それはもう具体的に頭に思い描いていた。が、大きな風車をいきなり作るのではなく、まずは小さな模型を作って、ちゃんと動くかどうか実験しておきたかった。
エネルギーの利用の写真を詳しく見ていたから、必要な部品はもうわかっていた。羽根、軸、回転子、リード線、それにダイナモのように羽根の運動から電気を発生させることが出来るものだ。
…
クリッシー叔母さんの家では、数年前、家の裏手の浴室棟が崩れ、その隣に新しく浴室が建てられていた。わが家の浴室もよく水浸しになるので、排水用にポリ塩化ビニールパイプが取り付けられていたが、クリッシー叔母さんの家の古い浴室の崩れた煉瓦の下にも同じビニールパイプが埋まっているはずだった。
ぼくは二十分ほどそのあたりを掘り返して、どうにかパイプを引っぱり出すと、長めに切断して縦に半分に切った。
それから、自分の家の台所のおき火をかきまわし、熱くなるのを待ってから、パイプを火の上にかざした。
パイプはすぐに歪んで黒くなり、濡れたバナナの葉のように軟らかく曲げやすくなった。冷めるまえにパイプを地面に置き、小さな鉄板を使って平らに延ばした。
それを鋸で切って、それぞれ二十センチほどの長さの四つの羽根をつくった。
うちにはドリルがなかったので、それも自分で作らなければならなかった。まず長い釘を火の中に入れて熱し、その釘をトウモロコシの穂軸に半分ほど差し込んで穂軸を持ち手にして、おき火の中に釘を戻して赤くなるまでまた熱した。
その手製のドリルで二組のプラスティックの羽根に穴をあけ、針金で結びつけた。
うちにはペンチもなかったので、針金を曲げて羽根をしっかりと縛りつけるのには、自転車のスポークを二本使った。
風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった
ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー
☆☆☆
自分が頭で想像することが出来るものは、現実になるという。
アフリカで育ったカムクワンバ少年はマラウイを襲った大飢餓を乗り越え、お金もない・道具もないのに図書館から借りてきた本を勉強して自分のアイデアで風車を造る。
一年前に仕事であるものを造ろうとしていた。
だけど、その時の私には自分の頭の中にそれがイメージ出来ていなかった。
最近 科学館に行き、こう作ればよかったのだと初めて気づいた。
カムクワンバ少年は写真を詳しく見ていたから、必要な部品をわかっていた。
本当に造りたいものを、絶妙のタイミングで造る。