故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

あかんがな

2014-12-11 06:09:40 | 思い出話
 金鎖に負けないひじき
金鎖に短髪。
いでたちからとても大会社に勤務されているおとなしい方とは思えませんでした。

この方は大会社に勤め乍ら、休日には滋賀県野洲でお米を作られていました。
もうすぐ収穫だから稲刈りを手伝いに来いと知らせがありました。
9月初め、友人と朝早く横浜を車で出ました。
途中のパーキングエリアで、旧式のスポーツカーのボンネットが開いていました。
中には、機械がぎっしり詰まっています。2Km/リッターしか走らないと言われる。
これは心配だと、第二東名を走りながら二人は旅を急ぎました。

着いたら、これから稲刈り用のコンバイン(2条刈)を田んぼに入れるところでした。
田んぼの4隅を手刈りすることから始まりました。コンバインを旋回させるためでした。
手刈りは初めてでした。
束ねてもほどける。稲の根元のわらを束ねて回すのですが上手くいかない。
悪戦苦闘の4隅が終わるといよいよ稲刈りです。
コンバインの籾が袋に溜まるところに友人と二人で乗りました。
これは楽ちんでした。残暑の田んぼに吹く風が心地よいのでした。

ところが、田んぼを折り返す頃、いっぱいになった籾袋をコンバインの上の平らな処へ
差し上げなければなりません。重さ30Kg。
およよ、二人はよろけながらも交代でなんとか出来ました。
3反の田んぼを行き来すること数十回。二人はただただ重い籾袋を担ぎ上げ、
道まで来たら降ろすの繰り返しをしていました。いや重労働でした。

金鎖は、そんな二人を見かねて、刈ってみるかと言われました。
2条の稲を同時に刈るのです。左右に動かすのは、2本のレバーです。
ゆっくりですが、要領を得ない二人は外してばかりです。
数本の稲が刈られないまま立ったまま過ぎていきます。

「あかんがな」と金鎖。
大事なお米を一本たりとも残すのはご法度。

また、籾の差し上げの繰り返しに戻った二人に力は残っておらず、
担ぎ上げた籾袋を地面に落とすこと数回。
袋が破れ散らばる籾を一粒ずつ拾う二人。
「あかんがな」が聞こえてきそうで、冷や冷やものでした。
拾い損ねた籾は、後にしっかり芽吹いていたのでした。

その夜は、金鎖が用意してくれた酒と肴を流し込んで泥のように寝たのでした。
その後はお呼びがかかりません。今度はもう少し上手にできるでしょう。

2014年12月11日
コメント
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いつもピッチアップ

2014-12-11 05:24:53 | プロジェクトエンジニアー
 要塞ザルツブルグ城
やはり始まりました。
プロジェクトが発表されると、遂行は加速されます。
決まってそうなります。概略の説明(メリット、工程、予算)を作るよう依頼されます。

ひとえに、上司(役員、親会社)の承認を優先されるからです。

やってられないと思うのもこの時期です。
積み上げで、予算を組むにはあまりにも情報不足です。
フローシートもレイアウトもないのにどうやって見積もれというの。
機械に、入れる箱(建築)そして動かす動力源、しかも儲かるのかと問われます。
やっと、大急ぎで能力計算が出来たばかりです。本当にこのスペースに入るのか。
検討しろという方も分かって言っているから始末が悪いのです。

プロジェクトにゴーがかからない限り、
押さえ(土地、物件、建築に関わる法律相談)が出来ないのです。

魔法が必要です。3日で数十億の予算組みと5年にわたる中長期計画を立てるのです。
相手が、偉い人ですからギューと凝縮したレポートにしなければなりません。
A4,3枚にエッセンスのみの報告書です。文字は少なく読みやすくしなければなりません。
もっともらしく、嘘がなく。その報告書は残るのです。そして一人歩きし始めます。

残された日数はわずかです。
楽しませてもらいます。

2014年12月11日
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