)。大きめの中型種。年2化。幼虫越冬。春型は白味が強く、雌は雄よりやや大きい。北海道~九州に分布。朝鮮半島産や中国大陸産は日本産とは斑紋パターンなどがやや異なる。西(西北限はヒマラヤ地方)に向かうほど白色部が多く翅型が横長となり、日本産をそれらから分けてHestina japonicaとすることもある。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


コムラサキ Apatura metis 细带闪蛱蝶


長野県上高地 1986.7.26 オス

コムラサキも今回出会えなかった蝶のひとつだ。ただし、丘陵探索時に知り合った地元の蝶愛好家氏の話では、筆者がいつもその手前で引き返してしまう民家の庭によく来ていた、とのこと(発生シーズンを終えた秋になって知った)。食草はヤナギ科。そのヤナギ類をはじめとした樹木の樹液を訪れ、腐果で吸汁、湿地で吸水する。翅型が丸味を帯びる他の同亜科3種と違って、アカタテハなどに似た凹凸部を持つ。雄の翅表は構造色で、鮮やかな紫色に煌めく。しかし角度によっては紫鱗が目立たず、雌同様の暗褐色となる。翅表に明色の帯状斑があり、通常はその部分が明黄褐色だが、地域によっては白色になる個体も出現する。大きめの中型種。北海道~九州に分布。年2~3化。幼虫越冬。ヨーロッパなどには近縁種のチョウセンコムラサキApatura irisを産し、英名を“パープル・エンペラー(紫の皇帝)”と呼ぶ。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


スミナガシ Dichorragia nesimachus 电蛱蝶


神奈川県津久井町1979.6.2(左はサトキマダラヒカゲ) 

特に珍しい種と言うわけではないが、といって簡単に出会えるわけでもない、という蝶のひとつ。食樹のアワブキが付近にあれば、出会えるチャンスはある。実は筆者も、今回の探索行では(いることは確認したのだが)写真は写せていない。大きめの中型種で、名前通りの深い味わいのある翅の色合いに加え、体全体がずっしりとした重みを感じる。何よりも、ストローが鮮紅色であることが、他の蝶にない特徴。タテハチョウ科の中で、他の各種と異なる独自の位置づけにある。幼虫が食草の葉に複雑な形の食痕を作ることでも知られる。年2化(蛹越冬)。樹林の周辺に棲息し、樹液や果汁で吸汁する。撮影中、汗を吸いに来ることも多い。本州以南に分布し、南西諸島産を複数の亜種に分割することもある。フィールド日記7.21。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。




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近所の森の蝶 3(上)

2021-12-07 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


★12月6日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


近所の森の蝶 3(上)

タテハチョウ科 Nymphalidae 蛱蝶科 Tortoiseshell/Fritillary/Brown etc.

「4本脚」の蝶。前脚2本は退化し、髭状となって歩行機能を失い、触覚、嗅覚などを司る。一般に体は頑丈で、翅型、斑紋、色彩は多様。種によっては翅縁に凹凸が多かったり、眼玉模様の斑紋があったり、表面は派手でも裏面は地味な枯葉模様だったりする。雌雄や季節により全く別の種の様に見えるものもある一方で、雌雄の区別が困難な種もある。翅を開いた差し渡しは5㎝前後の中型種が多いが、オオムラサキの雌やアサギマダラの様に10㎝を超す種や、サカハチチョウやヒメウラナミジャノメのように大きめのシジミチョウ程度の種もある。

日本産は80種余、世界に約6000種。形態や生態の異なる多様なグループから成っていて、多数の亜科に分割され、その中には以前は独立の科に置かれていたテングチョウ亜科やマダラチョウ亜科やジャノメチョウ亜科なども含まれる。

多くの種が蛾のように翅をべったりと開いて止まるが、キマダラヒカゲ属の様に静止時に絶対翅を開かない種もある。ミスジチョウ属やウラナミジャノメ属の種は、はばたきと滑空をミックスした独特の飛び方をする。

成虫の餌は、花蜜、水、樹液、腐果など様々で、近縁な種間でも異なることがある。棲息環境も樹林、草地など広範囲に亙り、ごく暗い林内でのみ見られる種もある。マダラチョウ亜科やヒョウモンチョウ亜科、ヒオドシチョウ亜科の種には、長距離移動をする種も多い。

幼虫は、ヒオドシチョウ亜科、ヒョウモンチョウ亜科は毛虫、コムラサキ亜科、ジャノメチョウ亜科、マダラチョウ亜科などでは芋虫。食草は多様で、ニレ科、クワ科、ヤナギ科、イネ科(ジャノメチョウ亜科)などを食する種が多い。蛹は尾端を葉や枝につけ、真下にぶら下がる垂蛹。



陽だまりのルリタテハ
東京都瑞穂町 2021.10.6



タテハチョウ科の幼生期など(「里の蝶」から一部をコピー)。



平均的なサイズ 中型

タテハチョウ科は、科単位ではシジミチョウ科と並び世界で最も繁栄する蝶である(両科で世界の蝶の8割を占める)。以前はジャノメチョウ科、マダラチョウ科、モルフォチョウ科など幾つかの独立科に分けられていたものも含まれる。ここでは、主要(メイン項目で取り上げた種数の多い)5亜科について述べる(他にマダラチョウ亜科、テングチョウ亜科、スミナガシ亜科の各1種を本文に紹介)。数字は霞丘陵周辺に分布する種数。()内は日本産の種数。

ヒオドシチョウ亜科。5種(20種前後)。霞丘陵周辺にはキタテハが圧倒的に多い。次いでルリタテハ。ヒオドシチョウは越冬後の個体を数多く見たきり、新世代個体は一度も見ていない。アカタテハ、ヒメアカタテハは、通常は最普通種だが、丘陵内では少数の個体にしか出会っていない。サカハチチョウは未確認だが、この一帯にも分布している可能性がある。

