ちょいと前のお話ですが。
往年のロックバンド、ポリスの東京公演を観に行きました。
いやァ、実に良かった。
名曲がずらりと勢揃いしたのだけれど、アレンジは今風になっている。
トーンが暗めで、テンポもゆったり。あのパンクっぽい歌がしっとりと仕上がっておりました。
それにしても、客層の平均年齢が高かった。
2列前に20代のカップルがいる以外、周囲はみんなおじさんおばさん(僕もおじさんだが)。
後ろには、僕よりもお年を召したおじさん1人とおばさん3人のグループ。その中の1人が
「あたし、前にドームのライブに来たのは、ボーイ・ジョージん時だったのよねー」
などとおっしゃる。
ポリスが流行ったのは80年代なのだ。平均年齢が高いのも、これやむを得ないだろう。
周囲を見渡すと、頭髪に不自由をきたしているご同輩の姿が、そこここに散見される。
開演10分前。後ろのグループがビールを飲み始める。
「田中(仮名)さん、つまみ持ってんの? あたしコンビニで買ってきたのがあるわよ」
「あっ、こりゃどうも」
「しかしあれね、ボーイ・ジョージって今どうしてんのかしらねー」
せっかくのポリスのライブだというのに、ボーイ・ジョージを肴に酒宴を始めたようである。
ビールとつまみのせいで、周囲に居酒屋臭が漂う。
おじさんが言う。「あのね、ライブってさ、盛り上がるとみんな立ち上がっちゃうけど、あれ困るよね」
おばさんたち「そーねそーね」
「さすがにこの歳になると、立ってたら大変だもんね」
「そーねそーね」
しかしこのグループ(おそらく50代に差し掛かったあたり)の危惧をよそに、いよいよ公演が始まると東京ドームの観衆は総立ちとなった。無論、僕も立ち上がる。
だって、そうでしょう。あのポリスが、目の前にいるのである。
生の演奏なんてもう見られないと思っていた、あの超人気バンドなのだ。
興奮し、何曲か夢中で聴いた(観た)あと、なにげなく後ろをうかがうと...。
例のグループも立ったまま、目を輝かせて手拍子をしておりました。
この記事は『いい感じ』“27年目の再会:The POLICE”にトラックバ~ック!