浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

嫌な人思う心は我が心
思う心で己れ苦しむ

「心行の解説」より。

2014-01-11 01:58:35 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

                                  ~ 恩師の「心行の解説」より ~


                  いろいろな儀式の中に一つの例をとりましても、現在の日本の仏教ではお灯明をつけ、
                  線香を立てるのが普通の仕来りになっていますが、しかしお釈迦様の当時はそんなことはしませんでした。
                  ローソクはなぜつけるようになったのか。
                  お釈迦様は八正道の中で常に正しく仕事をしなさいと正業に就くことを説かれました。
                  その正しい仕事は主として昼間行われなくてはいけません。
                  その頃は電気もありませんから、夜は真っ暗です。当初、お釈迦様の説法は夜のほうが多かったのですね。
                  夜、真っ暗の場所で説法を聞かせていただいてもお顔が見えないので、
                  「何とかお釈迦様のお姿を拝みたい」という人々の願いからお釈迦様の前でかがり火を焚いたのですね。
                  今でいえば照明と同じことです。
                  それがいつの間にかお灯明になりました。

                  では線香はなぜ立てるようになったのか。
                  インドの地は暑いところでございますから、
                  いろいろの毒虫がおります。人の血を吸う虫、或いは毒蛇などもおりますから、
                  そのままでは噛まれて仕事にならないので、薬草の汁を絞って、
                  それを体に塗り付け虫よけにしたのです。
                  今でいう殺虫剤の代わりで、虫が寄り付かないためのものです。
                  ところがこれがものすごく臭いのです。
                  これを体に塗って仕事をしますと汗と薬草の臭いでもう臭くてたまらなかったようです。
                  お説教の場へ人々が集まりますと我慢でなきほどの臭気ですから、
                  頭の良いプルナニャニプトラという方が栴檀の木をくすべたところたいへん良い匂いがして
                  悪臭が消されましたので、それで皆さんが集合の時には必ず栴檀の木を持ってきて各自がくすべたのです。
                  それがいつの日にか線香やお香へと変わりました。

                  では、花を供えるのはどういうことなのでしょうか。
                  お釈迦様の御教えの中に「福徳を求める人々は、時々如来に花を捧げよ」というのがあるのです。
                  幸せを求めて、人々はお釈迦様に花を捧げたのです。
                  その捧げられた花をお釈迦様の前にずっと飾られたのですね。
                  私も小さい献花を戴いてここに置かせていただいております。
                  しかしこの花は私のほうを向いておりません。
                  私から見ますと花の背中が見えて綺麗さがよくわかりません。
                  お釈迦様もその通りでございまして、
                  お釈迦様は偉大でございますから身の周りいっぱいを花で飾られておりましたが、
                  お釈迦様から見られたらみな花の後ろばかりで、皆さんのほうに向けて花を飾ったのですね。
                  これが供花の始まりです。
                  お釈迦様ご存命当時のその仕来たりと今の仏教の仕来たりではとんでもない間違いになっています。
                  ほんとうに仏様にお花を供えるのであれば、自分たちが背中を見て、仏様に花を見てもらうのが礼儀ですが、
                  しかしこれは仕来りとなって行っているだけです。


                                   ~ 感謝・合掌 ~





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