ヒョウモンチョウ亜科。6種(15種前後)。近年都市部で激増中のツマグロヒョウモンが秋に新世代新鮮個体に数多く出会った一方、年一化性の他の各種はクモガタヒョウモンのみ5月に一頭だけ撮影(その後出会っていない)、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、オオウラギンヒョウモン、ウラギンヒョウモンの各種は、出現していたはずの夏の前半には全く見られず、秋口になって汚損個体が数多く出現。夏の間、移動を行っていた可能性がある。ウラギンスジヒョウモンは未確認、この一帯には分布していないのかも知れない。

イチモンジチョウ亜科。4種(11種)。コミスジは最普通種のひとつで、年間を通して見られる。これまで希少種だと思っていたミスジチョウは、発生期には少なからず見られた。イチモンジチョウも普遍的。アサマイチモンジは未確認だが、おそらく分布しているものと思われる。

コムラサキ亜科。4種(4種)。エノキ食の3種のうち、移入帰化種のアカボシゴマダラが最も多い。オオムラサキは今年は少なかったそうで、著者は樹液の出る3本のコナラとクヌギで見たのみ。ゴマダラチョウは未確認。ヤナギ食のコムラサキは霞丘陵でも場所によっては多産するそうだが、著者は出会っていない。

ジャノメチョウ亜科。8種(28種前後)。早春と晩秋を除く全期間、全地域で、途切れることなく最も普遍的に見られた蝶がヒメウラナミジャノメ。一方で本来は最普通種ながら秋が深まるまでほとんど姿を見せなかったのがヒメジャノメ。逆に、鬱閉した林内だけに棲息するコジャノメが意外に数多く見られた(林内の蝶としては最も多かった)。サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲの3種は、樹液に来る主要種。クロヒカゲは第3化が秋遅くまで見られた。以前は首都圏には産しなかったクロコノマチョウが林縁の草地に少なくなかった半面、同じような環境に棲むはずのジャノメチョウには全く出会えなかった。

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テングチョウ Libythea celtis 朴喙蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.24 越冬個体

かつては独立のテングチョウ科とされていた。現在では一応タテハチョウ科の一員に含められているが、極めて原始的な形質を保ち持った一群であることは確かなようである。現存種に関してはマイナーなグループではあるが、化石は数多く産出している。小さめの中型種。翅型はヒオドシチョウ族の幾つかの種に似るが、前後に細長い。和名のごとく、頭部の下方に下唇鬚が突出する。成虫越冬。年1(~2)化。越冬世代と非越冬世代の間の外観的な差も、雌雄差も少ない。翅を閉じると枯葉のように見える。北海道~南西諸島に分布。食樹はニレ科エノキ属。成蝶は好んで吸水し、地表にとまっていることや腐果などで吸汁していることも多く、花にも訪れる。フィールド日記3.24/5.25/10.28。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒメアカタテハ Vanessa carudui 小红蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.9.7

蝶の中で唯一とも言ってよい“コスモポリタン”種。英名は“Painted Lady”。世界各地の都市近郊を始め、熱帯樹林やサバンナ、高山の雪嶺や寒冷地、絶海の孤島、砂漠の周辺、、、どこにでも姿を見せる(各地に定着しているかどうかは不明で、秋以降に増える地が多い)。地域に関わらず変異がないことから、おそらく共通の遺伝子を持つ比較的最近になって拡散繁栄した種であることが推察される。ただし、オーストラリア東部とニュージーランドでのみ、ごく近縁の別種が置き換わり分布。また、南北アメリカでも複数の近縁種が産することから、起源は新大陸にあると思われる。やや小さめの中型種。「姫」の名前が付くように、アカタテハに比べて、より華奢な印象を受ける(前翅縁の湾曲がまろやかで色調が明るい)。雌雄は酷似。東京近郊での化性や越冬態は未詳。食草はキク科のアザミ族(特にゴボウを好む)がメインとされるが、より多岐に亘っている可能性がある。成蝶は花蜜を好む。フィールド日記8.22/9.7/10.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


アカタテハ Vanessa indica 大红蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.10.2

ヨーロッパなどに広く分布する近縁種のアトランタアカタテハVanessa atarantaは、ヒメアカタテハの“Painted Lady(お化粧した貴婦人)”と対になるように、“Red Adomiral(赤い海軍大将)”と名付けられている。日本や中国を含むユーラシア大陸東半部産のアカタテハは“Indian Red Adomiral”と呼ばれる。アジアの各地では、ヒメアカタテハ同様に、最もポピュラーな蝶のひとつで、都市近郊、辺境を問わず、様々な環境に姿を見せる。何故か、霞丘陵ではヒメアカタテハ共々数が少なく、(越冬後の)1個体を探索初日に撮影した後、秋が深まるまで姿を現さなかった。おそらく年3~4化(成虫越冬)。食草はイラクサ科、クワ科、ニレ科。成蝶は腐果を好み、花や樹液にも訪れる。中型種。雌雄は酷似し、最も見分けるのが困難な蝶のひとつである。フィールド日記3.23/10.2/10.30。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


キタテハ Nymphalis c-auleam 黄钩蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.24 越冬後

日本の最普通種の蝶のひとつ。食草のカナムグラが全国至る所に生えていることが、普遍性獲得の一因となっているものと思われる。日本では山地帯のみに分布するシータテハが北半球に広く分布・種分化しているのと対照的に、本種は世界的視野ではごく狭い範囲の東アジアにのみ分布し、深い類縁性をもつ種が存在せず、かつ種内での変異が少ない「遺存的繁栄種」である(アゲハと共通)。中型種。年3~4化。非越冬型と越冬型で外観が異なる。雌はやや翅地色が淡い。様々な形質でシータテハとは相違し、通常は本種を含めて独立属とされるシータテハ属Polygoniaの中では特異な位置づけにある。ルリタテハを独立属とするならば、本種も同様の処置を採るべきであろう。シータテハとの外観上の区別点は、中室基部に黒紋を有し、翅縁の各突出端が鋭く尖ること。花蜜を好み、腐果や樹液にも来る。フィールド日記3.24/4.27/5.14/5.23/6.1/6.13/6.14/8.20/8.27/9.7/9.8/9.10/9.28/10.2/10.11/10.20/10.28/10.30/11.11/11.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ルリタテハ Nymphalis canace  琉璃蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.8.11

