日本映画のレビューですが、これは「春のマジンガー祭り番外編」とも言えるかも?
ダム、トンネルなど数々の大プロジェクトに携わってきた前田建設工業株式会社が「アニメやゲームに登場する建造物を実際に作ったらどうなるか?」を本格的に検証するWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」を立ち上げ、それが「バズって」話題を呼んだ「実話」を映画化した、上田誠 脚本&英勉 監督による2020年公開作品。もちろん現実の前田建設さんが全面協力されてます。
2003年、前田建設の広報グループ長(小木博明)が突然「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンに登場する地下格納庫を、現状の技術と材料で建設したらどうなるのか?」を検証するWEB連載を提案。
マジンガー世代じゃない若手社員たちは嫌々ながらも、仕事だから仕方なくプロジェクトに携わるんだけど、架空のものに対して真剣に向き合う社内外の技術者たち(もちろんマジンガー世代)の姿を目の当たりにし、無意味と思ってた業務に本気で取り組むようになっていく。
やがて「ファンタジー営業部」と呼称される広報部のメンバーに、高杉真宙、上地雄輔、本多力、そして岸井ゆきのが扮してます。
まず、この世知辛い時代に、よくこんな話を映画化する企画が通ったなあって驚くし、キャストがまた豪華。まだ現在ほど売れっ子じゃなかったにせよ、ヒロインが岸井ゆきのさんですよ!
さらに町田啓太、六角精児、山田純大、鶴見辰吾、濱田マリ、そしてご本人役で永井豪御大まで登場されますから! 全然、そんな大層な話じゃないのに!w
だって、マジンガーZの格納庫(汚水処理プールの地下にあるやつ)を実際に造っちゃう話ならともかく、仮に造るとすれば何が必要になるか、費用と日数は一体どれくらいかかるか等を、ただ検証して見積もりを出すだけのストーリーなんです。
いや、だからこそなんでしょう。こんな地味な話を商業映画として成立させるには、実力があって客も呼べるキャストが必須条件だった。
映画が好きな人であればあるほど、舞台演劇的なオーバーアクションにはアレルギーがあるでしょうけど、本作に限っては受け入れなきゃしょうがない。ことさら賑やかに、面白おかしくやってくれないと寝ちゃいますからw
それを踏まえてのリーダー役=おぎやはぎの小木博明さん、ベリーナイス・キャスティングでした。他の俳優さんたちも皆、いつになく弾けまくっておられます。それを素直に受け入れさえすれば、いっさい退屈せずに楽しめます。
とは言え、やっぱり映画ですから、クライマックスにはこんなシーンも用意されてます。
全ての見積もりを終えた上での、あくまでシュミレーション(妄想)を映像化してるワケだけど、妙に感動させられます。マジンガー世代限定かも知れないけど。
しかし顔の造形がカッコ良くないのが残念! 野中博士さんか越智一裕さんに監修して頂きたかった!
そこはまあ、あくまで格納庫が主役だから仕方ありません。現実には不可能だろうと思われて来た、プールの下から巨大ロボットをせり上げるシステムが、知恵と工夫と大金と、途方もない時間と労力さえ費やせば可能なんだ!っていう事実を、理論と数字で証明しちゃうところにロマンがあるワケです。
そりゃあ、わざわざ映画館で観るべき内容とは言えないけどw、テレビでやるにはターゲットが限定され過ぎちゃう、むしろ映画でしか出来ない企画だったのかも知れません。
あまりに保守的な日本映画界には文句ばっか書いて来たけど、今回だけは「よくぞ(こんな超くだらないことをw)やってくれました!」って、拍手を贈らせて頂きます。マジンゴーッ!!
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