茨城で、どどんぱっ!

今までのタイトルがブログの内容に合わなくなってきたので、模様替え。

乳頭温泉、鶴の湯-地球に還れる場所-

2024-01-14 23:11:43 | Weblog
いつか行きたい、ずっと憧れていた秘湯の乳頭温泉。
それが思いがけず、あっという間に実現した。

「どこかにビューン」
このJRのポイント6000ポイントで何処かに行ける、
それを使って来れたのだ。

これはスイカや切符で得たJRポイントを貯めて、東日本管内の何処かの駅までの
新幹線往復切符を頂ける、そういうシステムだ。
そう、何処か、
これがポイント。
自分では行き先を選べないのだ。
日時と行き帰りの希望時間帯を入力して申込をすると、JRから4つの駅の提案がある。
上越新幹線、東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、北陸新幹線?
この新幹線のどこかの駅で、どうでしょ?と提案される。

そして各駅の説明にその駅から行ける主な温泉や観光地が挙げられるている。
提案された4つの駅が全て気に入らなければ、それを流して次の4つの駅の提案を何度か出来る。
自分で選べるのは4つの駅まで。どれになるかはJRが決める。

いざ、申込!
提案された駅は、東北エリアの駅が3つ、上越エリアの駅が1つ。
【大石田駅】【上越妙高駅】【田沢湖駅】【いわて沼宮内駅】
上越は正直あまり希望しない駅だったが、残りの3つの駅が全て私の行きたい温泉があったので、
最初の1回目で申込決定。

その4つの駅の内どれに確定したかは3日以内に連絡来る事になってる。
元旦に申込し、そわそわしながら待っていると、その日の夕方に早くもメールで連絡きた。
結果は「田沢湖駅」
やったー!乳頭温泉に行ける一番行きたかった駅だ!
新年早々ついてる!!
メールには乗る新幹線名と時間も記載されている。

早速、乳頭温泉の一番行きたかった宿、鶴の湯温泉旅館をネットで予約しようと、
予約サイトを開く。
が、3ヶ月先まで全く予約が空いてない。
これはシステムのトラブルであろうと宿へ直接電話。
すると、うーん、、四畳の部屋なら取れますけど、、、
と唯一空いてる部屋はそれだけのようだ。

ウサギ小屋みたいにそんな狭い部屋か、、
と暫し逡巡したが、
「いいです!その部屋で予約お願いします!」
と四畳半の部屋との事で一泊11040円、暖房費等入れても12,360円という
お得な値段だったので、これはこれで良かったのかもしれない。

その後、この鶴の湯温泉旅館をネットで詳しく見ると
「日本一予約の取れない宿!予約開始の6ヶ月前から予約の埋まる宿」
という事がわかり冷や汗たらり。。

あの3カ月先まで予約が埋まってたのはシステムの故障ではなかったんだ、、
そして一部屋でも予約が直前で取れたのは(それも格安の部屋が)
スゴイ幸運だった事に気づいた。

そして旅へ向かう。
順調に秋田新幹線こまち、路線バス、送迎バスと乗り継いで13時過ぎに宿に到着。
チェックインは15時からなのでフロントの人に何処かに行かれますか?
そう聞かれたので
「ここの温泉に入りたい!」
速攻返答。
そう、今回の旅の目的は温泉三昧なのだ。

キャリーバックの大きな荷物を預かってもらい
早速温泉へ。
この鶴の湯温泉は敷地内に4つの源泉があるとの事で無論全部制覇する予定だ。
混浴露天風呂、女性専用露天風呂、中の湯、白湯、黒湯、
そして宿の建物内の内湯のみシャワー洗い場があるらしい。

さて、どこに最初にいくか?
もう決めてある。
混浴露天風呂だ。
やっぱり一番広い露天風呂に行きたい!
ここの露天風呂は混浴とは云っても女性は内湯から、
専用の通路を使い湯船に浸りながら白濁の湯で隠し裸体を晒さずに、
混浴の本丸のエリアに進める事は事前にリサーチ済なのだ。

「中の湯」内湯でまず体を温め、
専用通路に向かうと足元には雪、
風も冷たく一瞬怯む。
だがすぐ露天風呂の白濁の湯に体を沈め、湯船に浸かりながら広い湯船の
中央付近にズンズンズンと進んでいく。
先客の男性4、5人がいるが広い湯船なので自分のいる空間は広く取れる。

いやぁ気持ちいい〜
雪見風呂を期待してきたが、それどころか雪が降りしきる雪中風呂だ。
頭と顔は冷気が容赦なく襲うが身体はぬくぬくだ。
こんな幸せなことって、あるのであろうか。

男性客が上がった湯船のエリアを見るとプクプク泡が生まれており
そこから温泉が湧き出しているようなのでそこへ移動。
うーん、あったかい。
広い湯船なので自分のいるエリアは何かぬるいぞ、長くいるには寒いか?
そう感じていたがプクプクしてる所は湯温が少し高い。
プクプクのエリアの横には湯船の真ん中に岩があり、
そこへ顔を突っ伏して湯船に浸っていたらいつのまにかうたた寝。

