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『古畑任三郎』シリーズ '94~'06

2019-03-22 00:00:08 | 刑事ドラマ HISTORY









 
このタイトルが登場すると一気に現在に近づいた気がしますけど、これもスタートして既に20年以上も経つんですね。

1994年の春シーズン(全12話)、’96年の冬シーズン(全10話)、’99年の春シーズン(全11話)と3つのシリーズが放映された他、5本のスペシャル版に3話連続のファイナル、更に総集編、スピンオフ番組まで創られた超人気シリーズです。制作はフジテレビ&共同テレビ、音楽は本間勇輔。

フジテレビ系列で、1stシーズン(タイトルは『警部補・古畑任三郎』)と2ndシーズンが水曜夜9時、3rdシーズンが火曜夜9時に放映されてました。

説明するまでも無いと思いますが、最初に犯行の一部始終を視聴者に見せて、犯人が誰であるかをハッキリ示した上で、主人公の刑事がどうやってそれを見抜き、自白させるに至るかを見せる「倒叙法」によるミステリーです。

このドラマのヒットで一躍メジャーになった脚本家=三谷幸喜さんが元々『刑事コロンボ』の大ファンで、当時はDVDも発売されておらず『コロンボ』を観るすべが無くて、だけどどうしても観たいから「仕方なく自分で創る事にした」んだそうですw

NHKで『コロンボ』が放映されてた当時は、毎回カセットテープに録音して、毎日聴いては台詞を暗記する程のマニアだったらしく、それって私が『太陽にほえろ!』放映当時にやってた事と全く同じなんですよね。

その内容に不満も抱くようになり「自分ならこうするのに」って考えてた事が、後の創作活動に繋がって行く点も同じです。パクリでもオマージュでもなく、自分にとって理想の『刑事コロンボ』なり『太陽にほえろ!』なりを創りたい、と言うより観たかったワケですね。

『刑事コロンボ』は私も大好きでした。なぜなら、あれは謎解きドラマじゃなくて「キャラクタードラマ」だから。そういう意味じゃ『太陽にほえろ!』と同じなんです。

三谷さんはミステリーを書いてる意識がほとんど無くて、あくまで古畑任三郎というキャラクターが織り成すコメディを書いてるつもりだった。だからこそウケたんでしょう。

そして何より、野暮ったいイメージのコロンボを、田村正和というスタイリッシュな俳優さんに置き換えたアイデアが素晴らしいです。野暮ったい俳優さんが今さらコロンボを演じても、ただの二番煎じで面白くなかった事でしょう。

ちなみに三谷さんは『太陽にほえろ!』の山さん(露口 茂)の大ファンである事も公言されてたので、古畑のキャラには多分に山さん成分も含まれてるだろうと思います。

また、今泉慎太郎(西村雅彦)という、コロンボにはいなかった「相棒」が設定された事も『古畑』ならではの魅力になりました。西村さんの怪演により今泉のキャラクターがどんどん膨らんで、スピンオフ番組(『巡査・今泉慎太郎』)まで創られる人気者になりました。

なのに、三谷さんが「今泉をイジることに飽きた」との理由でw、3rdシーズンになると今泉が新キャラの西園寺(石井正則)にポジションを奪われ、徹底的にないがしろにされちゃうのも可笑しかったです。

そして更に大きな見所が、毎回の犯人役ゲストのキャスティングです。とにかく豪華で、バラエティー豊かな顔ぶれでした。普通のミステリー物で豪華ゲストを呼んだら、その人が重要人物だってすぐ読まれちゃうんだけど、倒叙法だと最初から犯人が判ってるからキャスティングで遊べるワケですね。

中森明菜、堺 正章、笑福亭鶴瓶、鹿賀丈史、小堺一機、桃井かおり、菅原文太、明石家さんま、沢口靖子、草刈正雄、木村拓哉、唐沢寿明、山城新伍、松たか子、鈴木保奈美、市川染五郎、真田広之、大地真央、津川雅彦、市村正親、福山雅治、江口洋介、山口智子、緒形 拳、松本幸四郎、藤原竜也、石坂浩二、松嶋菜々子etc……

目もくらむような顔ぶれで、中でもイチロー選手、SMAPらが本人(しかも犯人)役で登場したスペシャル版は印象深いです。

イチローさん、ヘンに芝居が巧かったですねw 実は元々『古畑』マニアで、出演オファーを二つ返事で引き受けたばかりか、最初の読み合わせ(キャストの顔合わせ)の時点で既に、台詞を丸暗記してた程の熱の入りようだったとか。「素人だからこそ、全力で取り組まなきゃプロの共演者に対して失礼だから」なんだそうです。やっぱり、そこまで謙虚になれる人だからこそ一流なんでしょう。

ともあれ、これほどハイクオリティーなミステリーと遊び心を両立させた刑事ドラマはなかなかありません。今あらためて観直しても抜群に面白いし、とても20年前の作品とは思えない新鮮さがあります。

なにしろ刑事部屋や取調室のシーンがいっさい無く、拳銃も手錠も使わない、おまけに主人公がドラマの途中で視聴者に向かって話し掛けてくる等、独自のスタイルがもたらすインパクトは未だ色褪せません。

『刑事コロンボ』や『エラリー・クイーン』等の元ネタがあるにせよ、これほどサプライズに満ちて毎週の放映日が待ち遠しくなる連ドラは、近年ほとんど観られなくなりました。オールスター映画や大河ドラマもいいけど、三谷さんにはまたこういう野心に満ちた連ドラを、是非とも生み出して頂きたいと切に願います。
 

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