2019年に公開された、ピエール・モレル監督によるアメリカ&香港の合作映画です。
ロサンゼルス郊外で平凡ながら幸せな生活を送ってた主婦のライリー・ノース(ジェニファー・ガーナー)がある日突然、麻薬組織の凶行によって愛する夫と娘を殺されてしまう。
ライリーがはっきり顔を憶えてたので犯人たちはすぐ逮捕されたにも関わらず、弁護士はもちろん検事や判事にまで組織の息がかかっており、あっさり無罪判決が下りた上に抗議したライリーが精神病院に強制入院させられそうになり、その搬送途中で彼女は脱走しちゃう。
そして5年後、ずっと行方をくらませてたライリー・ノースが復讐の鬼となって帰って来た! 後はもう、すべてが我々の望む通りに展開していきますw
監督があの『96時間』のピエール・モレルさんだけあって、映画の構造がよく似てます。とにかく展開が早く、かったるい説明描写がいっさい無い。
驚いたことに、平凡な主婦だった筈のライリーがジョン・ランボー顔負けの(つまりグリーンベレー並みの)殺人スキルをどうやって身につけたのか、その説明すら完全放棄してる!w
組織の下っ端に過ぎない実行犯たちや、戦闘スキルを持たない裁判所の連中をぶっ殺す描写も大胆に省略され、映画はライリーVS組織幹部たちの壮絶な戦いのみに焦点が絞られてる。
ライリーがピンチに陥る描写もあるにはあるんだけど、ホント必要最小限で「焦らし」はほぼ皆無。そして前述の通り、我々観客が「こいつ、殺してくれ!」って思った相手は必ずぶっ殺してくれるし、これはネタバレになるけどラストシーン、第一級殺人罪で拘束されたライリーを刑事が逃がしてくれないかなあ?って思ったら、案の定こっそり手錠の鍵を彼女に渡してくれるんですよねw
日本映画『ザ・ファブル』をレビューした時、ハリウッドのアクション映画はあんなに観客ファーストを徹底してるのに、日本のクリエイターは自分のエゴを優先し過ぎやろ!って、私は文句を書きました。
けど、ここまで100%こちらの欲求に合わせてもらうと、逆に物足りなく感じることを今回発見しちゃいましたw
いや、それは大好きな『96時間』にも薄々感じてた事なんだけど、あっちは拉致された愛娘を取り戻す正統派ヒーローの話だったのに対して、今回のはダークな復讐譚ゆえ「ご都合主義」に対する違和感が目立っちゃうんですね。
これは観客ファーストというより、モレル監督がとにかく「かったるい描写」が大嫌いで、もしかすると『ザ・ファブル』の作者以上に自分のエゴを優先させた結果なのかも知れません。
かったるい説明が無い、焦らしも無い、全ての登場人物が期待通りに動いてくれる「ストレス・ゼロ」の映画って、引っ掛かるものが何も無いワケだから逆につまんないのかも知れません。
いくらかったるくても、説明や焦らしはやっぱ必要なんですよね。なんか、思いがけず勉強になりましたw
しかし大柄なジェニファー・ガーナーが銃を撃ちまくる姿はすこぶる格好良く、アクションがサマになる女優としては『レッド・スパロー』のジェニファー・ローレンスや『アトミック・ブロンド』のシャーリーズ・セロンを凌駕してると私は感じました。それだけでも一見の価値アリです。
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