いやあ出れない。
こんな気持ちのいいところから出ることなんて出来ない。
どうせチェックインまでの2時間近くの時間を潰さなきゃいけないんだから、
ゆっくりしようと思っていたが、
湯船から出たくない。

しばし湯船で雪中風呂を堪能してたが、まだこれからも沢山入れるんだから、
と自分に言い聞かし意を決して出る事にした。
上がってびっくり、入った時間は多分13時半頃、上がった時間は15:30であった。
2時間も経っていたのか、、浦島太郎になった気分だ。
いつの間にかそんなに時間が経ってましたか。

そしてチェックインし四畳半の部屋を見ると、
なんだ全然大丈夫、適度な広さ。

布団一枚敷いて横にテーブル置ける広さ。
むしろ広過ぎて落ち着かないという事のない
丁度いい広さに思えた。

とりあえず温泉は充分に堪能出来ているんで部屋でごろっ。
部屋にはタオル干し、ハンガー、鏡、テーブル、座布団のみで
テレビ、無論トイレ、洗面所は無い。

夕ごはんは6時からなので、この部屋でごろごろ過ごす。
上野駅で買った池井戸潤の本を読む。

う〜ん、なんだろう、この部屋で過ごす時間。
時間の流れが豊か。
この感覚は何だろう?

自分は一人暮らしなので、何もする事が無い時は部屋で時間を過ごしているのに
それとは違う、この贅沢な時間の流れ方は何だろう?
テレビが無いって事?
テレビはいつもロクでも無い番組ばかりなので、
ニュースと一部の録画した番組しか見てないので、
ほとんど見てるとは云えないが、
でも音のないこの世界の時間が濃厚なのか?

そして18時からの夕食は別館の広間での夕食。
囲炉裏のある畳敷きの部屋に料理の載ったお膳が四つづつ
向かい合わせに8個並んでいる。
このお膳方式、懐かしい。
確か中学校の修学旅行以来ではないか。

そのお膳の前には宿泊客が何人か座っている。
ここは、お一人様エリアらしく連れがいない者同士なので
皆押し黙って料理が揃うのを待っている。
年代は30代から60代の男性と30代の女性一人。

ここに50代と思われる男性スタッフが一人で料理を運び、
酒の注文を聞いてる。
忙しいせいか「あ、ビールだったね?」と注文を忘れてたり、
「何ビールだっけ?これ、貴方だっけ?」と慌てふためいてる。
その混乱ぶりに押し黙っている客みんなに思わず笑いがこぼれる。

ここのスタッフは皆、自然体なんだ、
その時気づいた。
それまで送迎バスの運転手や、フロントスタッフ、
笑顔を振りまくことなく素っ気ない対応だなぁ、
それ迄そう思っていたが自然体なんだ、そうこの時、気づいた。
いわゆる接客業の張り付いた営業スマイルや、言葉でなく、
みんな自然体なんだ、心地良さを噛み締めた。

料理は岩魚の塩焼きやキノコのホイル焼き、山菜のお浸し、
芋煮汁といった山のものが中心の素朴な料理。

うーん、これこれ、こういう料理が食べたかった!
揚げ物や肉、そんな豪華すぎる料理はいらんのよ。
こういう食事を続けていたら健康でいられるだろうなぁ、
そう思わせてくれる体が喜ぶ料理。
ちなみに一番美味しかったのは、いぶりがっこの漬物とごはん、
そして芋煮汁の味噌椀。

さて、夕食後、温泉の第2弾は、内湯に行こうと、
「黒湯」という内湯に20時頃から入湯。

狭い湯船の脇に石鹸が置いてあるので、これで簡易的に体の汚れを落とす。
やはり内湯は露天風呂と違い湯温は高め。
露天風呂はどうしても外気の気温や雪で温度が下がるんだろう。

気持ちよく木造の建屋の湯に浸かっていると、
出入り口とは違うもう一つのドアがあるぞ?
なんだ?とドアを開けてみると通路が伸びてる。
歩いて行くと、あら!露天風呂!
隣にある露天風呂に繋がっていた。
この女性専用露天風呂は第三弾で行こうと思っていたから、
ラッキー!
そこから温泉に浸かること、又小一時間程度?1時間半?
時計が無いのでもう時間はわからない。
空にある星を見上げながら、ひたすら静寂の中、
湯に浸かり時間が流れていく。
聞こえるには湯口から流れ落ちる湯の落ちる音のみ。
他には何の音も聞こえない。
静寂。

雪虫と呼ばれる粉雪の舞う中のこの時間、
至福の時間というのは正に今、この時間、この瞬間だ。

溢れ出る湯は地球の内部から溢れ出るもの。
自分も地球から生まれた人間という存在。
そこに身を委ねるというのは同じ地球から生まれたもの同士、
祖先は同じ。
そりゃマッチングするよなぁ。

コンクリートの建物、パソコン、地面を覆うアスファルト、
いつも人工物に囲まれて過ごしているから忘れてしまった
自分の起源のDNAをこうして委ねている事で呼び起こしていく感がある。
本来の人間の姿に。

