私が『警視庁・捜査一課長』シリーズにハマってる理由の1つに、「笑いどころをいちいち指示して来ないから」というのがあります。ボケたらボケっぱなしで誰もツッコミを入れない。どこで笑うかの判断を我々視聴者に委ねてくれてるワケです。
例えばバラエティー番組で、出演者のここが笑いどころっていう発言や仕草を、テロップや効果音でいちいち強調してくる演出が、私は大の大の大嫌い! 今はもう慣らされてしまったけど、やり始めの頃はいちいち腹が立って物凄いストレスになってました。
なんで腹が立つのかと言えば、どこで笑うかは自分で決めるからいちいち押しつけて来んな!ってことです。どうせお前ら素人にこの笑いは理解出来んやろっていう、番組スタッフの上から目線を感じるからです。
以前の記事にも書きましたが、あれを最初に始めた番組が私の大好きな『探偵!ナイトスクープ』だと知った時は少なからずショックを受けましたw
けど、あの番組は調査の依頼者=方言がキツかったり滑舌が悪かったりする素人さんが主役だから、何を言ってるのか聞き取りにくいケースが多いので、それをカバーするために始めた事なんですね。テロップが笑いを生むことになるとはスタッフも予測してなかったそうです。
で、それを各テレビ局が真似して広まって、もうかれこれ30年近く経っちゃってますから、今の若い人たちはもしかしたら、テロップや効果音が無いと笑いどころが判らなくなってるかも知れません。
今期の連ドラを観てて気になるのが、そんな下世話な手法がドラマにも定着しつつあることです。NHKの朝ドラとかならともかく、どちらかと言えば若い人向けの番組にまで。
例えば『大豆田とわ子と三人の元夫』と『イチケイのカラス』。どちらもクオリティーの高い作品だと思うけど、前者は伊藤沙莉さんのナレーションが、後者はヒロイン(黒木 華)のモノローグが隙間なく入って来て、笑いどころをいちいち教えてくれる。あまりに親切すぎるんです。
アニメ『ちびまる子ちゃん』のナレーションツッコミは発明だったと思うけど、今やそれもすっかり古い手法であり、あれだけハイクオリティーなドラマを創るスタッフが好き好んでやってるとは私には思えない。
『大豆田とわ子~』の脚本を書かれてる坂元裕二さんは抜群のユーモラスセンスをお持ちだけど、視聴率にはいつも恵まれない。だからアホな視聴者どもにちゃんと伝わるようもっと解り易くしてくれって、上からさんざん言われて「じゃあこれなら文句ないだろ?」って、坂元さんが半ばヤケケソで『ちびまる子ちゃん』方式を採ったのでは?って邪推しちゃいます。
『イチケイのカラス』は初回より第2話の方がずっと面白かったけど、それでも泣かせ演出があまりに下世話で私は引いちゃいました。ちっちゃな女児に心情をくどくど語らせ、歌まで唄わせて、こないだレビューした『太陽にほえろ!』#427の真弓ちゃんが「ボ…ス…」の一言だけで私を号泣させたのと実に対照的。
そこまでせんと笑えないの? 泣けないの? やっぱり、あまりに下世話なバラエティー番組ばかり観て育っちゃったから? いや、そこまで若い人らの感性が腐ってるとは、私には思えないのですが……
コメディーを観る楽しさ、面白さって、1つ1つのユーモアに自分で気づくこと、俺にはこの笑いが理解出来る!っていう優越感を味わうことも、少なからず含まれてると私は思う。
『大豆田とわ子~』や『イチケイ~』はその楽しみを我々から奪ってるワケです。面白いのにあと一歩ハマれない理由は、多分そこにある。
ほんの一部のアホなクレーマーとか、ど素人のスポンサー連中の意見に振り回され過ぎてませんか? 会議のし過ぎで頭がウニになって、何が何だか分からなくなってやしませんか?
確かに世の中アホが多いけど、あなたたちの番組を選んで観てる人らは、多分そこまでアホじゃないと私は思う。もうちょっと信用しては頂けないもんでしょうか?
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