「あらゆる表象は“隠れている”ことが本質である」という真実?を、今回の蝶探索で確信した。どの蝶の場合も当て嵌まるが、中でもルリタテハは典型、翅を閉じると完全に姿を消す。真上から見ると樹皮の裂け目と同じ一本の線に、横から見れば翅裏の模様が樹皮に見事に溶け込んでしまう。そして翅を開くと一瞬鮮やかな瑠璃色が現れる。魔法を見ているようである。翅色や模様、食草、分布域などが特殊なことから、通常一属一種のルリタテハ属Kaniskaとされるが、本質的にはシータテハ属Polygonia(本書では共に広義のNymphalis属に含めた)の一員。食草は単子葉植物のユリ科ホトトギス属やシオデ科。熱帯アジアに広く分布、地域変異が顕著で日本産は前翅表中室の紋が白色(北海道南部~八重山諸島まで共通)。やや大きめの中型種。樹液や腐果を好み稀に訪花する。年数化、成蝶越冬、季節や雌雄による差は少ない。フィールド日記3.24/3.27/4.8/4.23/6.22/8.11/8.20/8.22/8.27/9.7/9.8/9.9/10.6/10.20/10.24/11.11。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ヒオドシチョウ Nymphalis xanthomelas 朱蛱蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.23 越冬後

霞丘陵周辺で撮影した蝶は61種。その中で蝶の姿で最も長生きなのが、ヒオドシチョウである(他に日本産では同属の2種とヤマキチョウ属の2種)。越冬雌が春に卵を産み、初夏に次世代が現れて夏秋を過ごし、蝶の姿のまま冬を越す。ほぼ年間に亘り一つの個体が蝶の姿のまま生き続けていることになる。しかし、不明な点も多い。多くの地で盛夏に姿を消す。新世代成蝶は、寒冷地に移動している可能性、あるいは同じ場所の涼しい空間に留まっている(生理調節=夏眠)可能性が考え得る。いずれにしろ人里周辺では目に触れなくなってしまう。秋が深まると低地や温暖地での活動を再開、冬は再度活動を停止する(冬眠)。ちなみに霞丘陵では越冬後の個体にしか出会っていない。大きめの中型種。食草はニレ科、ヤナギ科など。北海道~九州に分布。北半球冷温帯域に広く分布するキベリタテハは、色彩斑紋など外観が著しく異なるが、血縁上は本種に非常に近い。フィールド日記3.23/4.10/4.22/4.23。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


サカハチチョウ Araschnia burejana 布网蜘蛱蝶


(データ確認中) 春型

霞丘陵での分布の可否については未確認。本来は山地性の蝶(北海道~九州と日本海の対岸地域に分布)だが、以前、八王子の近郊で撮影したこともあるので、霞丘陵周辺にも分布している可能性が高いと思う。大きめの小型種。タテハチョウ科の中では、ウラナミジャノメ属などと共に最も小さな種のひとつである(北海道産の同属種アカマダラAraschnia levanaは更に小さい)。大多数の種が成蝶で越冬するヒオドシチョウ亜科の種としては、例外的な蛹越冬(ほかに本属に比較的近縁のヒョウモンモドキ類が幼虫越冬)。年2化。春型と夏型で最も色彩斑紋が異なる蝶のひとつである。ただし、中国大陸産の近縁種キマダラサカハチチョウAraschinia dorisやアカマダラモドキAraschnia prorosoidesでは春型と夏型の中間的な個体も見出されることから、本種も厳密には区別できないのかも知れない。花を好んで訪れ、獣糞や腐果などでも吸汁する。食草はイラクサ科。卵を数珠の様に何段も重ねて産み付ける。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。




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2021.12.6‐7 日記

2021-12-06 20:39:44 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

宮崎の牧場のコバヤシさんから、久しぶりにメールが来ました。

>>いつもブログ読んでますよ!(アメリカンポップのところはマニアすぎて理解できていませんが...)
コロナの話とか、ほんとおもしろいです。多くの読者がひっそりと愛読していると思います。

「度々疑問を懐くんですけれど、、、読んでくれてる人なんているのだろうか?」
と前回書いた事への返信みたいですね(笑)。“ひっそりと”が秀逸。

ブログの冒頭に
「12月4日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。」
とかなっているのは、
これはあや子さんが常にチェックしてアップ時に入れてくれているんで、僕にはよく分からないんですよ(むろん「有難う御座います」は僕自身の気持ちでもあります)。毎回一人いるかどうか、ぐらいだと思うのですが。

それと、以前チェックしたときに、あや子さんが申し込んで?くれている「ブログ村~科学記事」というランキングでは、相当上位にランクされていたみたいなのですが、本当なのでしょうか?(なんか、「ブログ村」のヤラセみたいな気もするのだけれど)

・・・・・・・・・・・・・・

コロナは風邪である。
そして「ただの風邪」は、許より非常に恐ろしい脅威である。
と、2年前から言い続けて来ました。
「コロナよりも怖いのは、それによって煽られる“無意識同調強要空気”である」
まあ、「陰謀論」「頭のおかしい人」として無視され続けて来ましたが。。。

さて、予測した通り、「有耶無耶」に着地しつつあるような気がします。
コロナは変異を繰り返して、良くも悪くも“普通の風邪”になりつつある。
結果オーライ、、、、じゃない、と僕は思うんですよ。

たぶん、リスクの徹底排除、科学の絶対的信仰、民主主義の自由礼賛、、、の世界は、今後とも続きます。
リスク(取得権を脅かす風)に対面する度に、(自分たちだけ良ければいいと)逃げて、排除する。
自分たちの正義を「確認」し合い、悪と「戦う」。
「中国共産党」に全責任を押し付ける、、、(笑)。
そんなことしてる場合じゃないと思うんですけれど。





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2021.12.5‐6 日記の注記

2021-12-06 14:04:32 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

細かいことだけれど、前回のブログの訂正。

ジョニー・ティロットソン作「ウイズアウト・ユー」のカバー盤タイトルは、
クロアチア語が
「Daleko od mene」
フランス語が
「Loin de moi」
です。

それと、ダリダの死因を「睡眠薬自殺」と書きましたが、正確には「barbiturates(向精神剤)の過剰摂取」です。当時barbituratesは睡眠剤の主流だったので、「睡眠薬自殺」でも間違いではないとは思いますが、表現は「過剰摂取」に留めて置いた方が良いと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ブログについて。

度々疑問を懐くんですけれど、、、読んでくれてる人なんているのだろうか?

