基本語彙の概念を語彙論は新たにした。基本と基礎の区別は分かちがたい。いずれが基礎で、基本であるか、漢字の語を以て示すものには、そのいしずえと、もとになるものと、意味内容をとらえることが必要である。日本語基礎語彙、日本語基本語彙、日本語教育ではこの区別を立てることが望まれた。語彙論によれば、基本語彙は語の集合において出現率の高い、頻度順位でその語の集合を覆うことのできる広さをとらえて、高頻度後の上位を基本とした。したがって、基礎語のそれはカバー率の語数となる。上位の1000語を選出することは、語彙調査で得られた語の項目を、資料として有効に使うことができる。基本語がそうして決まれば、その後の集合において資料とともに重要単語となるわけである。学習に応用するためには、基本語彙が基礎語彙となる。そこで、基礎語彙は学習上に設定される。なにを基礎とするかは言語学習の教育の場面で教師が選定することができる。 . . . 本文を読む
日本語の特徴を挙げて言語系統論に挙げるウラル・アルタイ語説は仮説にとどまった。それが、証明されることがないという結果であったのは、比較言語学からすれば、言語間の音韻対応の明証が明らかにされなかった、確実なものとはいえないということであった。特徴とするいくつかの項目が、打ち消し文による共通性を挙げてのことで、否定されるものの共有はないというわけである。言語系統論派比較言語の手法であるから、日本語に比較するものを挙げればそれは記録として7世紀また8世紀をさかのぼるものがない。とりわけ音韻の法則を見出すには資料がないということになるので、日本語の言語形成にかかわる大陸、朝鮮半島経由をまずとらえることであった。しかし、言うってみると山越えだけでなく、海渡りにも民族移入の可能性があったわけであるから、北方、南方とその系統論の議論が行われることになる。音声の言語として見るためには、文字の言語としての歴史経緯で、音韻に子音と母音で単純な構成が民族の言語としてつくられたのだから、その時間の経過をみれば、日本語に祖語を求めることと、親縁語を設定することが言語の捉え方になる。 . . . 本文を読む
次週の連休明けに南京へ行く。プロジェクト研究で、アジア共同体創生における漢字と漢字文化教育について、第1回の講演を引きうけている。研究資金の応募にあたったものだという。15回を組んでいるというから、たいそうな面々だろうか。そのトップを務めて前座よろしく、夏休み明けのことになる。はたして、これまでも幾度ものこと、経験していることだが、1週間の滞在で中秋節までを過ごす。講義資料をファイルでメール添付、送付をした。タイトルは、日本における漢語の流行現象 ―「忖度」を例に― とした。依頼を受けた時が流行語大賞を受賞のニュースの日だった。その前に決めていたものだが、プロジェクトに、ぴったりとにあってしまった。原稿20枚、資料17枚プラス2枚と、1か月の文章作りだったが、とくには目あたらしい話になったということではない。
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