しかし、人々の健康は見えないところでむしばまれていた。血液中の白血球数が異常に低下していた。ロンゲラップ島で死の灰をあびた64人のうちの約一割の住民の白血球数が一立方ミリあたり1000個以下となり、なかには700個という住民もいた。
通常、人間の白血球数は血液一立方ミリあたり6000個から8000個であることから、その少なさは異常だった。白血球数の異常は外見からは見えない。“血液のガン”と呼ばれる白血病になるのではと恐れた医師団は、再び抗生物質等の薬を与えようとしたが、将来の治療への影響を考え、薬を与えなかった。その後しばらくたって、人々の白血球の数は次第に回復していった。
ブラボー爆発の死の灰をあびてから52日目、医師団はロンゲラップ島の64人のうちから7人を選びだして、体内の死の灰の排出を促す新薬EDTAを与えた。しかし、5日後には中止した。
死の灰をあびてから二カ月近い時間が過ぎ、体内に入った死の灰はすでにすみずみまでしみこんでいるから効き目がないという理由からだった。
☆★☆☆★☆
この本から死の灰をあびると、嘔吐・下痢・頭痛・火傷・脱毛の症状が初期に現れ、白血球数の減少・リンパ球の減少がおこることがわかる。
治療の為に第五福竜丸の患者たちは、新薬EDTAを使い骨に付着している放射性物質を取り除こうとした。
しかし治療のかいなく久保山愛吉さんは亡くなり、ほかの乗組員の12名も亡くなり死因は肝臓障害とある。
第五福竜丸の久保山さんやロンゲラップ島の人達は、急性放射能症を発症したけれど、低線量被曝をしたらどのような症状が現れてくるのだろうか。
アメリカの放射線科学者たちは、どれだけの量の放射線を浴びたかを計算し、どのような病気にかかるのかのデータを取っているはず。
核保有国でもあるアメリカは、新薬EDTAに変わる新しい薬の開発も必ずしているはず。
☆1999年9月30日に東海村JCO臨界事故がおこる。
住友金属鉱山の子会社の核燃料加工施設、株式会社ジェー・シー・オー(以下
「JCO」)が起こした原子力事故(臨界事故)では、事故被曝により二名の方が亡くなった。
ネットで画像を見ていたら、被曝した大内さんの治療の為に、妹から白血球を作る細胞を取り出し大内さんに移植したとあった。
大内さんの染色体は放射線の影響で破壊されており、新しい細胞を作ることが出来なかったからだ。
妹の染色体は大内さんの体の中の放射線により破壊されていき、大内さんは治療のかいなく亡くなってしまう。
医療技術の進歩により、ヒト人口染色体やIPS細胞などの研究が進んでいる。
それらを研究して白血球数の減少を抑える薬、リンパ球数の減少を抑える薬などを併用して放射線治療にあたれば、光が見えてくるのだろうか?
原発を再稼働させれば、東海村JCO臨界事故で亡くなった大内さんや篠原理人さんのような悲惨な犠牲者を新たに出してしまう可能性がある。