僕が何でブログを書いているかと言うと、主に次の3つの理由からです。

➀自分の防備録(文字通りの「日記」)。

②「商品」として。原則、有料です。仕事(work)を継続していくために、読者から援助を頂く。ただし、お金に困っている人は、0円購読でも良い(一応、仮に読者がいても“ほぼ全ての読者が僕同様経済的に困窮している”と認識しています、笑)。

③問題提起として読者の方々に様々なことを考えて貰うために。対象は若者です。例えば、16歳とか17歳とか。彼らの年齢が、『「多様性」を認めるという旗印のもと結局は「単一性」を求める(一様性を広める)方向』へ進むのか、『「多様性」を根源的な部分から捉える方向』に進むことが出来るのかどうかの、分かれ目なような気がする。

「ジュディ、ジュディ、ジュディ」のジュデイは17歳。「素敵な~」も「悲しき~」も16歳、、、、アメリカン・ポップスには年齢が登場する曲が多いのですが、ほとんど全てが、16歳と17歳ですね。何故か、18歳とか15歳とかはほとんどない。まあ、語呂の問題もあると思いますが、、、。



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2021.12.5 日記

2021-12-05 20:49:52 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月4日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

僕の仕事場(?)は、マクドは宝くじの確率(よりはもうちょっと多い)でしかWi-Fi繋がらないので、通常はスタバかジョナサンという事になります。ジョナサンへの不満は山ほどあるんだけれど、選択肢が少ないので、仕方がありません。

何が嫌だというと、周りのジジババが大声で喋りまくっていること。若者もいますね。大抵は保険の勧誘です。勧誘する方もされる方も聞いていて無性に腹が立つ。

リスク管理。まあそう言う事です。あらゆるリスク管理。人類の科学と文明の英知は、リスク排除、取得権を手放したくない、という所に収斂するわけです。保険もそうだし、個人情報ナントかもそうですね。

でもね、(科学を過信して)リスクを排除している人ほど、おっきなリスクに面したら、ひとたまりもない。

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前回引用したコメントをもう一回紹介しておきます。
>(現代社会は)『「多様性」を認めるという旗印のもと「単一性」が求められているともいえる。
>「多様性」と言いながら、結局は新時代の一様性を広めようとしているのに過ぎないのでは?

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三遊亭円丈さんが亡くなりました。

僕はテレビは見ないのですが、もう何十年も前、たぶんどこかのホテルに宿泊している時にこの方の高座を聞いて、感服しました。三遊亭と言えば、現・円楽とか小遊三とか好楽とか、「笑点」の有名人たちなのでしょうが、(お風呂屋のTVで見たけれど)全然面白くない。なんか、次元が異なりすぎます。まあ大衆はバカばかりなので、、、、(笑)。

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こんなニュースもありました。

中国共産党からのアピールです。

>「民主主義」は一部の国の専売特許ではない。
>我々には我々の「民主主義」がある。
>何が「民主」で、誰が「民主」を定義するのか?

僕には、彼らの「民主主義」が正しいのかどうかは分かりません(たぶん間違っていると思う、笑)。

しかし、「民主主義は(本来)多様である」と言う事だけは、はっきりと言えます。「本来」です。今の「民主主義」は、そのようには見えません。

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ネットのコラム。

『「昔、現役やってんで(←注:関西弁のイントネーションで)」、、、かんなみ新地で“営業”を続けるシャネル風ジャケットの知的ママの“身の上”と“妖艶な電気が灯っていた時代”』

井上律子さんという女性ライターの上・中・下(12回)の、文春にしては珍しく良い記事。その話題の前に、ちょっと横道にそれます。

たまたまなんですが、今朝部屋を出る時に、樋口一葉の「たけくらべ」の途中を、ほんのちょっと飛ばし読みしてきました。僕は一葉にはあまり興味はなく、付随して語られる斎藤緑雨や半井桃水に興味があって、ある意味仕方なく(彼ら単独ではほとんど出てこない)一葉をチェックしているわけです。リアルタイムでは広津柳浪「今戸心中」とセットにして語られることが多かったのです。永井荷風は「里の今昔」という随筆で「二家の作は全くその形式を異にしているのであるが、その情調の叙事詩的なることは同一である」と評論していますね。荷風編の「吉原の面影」という文庫本には、その自身の「里の今昔」と、上記の一葉と柳浪の2作、および泉鏡花の短編が収録されています。夏目漱石も素人時代に両作品を絶賛していたし、森鴎外も幸田露伴も、もちろん緑雨も、その2作に対して激論を交わしています。もっとも、「たけくらべ」は、僕には、もうひとつ良さが分からないのだけれど、それは読解力(というか語学力)の無さの為せる技だろうと思っています。

ついでに言うと、坪内逍遥は、馴染みの女郎さんを正式な奥さんにした(鏡花もそうだったかな?)。逍遥は男の中の男だと思います(奥さん一筋の漱石も偉いし、むろん結婚拒否派の緑雨も立派、そこに行くと鴎外はカスですね、笑)。

この間、ネットをチェックしていたら、当時の吉原の近くの街角を再現したジオラマというのがあった。その話をする前に、もひとつ横道に。

僕は、人生後悔すること辛いことだらけなんですね。中でも一番人生に悔いを残しているのが、湖北省恩施の仲の良かった水商売の女の子のこと。バスターミナルの隣の、もう、スーパー可愛い超美人です。

確か、ずっと昔のブログに書いたことがあると思います。街角の公衆電話から日本に電話をしていました。お金が無くなったのであや子さんにお金借りようと(まさかこの街角の売店の電話から国際電話をかけられるとは思ってもみなかったのだけれど、ダメモトで試したらかかった)。電話を終えた時、横で僕の話声を聞いていた20歳ぐらいの女性が声をかけてきた。

>日本人なの?50元(800円ぐらい)でいいよ!
>>とんでもない、飯食う金もない!!
>じゃあ、ご馳走してあげる!!

