☆第6話『クライシス・タワー』
(1989.5.21.OA/脚本=宮下 準/監督=鈴木一平)
思えば『ゴリラ』のレギュラー刑事達って、新人の谷川 竜を除けば全員、七曲署にも勤めておられるんですよね。
ドック(神田正輝)、橘警部(渡 哲也)、山岡係長(舘ひろし)、そしてこの第6話にはブルース(又野誠治、当時のクレジットは又野成治)までゲスト出演されてます。
舘さんとは初共演の又野さんだけど、渡さんとは1クール、神田さんとは実に3年半『太陽にほえろ!』で共演した仲です。
本作では国際指名手配中の爆破スペシャリスト「ヘンリー石黒」という役どころで、雇い主であるテロ組織に裏切られ、捜査第8班に協力する事になります。
と言っても、又野さんにアクションの見せ場はありません。登場した時点で既に拘束されてるし、第8班に協力すると言っても爆弾を仕掛けた場所を教えるだけの話で、別に誰が演じても代わり映えしない、ハッキリ言ってつまんない役でした。
『ベイシティ刑事』ではボギー(世良公則)と、『あいつがトラブル』ではマカロニ(萩原健一)と、いずれも悪役として競演された又野さんだけど、どれもこれも似たようなキャラで似たような演技でした。
けど『太陽にほえろ!』ではもっと幅のある演技をされてたんですよね。
ずっと『太陽~』を観続けてた人なら、又野さんにはコメディもこなせるレベルの力量があった事を知ってる筈です。決して「松田優作かぶれ」だけで終わっちゃう俳優さんじゃなかったですよね。
なのに創り手側が、一面的な使い方しか出来なかった。時代的に、そういうポジションしか需要が無かったのか、あるいは又野さんご自身がかなりストイックな性格ゆえ、そういう役しか引き受けなかった可能性もあります。
いずれにせよ、ブルース刑事よりも魅力的なキャラクターに恵まれないまま、自ら他界されたのはつくづく残念な事です。せめて縁の深い石原プロぐらい、又野さんの新たな魅力をちゃんと引き出して欲しかったですね。
『ゴリラ』っていう番組がなんでコケちゃったのか。その理由が、本エピソードにおける又野誠治の持て余しぶりを見ると分かる気がします。
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