灰色の厚い雲から冷たい雨が降り続き。待ち焦がれて到来した季節なのに、萌えはじめた土手の緑を眺めながら無為に過ごした。
霧の中の携帯電話アンテナ
10年ほど前、携帯電話電波の健康被害が喧伝されたことがあった。
入り組んだ谷間の集落に、くまなく電波を届ける必要があるのだけれど、アンテナの設置には住民の反対意見が根強く難航した。
このアンテナも、数か所の候補地をたらいまわしされた挙句、地権者の英断でようやく建設できたらしい。
現在、電波による健康被害を危惧する声は聞かれない。
しかし 便利なスマホの氾濫で別の難問が蔓延しつつあるという。
思うに、電波健康被害騒ぎは、このことを予見した先人のささやかな抵抗であったのかもしれない。
桜は、雨の中で蕾が膨らんで、雨の中で咲いた。
これでは散るに散れない。