バス待ちの客で回転営業しているのだそう。一日20人から多い時で50人近く客を取るそうです(下着を履き替える暇もない由)。お金は僕なんかよりも遥かに持ってて、その後も恩施に行った時は、度々ご馳走になりながら話をしていました(中国語と英語のチャンポン)。

>辛い、本当は止めたい、でも家族・一族(浙江省温州)との関連で、それは出来ない。
>凄く複雑な話になるので、説明しても、あなたが理解するのは無理。
>でも、いつか自由になれると思って、頑張っている。

2年間ほど ずーっとメールでやり取りしていました。ある時(8年前の4月)僕のインターネットのアカウントが、マイクロソフト社により突然閉鎖されてしまった。“あなたの個人情報が洩れる恐れが生じたので一度閉じる(原因は分かっていてその直前に「あや子版」に住所やメールアドレスなどを載せたのでマイクロソフト社がそれを把握してお節介に閉じた)、ついては自分が自分である証明の暗号ワードを再記入するように”。一年かけて必死にトライしましたが、結局自分が自分であることの証明が出来ず、全ての連絡先が消滅してしまいました。彼女の連絡先も、うっかり別の所には筆記していなかった。

何が悔いが残るのかというと、偶然、その直前に最後に来たメールの内容(それまではそんなメールを寄こすことは無かったのですが)。
「助けて!現金や買ったばかりのスマホを含め、すべてを盗まれてしまった!」
貧乏な僕にはどうしようもない、でも、出来る限りのことをしてあげようと、
「ちょっと待って、何とかして協力してあげる」
というメールを出そうとしていた直前に、運悪くアカウントの消滅。
それ以来、永遠に連絡が取れなくなってしまったのです。
向うは「これまで仲良くしていたのに、無心をした途端、一切の連絡を寄こさなくなった、最低!」
と、当然思っていることでしょう。それは違う!と言いたくても叶いません。辛い、、、、。

当時は、どこの地方都市にも、バスターミナルの周辺は、宿-食堂-ピンク-宿-食堂-ピンク、、、、の並びでした。それでいつもバス待ちの間などに、彼女たちやお客さんたちと話をしていたのです(“そっち”に使うお金でみんなで飯食える!)。僕は、あの雰囲気が大好きだったのです。

それが、7~8年ほど前に、たぶん全国一斉に突然消えてしまった。それはそれで良いことだと思います。でも、根本的には変わらないのではないか?(公衆から姿を消した分)むしろ逆方向に向かう(「表」から「裏」へ)のではないだろうか?

荷風は、明治の終わり頃、一斉に「江戸」の面影が消えてしまったことを惜しんでいます。その、(江戸の面影を受け継いだ)明治の印象と、10年ほど前までの中国の市井の雰囲気は、なんか、被さっているような気がする、、、。

明治の写真の記録を見ると、僕があちこち飛び回っていた頃(20世紀末)の中国の光景を、ふと思い浮かべてしまう。時代的に違い過ぎて、整合性がとれないということは分かるのですけれど。

前に書いた夢の話。どこかの街の通り。宿舎の窓からの俯瞰。
なぜか、すごく懐かしく感じたこと。
この間チェックした前記のジオラマは、その光景とぴったりと重なるんですね。まあ偶然なんだろうし、だからどうした、ってわけではないのですけれど、、、。

横道に逸れっぱなしで、、、、(笑)。本道に戻るのは、またの機会にします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全く別の話題。

昨日今日と、パソコンで「Second hand songs」というコーナーで、ジョニー・ティロットソン作詞作曲のほぼ無名の作品(「Why Do I Love You So」のB面)「Never Let Me Go」のフランス語でのカバー・バージョンを3つ見つけました。(本人の歌唱さえほとんど知られていないのに、それも外国での)カバー・バージョンがあるとは、思いもしなかったです。

そのひとつが、1960年にリリース(オリジナルと同年)され、ユーチュブにはひと月前にアップされたばかりの、フランス人ダンサーのリタ・キャディラックRita Cadillac(本名 Nicole Yasterbelsky; 18 May 1936– 5 April 1995)歌唱盤。


「Jamais je n'oublierai(ネバー・レット・ミー・ゴー)」が収録された、Rita cadillacの、4曲入りEPです(ユーチュブで聴けます)。

ジョニー自作の大ヒット曲のひとつ「Without You」は、何故かカバー・バージョンが少ないのですが、クロアチア語でのカバーを見つけました。Servia出身の男性歌手。これもなかなか良いです。


「Daleko od mene (ウィズアウト・ユー)」Perica Stojancic(Language=Croatian)



「Daleko od mene (ウィズアウト・ユー)」は、あのフランスの大歌手Dalida(ダリダ)も歌っていました(フル動画あり)。1933~1987(睡眠薬自殺だったそうです)。




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2021.12.4 日記 ハリーと年寄りと多様性

2021-12-05 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月4日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

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何度でも書きますよ。

僕は基本マスクはしません。ワクチンも打ちません。別にマスクやワクチンが嫌、と言うわけではなく(「しろ!」と命令されれば従います)、“マスクをして当然、ワクチンを打って当然”、という空気の力(いわゆる「同調圧力」というやつですね)で世界(ことに日本社会)が成り立っていることに対して、それは恐ろしいことであると危惧しているからです。

マスク、ワクチンを反対する人々に対して、正義の健全市民たちは「大切な人を守ることを考えないのか?自己中で想像力に欠けすぎている」と言います。想像力に欠けた自己中は、どっちなのでしょう? 僕が思うに、今、人類に求められているのは、「自分たちの安全を唯一絶対目的とする、リスク排除主義、既得権獲得に基づく集団自己中」から脱した、ウィルスとの共存です。科学・文明を過信するようになって、それが出来なくなってしまった

