









些細な痴話喧嘩がきっかけで、マジンガーZのパイロット=兜 甲児が意識不明の重体という大ピンチ。
もちろん、Dr.ヘルがそこにつけ込まないワケがなく、修理を終えた機械獣パズソンM1を光子力研究所へと向かわせます。
Dr.ヘルの最終目的は世界征服ですが、その為にはマジンガーZのボディを包む無敵の金属「超合金Z」の元となるジャパニウム鉱石が必要不可欠なんですね。
それを狙って機械獣を毎回しつこく送り込んで来るワケですが、その割にパズソンM1はマジンガーZの翼をアッサリ斬り落としたりして、超合金Zより強い金属持ってるやん!とかw、ツッコミ所は多々あります。
ちなみにポピー(現バンダイ)から発売された大ヒット玩具「超合金」シリーズの語源は『マジンガーZ』の超合金Zで、同じく大ヒットした「ジャンボマシンダー」と共に商品化第1号はマジンガーZでした。
近年、我々世代をターゲットに発売された大人向けの玩具「超合金魂」や「スーパーロボット超合金」のシリーズも第1号はマジンガーZで、いずれもロングランヒット商品になってます。
最近のオモチャのクオリティーは本当に凄い! 番組の放映当時に発売されてた玩具は、プロポーションがアニメとはかけ離れてましたけど(それでも買ったし宝物だったけど)、現在のはアニメ以上に格好良く出来てますからね。もちろん私も持ってますw
閑話休題。光子力研究所の所長である弓教授が、向かってくる機械獣の進路を見て顔色を変えます。
「いかん! そのコースには国際障害児センターがある!」
それは、身体障害児たちが治療を受けている医療施設です。
「もし機械獣があそこを襲ったりすれば……」
「ヌケ! ムチャ! ボスボロットは今から出動する! 来い!」
ボスボロットとは、三枚目キャラのボスが光子力研究所の技術者たちに無理やり造らせたw、三枚目ロボットです。私はあまり好きじゃなかったけど、ボスボロットが主役のスピンオフ漫画が幼児誌に連載されるほど人気者になってました。
ボスの子分=ヌケの声はDr.ヘルと2役の富田耕生さん、ムチャの声は鬼太郎の「目玉おやじ」こと田の中 勇さんが務めておられました。
ボスボロットはボスが集めたガラクタで形成されており、馬鹿力だけが取り柄。マジンガーZさえ苦戦したパズソンM1に勝てるワケがありません。
「分かってますよ! その間に身体の不自由な子供が、1人でも多く避難出来れば、真っ二つにされても満足です!」
ボスやボスボロットみたいな三枚目キャラが、これほどの人気を得た例はあまり無いそうで、それはボスが自分のことを二枚目だと思い込んでてw、決してウケを狙った言動をしなかったからだろうと思います。
「俺がもし死んだら兜のヤツに伝えて下さい。世界中で兜が一番好きだったとね!」
普通、コメディリリーフがこんな台詞、言わないですよねw ていうか普通は言わせてもらえない。ボスっていうキャラクターが、いかに番組の創り手たちにも愛されてたかって事でしょう。
さて、パートナー=弓さやかのキスが効いたのか、甲児がようやく眼を醒まし、さやかは本当に嬉しそうな顔をします。
「ずっと看病しててくれたのか? へへ、相変わらずお節介だね、おめえさんは。色男はツラいや」
「ふんっ、誰がアンタなんか。ちょっと様子を見に来ただけよ」
相変わらず素直じゃないさやかに、甲児の弟=シローが機械獣の出現をこっそり知らせます。さやかは負傷の甲児に黙って、独りで出動しようとしますが……
「アフロダイAじゃとても適う相手じゃない。一体どうしたら…… そうだ!」
さやかは、自らがマジンガーZを操縦して戦う事を思いつきます。ヒロインが主人公の替わりに主役メカを操縦するシチュエーションは前代未聞で、史上初の搭乗型ロボットを生んだ『マジンガーZ』ならではの画期的アイデアだと思います。
「甲児くん、機械獣はきっと私が倒してやるわ。たとえ私の命が無くなっても」
マジンガーZのコクピットとなるホバーパイルダーを発進させるさやかは、使命感よりも甲児への愛で動いてる感じがします。
「出て来い、Z!」
マジンガーZは甲児の愛機を超えて、もはや分身みたいなもんですから、さやかの操るパイルダーがドッキングする瞬間って、何だかセクシャルな感じにも見えます。
しかし甲児も最初は失敗した難易度の高いドッキングを、さやかは成功させる事が出来るのか?
