ふと、空を見上げて思うんだ。
自分は何の為に生まれてきたのだろうかと。
生命保険の商売のためか、
それとも、他の何かの為か。
人には大きな使命があるという人がいたな。そういえば。
そうなのかな。
給料を稼いで、それで生活をエンジョイしてる今の私。
独身貴族。
聞こえはいいかもしれないが、心はからっぽさ。
金もゆとりもなかった10年前、私にはとても大切な人がいた。
だが、今はいない。
5日間の夏休みもただ、むなしく過ぎてゆくのだろう。
昨晩、感傷に浸ってからというもの私は今を生きる気力を失っている。
さて、部屋でウジウジしていてもはじまらない。
外へでて、缶ジュースでも飲むか。
私はさっと、麻のシャツを羽織り
表へでた。
今年は冷夏だ。
階段を下りる。
セミのにわかな鳴き声が、心細い。
最寄りの自販機は地下鉄の駅構内。
目的のある外出ってなんかいい。
たとえそれが些細なものでも。
私の存在自体が些細なのだから。
そして、自販機に到着。
BOSSをかう。
その場で飲む。
ふぅ。
目的が、消えちまった。
そのまま駅のベンチに腰掛けた。
改札から出てくる人たち。
私の心も知らず。
たまに、目が合う人がいる。
仕事だと、平気なんだけど
こうしている時には他人というのがえらく遠く感じる。
と、いうより悪魔に見える。
ふぅ。
どうしよ。これから。
その時、どういう脈略からか
とんでもないアイデアが湧き出てきた。
君に電話しよう。
10年間というもの、全くと言っていいほど
思い出さずにきた君を、昨晩から想い続けている。
君に電話しようではないか。
私が生まれてきたのは、他でもない。
君と過ごす為だ。
万に一つのチャンスではあるが
やってみるだけのことはある。
エベレスト登頂よりも難しいかもしれないが
それにかけてみたい。
私の目には俄然ちからが蘇った。
立ち上がり、空き缶を捨てる。
電話を、かけてみせる・・・
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