例えば、中国はとんでもなく出鱈目な問題だらけの国家ですが、日本の大衆は、そのことの本質を捉えていないですね。ただ闇雲に叩く。コロナも、早い話、中国叩きの道具です(両方とも「悪」でしょうし)。

31年前の〇〇〇事件、一昨年の香港デモ(僕は両方とも現場に居合わせた)。民主主義の、壮大な規模の「ヤラセ」であることに、日本の大衆や頭の良い人たちは、気が付かないのでしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

正義の泉田議員に訴えられた、悪徳老人の星野県議。このテープ、正義の味方文春に、明らかに「抜かれて」いますね。まあ、このお年寄り議員の“悪さ(実証は出来ないけれど皆がそう言っているので仮にそうしておきます)加減”は、中国のそれと似たり寄ったりでしょうから(笑)、何を指摘されても反論は出来ません。嵌められましたね。アウトでしょうが、さて、巨悪はどっちなのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

今の日本では(ネットの上だけかも知れんけど)、年寄りは悪だ、ということになっているみたいですね。でも、ここのコラムは違いました。

広岡さん(89)がハリー(81)を擁護。
「実は、女子ボクシングに関する発言が大問題になったときに本人はどうするべきかに相当悩んでおり、直接私に電話があって相談された。今回の降板は、彼なりの考えがあっての決断だったと思う」

それに対してのコメントを並べます。ポジティブなコメント群が並んでいるので、なんとなくほっこりします(広岡も張本もヤフコメ民も嫌いだけれど、今回は見直しました)。

●張本に厳しい意見もあるが、これが80代の意見。そういう価値観で生まれ育ってきたんだ。多様性というなら、こういう意見もくみ取らないといけない。今の価値観で昔を非難するのは良くない。

●ある意味、『多様性』を認めるという旗印の元、『単一性』が求められているとも言えるのが皮肉ではありますね。『不快』という気持ちでの排除は多様性から実は最も遠い。

●多様性を口にする人たちは、実は新時代の一様性を広めようとしているに過ぎないのでは?という疑問を持って欲しい。

●多様性という意味では、張本さんは少数派の辛さを味わい苦労をされてきた方だ。在日韓国人2世として差別を受けた事、手に大火傷を負った事、広島で被曝を受けた事。ジャイアンツ時代も外様選手として、人間関係にも苦労された様だ。時代錯誤、時代遅れの批判がありつつも今日まで一線の解説者として活動出来たのも、選手としての実績だけではない気がする。

●「嫁入り前の女の子が…」と、口には出さないけど思っているオッサンは一定以上居るはず。張さんはいつも視聴者を意識して発言していたし、爺さんなんだから時代に合わせる必要はないでしょう、と思うけどね。

●素直な感想でもメディアや公で言うと問題になっちゃう。自分も女性がなんで殴り合いをするの?とは思っちゃうよ。見下してるわけじゃなく心配含めての発言。こういう事をメディアで言っちゃうとまた炎上しちゃうだろうけど、声に出すか出さないかで素直な感想だと思うんだけど。これからは言論封じの世の中になって行くのかね。匿名で言うのは卑怯だけど、顔出して言ってる分責任は伴ってると思うけど。

●張さんは、言い方なんだよね。「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。娘が居る私は可哀そうで見ていられないですよ。」っていう感じに言えば、ここまで叩かれなかったかなと思う。

●ハリーにはお嬢さんおられるから娘もちの父としたらたまらんでしょうね。マッハ文珠が女子プロレスを早々に引退したのもお母さんがたまらなくなったのが要因の一つだとYOUTUBE内で言ってました。そういったことも考えずに何でも平等論へもっていくのもやり過ぎだったと思いますよ、、、、。

●あの発言にかみつく人が出ることが、多様性のない社会だよね。人の感想はそれぞれだから。教科書に乗せる話じゃないんだから、どんな意見があってもよい。

●Yahoo記事でしか張本氏のコメントを知らなかった当時は、頑固でとんでもない老人というイメージでしたが、実際に番組を観ると他に色んなことを話していて、随分と印象が違いました。何だかんだと言って、あの年齢の割にはよく調べて勉強していたし、もう少し伸び代を観たかった気もします。

>『多様性』を認めるという旗印の元、『単一性』が求められている。
>実は新時代の一様性を広めようとしているに過ぎないのでは?

至言です。




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近所の森の蝶 2

2021-12-04 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


近所の森の蝶 2

シロチョウ科Papilionidae 粉蝶科 White/Yellow/Orange-tip

翅は白か黄色で黒条や黒斑があり、縁には凸凹が少なく、穏やかな感じがする。大きさは中型~やや小型。世界に約1000種、日本産は20数種(種の細分や迷蝶のカウント次第で10種ほど増える)、大きく3亜科に分けられる。

モンシロチョウ亜科(モンシロチョウ族、ツマキチョウ族)の種は、幼虫が主にアブラナ科を食べ、成虫は静止時に翅を開いていることも多い。モンキチョウ亜科(モンキチョウ族、キチョウ族)の種は、主にマメ科を食草とし、静止時には常に翅を閉じたままである。ヒメシロチョウ亜科の種は、日本では山地や寒冷地にのみ棲息している(新大陸に繁栄する)。なお、モンシロチョウ亜科とモンキチョウ亜科は、統合してシロチョウ亜科とする見解もある。

活動時間は日中で、日のよく当たる所や明所と暗所の境界に沿って、緩やかに、いかにも蝶々らしくひらひらとはばたきながら飛ぶ。アゲハ類のような明瞭な蝶道は作らないが、ツマキチョウは直線的に同じコースを行き来する性質が著しい。

花の蜜を好み、雄は吸水にも訪れるが、樹液や腐果には来ない。交尾の済んだ雌は、地上に止まり腹部を持ち上げて雄の求愛を回避するが、そのパターンは種によって様々で、モンキチョウやキチョウの場合は極めて特徴的である。

