最近、「修行に行く」といって飛行機に乗る人がいるらしいです。
修行と聞いて思い浮かぶのは、「我慢」とか「辛抱」という言葉だけれど、その人たちもやはりそういう思いで飛行機に乗るらしいです。
例えば、羽田から沖縄に飛んで、宿泊せずにまた飛んで帰ってくるとか。
上海に行くのに、わざわざシンガポール経由で行くとか。
何時間も飛行機に乗って、現地での滞在時間はあまりないというのだから、これはやはり辛そうであります。
羽田上空 空港の埋立地が見える
どうしてそんなことをするのかというと、航空会社グループのマイルを貯めるためらしいです。マイルが貯まると、いいことがあるのだそうです。
そうなると、旅先の選択も
「航空運賃が安く、距離がうんと遠いところ」
という基準で選ぶようになってくるらしく、それはもはや観光旅行といえるかどうか疑問も生じ、挙げ句のはてにわけが分からなくなり、結局
「修行に行く!」
となるのだとか。
ずいぶんとスケールの大きい修行であります。僕にはとても真似できないです。
フラップを降ろして、着陸態勢
広島空港は錦の山の上にあった
広島のリムジンバスは藤色であるぞ
ときに、霜月(11月)の第4週。
広島空港から市内に向かうあいだの山並みが、見事に紅葉しておりました。
山並みは、植林された針葉樹林ではなく、見渡す限り天然の照葉樹林。
赤と黄色で染まった照葉樹のあいだに、立ち枯れたような真っ白い木が何本も立っている。
これは初めて見る植物相であります。紅葉と白木とのコントラストが織りなす美しさたるや、僕はバスの中で興奮しっぱなしであります。
しかし路上の車群を見ると、現地のドライバーたちは、ごく平静な状態で通行しているようであります。こんなに見事な景観の中を、
「山がどうかしたんね?」
という顔つきで車を運転しております。
興奮しているのは、どうも僕だけらしい。
隣を見ると、細君は池波正太郎を読みふけっておりました。
広島は、観光地としてはあまりに有名なところ。
原爆ドームと厳島神社という2つの世界遺産があるし、尾道の街並みは大林宣彦監督の映画で知られている。
食べ物も、広島焼きに牡蠣に穴子、尾道ラーメンがある。そうそう、もみじまんじゅうも忘れてはイケナイ。
しかし広島という土地には、実はもっともっと奥深い魅力が隠されていたのであります。
それは書きすすむうちに、次第に明らかになっていくでしょう。
つづくっ!