ご存知ない方もおられるようなので、本題に入る前に、"おしぼり"についてのうんちくをチョビッと。
先ず持って、ここで言う"おしぼり"とは、世間で言うところの、飲食店等で供されるお手拭の類では無く、
大根(辛味大根)を卸し金で摩り下ろし、布巾で搾った搾り汁のことなのね。
「その搾り汁が何か?」とな?「ふむふむ、さもありなん!」では早速本題に入るが宜しいか?
卸し金(陶器なんだけど?)で辛味大根をスリスリと by my mother
おらほ(我が地方)では、辛味大根の搾り汁をつけダレにしてソバ・ウドンを食すという風習があり、
辛味大根の収穫期ともなると、このおしぼりがソバ・ウドンと共に各家庭の食卓にしばしば登場する。
おしぼりは、ソバ・ウドンと切っても切れない関係であり、ある意味、おらほの風物詩とでも言えようか。
因って、何かの用でおらほを訪れた場合、「おしぼりを食うか?」と尋ねられても驚いてはなりませぬ。
今回のメイン、おしぼり
この辛味大根は、先日、近所に住むTちゃんが「おしぼりにして食え」と言って持って来てくれた物で、
おしぼりが大好物であるというTちゃんは、毎年何処からか種を調達しては自家栽培をしている。
おしぼりは、何と言っても大根の辛味と風味が肝であり、第一に大根が辛くなくてはいけない。
辛味大根は、土壌、環境、気候等々により左右され易く、辛味どころか甘くなってしまうことが多い。
そのため、辛味大根に適した場所は限られてしまうのだが、幸いTちゃん家の畑は適地であるようだ。
辛味の無いおしぼりなど、一寸古いが、クリープの入っていないコーヒー、サビ抜きの握り、
唄を忘れたカナリヤ、鞘の無い刀、ついでに、カミさんに見捨てられたボク・・・どもならん。
茹で上がったソバと薬味の味噌
ソバの隣りの味噌は、漬け汁の辛味を調節するためで、味噌を入れることによって辛味が和らぐ。
逆に、辛味が足りない場合、醤油を加えると尚一層辛味が増すから、お気をつけあそばせませ。
。
その昔、近所におしぼり超大好き爺さんがおったそうで、おしぼりに纏わる逸話が今も語り草となっている。
件の爺さんは人並み外れて辛いのが好みで、禿げ頭から湯気を立ち上らせ、それは旨そうに食ったそうな。
ソバでもウドンでも宜しいから、一遍おしぼりっちゅうのをお試しあれ、癖になるでぇ。
ブチッとやっておくんなさい!