卵は紡錘形。幼虫は典型的なアオムシ。蛹はアゲハチョウ科と同じ帯蛹で、上向きにとまり、背に糸をかけ、胸が出た鳩胸型と背が盛り上がったセムシ型がある。

霞丘陵産は5種。参考として、山地や寒冷地でポピュラーな3種、亜熱帯の都市周辺で普通に見られる2種、および以前は首都圏の近郊にも産したが現在はほぼ姿を消したツマグロキチョウを追加紹介しておく。




モンシロチョウ(上)とスジグロチョウ(下)
著者のアパートから霞丘陵に行く途中の路傍にて 2021.5.30
【同じ場所で揃って見られるが2ショット撮影のチャンスをものにするのは意外に難しい】




シロチョウ科の幼生期など(「里の蝶」から一部をコピー)。




平均的なサイズ 小さめの中型


霞丘陵周辺に分布する蝶は、ほかの科では少なくとも10種以上を数えるが、シロチョウ科は5種だけである。日本産全体から見ての割合でも明らかに少ない。首都圏に限らず、北日本と南日本を除く各地の都市近郊でも、そのメンバーは変わらない。

しかし、早春一度だけ姿を見せるツマキチョウ以外の4種、モンシロチョウ、スジグロチョウ(スジグロシロチョウ)、モンキチョウ、キチョウ(キタキチョウ)は、いずれも身近な蝶の代表的存在である。そして、いずれの種も、興味深い未知のテーマをどっさりと隠し持っている。身近なシロチョウ科の種数は限られるが、どれも中身は濃く深い。

これまで著者は、どちらかと言えばモンシロチョウやスジグロチョウの白蝶類のほうに関心があって、日本産や中国産、ヨーロッパ産や北米産など、機会があるごとにチェックをし続けてきた。食草のアブラナ科(野菜となったキャベツやダイコンなどを含む)における、日本と海外との関わりも面白いテーマである。

一方、モンキチョウやキチョウなどの黄蝶類については、漠然とした知識や興味しかなかった。主解説でも触れたように、キチョウ亜科の種は常に翅を閉じてとまる。モンキチョウは北方要素の種で、明所の草原的環境に棲み、クローバーなどのマメ科草本を食草とし、幼虫越冬で年の前半に個体数が多く、メス→オスの長時間追飛翔を行う。キチョウは南方要素の種で、やや暗所の繁みの周辺に棲み、同じマメ科でも低木のハギなどを食草とし、成虫越冬で年の後半に数が増え、産卵中のメスの上をオスが停空追飛し続ける。その辺りのことは大雑把に把握していた。

しかし改めて観察を始めたら分からないことだらけ。例えばモンキチョウと言えば、メス→オスの不思議な追飛翔なのだが、それがほとんど観察できなかった(詳細については第二章で)。主要食草のクローバーやウマゴヤシ類は外来植物である。まさかとは思うが、それらと共に侵入した個体の遺伝子が混じり異なる生態を示している?ちなみに中国産(中国では山地性)は外観も交尾器の形状も日本産と変わらず、日本産同様メス→オス追飛翔を行う。
霞丘陵の観察地の“コリアス草原”では早春の第一化と初夏の第二化は大発生するのだけれど、夏以降には忽然と姿を消してしまう。そして11月になって再び姿を現す。その間、別の場所に移動しているのか?ここで発生はしているけれど人目のつかないところに潜んでいるのか?それとも生理的な機能を調節して夏の間(幼虫などで)休眠しているのか? 

キチョウ(キタキチョウとミナミキチョウの種分割については著者が捉える種の概念に基づく様々な意見があるため暫定的に分割を保留しておく)にも謎が多い。こちらは、(モンキチョウの大発生時にも周辺部に見られるが)どちらかと言えば年の後半、秋になって個体数が増える。春や初夏のモンキチョウのように大群とはならないが、他の蝶が少ない冬季を含む一年中、盛夏を除き切れ目なく姿を見せる。越冬型と非越冬型があって、春や秋には、両タイプが混在しているように思えるのだが、その関係性がよく認識出来ないでいる。越冬前後の交尾(求愛)や産卵の実態も、分からない部分が多い。

モンシロチョウ(日本産は旧い時代の帰化種、、、ではオリジンの地は?)、スジグロチョウ(ほぼ日本固有種、大陸産の広義のエゾスジグロチョウとの関係は?)共々、ごく身近な存在ながら、実は未解明な実態が数多く残されているのが、シロチョウ科の“普通種”4種なのである(それらについては、第二章、第三章で述べる)。

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モンシロチョウ Pieris rapae 菜粉蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.10 春型オス 

日本で最もポピュラーな蝶。ヨーロッパでも普遍的だが、英名では“Small Cabbage White(小型キャベツ白蝶)”の名で呼ばれるように、オオモンシロチョウが主で本種はサブ的位置づけ。日本産が在来種かどうかは不明で、古い時代に移入帰化した種である可能性が強い(高山に発生する集団は2次的由来だろう)。そもそも中国産の実態も分かっていない。おそらくキャベツの原種共々、中央アジアから地中海西南岸付近に起源があるように思われる。スジグロチョウがアブラナ科の野生種を好むのに対し、本種は栽培種、殊にキャベツを好む。小さめの中型種。春型は黒斑が淡く、裏面がくすんだ色合い。雌は黒斑部が褐色味がかる。シロチョウ類は常に翅を閉じて止まるキチョウ類と異なり、翅を開いて止まることが多い。年4~5化(蛹越冬)。訪花し吸水するが樹液には来ない。フィールド日記3.24/3.27/5.23/5.25/5.29/5.30/6.1/6.10/9.10/10.20/10.30/11.11。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


スジグロチョウ Pieris melete 黑纹粉蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.22 春型オス 

