テレビ朝日系列の番組でありながら、日テレの大ヒット作『あぶない刑事』の世界観を節操なく模倣し、見事にスベったのが、石原プロモーション制作の『ゴリラ/警視庁捜査第8班』でした。
初回はフィリピンロケを敢行した2時間スペシャルで、和製『エクスペンダブルズ』とも言えるド派手な傭兵アクションを見せてくれました。
そして舞台をホームグラウンド=東京に移し、あらためて通常フォーマットによるスタートを切った、実質上の初回がこの第2話。無線&パソコン担当の紅一点=高峰淳子(加納みゆき)も、この回が初登場となりました。
☆第2話『ファースト・ターゲット』
(1989.4.9.OA/脚本=新井 光/監督=吉田啓一郎)
囚人を装って刑務所に潜入した風間刑事(神田正輝)が、後輩の谷川刑事(谷川 竜)にヘリ&マシンガンで護送車を襲撃させ、多数の犠牲者を出しながら元・麻薬組織のボス(睦 五郎)を逃亡させるという、ムダに派手なオープニングw
更に捜査第8班(通称ゴリラ)は「東京コネクション」なる麻薬組織のアジトを次々に襲撃し、楽しそうに組織員たちを殺戮しながらw、精製中の麻薬を片っ端から処分して行きます。
倉本班長(渡 哲也)の狙いは、東京コネクションが所有するブツの在庫数を減らし、海外組織との取引が出来なくする事により、脱獄させた元・麻薬組織のボスに助けを求める為に正体を表すであろう、東京コネクションの黒幕を捕獲すること。
……って、回りくどいわっ!w ツッコミ所は満載なんだけど、とにかく作戦が回りくどいせいで、第8班が何の為に囚人を逃がしたり麻薬組織員たちを皆殺しにしてるのか、視聴者にはイマイチよく分かんない。
ゆえに、ヘリからマシンガン撃ちまくろうが護送車を吹っ飛ばそうが、ちっともカタルシスを感じないんですね。しかも『あぶデカ』ばりに軽いジョークを飛ばしながら殺人三昧ですからw、主人公たちに共感することが全く出来ないワケです。
共感とか感動とか、そういうのが狙いじゃないってのは百も承知だけど、感情が乗らなきゃせっかくのド派手なアクションも、ただ空しいだけ。いや、空しいだけで済めばいいけど、最悪なのは「幼稚」に見えてしまうことです。
このドラマがコケちゃった理由を前回、あれやこれやと分析しましたけど、やっぱ最大の欠点は「ドラマが無さ過ぎる」ってことに尽きるんじゃないでしょうか?
谷川竜さんのド下手な芝居がまた、幼稚な印象に拍車をかけてくれます。久々に観たらホント、怒りが沸きますねw
『太陽にほえろ!』じゃ可愛く感じた神田さんのダジャレも、楽しそうに人を殺しまくってる今回のキャラクターだと笑えません。
唯一笑えたのは、応援に駆けつけた神奈川県警の中田刑事(仲村トオル)が、第8班の伊達刑事(舘ひろし)に持ち弾を奪われて呟いた一言だけ。
「前より危なくなってるな。もう人間じゃないな。あ、だからゴリラなのか」
これだって、リアルタイムで観た時は失笑もんでしたw そもそも『あぶデカ』ありきのギャグしかウケないってのも情けない話です。
決してこの番組、嫌いじゃないんですけどねw 観るとなぜかイチャモンしか出て来ません。
やっぱり、勿体無いと思うワケです。今のテレビ業界で、これだけのスケールのアクションドラマは絶対に創れませんから。もっとよく考えて創って欲しかったw
時代の空気、タイミング、キャストの組み合わせetc…… ドラマ創りってのは本当に難しい。つくづく、お金を掛けりゃいいってもんじゃない。
それはともかく、このエピソードからレギュラー入りする加納みゆきさんは、当時28歳。’86年の朝ドラ『都の風』ヒロイン役で注目され、2000年前後まで活躍された女優さんです。
天真爛漫なキャラクターは嫌いじゃないけど、この番組からますます緊張感を奪ってたような気が、しなくもありませんw
ちなみにメンバーたちが使う三菱のマシン(ギャラン、スタリオン、デボネア、パジェロ)は気に入っています
西部署の派手派手日産車とは違い、地味でいかにも覆面パトカー然とした外見はアリだと思います(ギャランは現実世界の警察でも捜査用に多用されていましたし)
また、三菱からは特殊マシンの他に白パト(ギャラン、ミラージュ、エテルナΣ)も多数提供され、これは後に「西部~2003」で破壊処分されてますが、その間しっかり走れる状態にして保管してた石原プロの凄さが伺えるかと…と論点が迷走したコメントですみませんでした