一部で話題になっている「削りかまぼこ」を、宇和島で入手した。
一部というのは、友人Y口君と僕の、二人だけのことだが。
かつぶしのように薄く削ったかまぼこだが、通常のかまぼこを使うのではなく、専用に作られたかまぼこを削っているらしい。
宇和島で、現地の人に
「削りかまぼこはどこで売ってますか? あの、話題の削りかまぼこ」
と得意げにいってみたら、
「そういえば流行ってましたね。ブームはもう2~3年前に終わってますが」
とクールに返されてしまった。
そのまま味わうと、いかにも魚肉加工品らしい匂いと味があって、それが舌の上でじわじわと広がっていく。
ただ、かまぼこと違うのは食感である。かまぼこはみずみずしいが、こちらはぺなぺなだ。
この風味は、かつて、どこかで出会っている。かまぼこというより、あれだ…でんぶだ。
タラや鯛をからからに炒りつけたでんぶにそっくり。
ただし、でんぶのように甘くはない。
かくのごとし。
熱い白飯に乗せると、かつぶしのように踊りながら、米粒に絡みついていく。
魚肉のうまみがまぶさった白飯がおいしい。
ふと思い付き、納豆も加えてみると、これがまたウマい。
ほんわかした風味の削りかまぼこに、きりっと醤油を利かせた納豆が混ざって、味の塩梅がちょうどいい。
魚肉のうまみが加わった納豆がおいしい。豆ひとつひとつに絡みついてるのが嬉しい。
ちなみに納豆は「四万十川産 川のりだれ付き」というのにしたが、川のりの風味もかまぼこにあっていて、ちょうどよかった。