『星落ちて、なお』 澤田瞳子 文藝春秋
不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。
直木賞受賞作。
圧倒的に偉大な父を持つ子どもの懊悩が見えてくる。さまざまな人との交わりや別れを通して、人生の深さを知るような感じ。
最後の藤兵衛の言葉がいい。「人はあの世には何にももっていけないのですよ。なら、せっかく生まれてきたこの世を楽しみ、日々を喜んで生きた方が息を引き取る瞬間、納得できるじゃないですか。この世はすべてきっと自ら喜び、また周囲を喜ばせられたものが勝ちなんです」「人は喜び楽しんでいい」
『テスカトリポカ』 佐藤究 KADOKAWA
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。
山本周五郎賞、直木賞受賞作。
あまりの暴力に圧倒される。いったい、何人の人が殺されるのか!? 淡々と描いているが、痛いのが怖い人は読まない方がいいかも。ちょっと読んだことを後悔している。しかし、結構分厚いが、ぐいぐいと読み切った・・・。
日本や日本人だけでおさまらず、世界を舞台にした壮大な世界にスゴイとしか言えない。
最後は、少し希望が見えてよかったかも。
不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。
直木賞受賞作。
圧倒的に偉大な父を持つ子どもの懊悩が見えてくる。さまざまな人との交わりや別れを通して、人生の深さを知るような感じ。
最後の藤兵衛の言葉がいい。「人はあの世には何にももっていけないのですよ。なら、せっかく生まれてきたこの世を楽しみ、日々を喜んで生きた方が息を引き取る瞬間、納得できるじゃないですか。この世はすべてきっと自ら喜び、また周囲を喜ばせられたものが勝ちなんです」「人は喜び楽しんでいい」
『テスカトリポカ』 佐藤究 KADOKAWA
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。
山本周五郎賞、直木賞受賞作。
あまりの暴力に圧倒される。いったい、何人の人が殺されるのか!? 淡々と描いているが、痛いのが怖い人は読まない方がいいかも。ちょっと読んだことを後悔している。しかし、結構分厚いが、ぐいぐいと読み切った・・・。
日本や日本人だけでおさまらず、世界を舞台にした壮大な世界にスゴイとしか言えない。
最後は、少し希望が見えてよかったかも。