2017年に公開された、フランシス・ローレンス監督によるアメリカ映画。アカデミー賞女優のジェニファー・ローレンスがロシアの女性スパイ役に挑んだサスペンス作品です。
ただし、同じくアカデミー賞女優のシャーリーズ・セロンが同時期に主演した『アトミック・ブロンド』みたいな壮絶アクションを期待すると肩透かしを食らいます。私はそれをある程度分かった上で観たんだけど、それでもここまでアクションが無いのか!と驚きましたw
勿論それはこちらの勝手な思い込みで、スパイが主役だからと言ってアクション満載とは限らない。むしろジェームス・ボンドやイーサン・ハントみたいに世界各所で派手に暴れ回るスパイにスパイが務まる筈がなくw、リアルにスパイの世界を描けばこうなるだろうって事かと思います。
しかも女性がスパイになれば、腕力じゃなく色気を武器にするのが自然の摂理。その定石を意図的に覆した『アトミック・ブロンド』も、そうしなきゃ生き残れない女性スパイの苦悩に焦点を当てた本作『レッド・スパロー』も、アプローチは真逆ながらどちらも究極のフェミニスト映画と言えるかも知れません。
そしてアカデミー賞女優が厳しい鍛練を経て身体を張ってる点も共通してます。両者とも当たり前のように脱いでくれるし、シャーリーズは性別の限界を超えた格闘アクションで、そしてジェニファーは冒頭の本格バレエシーンで鍛練の成果を見せてくれます。主人公=ドミニカ・エゴロワはボリショイバレエ団のエースだった元バレリーナという設定なんですね。
それが公演中の事故(?)による負傷で一瞬にして夢を断たれ、ロシア諜報部に勤める叔父の紹介(策略?)によりスパイ養成所でハニートラップ、すなわち色仕掛けの訓練を受ける。
その教官を演じるのが『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングで、男女の生徒を教壇に立たせて「さあ、脱ぎなさい」「さあ、始めなさい」ってw、まるで我が国のエロ系Vシネマみたいな場面を大女優たちが大真面目に演じちゃうワケです。素晴らしい!w
で、ドミニカはバレエで培った演技力でみるみる頭角を表し、アメリカへ渡ってCIA捜査官のネイト(ジョエル・エドガートン)から情報を聞き出す重要ミッションを与えられる。
だけどCIAは優秀だからドミニカの正体をすぐに見破り、彼女に二重スパイの話を持ちかける。諜報員を道具としか扱わない冷血ロシア人たちと、命を懸けて守ろうとしてくれる心優しいアメリカ人=ネイトとの狭間で揺れるドミニカ。
なにしろ、これはアメリカ映画ですw ゆえに結末は早い段階で読めちゃうんだけど、謎解きやどんでん返しに興味が無い私にとっては大した問題じゃありません。
ただ、それだけにストーリー以外の要素がどれだけ充実してるか?が重要で、同じ女性スパイの映画ならやっぱり、壮絶アクションにレズプレイまで見せてくれたシャーリーズの『アトミック・ブロンド』に軍配を挙げざるを得ません。
ジェニファーは今回が初脱ぎとのことで、ファンにとっては貴重な作品と言えそうだけど、濡れ場が無いんですよね。そこが彼女のこだわり所だったみたいだけど、ハニートラップを主題にしながらチョメチョメしないのは、やはり期待外れと言わざるを得ません。
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