お寿司屋の大将のこと

2018-09-22 11:07:15 | 日々思うこと

行きつけのお寿司屋さんに行った。5時だったので先客はいない。

大将がいやに落ち着かなくて話しだした。

近々札幌駅前のビジネスホテルで行われる姪の会費制結婚式に出席

しなければならないと言う。

「飛行機はおろか、電車にも乗ったことがないのに、どうしてよいのか

不安で仕方がない。娘が飛行機のチケットをとってくれて、飛行場まで

名鉄の特急に乗ればよいと教えてくれたけれど、着いてからちゃんと

乗れるかどうか・・。帰りの飛行機が遅いので名鉄の終電に乗れるかも気に

かかる 」と。

帰りの飛行機は持ち込める荷物だけにすること。もし、多いようなら

ホテルから宅配便で送る。そうすれば飛行機から降りてすぐに電車に乗れる。

とだけ言ったけれど相変わらずシャリを握る手つきも不安げだった。

いい大人がなんてこった!小学生でもできるよ‼(とは言わなかったが)

 我が家の子供は、市内の学区外にも1人で行ってはいけないと学校で

 言われていたのに名古屋の科学館、プラネタリウムによく通った。

 京都まで美術展に出かけたことも何回もあった。

 そしてついに6年生の時、南九州へ行きたいと行程表を親の前に

 差し出した。行きは大阪から寝台車で鹿児島に行き、帰りは

 宮崎から飛行機で帰ってくるという。

 小学生を一人で泊めてくれるホテルはあるのか、わたくしはちょっと

 迷った。夫は行きたいというのなら行かせようという。

 鹿児島、林田温泉、宮崎に泊まる計画。よく家族旅行で切符の手配を

 頼んでいた近ツリに依頼したと思う。

 彼は嬉しそうに出かけて行った。そして小牧飛行場に迎えに行ったら

 シャボテンのお土産を抱えて意気揚々と降りてきた。

 PCも携帯もなかったころである。旅行中1度も電話はなかった。

 (我が家は旅先で家に電話する習慣がなかったので当然であるが)

 旅館のお風呂で脱いだ下着をすべて忘れてきたとか、朝寝して定観に

 乗り遅れタクシーで追いかけたとか失敗しながらもたくましくなって帰って

 来たと思った。1人っ子である。強く生きねばならない。

***********

モーニングの帰り、スーパーに寄って買い物をした時、レジを過ぎて自分の

袋に入れ替えようとしていたら仲間の1人が「これ頂戴」と駕籠に入っていた

紙片を持って行く。2駕籠買い物したので2枚ある。

どこかへのバスツアーの応募券らしい。袋へ入れ替え終わってみたら

彼女たちはせっせと鉛筆を走らせている。数うちゃ当たるで枚数が多いほうが

よいのだ。

そういうツアーで京都宇治に行ってきたとお土産をもらった。

宝石やさんに立ち寄り90分も時間をとって、肝心の平等院では時間が

ないので鳳凰堂の中には入るなと言われ外回りしか見られなかったという。

帰りが1時間遅くなっても良いので中に入りたかったのにと悔しがっている。

彼女たちは天橋立に行って股覗きをしたかったのに向う側へ行かれなかった

とか、河津桜を見に行くつもりが知多の河津桜が数本生えている所だった

とかいつも生煮えのようなツアーばかりしている。

奈良へ小学校の修学旅行でしか行ったことがないので行きたいけれど

京都までばかりで奈良へのツアーがないというので京都で乗り換えれば

簡単というのだけれど新幹線に切符を買って乗ったこともないと

敬遠している。

彼女たちは娘時代は親に保護され、結婚してからは夫に保護されて

自立して過ごしたことがないので1人歩きできないのかと思っていたら

一家の大黒柱であるお寿司屋の大将までが同じ有様である。

「しっかりせい!」と60代の大将の背中をポンと叩いてやりたい。

コメント (2)
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