☆第41話『バニング・レディ』
(1980.7.20.OA/脚本=柏原寛司/監督=村川 透)
西部署捜査一課の最年少刑事「ジン」こと兼子 仁(五代高之)が、良家のお嬢様(舛田紀子)と気の進まないお見合いをさせられ、ヤケ酒を呑んで酔っ払った帰り道、チンピラに絡まれてる若い女=良美(長谷直美)を助けます。
気取りのない良美と意気投合し、彼女と一緒にハシゴ酒したジンが翌朝目覚めると、そこはバニング・カー(大型ワゴンをキャンプ仕様に改造した車)の中。
「2万円、貰っといたわよ。本当は3万円だけど、きのう助けてくれたからオマケしちゃう」
「えっ? まさか、キミは……」
そう、良美はフリーの売春婦であり、バニング・カーは言わば移動式の売春宿。同じ頃『太陽にほえろ!』で毛むくじゃらの刑事と愛を育んでた直美さんが、裏じゃこんな破廉恥なバイトをしてたワケですw
「やばいよ、俺、刑事なのに!」
「うそっ!?」
動揺したジンは、慌ててバニング・カーから脱出します。
「今度見つけたら、逮捕してやるからな!」
「出来るワケないじゃない、アンタだって共犯なんだから!」
「うるさいな!」
ジンは全然憶えてないんだけど、とにかくやっちゃったもんは仕方がない、大霊界はあるんだから仕方がない。
ジンは、その日から良美のことが気になって捜査が手につかなくなっちゃいます。なんとか売春を辞めさせようと彼女につきまとい、「私のこと好きなんでしょ?」とか言われて「ちがわい!」なんてムキになる中二病をこじらせ、質実剛健な大門団長(渡 哲也)に睨まれます。
しかも、バニング・カーのそばで良美と一緒にいる現場を木暮課長(石原裕次郎)に目撃され、もしかすると童貞かも知れない大門団長にますます睨まれますw
大門軍団が捜査してるのは、金庫破りをした挙げ句に警備員を射殺して逃走中の窃盗グループ。ところが目撃情報によると、そのリーダー格の男=矢沢が派手なワゴン車を乗り回す若い女とつき合ってるらしい!
もしかして良美も窃盗グループの仲間? こりゃ団長に殺される!と思って青ざめたジンは良美を問い詰めますが、彼女は何も知らなかった様子。
「二人でお金を貯めてたのよ。一緒にアメリカ行くために」
「馬鹿だな、お前は! それがパターンなんだよ! 女を手放さないよう共通の目標を作って、食い物にする手口なんだ!」
本気で彼女を心配し、説教するジンですが、矢沢たちに襲撃され、あえなく捕まっちゃいます。
そこからは、捕まった刑事が次なる銀行強盗計画に加担させられちゃうという王道パターン。だけど先に計画を察知した大門軍団が銀行員を装い、待ち伏せて暴力解決。まぁいつも通りの『西部警察』ですw
ただ、当時すでにバリバリのメジャー女優だった長谷直美さんがゲストなだけに、その待遇はスペシャル仕様。人質にされた良美の救出には木暮課長=石原社長が自ら単身で向かい、久々に華麗なアクションを見せてくれます。
直美さんは今回、七曲署のボスと、後にマミー刑事として共演する橘警部(渡さん=団長)&オサムさん(寺尾 聰=リキ)ともご対面、さらに城西署のベンケイ(苅谷俊介=ゲン)との再会も果たしたワケです。
そう、このエピソードは以前レビューした『大都会PART III』の第34話『ストリート・ガール』のリメイクであり、城西署(日テレ)と西部署(テレ朝)を股にかけた続編とも言えます。
どちらも脚本は柏原寛司さんで、ストリート・ガールもバニング・レディも長谷直美さんを「あて書き」した同一キャラなんですね。
ただ、ベンケイが相手じゃ色っぽい雰囲気になりよう無かった『大都会』の時と違って、今回はイケメンのジンが相手ですから、ちょっとだけ直美さんのフェロモンが感じられる仕上がりになってます。
本当はあの夜、二人はチョメチョメしてなかったことがラストで明かされるんだけど、そこは視聴者の想像に委ねて欲しかったですね。刑事が買春ってのが道徳上よろしくないのは解るんだけど。
良美は売春から足を洗い、まっとうに働いてアメリカ行きの資金を貯めるとジンに約束し、颯爽とバニングカーを運転して去って行きます。
コールガール役が似合うか否かはともかく、自由に生きる逞しい女性像をこうも爽やかに表現出来る女優さんは、そう多くはいない筈。
これはホントに長谷直美さんの当たり役。柏原さんの愛を感じます。
冒頭のお見合い相手は渋谷病院のチビ看護婦ですよね(^^)