いつもここにいるおじさん…公園のベンチの指定席

2012-04-30 18:00:00 | 思い出
 おじさんと言っても、もう60歳を過ぎてる人だ。
 とくとくと話していた。

 いつも行っている公園があるそうだ。
 そしてそこには、その人の「指定席」になってるベンチがあるらしい。

 ここのベンチの端。そこがその人の場所らしい。


 いつものように公園に行った。

 そしたらそこに若者が座っていた。


 公園のベンチって誰のものじゃないじゃない。誰が好きに座ろうといいじゃない。


 たまにテレビドラマで、いつもあの席に座っている人
 「あそこはあの人の指定席なんですよ」
 なんて台詞が出てくるが、実際、空いている店や、時間帯ならそれも許されるだろうけど、回転率を考えるとそこだけいつも来るお客さんのために空けておいてくれる店も今時ないだろう。

 埋まっていれば、当然違う席で待ってもらうとか、今日は違う席で我慢してもらうとか。
 空いたら変わってもらうという処置をとるだろう。



 まして、公園。誰のものでもないし。誰が座ってもいい場所のはずだ。

 でもそのおじさんは若者に近づき言ったそうだ。
 「そこ、俺の席だからどいてくれない?」


 私がこれを聞くと、若者の「え?」って声が聞こえてくるようだ。だってそのベンチに指定席の案内もなく、普通の公園のベンチだ。どうして見ず知らずのおじさんから、そこは俺の席だからどけと言われないといけない?

 そう思ったけど、何も言わずその人のとくとくという話を聞いた。
 
 その人は言っても言っても聞かない若者のそばに立ち、来ているものをバタバタして最終的にその人をどかしてしまったらしい。

 正直、飽きれた…というのが印象だ。

 昭和の時代だったら、そういう、いつもあそこに座ってるおじさんというのもいたのかもしれない。

 けれど今時の時代それを持ちだされてもね。


 どっちにしても公園のベンチなんだし、若い人がいつまでも座っていると思えない。

 なんなら若者が立ち去るまで他の席にいるか。近くを一回り散歩してくるか、それで済んだことじゃないかと思う。

 だって、その人が決めてるだけで公園のベンチに指定席なんてないんだから。


 おじさんは昭和を引きづっているんだろうなと思った。
 でも平成の若者からしたら異質な人である。

 難癖を突然付けられたと言ってもいいかもしれない。

 おじさんは若者を「いまどきのやつは」と言っていたが、私からすれば(いまどきそんなこと言ったてね…)と年代によって考え方が変わるものだ。


 昔はいつもの席に現れるおじさんが現れなくなると、どうしたんだろう?と心配したのかもしれないけど、今はそれを気に留めるだけの余裕はないだろう。

 そういう、いつもここにいるおじさん、おじさんの指定席は現代にはない、と思う。


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