
僕は常々、思うのだ。
やる気スイッチがあったらいいなと。
そのスイッチを押せば、すぐにやる気が出る。
精神状態とか、経済状態とか、健康状態とか、いかなる状態でも関係なく、スイッチさえ押せばやる気が起こる。
このスイッチは簡単に使えるほうがいい。
鼻をつまむとか、耳たぶを引っ張るとか、そんな操作でスイッチが入る仕組みだ。
冒頭、常々思うと書いたが、実際は締め切り前によく思う。
思うというより、願いに近い。
まるでドラえもんに道具をねだるのび太の心境である。
しかし、現実にドラえもんはいないように、鼻をつまんでも、耳たぶを引っ張っても、何も起こらぬ。
そこで、自分なりに、やる気の出る何らかの方法を考えることになる。
今にして思えば、中学生のときも、同じような事を考えていた。
勉強のやる気である。
中学のときは特製カセットテープを作った。
2本立て構成になっており、1本目が「お勉強ムードミュージック」というもの。
これは勉強前に聞くもので、聞いているうちに、次第に勉強がしたくなってくるという目論みである。
2本目は「お勉強中BGM」というもの。
こっちは勉強中に流しておくもので、その心地好い音色によって、効率良い学習ができるという目論みである。
どちらもクラシック音楽とイージー・リスニング音楽で構成されていた。
クラシックはモルダウの流れとか田園が選ばれた。
イージー・リスニングはポール・モーリアである。
当時は「音楽を使って成績アップ!」みたいな本が売り出されており、その指南に従って作ったものだった。
その効果はどうだったのか。
特に記憶に残っていないので、たいしたことはなかったのだと推測している。
大人になった今でも、やる気を起こすために、いろんな方法を試している。
ただ問題なのは、その方法を探すのに夢中で、本来の目的である仕事がさっぱりはかどらないことだ。
むしろ
「やる気スイッチを探すのに忙しく、仕事をしてる時間がない」
という状況である。
こうして今も、迫り来る締め切りの焦燥感を肩の上あたりに意識しつつ、スイッチを探している。
ああ、ドラえもんがいたらなあ。