「パイルダー・オーン!……神様!」
通常はパイルダーの両翼を折り畳んでZの頭部に降りるワケですが、そのまま突っ込んで両翼を叩き折るというw、さやからしい強引さでドッキングを成功させました。
「さやか、やめなさい! お前にマジンガーZが操縦出来るとでも思っているのか!? 気でも狂ったのか!」
無線で必死に呼び掛ける父=弓教授ですが、さやかは通信を切ってしまいます。そもそも、さやかのロボット=アフロダイAは戦闘用に開発した機体ではなく、教授は娘を機械獣と戦わせるつもりは毛頭無かったのに、彼女はいつも勝手に飛び出しちゃうんですよね。
さやかの出撃をシローは内緒にしてたんだけど、マジンガーZの足音で甲児は気づいてしまいます。
「さやかさん? あのバカ!」
ついさっきまで昏睡状態だったのに、甲児はベッドから飛び出し、アフロダイAに乗り込みます。ボディが女性型なもんで、甲児が操縦しても内股気味で、まるでニューハーフのロボットみたいですw
「くそぉ、もっと速く走れねえのか? まったくドジなロボットだぜ!」
そもそも女性型の巨大ロボットが存在すること自体、マジンガーシリーズが唯一無二なんですよね。考えてみれば、あんな華奢なボディに設計するメリットはどこにも見当たらないワケでw
だからアフロダイAはいつも機械獣に虐待され、悶え苦しむんだけど、それが非常に永井豪的なセクシャル・メタファーになってたりもする。さすがに当時は、そんな意識は無く観てましたけど。
さて案の定、さやかマジンガーは苦戦し、あわやの所で駆けつけた甲児アフロダイの「おっぱいミサイル」でピンチを免れます。考えてみりゃ凄いですよね、大真面目におっぱいミサイルってw
しかし、お互い自分のロボットに乗り換えたいワケですが、通常の段取りを踏んでる余裕はありません。
「さやかさん、空中サーカスと行こうぜ!」
「空中サーカス? ようし、分かった!」
普通、いきなり空中サーカスとか言われてもピンと来ないでしょうに、あうんの呼吸で理解し合える甲児とさやかは、やっぱり単なる戦闘のパートナーを超えた関係ですよね。
「行くぞ!」
「オッケー!」
で、甲児の言う空中サーカスってのが、上の画像です。人間技じゃありませんw しかもさっきまで昏睡状態だったのに!w でもこれは、2人の固い絆を見事に映像で表現した、キスシーン以上に胸が熱くなる名場面かと思います。
見事に1発乗り換えを決め、笑顔でVサインを送り合う2人。
「機械獣ヤロー、俺が相手だ!」
しかし油断は禁物です。パズソンM1の鎌は、超合金Zを切り裂く事が出来ちゃう無敵の凶器なのです。今まさに、その鎌を振りかざして迫って来るパズソンM1!
とっさに甲児は、さやかと大喧嘩する直前に読んでた時代劇マンガを思い出します。そう、当時テレビの時代劇で流行ってた、両手のひらで刀を挟んで受け止める、あの技……
真剣白刃取り!
懐かしいですねw 見事に鎌を受け止めたマジンガーZは、その65万馬力のパワーでパズソンM1の腕ごとへし折ると、一気に反撃へと転じます。
「トドメだ! ブレストファイヤー!!」
超合金Zを切り裂く武器を開発しながら、それを失うと成すすべが無い機械獣。Dr.ヘルが送り出して来る機械獣はいつも詰めが甘いと言うか、1つのスペックに頼り過ぎてる感じが、なんだか人間味があって憎めませんw
あっけなく機械獣は倒れたものの、起き抜けの空中大サーカスが災いしたのか、甲児も再び倒れてしまいます。
「甲児くん! しっかりして甲児くん!」
さやかは甲児を抱きしめ、頬ずりしながら涙を流します。
「……さやかさん、俺はもうダメだ……やっぱり無理だったんだ。さようなら……」
甲児は眼を閉じ、今度こそ永遠の眠りに……?
「甲児くん、お願い死なないで! 私あなたが大好き! いつかあなたのお嫁さんになりたかったのに、どうして死んじゃったのよ!?」
そばで見てるボスも涙を浮かべます。親友=甲児との別れもさる事ながら、ずっとボス自身が想いを寄せてるさやかの、聞きたくなかった本心を聞いてしまった切なさもあるのでしょう。ところが……
「あっ?」
ふと気がつけば、甲児が眼を開けてニヤニヤ笑っていた!
「悪いけどね、おめえ様のようなジャジャ馬と結婚する気はサラサラ無いスよ、ホント」
「……うぬぬぬぅ~このぉ~」
再び、さやかが鬼の形相になりますw
「愚か者っ!」
Dr.ヘルも同じ頃、鬼の形相で作戦隊長あしゅら男爵を叱りつけてました。
「申し訳ございません、Dr.ヘル! この次は必ず……」
あしゅら男爵の決め台詞が、この「申し訳ございません、Dr.ヘル!」でw、毎回ラストシーンでDr.ヘルに土下座する姿もお約束になってました。それでもクビにならずに働いてるワケで、実はDr.ヘルってのはメチャクチャ慈悲深い人格者なのかも知れませんw
「言うな! 貴様の顔などもう見たくもないわっ!」
しかし今回のあしゅら男爵は、悪口を言われた腹いせで取って置きの機械獣を無駄遣いしちゃったワケでw、愛想を尽かしたDr.ヘルがモニター通信を遮断しちゃうのも無理ありません。
取り残されたあしゅら男爵は、とりあえず護衛の鉄仮面たちに八つ当たりします。
「チキショーっ! それもこれもみんな、お前たちのせいだぁーっ!!」
「ええーっ!?」
その辺にある物を片っ端から鉄仮面たちに投げつけるあしゅら男爵と、光子力研究所で備品を投げつけ合い、設備を破壊しまくる甲児&さやかの姿がオーバーラップしますw
そんな2人を尻目に、仲むつまじく抱き合うマジンガーZ&アフロダイA……ってなラストカットがまた、2人の本心を表してるみたいで素晴らしいです。人間はなかなか、ロボットみたいには素直になれないんですよね。
普段はもうちょっと殺伐としてた筈なんだけどw、どこか呑気で牧歌的な雰囲気があるのも『マジンガーZ』の大きな魅力だったように思います。
特にこの第52話は、バトルよりもラブコメ要素がメインになってて、甲児の眼を通してさやかに惚れてた我々ガキンチョ共にとって、忘れがたい名エピソードとなりました。
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