最近は“スジグロシロチョウ”と呼ばれることが多いが、本書では古くから呼ばれていた“スジグロチョウ”の名で記す。モンシロチョウよりもやや暗い環境に棲息し、建造物の多い都市部周辺では本種の方が多く見られる傾向がある。野生のアブラナ科、殊にイヌガラシを好み、キャベツなどの蔬菜の薹の立った葉にも卵を産付する。やや小さめの中型種。年4-5化(蛹越冬)。春型の雄翅表は個体により黒色斑を全く欠く。雄は強い香り(発香鱗)で雌を誘引する。京阪神圏では都市周辺には分布せず、場所によっては(首都圏ではかなりの山奥に行かねば見られない)酷似したエゾスジグロチョウPieris napiが棲息している。Pieris napiの分布域は北半球温帯全域に亘り、幾つもの異なる種で構成され、日本産も2種(ヤマトスジグロチョウとエゾスジグロチョウ)に分割するという見解もある。フィールド日記3.24/3.27/4.8/4.10/4.22/4.23/5.29/5.30/6.1/6.8/6.10/6.11/6.15/6.18/7.12/7.18/8.19/8.20/9.7/9.10/9.20/9.28/10.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


モンキチョウ Colias elate 斑缘豆粉蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.6.1 メス-オス

霞丘陵の草原(仮称:コリアス草原)に於いて一年の前半で最も数多く見られる蝶。第1化(3月中旬~4月中旬頃)と第2化(5月中旬頃~6月中旬頃)の発生期には、草原上を覆うように群飛し、交尾中の雌雄や産卵中の雌も数多く見られる。6月後半以降はこの草原から一斉に姿を消し、次に現れるのは11月。場所を移動しているのかも知れない。年4~5化(蛹越冬)。食草はマメ科草本のスズメノエンドウ、シロツメグサなど。キチョウ亜科の種はシロチョウ亜科の種と違い(近くに別個体が来た時などを除き)静止時に翅を開くことはない。雄は黄色、雌は白色と黄色で地域により出現率が異なり東京近郊では白色型が多数を占める。翅縁が紅色を帯びる。やや小さめの中型種。ほぼ日本全土に分布。開けた環境を好む。タンポポなど草本の花で吸蜜し樹木の花に来ることは稀。樹液には来ない。フィールド日記 3.24/3.27/4.8/4.20//4.22/4.27/5.23/5.25/5.30/6.1/6.6/6.9/6.15/6.18/7.18/9.8/9.10/11.11/11.12/11.13/11.20。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


キチョウ(キタキチョウ) Eurema hecabe 宽边黄粉蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.4.8 越冬個体

近年分子生物学的な手法による分類が進み、日本産のキチョウは「キタキチョウ」と「ミナミキチョウ」の2種に分割されることになった。しかし「種」の定義は未解決な部分も多く、本書では便宜上一種として纏めて置く。小さめの中型種。モンキチョウ同様、静止時には翅を開かない。モンキチョウ属が主に北半球温帯域に広く分布し開けた草原的環境を好むのに対し、キチョウ属の分布は主に熱帯地域、森林の周辺部に棲息する。キチョウは最も北方まで分布(北海道南部以南)。食草はモンキチョウと同じマメ科だが、低木のハギ類などが主体。多化性、成蝶越冬。周年経過については未解明な部分が多い。非越冬型は前翅表縁に広く黒帯を生じ、越冬型では黒帯を欠く。越冬後、雄は産卵中の雌の上方を停空飛翔する。近縁種タイワンキチョウと異なり卵塊は作らない。フィールド日記3.24/3.27/4.8/4.10/4.20/4.22・4.23/4.27/5.6/5.28/6.1/6.9/6.13/6.15/6.16/8.11/9.7/9.8/9.10/9.19/9.20/9.28/9.29/10.2/10.11/10.20/10.24・10.28/10.30/11.11/11.12/1120。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


ツマキチョウ Anthocharys scolymus 黄尖襟粉蝶


東京都青梅市霞丘陵 2021.3.24 オス

年一度早春出現。ギフチョウが「春の女神」なら本種は「春の乙女」といったイメージ。もっとも、“乙女”らしさ印象づける翅先のオレンジ色を備えているのは雄だけで、雌はその部分が白い。ごく小さめの中型種。飛翔時にはモンシロチョウやスジグロチョウの小さめの個体と紛らわしいが、一直線に飛び続け、突然花に止まって、またすぐに飛び立って行く。キチョウ類のように静止時に必ず翅を閉じるということはなく、シロチョウ類同様に開くが、訪花中などは半開きの事が多い。翅を閉じた休息時には後翅裏面の唐草模様が周囲に溶け込む。食草はタネツケバナ類などアブラナ科野生種。都心の公園や家庭菜園にも発生し、菜の花への産卵も確認している。蛹越冬。屋久島以北のほぼ日本全土、中国大陸に分布。北半球温帯に広く繁栄するAnthocharis属のうち翅先端が鎌状に尖るのは4種で、他3種は、中国西南高山帯、北米東海岸、およびメキシコ山地に分布。フィールド日記3.2/4.10。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。


≪参考≫ツマグロキチョウ Eurema laeta 尖角黄粉蝶

かつては首都圏の低地帯にも多数の産地があったが、棲息地の河原敷の消滅に伴う食草のカワラケツメイ(マメ科)の減少により、現在ではほとんどの産地で絶滅状態にある。ただし西日本などでは今も健在な地域もある。多化性で成蝶越冬、越冬世代(写真)は前翅端が鋭く尖り、後翅裏面に褐色の条線が生じる。非越冬個体はややキチョウに似て、翅頂は尖らず、後翅裏面の褐色条を欠く。大きめの小型種。熱帯アジア各地などに広く分布し、ホシボシキチョウEurema brigittaと共に、近縁種は南北アメリカに繁栄している。国外分布は「海の向うの兄妹たち」に別掲。



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あほらし

2021-12-03 07:40:32 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記



まもなく76回目の終戦記念日です。

敵はアメリカ。
特攻隊と竹槍。

誰もが“おかしい”と思いながら、
やめられなかった。

正義のため、戦わねばならないのです。

敵はコロナ。
ワクチンにマスク。

誰もが“おかしい”と思いながら、
やめようとしない。

リスクは、排除しなくてはならないのです。

大切なのは、世界の友愛でも地球の未来でもなく、“目の前の自分たちの既得保身”なのでしょうからね。

あほらし。



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