『チーム・オベリベリ』 乃南アサ 講談社
宣教師たちが開いた横浜の共立女学校に学ぶ鈴木カネは、父や兄にならって聖書の教えを受け、勉学に励んでいた。兄の銃太郎は、神学校で一緒だった渡辺勝、依田勉三と北海道開拓について考え始めている。彼らは勉三を中心に「晩成社」を興し、新天地へ向かう準備を進める。明治15(1882)年、23歳になったカネは女学校を卒業し、渡辺勝と結婚、そしてオベリベリとよばれた帯広へ行くことを決意する。
チーム・オベリベリ。チームというからスポーツの話かと思っていたら、オベリベリ(帯広)の開拓の話。650ページこえの本の分厚さにたじろいだが、読み始めると一気であった。
開拓のすさまじさに驚く。カネの母が物置小屋と言ったほどの住居。丹精込めて作った農作物はイナゴの襲来や霜で一日でダメになる。本土へ戻るお金がないため、開拓地にしがみつくしかない。慣れない農業、客の接待、縫物などの家事とカネの一日は休む間もない。アイヌの助けや知恵がなければ、生きてはいけなかっただろう。マラリアが北海道にあったことも知らなかった。
その中でカネは信仰と子どもに学問を教えることで毅然と生きていく。
確かにカネはすばらしいが、学問のない他の入植者の妻は、どう思って耐えたのだろう。勝手に自分たちの土地に入ってきて、和人に蔑まれ、搾取されたアイヌの人々はどう思ったのだろう。
それにしても依田勉三。フィクションとはわかっていても、「おいおい、自分だけ都合がよすぎるやろ」「結局は、お坊ちゃんかよ」と突っ込みどころが多すぎた。開拓民の不満が分かる気がする。
宣教師たちが開いた横浜の共立女学校に学ぶ鈴木カネは、父や兄にならって聖書の教えを受け、勉学に励んでいた。兄の銃太郎は、神学校で一緒だった渡辺勝、依田勉三と北海道開拓について考え始めている。彼らは勉三を中心に「晩成社」を興し、新天地へ向かう準備を進める。明治15(1882)年、23歳になったカネは女学校を卒業し、渡辺勝と結婚、そしてオベリベリとよばれた帯広へ行くことを決意する。
チーム・オベリベリ。チームというからスポーツの話かと思っていたら、オベリベリ(帯広)の開拓の話。650ページこえの本の分厚さにたじろいだが、読み始めると一気であった。
開拓のすさまじさに驚く。カネの母が物置小屋と言ったほどの住居。丹精込めて作った農作物はイナゴの襲来や霜で一日でダメになる。本土へ戻るお金がないため、開拓地にしがみつくしかない。慣れない農業、客の接待、縫物などの家事とカネの一日は休む間もない。アイヌの助けや知恵がなければ、生きてはいけなかっただろう。マラリアが北海道にあったことも知らなかった。
その中でカネは信仰と子どもに学問を教えることで毅然と生きていく。
確かにカネはすばらしいが、学問のない他の入植者の妻は、どう思って耐えたのだろう。勝手に自分たちの土地に入ってきて、和人に蔑まれ、搾取されたアイヌの人々はどう思ったのだろう。
それにしても依田勉三。フィクションとはわかっていても、「おいおい、自分だけ都合がよすぎるやろ」「結局は、お坊ちゃんかよ」と突っ込みどころが多すぎた。開拓民の不満が分かる気がする。