☆第1話『撃て加納明』
(1980.1.10.OA/脚本=白井更生/監督=手銭弘喜)
ショットガンを持った男(福本清三)が銀行に押し入り、行員や客らを人質にし、立て籠ります。
麻薬中毒で自暴自棄になってる犯人に目的はなく、ただやりたい事をやって最後は自殺するつもりという、交渉の余地もない最も厄介なパターン。
本庁の刑事部長(平田昭彦)は「射殺やむなし」と判断するも、銀行内にはバリケードが組まれており、外部からの狙撃は不可能な状況。
そこで白羽の矢が立ったのが「警視庁第四機動捜査隊」で捜査主任を務める、元オリンピック射撃競技メダリストの、加納 明(杉 良太郎)。
バリケードの内側に飛び込み、絶対に犠牲者を出さずに、つまり1発必中で犯人を射殺するという、果てしなくインポッシブルなミッションに「勝算はあるか」と問われ、加納主任はこう答えます。
「射撃は結果です。撃ってみなければ分かりません。人ひとり撃つんです。手も震えるでしょう。ベニア板で造ったターゲットとは違います」
並外れた技術と精神力が要求される、このミッションをやり遂げられるのは杉サマしかいない! 刑事部長は加納に賭けます。
「やってくれるか? 加納くん」
「命令とあらば」
「君の殉職という事もあり得る」
「やむを得ないでしょう。警察官である以上」
そう言いながらも、加納だって出来れば人は殺したくない。駆けつけた犯人の姉(岩本多代)に説得を託すも、すでに人生を諦めたヤケクソ男には焼け石に水。
人質が1人、また1人と殺され、いよいよ加納は愛銃コルト・パイソン357マグナムを片手に、独り、バリケードの向こう側へと飛び込むのでした。
あくまでシリアスかつハードな展開、リアリティー重視の演出、寡黙な主人公といった要素は『大都会/闘いの日々』を彷彿させるし、加納明のキャラクターには『ブラック・ジャック』みたいな雰囲気もあるんだけど、やっぱ一番テイストが近いのは杉サマの時代劇かも知れません。
(時代劇をほとんど観ないもんで定かじゃないけど、オープニング&エンディングのタイトルバックも時代劇アプローチで演出されてます)
時代劇と言えば、この第1話のストーリーは『たそがれ清兵衛』に似てるような気もします。
さて、みごとミッションを成功させた加納主任を待ち構えていたのは、説得をお願いした犯人のお姉さんの、刺すように冷たい視線でした。たった1人の肉親である彼女は、弟が麻薬を買うために背負った莫大な借金も、これから返して行かなきゃならない。
加納主任は、彼女の恨みと憎しみを黙って受け止めつつ、部下の都築刑事(本阿弥周子)にはこう命じます。
「ホシの姉さんに気をつけてくれ。ヤクが絡んでる。このヤマはこれからだ」
犯人の姉は近所の人々から白い眼で見られ、職も失います。そんな絶望的な状況にこそ眼をつけるのが、ヤクザという外道な連中なんですよね。
彼女を助けてあげるようなフリをして、地獄に引きずり落とそうとする麻薬組織。その前に立ちはだかったのは、もちろん我らが杉サマこと加納明! あいつの名はポリスマン!
コルト・パイソンで連中の車をぶっ飛ばし、ボスに殴る蹴るの暴行を働く加納主任の勇姿は、まさに時代劇ヒーローの生まれ変わり。
犯人を射殺して姉さんに恨まれる所で終わったら『大都会/闘いの日々』だけど、最後の最後に勧善懲悪ヒーローとして脚光を浴びちゃうのが、やっぱ時代劇アプローチなんですよね。
もちろん、弟を殺された姉さんも、最後にゃ杉サマにメロメロですw 本阿弥周子さん扮する女刑事も、明らかに杉サマをお慕い申されてますw
本作は神田正輝さんが『太陽にほえろ!』直前に出演されてた刑事ドラマとしても知られるワケですが、第1話を観る限りじゃ完全に添え物です。噂どおり、これは100%、杉サマによる杉サマのための刑事ドラマ。杉良太郎ファンしか相手にしてませんw
だけど、面白いです。ハイクオリティーだし、杉サマにはやっぱ強力なカリスマ性を感じるし、意外と拳銃も似合ってらっしゃいます。
あまりに独創的すぎる主題歌『君は人のために死ねるか』ばかりが話題になる作品だけど、これは再評価されて然るべきじゃないかと私は思います。
クロード・水沢です。
第1話はインパクトがありました。
https://ameblo.jp/clordmizusawa/entry-12670596743.html?frm=theme
撮影者ガイドを書いてます。
https://clord-mizusawa.hatenablog.com/entry/2021/06/02/235616
画像は YouTube動画をスクリーンショットで
撮った画像です。
今度、2枚目もスクショして ブログにアップします。
ミニカーやプラモも載せてます。