4月スタート予定だった多くの連ドラが6月末に来てようやく開始(あるいは再開)するという前代未聞の事態で、これを春ドラマと称して良いのかどうか判らないけど、便宜上ここでは6月スタートの番組を春ドラマ、7月スタートの番組を夏ドラマと区切ることにします。
☆『探偵・由利麟太郎』#01(フジテレビ系列・火曜夜9時枠、全5回)
「昭和を代表するミステリー作家・横溝正史が代表作である『金田一耕助シリーズ』よりも前に生み出していた探偵・由利麟太郎が活躍するシリーズ作品を初めて連続ドラマ化」との事で、時代設定を戦前の昭和から現在に置き換えつつ、京都を舞台にすることでレトロな世界観が構築されてます。
はっきり言って見所はそこだけ、と私は感じました。
金田一耕助から人間味を抜いただけ、のようにしか見えない由利麟太郎(吉川晃司)のキャラクターにも、探偵がただひたすら突っ立って謎解きするだけのストーリーにも、私は全く魅力が感じられません。
時代錯誤であろうが現実離れしてようが、キャラクターが魅力的でストーリーが面白ければ問題なし、と私は思うんだけど、その2つが駄目となると救いようがありません。世界観だけ面白くても、そんなのすぐに見慣れちゃいますから。
レギュラーキャストは他に、由利探偵の助手=三津木に志尊淳、京都府警の等々力警部に田辺誠一、骨董品店の店主にどんぐり、といった面々。セクシーショットは第1話メインゲストの新川優愛さんです。
☆『ハケンの品格』2―#01(日本テレビ系列・水曜夜10時枠)
『ドクターX』の大門未知子みたいなスーパー派遣社員=大前春子(篠原涼子)が、大手食品商社を舞台に『ドクターX』の大門未知子みたいに大活躍する、2007年にヒットしたお仕事コメディの続編です。脚本は『ドクターX』と同じ中園ミホさん。
ただし『ドクターX』シリーズがスタートしたのは2012年ですから、正しく言えば『ハケンの品格』のホスピタル版として生まれたのが『ドクターX』なワケです。大門くぅ~ん!
だから「ドクターXのパクリやん!」なんて批判するのは的外れだし、「こんな派遣社員いるワケない」だの「今どきこんな会社があるワケない」だのと文句を言うのもナンセンス。
これはあくまで「こんな派遣社員がいてくれたらいいなあ~」っていう、みんなの夢を具現化したファンタジーであり、別に社会風刺が目的じゃないから現実離れしてて良いんです。ただ無邪気に楽しめばいいだけの作品。
とは言いつつ私は『ドクターX』が大嫌いなんだけどw、こっちの大前春子さんには大門未知子みたいな傲慢さを感じないので素直に笑えます。
というか、大前さんには人間味すら感じないw どう見てもあれはA.I.を搭載したアンドロイドで、もしかしたらそういう裏設定があったりするのかも?
そんなキャラを篠原涼子さんが実に楽しそうに演じておられるし、小泉孝太郎、勝地涼、塚地武雅、上地雄輔、伊東四朗、そして特別出演の大泉洋と、脇を固めるキャスト陣も芸達者揃いですから、気楽に笑えるドラマとして『ドクターX』よりずっと見所はありそうだと、私は感じてます。
セクシーショットは主役の篠原さんと、並みの派遣社員としてレギュラー出演されてる山本舞香さんです。
☆『BG/身辺警護人』2―#01(テレビ朝日系列・木曜夜9時枠)
民間の警備保障会社に新設された「身辺警護課」のガードマンたちによる『ミッション:インポッシブル』ばりの活躍を描いた、2018年冬ドラマの続編です。
木村拓哉、斎藤工、菜々緒、間宮祥太朗はそのまま続投、新たに仲村トオル、勝村政信、市川実日子といったキャストがレギュラーに加わりました。
前作は、いちいち主人公に反抗する斎藤くんや、あまりに無能なSPたちの「キムタクの引き立て役」ぶりがドラマを安っぽくして非常に残念でした。
それが今回、ステレオタイプな馬鹿はあまり登場せず、反抗期だったキムタクJr.を筆頭にキャラクター達がそれぞれ成長し、かなりストレスが軽減されて観易くなりました。
特にキムタクが組織からドロップアウトして「フリーのボディーガード」となり、ピンチに陥ると斎藤くんが助けに来るという、ある程度の距離を保ちつつの信頼関係はとても心地好い!
ゆくゆくは対決せざるを得なくなる展開の伏線だろうとは思うけど、固い絆を描いた上での対決ですから、これは面白くなりそうです。
元より主人公のキャラクターやアクションの見せ方は魅力的でしたから、余計なストレスが無くなって「これなら毎週観てもいいかも?」って、偉そうな言い方だけどそう思わせてくれる初回の出来映えでした。
ただし、アクション系の連ドラは初回だけで力尽きちゃうパターンも多いので、しばし様子を見ないと結論は出せません。ポートレートはレギュラーの菜々緒さんと、初回ちょい役ゲストの弘中綾香アナウンサーです。