NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル/仕事の流儀』で庵野秀明さんが特集されてました。最近観たテレビの中じゃダントツに面白かったですw
言わずと知れたロボットアニメのパイオニア『新世紀エヴァンゲリオン』の生みの親であり、特撮映画『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』等の総監督。
庵野監督と現在一緒に仕事されてる方、又はかつてされてた方々による庵野さん評は「謎の人」「大人になれなかった人」「少女少年」「宇宙人」「テロリスト」「使徒みたいな人」「使徒ちゃん」と散々なものw(『エヴァ~』の世界における使徒は『マジンガーZ』で例えると機械獣のポジションですw)
けど、それくらい常軌を逸した人でなければ『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』みたいなとてつもない作品は生み出せないって事が、今回のドキュメンタリーを観るとよく分かります。
一言でまとめれば「創作のためなら死ねる人」ですよね。それだけならカッコいいんだけど、周りの人も巻き込んでさんざん振り回す極めて迷惑な人だから「使徒ちゃん」w
裏を返せば、死ぬ覚悟と嫌われる勇気さえ持てば、誰だってエンタメ史に残る作品を生み出せる。けど、その苦痛に耐えられる人はほんのひと握りだけ。だから有名にもなれるしお金も稼げる。
TVシリーズの『エヴァ~』を終えた時に、一部マニアから「庵野は作品を投げ出した」とバッシングされまくり、庵野さんは鬱状態になって死のうとしたんだけど、痛そうだからやめたそうですw
つまりホントは使徒でもなければ宇宙人でもない、普通の人間なんですよね。なのに他のクリエイターたちに出来ないことが出来るのは、寝食を忘れて仕事し、極限まで自分とスタッフを追い詰められるから。これが私みたいな軟弱者には出来ないワケです。
私自身もかつてクリエイターだった時期があるけど、庵野さんみたいに「まだ誰もやってないやり方」が見つかるまで、フラフラになろうが憎まれようが妥協しないなんてこと、絶対に出来っこないと断言できますw だって、そんなのひたすら苦しいだけだし、ちっとも楽しくないじゃないですか。
そもそも「まだ誰もやってないやり方」なんてまだあるの?って思うし、たとえ真似事でも面白ければそれでええやんって思っちゃう。
けど庵野さんからすれば、どこかで見たことあるやり方は無条件に面白くないワケです。だからそうじゃないやり方を追究する以外に選択肢がない。
たぶん庵野さんは、作品創りを楽しく感じたことなど一度も無いはず。ひたすら苦しみながらエヴァを操縦する主人公=碇シンジとダブりますよね。
そんな人でなければ、歴史に残るような新しい作品は生み出せない。考えてみれば当然のことなのに、その覚悟を持ったクリエイターは滅多にいない。クリエイターに限らず、アスリートでも会社経営者でも根本は同じですよね。
これからBIGになりたいと思ってる人には今回の番組を観て頂き、そこまでの覚悟があるのかどうか、自分自身に問うてみることをオススメします。ほんと単純なことです。その目的の為に死ねるかどうか。
いよいよ公開された新作『シン・エヴァンゲリオン』には丸4年(脚本の執筆開始からだと10年以上?)の歳月が費やされており、その間ずっと庵野さんを追いかけて来たNHKのスタッフさん達もかつてない苦行の日々だったとか。そりゃダントツで面白いワケですw
その事実こそが、苦しまずして面白い作品は生まれないってことを物語ってますよね。好きなことも嫌いになっちゃう覚悟を決めなきゃ一流にはなれない。私にはとても無理です。
番組恒例の締めの質問「プロフェッショナルとは?」に対して、庵野さんは「プロフェッショナルなんて言葉は大嫌い」「出来れば番組タイトルを変えて欲しいくらい」って、ミもフタもない回答をされてましたw
そこだけ切り取れば「なんちゅう天の邪鬼なオッサン!」って思うけど、番組を最初から観た上でならストンと腑に落ちます。
何かをやり遂げるのにプロもアマも関係ないし、天才も凡才もない。ただ死ぬ気でやる覚悟があるか無いかだけ。……ってことを庵野さんは仰りたいと思うんだけど、使徒ちゃんの事だから分かりませんw
1つだけ確かなのは、丸4年も「誰もやってないこと」を追究して生まれた『シン・エヴァンゲリオン』は、間違いなく凄い作品であること。今まで見たことない映像が展開されるワケだから、そりゃ面白いのも間違いないでしょう。
ただ、その面白さが我々の求める面白さと一致するかどうかは別問題。私はTVシリーズ前半の新しさにはハマったけど、禅問答みたいになっちゃった後半には辟易しました。今回もまた「なんか凄かったけど、よく解らんなあ」って感想になっちゃう気が、凄くしますw
その予想を覆して、すっきり爽快に完結してこそ誰もがあっと驚くと私は思うんだけど、庵野さんは絶対そうしないですよね。使徒ちゃんだからw