
2022年夏シーズン、フジテレビ系列の月曜夜10時枠でスタートした、星崎真紀さんの人気コミックを実写化した連続ドラマ。
大手リフォーム会社の営業部でエースだった主人公=小梅(波瑠)が、人間関係のもつれにより退職を余儀なくされ、家族経営の「まるふく工務店」に拾われて、社長の息子でバツ2のシングルファーザー=玄之介(間宮祥太朗)とコンビを組み、住宅リノベを通して依頼人やその家族が抱える心の悩みも解決していく、いわば「人生リノベーション」のドラマ。
まるふく工務店の社長に遠藤憲一、従業員に近藤芳正、本多力、加治将樹、永野宗典、ライバルとなる大手リフォーム会社のパワハラ営業部長に原田泰造、その部下で小梅の元カレに金子大地、バーの店主にYOU、小梅の登山仲間にSUMIRE、といったレギュラーキャスト陣。
今季はとにかくお仕事ドラマが花盛り。男女ペアが主役、コメディータッチでミステリ要素もある等、共通点が多いです。
ヒロインが都落ちしてクセモノ男と組まされちゃうパターンもみんな同じw そういうレシピみたいなのが有るんでしょうね。
かくも構図がよく似てるからこそ、作品の優劣が見え易いとも言えます。この『魔法のリノベ』は断トツに良く出来てるんじゃないでしょうか。
優れた作品って、だいたい最初の10分ぐらいで判りますよね。スマホを見ず、早送りもしないまま最初のCMタイムまで行けば、間違いなくその作品は面白い。そこでツカめないようじゃ最後まで観てもたぶんダメ。
初回からイマイチだった『競争の番人』や『石子と羽男』といったい何が違うのか? ハッキリとはよく判りません。それがハッキリ判れば誰も苦労せずヒット作を連発できますから。
いや、面白い作品が必ずしもヒットしないから、よけい難しいんですよね。私が本当に面白いと感じたドラマって、だいたい視聴率は低かったりするし。
だから、ヒットするか否かは別にして、この『魔法のリノベ』が他の作品より面白くなったのは、まず優れた原作がある強みと、やっぱり脚色する人、演出する人、そして演じる人たちのセンスと相性が良かったから。組み合わせの妙としか言いようがありません。
もうちょっと具体的に考えると、住宅のリノベーションっていう題材と主役2人のキャラクターが、すごく普遍的で共感しやすい。
波瑠さん演じる小梅は、営業ウーマンとして優秀だけど天才じゃないし、恋愛でつまずいて都落ちしちゃうダメな部分もある。ましてや間宮くん演じる玄之介のダメっぷりたるや!
だけど2人とも、ダメでも一生懸命に生きてる。つまり観てる我々とぜんぜん変わらない。その点が、いかにも特殊な世界や人物を描いた『競争の番人』や『石子と羽男』と違ってる。
共感できるキャラクターが可笑しなことを言えば笑えるし、泣けばもらい泣きしちゃう。その逆もしかり。これが一番でかいポイントかも知れません。そこに脚色も演出もキャスティングも絶妙にハマった。
もちろん観る人それぞれの好みがあるから一概には言えないけど、私はハマりそうで、皆さんにも安心してオススメ出来ます。