舞い落ちる粉雪のリズムも自然のリズム。
流れ落ちる湯の流れも自然のリズム。
田沢湖駅に降りたった時、粉雪の舞い散る様をもっと見ていたいなぁ、
そう思いながら無念にバスに乗り込んだが、
思う存分ずっと舞い落ちる雪を見上げ続けられている、
延々、小一時間も。

2年前に仕事の激務で心を壊しかけ奄美大島に静養に赴いたが、
ここに来ても良かったなぁ、
こうして自然のリズムに身を委ねる事で
傾いて元に戻らなくなってしまってる振り子を
元の正しい位置に戻してくれる、
そんな事を感じながら心地よい湯の中で漆黒の空と粉雪を見上げて考えてた。

さて部屋に戻りまったり考える。
自分は数年後には安曇野移住を計画中で自然の中に身を置く予定だが、
今回、改めて思ったのはテレビは不要、
建物は木造に限る!
という事。

コンクリート造りの今の住まいと今回の宿の木造の空間は、
内部の空間の柔らかさが違う気がするのだ。
今の住まいはコンクリートの箱の中。
電磁波対策は色々しているが、それでもコンクリートの箱の中なんで
家電品やら何やらの電磁波はお飛び交っていると思うのだ。
電子レンジの中で生活してるようなものだ。

この宿はこんな田舎なのに何故かWIFIはあるが、
それでも空間が柔らかに感じるのは木造のおかげかと思うのだ。
早く安曇野に行かねば。

さて、鶴の湯の2日目。
日の出を露天風呂から見ようと6時に目覚ましセット。
女性専用露天風呂へ。

そして7:30迄またまったり浸かる。

そして朝ごはん。

昨日は艶々してとっても美味しかったご飯が朝はボソボソで美味くない。
7時から始まっている朝ごはんが8時近くに行ったので、
残ったごご飯を掻き集めたのか?

でも、ここでもありきたりの納豆や海苔の朝ごはんでなく、
岩魚の甘露煮や、山菜や、味噌が美味い味噌汁など、
やっぱり優しい素朴な料理で良かった。

そして食事後はチェックアウトの10時迄は部屋でまったり。
そしてチェックアウト後は予定通り、その日、2回目の温泉は
一度も入ってない内湯の「白湯」ここは湯船が内湯の中では広めで2坪くらいある。

そして二方向に窓があり日差しが入り込んで気持ち良い。

木造の昭和の香りの建物だが、屋根の上は軒並み50センチ以上の雪が積もっているのに
よく潰れないものだ?と外から思ったのだが、内部には太い梁がしっかり通っているので、
だからかぁ、と納得。

ここでも丁度1時間の入湯。
湯上り後は朝夕ごはん処の広間で休憩していいと聞いてたので、
そこでアイスクリーム。

雪の降りしきる中、火照った体を冷たいアイスで冷やす。
うぅぅ何て贅沢なんだ。

そして18:10発の田沢湖駅の新幹線こまちに乗るには
宿を15:20発の送迎バスに乗らないといけないので、
ラストの温泉は女性専用露天風呂に決めていた。

普通、女性専用露天風呂は申し訳程度の湯船で露天の気分だけ味わう様なものが多いが、
ここは違った。
ほとんど混浴露天風呂と広さ的に遜色ない。
むしろ眺めはこっちの方が良かった。
露天風呂の正面は雪化粧した山の斜面が臨め、雪見風呂なのだ。

はぁ〜2日間で6時間温泉に浸っていた。
これぞ温泉三昧。

日本人でさえ、こんないい湯の温泉に中々来れないのに
外人が多かった、お目が高いなぁ、と感心。
中国人が一番多かったが、彼らは騒ぎまくっており、
この温泉の価値、本当にわかっているか?
ちょっと猫に小判の様に思えたが、
フランス人カップルは堪能してるように見えた。

ミシュラン、グリーンブック?にここが載っているらしいから、
フランス人が来るのか?

それと不思議だったのは70才ぐらいの高齢者が少なかったこと。
大体、温泉にはこの年代がゾロゾロいるのに(特に今回のような平日は)
最後に女性専用露天風呂で二人いただけで若い人が多かった。

高齢者には風呂が別棟だったり布団を自分で引いたり、
トイレが部屋に無い、エレベーター無いなど不便さが敬遠されるのか?
若い人が多かった。

最近は、ずっと登山で泊まった宿が山小屋ばっかりだったので、
トイレが部屋に無いのは当たり前。
それどころか、トイレが水洗でキレイだったりお湯が出たり、
スゴイぞ、と感心してしまう。

山に登り始めてから観光なんて興味が湧かなくなり、
観光って一体何すんだい?
となっていた自分だが、
この乳頭温泉、鶴の湯だけは、又来たい。

安曇野に移住して毎日温泉三昧の日々になっても、
ここは又来たい。

温泉の質、景色、昭和の香りのする建物、部屋の造作やちゃぶ台などの昭和の設備、



素朴な食事、静寂を感じれる場所、
全てが私の求めていたもの、
ピースがピタッとハマりました。

ここは我が人生で一番の温泉。
これからもずっと行きたい。
少なくとも1年に一回、この時期に。















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